「辻と後藤」復活希望スレ

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736名無し娘。

小説 「あいぼん1945─青い髪飾り─」


@ノハ@
(〃´д`)  オニイチャン……。
(   .. )
(_)_)

737名無し娘。:02/06/21 11:23 ID:FlQTZrNt

「あいぼん、海をみにいこう」
久しぶりにおにいちゃんはそう言った。
ウチはうんと返事すると、
歩いて10分ほどにある神戸の海に行くために、家を出た。
何年ぶりやろう。そう思うぐらい久しぶりのことやった。

早くに結核でおとうさんをなくしたウチらは、
神戸の大きな製鉄所に職を見つけたおかあちゃんについて、
奈良から神戸へと引っ越してきた。
そしていつも神戸の港に近い、海の見える場所で
おかあちゃんの帰りを待ちながら、おにいちゃんと二人で遊んでいた。

ウチは尋常小学校を出た後、近くの町工場で働いて家計を助けていた。
そして、学年で一番優秀だったおにいちゃんは、先生の勧めもあって、
一中から、医専へと進んだ。

おかあさんとウチは、おにいちゃんの学費のために一生懸命働いた。
学校に行かれへんかったし、仕事もしんどかったけど、辛くはなかった。
おにいちゃんのためやから。おにいちゃんがお医者さんになるためやから。
それぐらい、おにいちゃんはウチの自慢やった。
738名無し娘。:02/06/21 11:24 ID:FlQTZrNt

ウチらは、小さい頃よくとおった道を歩いた。
夏の神戸はとても暑いけど、海からの風が
潮の匂いを運んできて、それが心地よかった。
六甲の山からはジージーとセミの声が聞こえてきてた。
なにも昔と変わらへんかった。
違うのは、おにいちゃんとウチの背が大きくなったことぐらい。
そして、照りつける太陽はとてもまぶしくて、
ウチはおにいちゃんの顔を見上げることがでけへんかった。

いつもの場所につくと、ウチとおにいちゃんは、
神戸の青い海を一緒に眺めてた。

おかあちゃんがなかなか帰ってこなくて泣き出してしまった日。
そういえば、おにいちゃんはこの場所で、小さいウチを抱っこして、ずっと慰めてくれた。
そのときの出来事が、ついこの間のこと様に目の前に浮かんできた。
そんな昔の話をたくさんした。

「あした行ってしまうねんな」
ウチは神戸の港に浮かんでいる、巡洋艦をみながらそう呟いた。

おにいちゃんは小さく頷いた。
739名無し娘。:02/06/21 11:32 ID:FlQTZrNt

「南の島にいくねんてなあ。南洋のおみやげいっぱい買ってきてな。
ウチ、貝殻の髪飾りがええわ」
ウチはあえて明るくそう言った。

おにいちゃんはウチのほうをみると笑って、
「何色がええんや?」
と、たずねた。

ウチは、海を見ながら
「神戸の海と同じ、青色がええ。約束やで」
と、答えた。

おにいちゃんは分かったといって、海を見つめていた。

夏の神戸の海はあの頃と変わらずに、きらきらと光っていた。
740名無し娘。:02/06/21 11:33 ID:FlQTZrNt

そんなおにいちゃんが医者になったのはつい数ヶ月前のことやった。
おかあちゃんとウチは立派になったおにいちゃんの姿をみて、
とてもよろこんだ。もうおかあちゃんも働かんですむ。
ウチももしかしたら学校へいけるかもしれん。そう思っとった。
せやけど、そのよろこびは一枚の赤い紙のせいで一瞬にして消え去った。

軍医として南洋へ出兵せよ──

そんな知らせやった。
おにいちゃんは顔色一つ変えずその紙をみていた。
そしておかあちゃんは、お国のために頑張ってきなさいとおにいちゃんに言った。
ウチはなにも言えずにただ、おにいちゃんの姿をみつめていた。
741名無し娘。:02/06/21 11:34 ID:FlQTZrNt

