(あんたでよかった。)
(私の最期の相手があんたで本当によかった。悔いはない。)
前のめりに倒れ込む中澤裕子を受け止める石川梨華。
全身に傷を負いながらも、なんとか勝利を収める事ができた。
それは1年前の、まだどこかに弱さをもっていた石川ではなかった。
前に立って皆を引っ張っていく存在として、強くなっていたのだ。
(再びTAP会館の最強を証明する為に、私は負けられない)
石川梨華、決勝トーナメント進出
孤高を貫く女がいた。
誰の手も借りず、ただ己の力のみで地上最強の頂きを目指す女が。
昨年予選で破れたソニンという女は死んだ。
「これが、何かに頼り群れて生きる者と、そうでない者の差だ。」
地面にひれ伏し、すでに意識のないアヤカに向かって放つ言葉。
孤高の女。
彼女の闘いは終らない。
ソニン、いざ決勝の舞台へ
もうな〜んにも残っちゃねえ。
地位も名声も肩書きも、面倒なもんはな〜んにもなくなった。
残ったのはこの拳だけ。
もうTAP館長でも、武神でもない。
ただの飯田圭織だ。
ただの武道家だ。
これで条件は同じだぜ。
拳がパワーファイターりんねを打ち抜く。
そう、これだ。単純かつ明快。これだけでいいんだ。
あいつに教わった闘うことへの喜び。
「さーて、もう一華咲かせますか。」
踏まれても咲き続けるあの花の様に。
飯田圭織、決勝トーナメント進出。
奴が来た!
ダニエルの巨体が宙に浮いている。
それを支えているのはなんと一本の腕のみ。
「…ギブ…アップ」
吐き出されたその言葉に、奴は笑みを浮かべる。
「おい、お前。高らかに宣言しな、俺の名を!」
審判に向かって奴は暴言を吐く。
「しょ、勝者!!鈴木あみ!!鈴木あみぃぃぃぃ!!!」
その名前。
(そうだ、それこそが頂点に立つに相応しい名だ。)
ついに奴が娘達の前に姿を現わす。
鈴木あみ、決勝トーナメントへ。