マガジンの漫画

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39儚い雪

クリスマス・イブはもう3日後にせまってきている。
でも、あたしたちは相変わらずあの家にいた。

「…ねぇ、よっすぃ〜」
「ん〜?」
「前から一度聞きたかったんだけど…」
「なになに?」
よっすぃ〜は、身を乗り出してくる。
「いっつもあたしと一緒にいて楽しい?」
限りのある生を、去年知り合ってからずっとよっすぃ〜はあたしと過ごしていた。
だから、ちょっと気になっていたんだ。
ほんとは、もっと楽しいことがあるんじゃないのかなって……
「楽しいよ。最高にね〜」
「…そう、よかった」
「明日は……雪が降るといいね」
よっすぃ〜が立ち上がりながら言う。
「そうだね〜って、もう帰っちゃうの?」
「……ちょっと用事があってさ」
「…そっか」
寒いから、具合が悪くなったのかもしれない。心なしか顔色が優れない。
だったら、無理して今日は一緒にいなくてもいい
――だって、楽しいって言ってくれたし、明日だってパーティーで会えるんだしね。
頭の中では、そう思ってはいたんだけど……

体は、違ったみたいだ。

40儚い雪:02/03/15 22:42 ID:mk/mtCN7

「よっすぃ〜っ!!」

あたしは、よっすぃ〜の名前を呼んでいた。
「…ごっちん?」
振り返るよっすぃ〜の体に抱き付いた。
「……どうしたの?」
よっすぃ〜が少し困ったように笑う。
「…別に〜ちょっと寒かった、から……」
「なにそれ」
よっすぃ〜は、そう言いながらあたしをしっかりと抱き締めてくれる。
今までこんなに触れあったことはなかった。

温かい――よっすぃ〜の温もり。
トクントクンと脈打つ鼓動が聞こえる。

「……私に惚れるとケガするよ」
「…はいはい」
胸がつぶれそうな思いでよっすぃ〜の冗談に答えた。


そして、それが彼女からの最後の冗談になった――