しばらくすると、近所の人がお祝いに駆けつけてくれた。
この地区いちばんの秀才だったおにいちゃんの出兵をみなよろこんでいた。

そして夜は大宴会やった。
お兄ちゃんは笑顔で、ありがとうございます、
お国の為に頑張ってまいりますといって、
大好きなお酒をのんでいた。

ウチは海を見つめるおにいちゃんの横顔を見ながら、
そんなついこの間の出来事を思い出しとった。

青い空には、白いカモメがいつものように、ゆっくりと飛んでいた。

742名無し娘。:02/06/21 11:35 ID:FlQTZrNt

二人で海を見た日、それはおにいちゃんの出兵の前日やった。
おかあちゃんは、夜、近所の人が持ってきてくれた明石の鯛を焼いてくれた。
鯛は一匹しかなくて、お兄ちゃんのお膳にだけそれが乗っていた。

ウチがうらやましそうに眺めていると、おにいちゃんが半分いるかと聞いてくれた。
ウチはええの?と言っておにいちゃんのお膳に手を伸ばした。
おかあちゃんははしたないとおこってたが、おにいちゃんはいいからといって、
具のないお味噌汁と芋粥しかないウチのお膳に、鯛をほぐして入れてくれた。
初めて食べる鯛の味にウチはおどろいとった。
ウチ初めてや。これって、おいしいんかな。おにいちゃんに食べたことあるん?、
てきいたら、おにいちゃんも初めてや。あんまりよう分からんなと言った。

それがなぜかおかしくて、二人でクスクスとわらった。

743名無し娘。:02/06/21 11:46 ID:LdAhfgVI

その日の夜は蒸し暑かった。
涼しげな風鈴の音が「ちりん」となっても、
ウチはどうしても眠れへんかった。
ふと、起きて隣の部屋を除いてみた。
おにいちゃんはウチとおかあちゃんの写真を見つめていた。
その表情はとても寂しげやった。しばらくすると、
おにいちゃんはその写真を大事に包んで、かばんの中へいれた。
そして、いつもの表情にもどった。

ウチはますます眠れんようになって、夜風を浴びようと、廊下へ出た。
その途中、おかあちゃんの部屋から明かりが漏れているのに気づいた。
ウチは部屋をのぞくと、おかあちゃんが一人仏壇に手をあわせ、
しんだおとうちゃんにお祈りしてるのが見えた。

おかあちゃん、ウチだけがさみしいとちゃうねんな。

ウチはふすまを開けると、おかあちゃんの横に座り、一緒に手を合わせた。
おかあちゃんはなんにもいわんかった。
744名無し娘。:02/06/21 11:47 ID:LdAhfgVI

ウチはそのまま自分の部屋へと戻った。
もう一度隣の部屋をのぞくと、お兄ちゃんは荷物をまとめ終わり、
ちょうど寝るところやった。
ウチは思わずふすまを開けた。なぜか分からんかった。

おにいちゃんはすこし驚いた顔をして、ウチのほうをみた。
それは写真を見ていたときと同じ表情やった。
それをみて、ウチの胸がドクンと大きく鳴った。

おにいちゃんがいなくなってしまう──

その想いが、ウチの頭の中をグルグルと回っていた。
ウチはこのまま一人で寝るのが怖かった。

ウチは、小さい頃よくそうしたように、おにいちゃんのふとんの横へ、ちょこんと座った。そんなことをしたのは、お兄ちゃんが中学校へ入ったとき以来やった。
お兄ちゃんは何も言わず、ウチを布団の中へ入れてくれた。

ウチはおにいちゃんの横にもぐりこんだ。
その日のお兄ちゃんの布団は、死んだおとうちゃんと同じ匂いがした。

それを嗅いだせいか、おにいちゃんとの思い出が
ウチの頭のなかでよみがえっていた。
745名無し娘。:02/06/21 11:48 ID:LdAhfgVI


「あのな、ウチな」
ウチは思わず口を開いた。
するとお兄ちゃんはこちらに顔を向けてくれた。
その表情は優しくて、ウチを包んでくれるようやった。

「毎日、手紙書くわ」
実は、そんなこと言いたいんとちゃうかった。
せやけど、おにいちゃんは
「おにいちゃんも書くよ」
と、いって笑ってくれた。
その笑顔がまた優しくてウチは泣きそうになった。

ウチはしばらくなにも言えへんかった。

「あいぼん、がんばってな。おにいちゃんもがんばるさかい」
お兄ちゃんは固まっているウチにそう言って、頭を撫でてくれた。
その感触がまた優しかった。
746名無し娘。:02/06/21 11:49 ID:LdAhfgVI

