新・一緒に暮らすならどの娘?part3(何でも有り)
「決まり事?」
「服装は自由でいいけど、髪は黒以外じゃないとダメだって、中澤さんが……」
とそこまで言いかけると、梨華は髪を染めるまでの経緯を簡単に説明してくれた。
オレが梨華を事務所まで送っていった後、梨華は緊張しながらも圭ちゃん
や紗耶香の前で自己紹介を済ませた。そしてさあこれから仕事だと思って
いると、突然裕子さんに、事務所の決まりだから髪を染めてくるようにと
言われ、紗耶香の案内でヘアサロンに連れて行かれたそうだ。
「そういえばあそこの人間ってみんな髪染めてたよな。料金は中澤さんが
出してくれたの?」
「はい。次回からは自己負担なんですけどね……でも、そこのヘアサロンの
店長さんと中澤さんが知り合いらしくて、次行ったときからは半額でやって
もらえるらしいです。一緒に来てくれた市井さんは染め直してましたよ」
「また紗耶香は髪の色変えたのか?」
「今はうすくピンクが入ったオレンジ色になってます。格好いいですよ」
「へぇ相変わらずだな。そういえばあいつ、水色にしたこともあるんだよ」
昔、裕子に呼び出されて飲んだときのことを思い出した。確かその時、
紗耶香は次の日パンクのコンサートに行くと言って張り切っていたのだった。
「あの……私の髪についてはどう思いますか?」
ふと気がつくと、隣で梨華は再び指に髪を絡ませ、つまらなそうにしている。
オレはあわてて取り繕うように梨華の頭を撫でた。
「さっきはいきなりだったから驚いたけど、いいんじゃないかな。
よく似合ってると思うよ」
「本当ですか? 今までこういう事したことなかったんで、ちょっと不安だったんです」
と言ってオレの袖を掴むと、梨華は嬉しそうに笑った。