モーヲタは、常識者か非常識者か。

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33野望のある生活
道行く二人が、周囲の視線を集める。
「なーんで、こんな目立ってんのかねぇ。」
「きっとアレですよ。ホラ、愚かな大衆共が
 私のことを『本物』だと思ってるんじゃないんですか?
 こぉんなに、精巧に作られてるんですもん。」
「…お世辞のコピーも完璧のようだしな。」
…クスクスッ。
──それにしても、みんなかすかに笑っているような。
「だぁぁあ。俺、白衣のまんまだー!」
「あ、ホントだ。じゃ、まずお買い物行きましょ。うふっ。」
梨華が嬉しそうに笑うにはわけがあった。
さっきまでお腹から出ていたコードが、今はないのである。
そう。リュックに入ったバッテリーと皮膚で受ける太陽光で、
エネルギーをまかなっているという訳なのだ。

棒立ち状態の最織田に、梨華は服をあてがう。
いつもコーディネートは梨華任せである。
最織田は、そういうところは疎い。
今日も結局、梨華が選んだピンクのスリムジーンズと
ピンクのピチTを着せられることなった。
「あと…。私、ずっと思ってたんですけど、
 編集長、メガネがいけないと思うんですよねぇ。」
「は?」
「コレかけてみて下さい。」
梨華が渡したのは、いつも最織田がかけている丸いメガネではなく、
フレームのシャープな赤のメガネだった。
「おおっ。コレは確かに…。俺ってば、かっこよかったんだ。
 ふふふ…。ののたーん、待ってろよー!」
最織田は、春の空に高らかに吠えた。
34野望のある生活:02/03/26 00:38 ID:CvIdauA3
「ここが、娘。達が撮影しているテレビ局だな。」
「編集長ぉ、やっぱ止めません?気が進みませんよぉ。」
「えっと、作戦の確認な。君のリュックにはデジカメと
 アンビリカル・コードが入ってる。」
「…内部電源と相談しつつ充電して、辻ちゃんに近づく。
 はぁあ…。それとデジカメはいりませんよ、ココで憶えます。」
梨華はツンツンと自分の頭をつついた。
「そうだったな。じゃあ、がんばって。
 しっかり、の、ののたんを撮ってくるんだぞ。」
「はぁい。」
不本意そうに、梨華はテレビ局に入っていった。

「石川ぁ、行くよー。」
「あ。飯田さん、先行ってて下さい。
 石川、ちょっとメイク確認してきます。」
石川(生身は、以下こう表記)は、足取りも軽く、トイレに向かった。
「今日も頑張るぞー。ルンルルン、ルンルルン。」
鏡に向かって、髪の毛をセットする。
「んー、よしっと。あ、あれ。今日の服って…。」
石川は、自分の服と鏡の中の服を見比べる。
ハロモニ。劇場の制服を着ている自分。ピンクのヘソだしの鏡像…。
ブシュウウウウウ──。
突如、鏡の中から煙が噴き出して、石川を包んだ。
「へ?……ふにゅう。」
「ふぅ。第一関門突破っと。」
タトン。鏡の中から出てきた梨華は、石川の服を脱がせた。
35野望のある生活:02/03/26 00:39 ID:CvIdauA3
「よいしょ。よいしょ。…意外と重い。」
梨華は石川をトイレの個室に押し込んだ。
「催眠ガスは12時間はもつから、
 えーと…明日までには助けに来るからね。」
そう言いながら、石川の服を着る。
「やっぱり、こういう制服っていいなぁ。光発電のせいで、
 いっつも薄着だもんな。いいなぁ、梨華ちゃん…。」
梨華は、目の前で眠りこけている石川を見た。
「…………。」
無防備に下着姿で便座に座らされている石川。
ゴクリ──。
梨華の手が、石川のパンツにかかる……。

梨華は内側から鍵をかけると、ドアをよじ登った。
「遅かったなぁ、石川。もしかして大っきい方かぁ?」
「しないよ!……う、うふん。やぁだ、もう飯田さん。
 石川がそんなことするわけないですよぉ。」
「ホラ。もう本番始まるから、用意しな。」
よかったぁ。バレてないみたいね。
「──そんなの、悲しすぎるよー。」
ま。私の記憶力にかかれば、台本もバッチリだもんね。
ふふふ…。みんな、私がNG出さないから驚いてるわね。
「……石川。お前、今日はイチダンと棒読みだな。」
「や、矢口さん!?」


to be continued...