ウチはお兄ちゃんの匂いを嗅ぎながら、
あと、何回おにいちゃんと呼べるのだろう。
そんなことを考えていた。

「あのな、おにいちゃん」

そんなの嫌やった。
何回でもおにいちゃんって呼びたかった。
ウチは寂しくて、思わず言わないつもりやった台詞を言ってしまった。

「帰ってきてな、絶対帰ってきてな。約束やで」

戦地へいくおにいちゃんに、そんな約束ができる分けないのは分かっとった。

おにいちゃんはわかったといって笑ってくれた。
せやけどその笑顔は少し寂しげやった。

その笑顔の意味がウチには分かった。
747名無し娘。:02/06/21 11:54 ID:LdAhfgVI

おにいちゃんがいなくなってしまう。
もう会われへんかもしれん。
そう思うと、ウチの心のなかで蓋をしていた気持ちが
あふれてきた。

「あのな、おにいちゃん……」

せやけど、それ以上の言葉をいえなかった。
ウチは泣いとった。なぜだか涙がとまらんかった。
おにいちゃんは何も言わず、優しくウチを抱きしめてくれた。
その感触が優しくて、また涙があふれてきた。

そのまま、ウチはお兄ちゃんの腕の中で眠ってしもうた。
748名無し娘。:02/06/21 11:58 ID:LdAhfgVI
今日の更新は以上です。改行ミス申し訳。
749名無し募集中。。。 :02/06/21 13:13 ID:pISZyN2T
うう、俺、もう泣いてしまってる・・・
このスレ、お気に入りに入れといてよかった。
750名無し募集中。。。:02/06/21 14:37 ID:NJcVMTNC
切ないです。
レス数チェックしといてよかった。
751名無し募集中。。。:02/06/22 00:52 ID:drwTnZ1z
漏れ、名無し娘。さんについていきたい…
752名無し娘。:02/06/22 08:26 ID:G09pJYzj

>>749
まだ半分も終わってないんです……。
お気に入りに入れていただいて感謝してます。
>>750
有難うございます。覗いていただいて嬉しいです。
>>751
名無し娘。はあくまで「名無し」です(w。
そして、期待は禁物です。

見てくれた人がいてとても嬉しかったり。
感謝です。
753名無し娘。:02/06/22 08:27 ID:G09pJYzj

おにいちゃんの出兵の日、おかあちゃんとウチは神戸港へ見送りに行った。
近所の人たちも総出でおにいちゃんの晴れ姿をみにきとった。
出航目前のおおきな巡洋艦は煙を上げていて、
デッキには沢山の軍人さんがおって、荷物が一杯つみこまれとった。

おにいちゃんはおかあちゃんにいままでありがとうと言うと、
ウチの頭をクシャクシャとなでてくれた。
そして、行ってくると言って、巡洋艦に乗り込んだ。

大きく一回、汽笛がなった。

みんなは万歳三唱をしてた。
ウチはそれをする気になられへんかった。
おかあちゃんがそれにきづいて、ウチをつついた。
おにいちゃんの晴れ姿や、ちゃんと見送ってあげんとと言われた。
それでウチもしかたなく万歳をした。

お兄ちゃんはそれを見て、笑顔で手を振ってくれた。

(絶対帰ってきてな)

ウチは心の中でそう叫んだ。
754名無し娘。:02/06/22 08:31 ID:G09pJYzj

おにいちゃんが行ってしまってから、ウチの家は火が消えたように静かになった。
おかあちゃんは、おにいちゃんのことをなにもいわんかった。
ウチも家ではその話をせえへんかった。ただ、黙々と働いた。

一ヶ月に一度ぐらい、おにいちゃんから手紙がきた。
手紙の内容は日々の生活のことと、ウチやおかあちゃんを心配していることぐらいやった。
せやけど、それだけでもウチは嬉しかった。おにいちゃんは生きとる。
お国の為にがんばっとる。だから、ウチは一生懸命返事を書いた。
みんなたのしく、元気にやっていると、そう書いた。

手紙が来る間隔はだんだんと長くなっていったが、
ウチはおにいちゃんの帰りを信じて、家からも見える神戸の海を見つめていた。

755名無し娘。:02/06/22 08:34 ID:G09pJYzj

冬になると、ウチは働いている町工場で、ののという女の子と知り合いになった。
東京に住んどったらしいが、大空襲で母親と姉は死んでしもうたとのことやった。
そして、父親はすでに戦死しとるとのことやった。
それで神戸に居る親戚を頼ってここに来たという話やった。

