モームス最大トーナメント

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468辻っ子のお豆さん
 ごっちんの様子がおかしい?そう最初に気付いたのは吉澤ひとみ。なっちが敗れ大会自
体へのやる気を失いかけていた様に見えた。だが今の彼女から溢れん出んばかりの闘志は
何だろう。誰が?誰が彼女に火を付けた?小川か?それとも…?

『二回戦第二試合!!』
 拳を振りかざし姿を見せたのは小川真琴。プロレス最強を証明する為に参戦した燃える
闘魂。負けられない、格闘家にだけは負ける訳にいかないのだ!
「来いや!チャンピオン!」
 後藤真希入場!こちらは対照的にクールに、どれだけの大歓声が起きようと眉一つ動か
そうとしない。静かにその瞬間を待つ。
「はじめぇぇぇ!!!」

小川の視線が王者の体を泳ぐ。
うまそうだ、どうやって料理してやろうか。
投げて欲しいか?決めて欲しいか?ぶっ叩いて欲しいか?
抵抗しても無駄だぜ、私にゃどんな攻撃も効かねえよ。
ほーらタックル行くぜ!なんだその程度のへなちょこハイで対抗する気か?
効かねえって言ってん…
469辻っ子のお豆さん:02/06/11 21:22 ID:k2Z2ywGZ
 小川の堅い顎が後藤の右ハイキックを無力化してみせた。だが次の瞬間放たれた左のハ
イに反応を示すことはなかった。堕ちる。
【双龍脚】
左右同時に迫り来る龍の牙。言葉にするのは容易いがそれは不可能レベルの遺産。
一本のおみ足が左右から飛んでくるという矛盾。
王者が、ついにその力のベールを覗かせた。

ハッハー!とった、とったぜ!捕まえりゃこっちのもんよ!
たかがキック一つでやられると思うなコノヤロー!プロレスの醍醐味とくと拝みやがれ!
さぁ皆さん御一緒にっ!!
バァーーーーーーックドローーーーッ…
棒立ちの後藤。
その腰に掴み掛かる小川。意識等とうの昔になくなっている。
「その意志だけは認めたげる。」

『勝負ありぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!』
470辻っ子のお豆さん:02/06/11 21:23 ID:k2Z2ywGZ
つんくが手元の時計に目をやる。13秒ノックアウト。桁外れ。
「小川が弱いんやない、あいつが強すぎるんや。」

「これが本物のチャンピオン!」
悔しかった、歯がゆかった、抑え切れない気持ちが吉澤を悩ませる。
自分では呼び覚ますことのできなかった本物がここに。
(誰がごっちんを本気にさせた!?)

もう一人、常に笑みを浮かべていた達人の眼差しから優しさが消える。
(誰が真希を本気にさせた!?)
もう同門でも仲間でもない、一人の強大な敵。

足元に転がる小川に目もくれる事なくその場を後にする後藤真希。
その瞳に写るモノは・・?

「お前の責任だぜ、なんとかしてみろ。」
石川梨華が苦笑いを浮かべる先に、よだれを垂らし眠る少女。
地上最強のベスト4、その片方が埋まった。

To be continued