モームス最大トーナメント

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558辻っ子のお豆さん
 今や伝説として語り継がれるあの激闘、なっち対後藤を知っている者ならば誰でも、こ
の修羅二匹の真っ向勝負を見て、胸を高鳴らせたはずだ。もう二度と再現する事はないと
思われた、あの奇跡の名勝負が形を変えて蘇ったのだから。
「これを…これを待っていたんです。」
平家みちよが泣いた。
「歴史が変わるかもしれぬ。」
「あの時のようにか。」
 闘いに目を奪われた格闘技界の二大巨頭がたまらず立ち上がった。かつて王者なっちが
突如現れた後藤真希に敗れた様に、古き王は新しき王に打ち滅ぼされるもの。そして今ま
た時代は動こうとしている。

(どれだけ殴っても、どれだけぶっ飛ばしても、また立ち向かってくる。)
(本当に鬱陶しい奴で、本当におもしろい奴だったよ、なっちは。)
「そして、お前もなー。」
後藤が撃つ。辻は引かない。辻が撃つ。後藤も引かない。譲らない、どっちも。
決着が着かない、まるで神がその一人を選ぶ事を拒んでいるかの様に。
たった一人、たった一人なのだ、その先にある道を歩める娘は。
だがついにその時は訪れた。
559 :02/06/30 01:11 ID:a+izdfqX
ののはなっちさんに勇気をもらったのれす。
ほんもろのつよさというものをおしえてもらったのれす。
いっぱい、いーっぱいおしえてもらったのれす。
こんどはののが、誰かに勇気をわけれあれたいなぁ。

忘れないよ、辻希美という目茶苦茶強い化け物がいたってこと。
パワーはあんたが上だった。体力もあんたが上だった。根性もあんたが上だった。
ただ私の方がほんの少しリーチがあった、それだけ、それだけの差だった。
もしあんたがあと3cmでも大きければ、負けていたのは…

『けっちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーく!!!』
 激闘終結、最後の一撃はほんの数センチ、いや数ミリの差でしかなかった。同時に放ち
交差した腕と腕、相手に触れたのは後藤の拳の方だったというだけ。ついに力尽き果てた
辻は成す術なく崩れ落ちた。紙一重の勝利と言えどその差は天と地程もでかい。
『勝者!後藤真希!!』
神が選びし娘の名は後藤真希。歴史は変わらず!
決勝の椅子が一つ埋まった。残す椅子はあと一つ。
560 :02/06/30 01:13 ID:a+izdfqX
「良かった、後藤さんだ。」
 透き通った声がザワメキ収まらぬ会場に、いやにしっかりと聞こえた。その声の主は全
身傷だらけで、しかも肩に娘を一人担いでいた。
「こっちもちょうど終った所です。」
担ぎ下ろされた娘を見て誰もがアッと声を上げた。松浦亜弥!
 あの死神が意識を失った状態で運び込まれてきた!?しかもそれを行なった娘が紺野あ
さ美だったのだ。それが意味するもの、神が選びしもう一人のファイナリストがすでに決
定しているということ。
「コラー!紺野!どうゆうことやそれは!」
 当然、大会主催者つんくの激が飛ぶ。まさか彼女が自分の命を救う為に闘ったなど知る
由もない。それどころか自分の命が狙われていることすら知らない。自分の目の届かない
場所で勝手に勝負を終えてしまったことが許せないのだ。だが、今の紺野の耳にその警告
は届いてはいなかった。いや、観客の大音声すら聞こえていなかった。今の彼女に耳に響
く声はひとつしかない。
「やるか?」
「いいのですか?もうボロボロでしょう。」
「それはお前も同じだろ。来い。」
その言葉しか届かない。
561辻っ子のお豆さん:02/06/30 01:14 ID:a+izdfqX
紺野は松浦を倒した。
闇の波動により全身が火傷する様な地獄を受けた、でもその拳だけは止めなかった。
神の拳が闇を切裂き、死神を貫いたのだ。
ずっと自分を縛りつけていた使命から、ようやく解放された瞬間。
でもそれはもう一つの使命の始まりでしかない。
他の誰でもない、自分が自分へとかした何より重い使命。
(後藤さん、あなたは覚えていないだろうけど、私はあの時のこと忘れたことはない)
(この拳も、すべて、あなたに勝つ為に磨いてきました。)

強い、この子は強いね。
よっすぃーに勝った。圭ちゃんに勝った。松浦に勝った。
本当に強い。怖いくらいだよ。
でもゴトーは負けないよ、まだ待ってる奴がいるんだから。
確信してる、なっちはもう一度ゴトーの前に帰って来るってね。
その時まで誰にも負けちゃいけないんだ、頂点のままなっちを待ってるんだ。

残った娘はこの二人。いざ決勝戦!!

To be continued