せやけど、ののにもおにいちゃんがいて、
ウチのおにいちゃんとおなじで南洋の戦地へ行っとるという話しやった。
そう、ののの生きている唯一の肉親がそのおにいちゃんやった。

年頃の女の子二人が集まれば、恋の話やら、お洒落の話をするはずやったが、
この時代に若い男の子はみんな戦争に行ってしまって、ウチらは恋なんて
できるはずもなかったし、もんぺ姿では、お洒落どうこうの話もでけへんかった。
せやから、いつのまにか、ウチらの話すことと言えばおにいちゃんの自慢話ばかりやった。

「ウチのおにいちゃんは軍医やねん」
「のののおにいちゃんは指揮官なのれす。あいぼんのおにいちゃんよりえらいのれす」
「そんなこと言ったって、怪我したらウチのおにいちゃんにみてもらわないかんやん」
「のののおにいちゃんは鉄砲の玉にはあたらないのれす」

たわいもない話。でもお互いに自分のおにいちゃんのほうが優秀やと信じていた。
そして、必ず帰ってくると信じていた。たくさんのお土産と、優しさを持って。
756名無し娘。:02/06/22 08:38 ID:C8hCTWu7

年が明けると、戦況は大本営の発表と異なり、悪化の一途をたどっていた。
配給のお米も遅配がつづいて、女の稼ぎでは日々の生活がやっとやった。
そしていつしか、神戸の上空にも米軍機がやってくるようになった。

ウチはその日、久しぶりに神戸の港にきていた。
ののは、神戸の海が見たいといって、一緒についてきていた。
遠くにみえる戦艦は出航準備の最中やった。

ウチは青い海を見て、おにいちゃんと海を見たときのことを思い出しとった。

「ウチな、ここで、おにいちゃんに髪飾りをおねだりしてん」
「ほんとれすか?ちょっとうらやましいのれす」
「ののも、おにいちゃんに手紙でおねだりしたら?」
「あ、その手があったれすね。よし、さっそく書くのれす」

そのときやった。いままで見たこともないぐらい
大きくて長い飛行機が遠くに見えた。
プロペラが四つもついとった。
それをみて、ののは震えだした。

「同じれす。あの時と同じ飛行機れす」
ののはそう呟いた。
「B29や……」
そばをとおりかかったおばちゃんが呟いた。
「もしかしたら、神戸も空襲になるかもしらんな」
そうおばちゃんは呟いた。

「あいぼん、怖いれす……」
ののは思い出しとった。そして小さく震えとった。
「神戸は大丈夫やろ」
ウチはののを安心させるため、そう答えた。
757名無し娘。:02/06/22 08:40 ID:C8hCTWu7

暫くして、案の定神戸の街は空襲で火の海となった。
ウチとおかあちゃんは難を逃れたが、港のそばのウチの家は燃え、
なけなしの家財道具も失った。
ののの親戚の家は高台にあって、大丈夫やったみたいやった。

町工場も燃え、ウチとののは仕事を失った。
ののは仕事がなくなったことよりも、ウチの家が燃えてしまったことを
心配してくれた。
ウチは、大丈夫、なんとかなるねんと強がった。
弱音を吐きたくなかった。
日本が勝てば、そしておにいちゃんが帰ってくればなんとかなる。
そう思っとった。

しばらくして、近所の人と協力して建ててもらったバラック小屋に
ウチとおかあちゃんはすむようになった。
家と呼ぶにはかなり粗末なものやったが、それはそれでウチは満足やった。

そんなころ、久しぶりにお兄ちゃんの手紙が来た。
青い貝殻の髪飾りを買ったこと、そして作戦が終わったら日本に戻ると書いてあった。
ウチは嬉しくて嬉しくて、何度も何度も読み返した。
そして、返事を書いた。楽しく、元気でやっていると。なにも変わってないと書いた。
ウチは、空襲で家がなくなってしまったことは書かへんかった。

