マガジンの漫画

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42儚い雪

パーティーの日、あたしはずっとよっすぃ〜とやぐっつぁんが来るのを待っていた。
でも、約束の時間を過ぎても、誰も来る気配はない。
それがなにを意味していることなのか、あたしにはなんとなく想像がつく。
でも、あたしは待っていた。
よっすぃ〜が「冗談だよ」って、笑って言いに来るのを――

――ガチャ

ドアが開く音がした。
あたしは、ドアまで走る。
そこにはやぐっつぁんだけが、赤い目をして玄関に立っていた。
「……ごめんね、あたしだけ来ちゃって」
あたしは、首を振る。
やぐっつぁんが悪いワケじゃない。

「………よっすぃ〜…死んじゃったの?」
「……うん」

短いやり取り

――全部、冗談ならよかったのに

43儚い雪:02/03/16 20:40 ID:TkGfXcUC

「それで、これ、よっすぃーがごっつぁんにって」

やぐっつぁんが、あたしにシンプルな便せんに入った手紙を渡す。
そこには、たった一言だけ『LOVE、ごっちん』とかいてあった。
差出名は、薄幸の美少女。
「…よっすぃ〜らしいね」
あたしは、呟く。

「それじゃ、あたしは帰るよ」
「…うん、ありがと、やぐっつぁん」

やぐっつぁんが、あたしに背を向ける。
きっと彼女も1人になりたいのだろう。

「ねぇ、やぐっつぁん」
「ん?」
「…よっすぃ〜……あたしのこと、好きだったのかな?」
「…………当たり前じゃん」

やぐっつぁんは、あたしに背を向けたまま怒ったように
ぶっきらぼうにそう答えると、頭の上で手を振って家を出ていった。
44儚い雪:02/03/16 20:42 ID:TkGfXcUC


あたしは、1人でいるには広すぎる部屋の窓から外を見ていた。
よっすぃ〜と一緒に見た光景。

ねぇ、よっすぃ〜
もし、あたしが…よっすぃ〜にこんな日が来ると分かっていても、
よっすぃ〜のこと苦しめるって分かっていても……
それでも好きだってそう伝えたら、あなたは嬉しかったのかな?

「……よっすぃ〜……」

だったら、ちゃんと言ってあげればよかったね。
よっすぃ〜にだけしか言えなかったこと…

「よっすぃ……よっすぃ〜」

溢れ出てくる涙はあたしの気持ち。
行き場のない、あたしの、気持ち――


――ごっちん、愛してるぞーっ!!

「あたしも……よっすぃ〜のこと愛してた…………」


45儚い雪:02/03/16 20:43 ID:TkGfXcUC


  空からは、静かに彼女が望んだ雪が降ってきていた。

                              Fine