モームス最大トーナメント

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533辻っ子のお豆さん
地上最強のベスト4出そろう。

Aブロック勝者 辻希美
格闘技という枠に収まりきることない絶対的パワー!
地上最自由、アンチェインののたん!

Bブロック勝者 後藤真希
やはり彼女を越えることは誰にもできないのか!?
連続秒殺記録更新中。優勝候補最有力、現役王者ごっちん。

Cブロック勝者 紺野あさ美
格闘技を極めし者だけが辿り着ける境地、神の領域。
そこに手を掛けた娘がいた。三度奇跡を起こすか神の拳コンコン

Dブロック勝者 松浦亜弥
その娘は地獄から来た。死神の鎌はあらゆるものを両断する!
彼女から逃れる事はできない、闇の使者あやや
534辻っ子のお豆さん:02/06/24 23:03 ID:bOjQ3Pyi
「どうですか、先生?」
 険しい表情を浮かべた飯田が、加護の容体を医師に尋ねる。隣には石川と矢口が、一番後ろで辻が、それぞれ心配そうな顔を浮かべて立っている。
「この場で治療できる程度の怪我ではない、すぐに手術せねばならん。」
 すでに近くの大病院へと移送する為の救急車は手配済みであった。応急処置だけ受けた状態の加護は担架にて運ばれて行く。未だ意識は戻らない。
「あいぼんはぁ?またいっしょにたたかえるよねぇ…」
半泣きの辻が言葉虚ろに医師の服の裾を引っ張る。医師は静かに目を閉じ首を横に振った。
「手足の腱が切れている。闘いどころか、普通の生活すらもう二度と。」
何かが落ちて割れた。
もう二度と、彼女の笑顔は戻らない。あの約束が叶う事はない。

――――――――――――のの、いっしょにつよくなろ。――――――――――――

けたたましい音をたて、拳がコンクリートの壁を打ち抜いた。
初めて現れた怒りという名の感情、その矛先にいるのは当然あの娘。
「ゆるさない!!れったいにゆるせない!!」
辻希美の中で何かが確実に変化していた。
535辻っ子のお豆さん:02/06/24 23:04 ID:bOjQ3Pyi
「梨華ちゃん、どうだった?」
 吉澤の問いかけにもうつむいたまま反応できない石川。喧嘩友達でもあり良きライバルでもあった加護の再起不能は、彼女にとってあまりに衝撃がでかすぎた。何も言わず石川は吉澤の胸に顔をうずめた。泣いていた。
「梨華ちゃん…」
優しく頭をなでる。それくらいしかできることがなかった。

 人気のない廊下、この二人の様子を天井裏から見詰める目がひとつあった。当然ふたりは気付くはずもない。
(やっぱり本命はいい、泣き顔も可愛いよ梨華君。)
(ボクはもう我慢できないよ、早く遊びたいなぁ…)
(でも、あいつ誰だ?ボクの梨華君にいっつもくっついて)
(なんかムカツクなぁ。あいつ、邪魔だなぁ)
暗闇の中に静かな殺意が芽生える。
「消そうか。」
536辻っ子のお豆さん:02/06/24 23:05 ID:bOjQ3Pyi
 薄暗い路地裏に、髪も乱れ服を汚しふら付き歩く娘がひとり。足がもつれゴミ置き場に崩れ落ちる。彼女は過去、栄光の道を歩き続けていた。だが、突然前に現れたある娘の存在によって運命は急変することになる。今はただの敗北者でしかない。
――――――――――それでも、あの場所が――――――――――
(誰…?)
娘を見下ろす者がいた。影になって顔がよく見えない。
(いつからそこに?なぜ私を見てる?)
「落ちぶれたものだ。今のお前は後藤どころか、それを遥かに下回る者にすら劣る。」
影からの声。後藤という名が、娘の肩をピクリと動かせた。
「欲しいか?」
(何が…)
「あの栄光がもう一度欲しければ、私と共に来い。」
闇の中から一本の手が差し伸べられる。この手を…この手を掴んでしまったら……。
もう二度と戻れない。そんな気がしてならない。だけど、それでも…
―――――それでも、あの場所が、後藤真希という名の娘の前が――――――
(栄光なんていらない、ただもう一度あの場所に…)
安倍なつみの手が闇からの手を受け入れた。

To be continued