そして、ウチは、ののに自慢しに行った。空襲でやけたことを心配していたののに、
少しでも元気なところを見せたかった。

「ほれ、ウチのおにいちゃん、髪飾り買うてくれたんやで」
そう言ってののに手紙を見せた。
ののはうらやましそうにそれをみとった。

「ののはどないなん?」
「おにいちゃんに、赤い髪飾りを買ってくるように手紙を書いたんれすけどね」
そう言って寂しげに笑った。その表情がとても切なくて、
ウチはなんと言ったらいいか分からんかった。

「のののおにいちゃんは指揮官やから忙しいねんて」
「そうれすね。ひまな軍医さんとはちがうのれす。いちいち返事なんて書けないのれす」
ののはすこし意地悪っぽくそう言った。
ウチはいつもなら反論するところやったが、
ののの寂しげな表情をみたら、そうやな、としか答えられへんかった。

結局、しばらくしても、のののおにいちゃんからの返事は来うへんかった。
そして、ウチのおにいちゃんからの手紙もそれっきり届くことはなかった。
758名無し娘。:02/06/22 08:43 ID:C8hCTWu7

夏がまたやってきた。蒸し暑い日々が続いていた。
セミの声がまた聞こえ始め、潮の匂いが心地よく感じるようになっていた。

そんなある日、のののおにいちゃんも戦死したとの知らせがきた。
ウチは慌てて、おかあちゃんとお通夜のため、ののの家へと行った。

親戚のおっちゃん、おばちゃんに囲まれて、若くして喪主となったののは、
決して泣かず、笑顔を作っていた。
そう、戦死することは名誉なことやった。
唯一の肉親を無くして、独りぼっちになってしまったのに。

ウチは、そんな姿のののを見とったら、
お通夜が終わるまでその場を離れることがでけへんようになった。
すると、ののはおかあちゃんと二人で居るウチをみて、こちらにやってきた。
おにいちゃんの遺骨のはいった箱を持って。

「あいぼん、そしておかあさん。きてくれてありがとうなのれす」
ののはそう言うとお辞儀をした。

「これがのののおにいちゃん……」
ウチはその箱をみて呟いた。
のののおにいちゃんは、ののの小さな手で持てるほどの大きさやった。

「中をみますか?」
ののはそう言ってその箱を開いた。
そして、その中をのぞいてウチは驚いた。

中には南洋の砂が入っとった。
それはとてもきれいやった。
ウチは何にも言えんかった。

ののは驚いているウチの顔をみると、
「おにいちゃんは軍神になったのれす。神様に骨はないんれすね」
と言って、悲しげに笑った。
ウチはそうやな、としか言えんかった。

帰り道おかあちゃんにウチは尋ねた。
おにいちゃんがもし戦死したらどうするのと。
おかあちゃんは、お国の為に立派に闘ったんだから誉めてあげると言った。
その言葉が本心からかどうか分からなくて、すこしもどかしかった。
759名無し娘。:02/06/22 08:45 ID:C8hCTWu7

数日後、ウチはあの場所へ海を見に行った。青い海をみれば
憂鬱な気分もすこしは晴れると思っていた。

しかしその場所には先客がいた。
それはののやった。

ののは防波堤の隅でしゃがみこんでいた。そして、大事に抱えている
おにいちゃんの遺骨が入った箱──それは砂しか入ってないのだが、
を開き、中の砂を少しだけとりだして、神戸の海に撒いていた。

「おにいちゃん、日本の海れすよ」
そういいながら少しずつ少しずつ掬っては海に撒いとった。
「南の島は暑かったれすよね。日本も暑いんれすが、ちょっとはましれすか?」
そう言ったあと、ののの動きがぴたりととまった。

よく見ると、ののは、
「おにいちゃん……、おにいちゃん……」
と小さな声で呟きながら、泣いていた。
ウチはそんなののの姿を遠くから眺めていた。
760名無し娘。:02/06/22 08:49 ID:C8hCTWu7

しばらくすると、ののはウチに気づいた。
そして、さっと涙を拭くと、てへてへと笑った。
ウチはのののそばへ駆け寄った。

「みたれすか?」
「ん?何を?」
「いやなんでもないのれす」
ウチはあえて見なかったふりをした。
せやけど、ののはほんまは気づいとったかもしれん。

「のの、何かあったら言ってな」
ウチはそう言った。ほんまの気持ちやった。

とうとう独りぼっちになってしまったのの。
ウチは友達として、そしてともにおにいちゃんを戦争で
連れて行かれた者同士として、何か手助けをしたかった。

「あいぼん、ののは大丈夫れす。おにいちゃんは軍神になって、
ずっと、のののことを見つめていてくれてるんれす。
それに靖国に行けばいつでもあえるのれす」
ののはそう言った。
せやけど、青い空を見上げたののの瞳からは、
涙が溢れそうになっていた。
ウチはののの気丈さに何もいえなかった。

