マガジンの漫画

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33儚い雪

「あのね〜、今年もパーティーするのかなって」
「あー、そだね。どうせならここでしちゃう?」
「「え!?」」
あたしとよっすぃ〜は、キレイにはもる。
「電気通して、ライトバンバンつけまくって――」
「…非現実的ですよ、そんなお金ないくせに」
よっすぃ〜が、突っ込む。
「いやいや、この矢口、ふたりの愛の巣のために労力は惜しみません」
やぐっつぁんは、目を細めてチッチッと指をふってみせる。
「あはっ」
「じゃぁ、水道とかガスも通してちゃんと住めるようにしてくださいよ
――そしたら、そこでずっと……」
そこまで言ってよっすぃ〜は「…あたしも、非現実的だ」と頭をかいた。
「ほ、ほんとだよ〜矢口にそんなお金あるわけないじゃん」
「2人とも妄想しすぎだよ〜」
「ま、でも、ほんとにここでパーティーしよーぜ、3人で」
「うん、そ〜しよ〜」
34儚い雪:02/03/12 21:59 ID:2CDncnlO

あたしもやぐっつぁんもそう言ってこの話は終わったけど、
ほんとはあたしたちは分かってたんだ。

よっすぃ〜が、言いかけた言葉の続きを……


『――そしたら、そこでずっと…ずっと一緒に暮らすんだ……』


叶わない願い。
叶えてあげられない願い。
それを言ってしまえばみんなが傷つく願い。
だから、あたしたちはワザと明るく振る舞ってその場をやり過ごした。