モームス最大トーナメント

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419辻っ子のお豆さん
矢口の構えは中国拳法のそれ。だが構えるだけで体中が悲鳴をあげる。
一方、松浦は棒立ち。読めない。未知のスタイル?
(何を考えてるか知らないけど関係ない、私は私の全力でいくだけ!)
呼吸と間合い、そして初動作の速さ。実践の中で鍛え上げられてきた矢口の領域。
あの体でよくぞここまで…!武神飯田にそう思わせるほど完璧な流れ。
未だ棒立ちの松浦は反応すらできていない、入る。
パァン!!
 宙を舞ったのは矢口。あの時と同じ衝撃。控え室へ不意打ちしたとき、同様に石川を弾き飛ばしたとき、正体不明の打撃。何をした松浦。
「ぐぅう!!」
 全身打撲の体にさらに衝撃が加わり、矢口の表情に苦悶の色が浮かぶ。だが立ち上がらなければならない。こんな所で終る為にわざわざ来たんじゃない。そんな想いを嘲笑うかのごとく松浦の足が矢口の腹部を踏みつける。
「も〜う止〜められない♪」
カリッ!カリッ!カリッ!カリッ!
「ぃぎゃああああああああああああ!!!!」
まるでプリッツをへし折るかの様に一本ずつ骨を踏み砕いていく。
桃色の死神に笑みが戻る。殺る気だ。
420辻っ子のお豆さん:02/06/02 16:20 ID:5qJLMPii
 もはや勝負あったが、それでも攻撃を止めようとしない松浦に、石川と加護の我慢は限界に達した。後で何といわれようと構わない、止める!二人はフェンスを飛び越え闘技場に飛び出した。だがそんな二人より先に飛ぶ影があった。
「飯田さん…」
武神の飛び蹴りを察知し、松浦は間一髪身を躱す。
「こわ〜い♪」
瀕死の矢口が、それでも口振りだけは一人前に。
「なに…しに、来た…んだよ。こっから…逆転…するつもり…だった、のに…」
「恨んでもいい、嫌ってもいい。それでも私はお前を失う訳にはいかない!」
涙を隠すように矢口は顔を腕で覆う。
「バカヤロ…」
『矢口真里反則負けー!!よって勝者松浦亜弥!!!』
試合中に第三者の援護を受ける事は当然の反則、勝敗を決した。
救護班の手により矢口は担架で運ばれて行く。
だが場内に残る四人は、睨み合ったまま動こうとしない。
「クスクス、弱い物はそうやって群れ合っているのがお似合いだよ。」
松浦の挑発に、飯田、石川、加護は顔を顰める。
421辻っ子のお豆さん:02/06/02 16:20 ID:5qJLMPii
「あんた、誰に口聞いてるかわかってんの?」
「よせ石川、お前はまだ試合があるだろ。ここは私に任せろ。」
互いに譲ろれない状況において、さらに松浦が挑発を繰り返す。
「アハハ、いいよこっちは。別に三人まとめてでも、ね。」
日本最大の格闘技団体TAPが、ここまで侮辱されたのは初めてのことである。
飯田と石川が今にも飛び出そうとしたその時、二人のシャツを掴む小さな手があった。
「館長!梨華ちゃん!駄目や!」
加護亜依。TAPの中でも特に矢口を尊敬し師事していた少女。
「ここで暴れたらそんなのこいつと同じや!」
「加護…」
「うちらは武道家やろ、殺し屋やないで。らしく正々堂々とぶっ倒そうや。」
その言葉が石川と飯田に冷静さを戻させる。
(まさか、加護に説教されるとはな。だがこいつの言う通りだ。)
松浦の二回戦の相手、それは…
「こいつはうちが叩き潰したる!!」
加護亜依が松浦亜弥の前に立つ。
「決めた。君はさっきのチビより酷い目に合わせちゃおう♪」
「それぁ楽しみやで。やれるもんならやってみぃや。」
こうして波乱含みの1回戦は幕を閉じた。
422辻っ子のお豆さん:02/06/02 16:21 ID:5qJLMPii
【2回戦組み合わせ】
第一試合
辻希美vs石川梨華
第二試合
後藤真希vs小川真琴
第三試合
保田圭vs紺野あさ美
第四試合
加護亜依vs松浦亜弥

出場選手中最大のパワーと最速のスピードが激突する第一試合。
無敵の王者が恐怖のチャンプキラーを迎え撃つ第二試合。
最強の矛を持つ少女と最強の盾を持つ達人が並ぶ第三試合。
天才を越えた天才と冷酷なる死神が牙を剥く第四試合。

地上最強の娘はこの中でただ一人。

To be continued