ウチのおにいちゃんもいつかああなってしまうんやろか。
そのときは、ののみたいにちゃんと気丈に振舞えるやろか。
ふとそんなことを考えている自分に気づく。

あかん、何考えてんねん。
おにいちゃんは帰ってくるんや。
そう思って、ウチは心にグッと力を入れた。

せやけど、おにいちゃんからの連絡はないままやった。
761名無し娘。:02/06/22 08:51 ID:C8hCTWu7

そして、あの8月15日がやってきた。

ウチとおかあちゃんは、
大切な放送があると聞いて、
ラジオを持っとるお金持ちの家にみんなで行った。
そして、あの放送を聞いた。
みんなうなだれとった。日本全体が悲しみ一色やった。

せやけど、ウチは少し嬉しかった。
戦争が終わった。
もし、おにいちゃんが生きとったら、もう死なんですむ。
そう思っとった。

戦争が終わって、おかあちゃんは仕事のなくなった製鉄所を辞めることとなった。
ウチも町工場が空襲でやけて以来、仕事がなくなっとった。
ウチと、おかあちゃんは家で細々と内職をしながら暮らしていた。
そして神戸の街にも進駐軍がやってきた。
762名無し娘。:02/06/22 08:54 ID:C8hCTWu7

ウチとののはそれを見に、神戸の街へと出た。
空襲で焼けたと思っていた、神戸の繁華街は思ったほど被害はなく、
旧居留地の洋館も、異人館も残っとった。

「ここには外人がいっぱいすんでたのれすから、残ったそうれすよ」
ののはそれをみて、そう呟いた。

何台かのジープが目の前をとおっていった。
沢山の子供たちがそれを追いかけていた。
そして目の前で、一台のジープが止まった。
アメリカ兵が車から降りて、ウチらを見下ろしていた。

白い肌。金色の髪。
そして大きな体、太い腕。
ウチの倍以上あるかとおもうほどの巨大な人間たち。
ののとウチは彼らを見上げながら、その威圧感に震えていた。

ウチらとの体格の違い。そして見たこともないような車。
金色に輝く時計。きれいな軍服。そしてサングラス。

おにいちゃんたちは、こんな人らと闘っとったんや。
全てが違った。勝てるわけない、そう思った。

アメリカ兵たちが訳のわからへん言葉をしゃべると、
子供たちがその周りに集まってきた。
そして彼らは車から、見たこともないきれいな色をしたものをウチらの方へ投げた。
子供たちはいっせいにそれを拾う。ウチもののもようわからんまま、慌ててそれを拾った。
763名無し娘。:02/06/22 08:56 ID:C8hCTWu7

「なんやろ、これ」
と、ウチは沢山ひろったその包みを見つめていた。
「お菓子れすよ、アメリカの」
ののはそう言った。

ウチは包みを開けてみた。それはチョコレートというもんやった。
いままで嗅いだことのない甘い匂いがした。
おなかの減っていたウチは、なにも考えんと、
おもわず、それを口に運ぼうとしたときやった。
ウチはふと周りをみた。

子供たちはむさぼるようにそれを拾い、それを食べていた。
それをいかにも優越感に浸るように、眺めているアメリカ兵。

ウチは悔しかった。
彼らはまるで侮蔑するような微笑を浮かべているように見えた。
おにいちゃんはこんな人らと戦ってたんや。
敵やったんや。絶対許さへん。そう思ってた。
気がつけば、ウチはそのきれいな包みに入ったチョコレートを握り締めていた。

「のの、食べたらあかん!」
ウチは包みを開けていたののにそう叫んだ。
「なんれれすか?」
「のののおにいちゃんを殺した人たちや。日本人も沢山殺されたんや。
そんな連中の慈悲なんてもろうたら、おにいちゃんが浮かばれへん!」
ウチはそう言った。

