感動ってすてきやん

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76赤き涙を流す者

ドアの所で様子をうかがっていたら、不意にそのドアが開いた、そして梨華と呼ばれている人が
出るように促す、愛は恐る恐る閉じ込められていた部屋から出た、6人?7人はいるみたいだ
みんなが愛と、梨華を見ている、もの凄い緊迫した雰囲気の中、怖くて震えながらも、梨華に
ついて出口へと向かう、それ程長くは効かない、術が解ければこの梨華という人も敵になる
怖いけど、急がなければ、震える足でやっと出口に辿り付いた時に最初の銃声がした
撃たれた!そう思った瞬間に続いての銃声、何が何だか分からずうずくまった愛の前で
手を引いて歩いていた梨華が膝をつく、撃たれたのは梨華の方だった、でも致命傷ではない
らしく、「行くよ、おいで」と、愛に声を掛ける、その向こうに何時の間にか外に出ていた真琴が
倒れていた、確かめるまでも無い、死んでいる、うつろに開いた目の力の無さが生ける者の
それでは無い事を証明していた、直接では無いにしろ、人間を死なせてしまったのだという
事実が大きく愛にのしかかる、これが引き金で人間と魔女の間で、戦争なんて事にでもなったら
どうすればいいの?お姉ちゃんが悲しむだろうな、何でこんな事になったんだろう、私のせい?
私はただ、姫に喜んで欲しかっただけなのに、姫とお友達になりたいと思っただけなのに・・・
今度は愛の背後から銃声が聞こえた、もう、その後の出来事は見えも聞こえもしなかった
薄れゆく意識の中で、本当は凄く優しいくせに、いつも「本当にもう、あんたは・・・大体あんたって
子はねえ・・・」と、いつもお説教ばかりしているみちよの顔が浮かんでいた、とても綺麗な、美しい
とさえ言えるような、透き通った涙が頬を伝った時に、愛は逝った・・・・・・