感動ってすてきやん

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38赤き涙を流す者

第4章(愛)

希美「降って来ましたね」
亜依と圭さんの部屋、この所毎日のように希美が遊びに来ていた、かたや人間、かたや魔女では
あるのだが、何となく気が合う、波長が合っているのだろう
亜依「うん、雪は嫌いじゃあ無いんだけど、寒いのはやだなあ」
まだ本降りでは無いが、ちょっと降って止むような雰囲気では無さそうな事は雲の様子でうかがい知る
事が出来た、寒さが苦手な亜依は憂鬱そうに、ただ今の状況が楽しい希美はニコニコして窓の外
を見ていると、何やら慌てた様子でみちよがやって来るのが見えた、
希美「あ、愛ちゃんのお姉さん」
亜依「うん、どうしたんだろうね・・・」
亜依は、この姉妹とは何度か会った事があるのだが、あまり喋った事は無かった、愛ちゃんというのは
目がクリッとしていて、とっても可愛いい娘なのだが、前に紹介された時も、お姉さんのみちよさんの
後ろに隠れていて、あまり目も合わせてくれなかったので、亜依は、嫌われてるのかなと思って
自分からも話かけれずにいた、それにしてもなぜだろうか、この愛ちゃんの名前を聞く度に何か
ドキッとしたり、懐かしいような気分になる、もしかしたらそんな名前の友達でもいたのだろうか
それとも、姉妹の中にいたとか、ペットだったりして
みちよ「ああ、圭さん、愛・・・見て無い?」
わずかだが、外での会話が聞こえてくる
圭「え?見て無いけど、どうかしたの?」
みちよ「いないのよ、何処捜しても・・・もしかして・・・」
圭「・・・とにかく落ち着いて、ね、」
みちよ「何か嫌な予感がするの、胸騒ぎが・・・どうしよう」
圭「・・・ちょっと待ってて、姫〜」
ん?私が呼ばれてる?慌てて圭さんの所に行ってみる、もちろん希美ちゃんもついて来た
亜依「なに?」
圭「姫ちょっと真希呼んで来てくれる?」
亜依「ん、ああ分かった」
みちよさんの顔を見て、ただ事ではないのだと分かった、顔が青ざめている、急いで真希姉様の
部屋に行こうとして振り向いた時、真希姉様がこちらにやって来るのが見えた
亜依「あ、真希姉様」
真希「どうかしたの?」
圭さんが、大体の事情を説明する、その間もみちよさんは青ざめた顔で、目には涙が溜まってきている
真希「しっかりなさい」
話を聞いて、みちよさんに歩み寄ると肩に手を添えて優しく声をかける
真希「ちょっと待ってね」
そう言うと、静かに真希姉様は目を閉じた、これも真希姉様にしか出来ない事らしいのだが、この森
の中なら何処にいたって、真希姉様には分かるらしい、暫く目を閉じていたがやがて目を開けて
みちよさんの方を見る
真希「いつから居ないの?」
真希姉様の顔が真剣な表情に変わっていた
みちよ「今日の朝からです・・・」
祈るような目で真希姉様の顔を見ていたみちよさんが言う
真希「・・・森の中には・・・いないわね・・・」
さっきまで小降りだった雪がいよいよ本気をだして?降り出してきていた