ののは、じっとチョコレートを見つめていた。
せやけど、戦後の食料難でろくにご飯も食べれていないウチらにとって、
それは酷なことやった。

「そうれすね……」
しばらくしたあと、ののはそういって包みを閉じた。
せやけど、ウチもののも、チョコレートを捨てることはでけへんかった。
764名無し娘。:02/06/22 08:58 ID:C8hCTWu7

帰り道、ウチらは黙って歩いていた。
おなかは減っていたが、今日も食べるものがないことは分かっていた。
空腹が、胃のあたりをチクチクと刺激しとった。

ののは手にもったチョコレートの匂いを嗅いでいた。
「甘い匂いれす……」
そうあきらめきれないように呟いた。
ウチはもう何も言わんかった。

「ちょっとだけならいいれすよね……」
ののはそう言ってチョコレートを一口囓った。

「こんなおいしいお菓子は初めてれす……」
ののは驚いた表情をしてチョコレートを見つめた。
そして、一気にチョコレートを食べてしもうた。

ふと見ると、ののは泣いていた。
なんでか分からんからんかった。
「どないしたん?」
ウチは尋ねた。
「食べたら分かるれす」
ののはそう答えた。

ウチはその言葉で、一口だけ囓ることに決めた。
包みを開けると、その甘い匂いが鼻をくすぐった。
すこしやわらかくなったチョコレート。
それにゆっくりと歯を立てた。

その瞬間、いままで味わったことのないような甘さが広がった。

おいしい──

空腹に耐えていた胃を、それは激しく刺激した。
もう、とめられなかった。
ウチはむさぼるようにそれを食べていた。

おにいちゃんたちと闘っていたアメリカ兵。
ウチらに苦しい思いをさせていたアメリカ兵。
そう思っとったのは、鬼畜米英と教育されていたからかもしれんかった。
せやけど、そんな彼らは戦争の間でも、毎日こんなものを食べとったんや。
ウチらはお粥もろくに食べれへんかったのに。
そして、空腹に絶えられず、それを食べてしまう自分の姿が悔しかった。
おにいちゃんたちはご飯も食べんと、アメリカ兵と闘っとったのに。
気がつけば、ウチも泣いていた。

おにいちゃんたち、そして闘って国の為に散っていった人たちへの申し訳なさと、
自分たちの貧しさと惨めさが涙となって溢れて来るのが分かった。
ののの涙の意味が分かった。
ののとウチは、泣きながらチョコレートを食べた。
765名無し娘。:02/06/22 09:02 ID:C8hCTWu7
今日の更新は以上です。
明日は更新できません。申し訳ないです。
766名無し募集中。。。 :02/06/22 09:16 ID:qSmvFRXN
まだ、半分も終わってなかったのか・・・
でも俺、涙が止まんないよ・・・
767なちまりぶりんこ ◆VeYYGuDo :02/06/23 12:32 ID:+TrAbeiD
てす
768名無し娘。:02/06/23 13:09 ID:5RSau/IP

暫くの時間がたった。ウチらは平和のありがたみを実感しとった。
もう、空襲に怯える夜は来ない。
あんなに憎んでいた、アメリカ兵も
最近はお菓子をくれる外人さん程度にしか思わなくなってきとった。

ウチは内職をしながら、時々家の窓から見える、神戸港の青い海を見つめていた。
そして、そこに船影がみえると、あの場所へと走っていった。
それは、復員船を待つためやった。

おにいちゃんは生きとる。
青い貝殻の髪飾りをもって、帰ってきてくれる。
そう信じとった。
神戸の青い海。それを見つめながら、
ウチは来る日も来る日も、おにいちゃんをまっとった。

ののは、そんなウチの姿をみて、
いつかきっと帰ってくると励ましてくれたが、
いつまでたってもおにいちゃんは帰ってこんかった。
769名無し娘。:02/06/23 13:15 ID:5RSau/IP

六甲の山が色づき始めたある日、おにいちゃんと一緒に闘っていたという
おっちゃんがウチにやってきた。
そのおっちゃんには片足がなかった。
爆弾で吹き飛ばされたとのことやった。
そして、おにいちゃんに治療してもらって一命をとりとめたとのことやった。
おっちゃんは、おにいちゃんにお礼がいいたいとのことやったが、
まだ復員してないと言うと、やはりといった顔をした。

