感動ってすてきやん

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44赤き涙を流す者

(魔女の石)

遂にこの時が来た、降らなくていい時には、これでもかっていう位、降るくせに、降って欲しい時
に限って、まったくと言っていい程降りゃしない、大体ここぞという時に私の思い通りになった
試しが無いのだ、明日は待ちに待った運動会とか、遠足なんて時になると、必ずっていう位に大雨に
なったり、ひどい時には台風が来た時さえある、何も台風まで来る事無いじゃないのよねえ、て言うか
さあ、台風って前もって来る日の予測とかって出来てもいいはずよねえ、だったら運動会みたいな
大事な?行事の予定は変更するとかしたらどうなのよって言うのよ、まったく
それにしても、みんな何してるのかしら、リーダーとなつみは上にかけあいに行ってるんで、いい
としても、ひとみは新人連れて出たっきり戻ってこないし、梨華に至っては、何やってんだろ・・・
まったく、みんなして好き勝手しちゃってさ、この忙しい時に・・・ぶつぶつ
忙しいと言う割には、何をする訳でも無くソファーに腰掛けて雑誌を見る事に精を出していると
梨華が入って来た、
梨華「あれ、真里さんだけですか?」
真里「ちょっと、何やってたの?この大事な時に」
梨華「ごめんなさい、でも大事な時って?」
真里「雪、もう積ってた?」
梨華「ん〜まだそれ程でも・・・」
真里「リーダーが言ってたじゃない、雪が降るのを待って決行って、いよいよその日が来たんじゃ
   ないの、もうすぐ2人帰って来るから今夜か明日よ」
梨華「あ、そうだ、いよいよ、か・・・でも何で真里さんがそんなに嬉しそうなんですか?」
真里「フフフ、あなた魔女の石って知ってる?」
梨華「え?魔女の石?ああ、あの魔女の女王が首から掛けてるとかっていう」
真里「そう、その魔女の石って、売ったら幾らだと思う?知り合いの宝石屋に聞いたのよ、そしたら
   億よ億!1億だしてもいいってさ・・・もちろんなつみさんの妹を救出するのが目的なんだよ
   もちろんそれが先だけどさ・・・ねえ、こっちも命を落とす危険もあるわけだしさあ、だって相手は
   魔女なんだよ、だからささやかなご褒美っていうかね、ボーナスみたいな物よ、うん」
梨華「ささやか・・・では無いような・・・」
真里「うるさいわね!」
その時、上に協力の要請に行っていたリーダーの香織となつみが帰ってきた、要請というのは
もちろん、なつみの妹の救出の為の魔女の森探索の際での協力要請である、これまでも幾度となく
掛け合いに足を運んではいるのだが、いい返事が貰えずにいた、それというのには理由があった
実は前に一度だけ、魔女達の存在を恐れた警察隊が魔女討伐を試みた事があった、警察隊及び
機動隊数百名で森を取り囲み、森に火を点け、出て来た魔女の数名を射殺した、森には煙が
充満しており、逃げ場を失った魔女が出て来る所を警察隊が狙撃する、誰もが警察側の勝利を
確信した、が、しかし、例の魔女の女王と言われている真希が現れて、事態は急変した
45赤き涙を流す者 :02/03/17 23:23 ID:qILYiXsa

(雪)

赤く光っていうようにさえ見える涙を流しながらも、悲しみと怒りに満ちたその赤い目で
じっと警察隊を見据えていたかと思ったら、森の周りを取り囲んでいるパトカー数十台を
指差し、瞬く間に全て焼き尽くしたのだ、幸いそのパトカーには誰も・・・いや、たまたま
その時かけつけた1台のパトカーにのっていた2人は運悪く殉職したが、あれだけの大参事
の割には警察側の被害者は僅か2名だけだった、とにかく、その瞬間から警察側は完全に
戦意を失った、もう口を開く者さえいなかった、車を失った警察達は只ひたすらに走って
その場を逃げ出したのである、この模様はТVで生中継されており、魔女の女王真希の存在は
大人から子供まで、強烈な印象で知れ渡ったのである、それ以来もう、誰も魔女の森に近寄る
者はいなくなった、警察が協力を拒むのも、ある意味仕方がないのである
香織「ただいま」
真里「おつかれ、で?どうだった?」
香織「・・・・・・駄目」
梨華「やっぱり・・・」
なつみ「仕方ないよ・・・・・でも、私は行く、今夜」
真里「今夜・・・・いよいよか」
なつみ「みんなは、無理について来なくてもいいんだよ、これは任務じゃないんだから、私の
    私的な事だし、それに」
香織「怒るよ、なつみ」
梨華「そうですよ、私達、嫌々ついて行く訳じゃありませんよ」
なつみ「・・・みんな、ありがとう、頼りにしてるよ」
真里「ところで、1番張り切ってるイケイケ娘は?何やってんのよ」
香織「ったく、肝心な時に・・・」
なつみ「まあ、待ちましょう、もう少し積ってからの方がいいし」
梨華「雪で足音は消せるとして、問題はどうやって入り口を見付けるかですよねえ」
真里「そこなのよねー問題は・・・」
なつみ「足音だけじゃ無いのよ、積雪を待ったのは」
香織「そうそう、魔女達も全く魔女の世界から出ないって事は無いでしょう?必ず森に出て
   来る者がいるはず、としたら?」
真里「・・・・・・と、したら?」
梨華「ああ、足跡・・・」
なつみ「そう、それを辿れば、おのずと行き着くはず」
真里「・・・・そうゆう事か」
そこまで話してた時に入り口のドアが開いて、ひとみ達が入って来た
ひとみ「ただいま、ああ、みんな揃ってたんだ丁度いいや」
香織「丁度いいやじゃないでしょう、あんた、今までどこに・・・・・」
話かけて止めたのは、ひとみの後ろで、新人3人が抱えている子を見たせいである、身動きが
出来ないように、体をロープで縛られた、一見人間の少女の様にも見えるが、悲しげにこちらを
見つめるその赤い瞳は
なつみ「・・・・その子、魔女?」