おっちゃんは、ウチの顔をみると、「あんたが、あいぼんか?」と尋ねた。
ウチが、ハイと答えると、おっちゃんはポケットをごそごそとあさり、
中から出したものをウチの手に乗せた。

ウチはそれを見て、胸が大きくドクンとなった。
すぐに、おにいちゃんの姿が目に浮かんだ。

それはいかにも南洋風な、青い貝殻の髪飾りやった。
770名無し娘。:02/06/23 13:16 ID:5RSau/IP

「おっちゃん、これ……」
ウチはおっちゃんを見上げながら尋ねた。
おっちゃんはウチの顔を悲しげな表情でみると、ゆっくりと語りだした。

おっちゃんの話によると、怪我をしたおっちゃんは、
さらに前線へと進んでいく部隊についていけなかった。
指揮官はけが人はその場に留まって、救出をまてとの命令した。
そして、部隊が前進する日、おにいちゃんが、日本に帰ったら
妹のあいぼんに渡してくれとこの髪飾りをおっちゃんに預けた。
その後、おっちゃんは後からきた違う部隊に救出され、日本に帰ってきた。
そして、おにいちゃんのいた部隊は消息を絶ったとのことやった。

おにいちゃんは覚悟を決めたんや、そして、おにいちゃんは立派やった、
と、おっちゃんはそう言ったあと、生きて帰ったひともおるから、
気を落とさんとと言ってウチの頭を撫でた。

しばらくウチは手のひらに乗ったままの、青い貝殻の髪飾りを見つめていた。

おにいちゃんは約束を一つ守ってくれたんやね。
せやけど、もう一つの約束はどないしたん?
おにいちゃん、いまどこにおるん?
ウチ、寂しいよ。帰って来うへんの?

一緒の布団で約束したときのことを思いだして、涙が溢れてきた。
771名無し娘。:02/06/23 13:17 ID:5RSau/IP

おっちゃんはウチのおかあちゃんに、「のの」という子を知らんかと尋ねていた。
ウチは涙を拭くと、その娘は友達や、とそのおっちゃんに言った。
おっちゃんは、ならこれを渡してくれんか、といって、
ウチの手のひらに赤い髪飾りを載せた。

それはウチのお兄ちゃんがこうてくれた、青い髪飾りと色違いやった。

なんで?──

ウチは訳が分かれへんかった。

おっちゃんによると、これは指揮官やった、のののおにいちゃんが、
ウチのおにいちゃんと一緒に買ったものらしかった。

──ウチのお兄ちゃんものののおにいちゃんも、一緒の部隊で闘っとったんや。

そして、のののおにいちゃんは戦死した。
部隊はほぼ全滅。ということは……、

ウチはそれ以上のことを考えることがでけへんかった。

おかあちゃんは、おにいちゃんは立派でしたかともう一度尋ねとった。
おっちゃんは、それはすばらしい人でしたと言うと、
ウチらにお礼をいって帰っていった。

ずっとウチは二つの髪飾りを見つめとった。
772名無し娘。:02/06/23 13:18 ID:5RSau/IP

ウチは、しばらくして、ののの家に行った。
ののは真剣な表情をしているウチをみて、コンコンと咳をしながら、
不思議そうな顔をした。


ウチはののの家の庭で、縁側に座ってゆっくりと口を開いた。
「のの、驚かんといてな」
ウチはののに手を出すように言うと、その手のひらに
あの、赤いほうの髪飾りを乗せた。

ののの動きが止まった。
そして、小さく震えとった。
暫くして、ぽたぽたとののの手の平に涙がたまっていくのが見えた。

「おにいちゃん……、おにいちゃん……」
ののは小さな声でそう呟きつづけた。

ウチはののが落ち着くのを待って、おっちゃんから聞いた話をした。
そして、もう一つある、青いほうの髪飾りをののにみせた。

ののは、しばらく考えた後、
「ということは、あいぼんのおにいちゃんも……」
と、呟いた。

ウチは小さく頷いた。せやけど、しばらくして首を横に振った。

信じたくなかった。
せやけど、涙がじわじわとたまっていくのが分かった。

気がつけば、悲しげにコオロギがコロコロリーと、なき出していた。
773名無し娘。:02/06/23 13:19 ID:5RSau/IP

おかあちゃんはその日を境によく寝込むようになっていた。
日々の生活の疲れと、やはりおにいちゃんの復員が絶望的やと思ったからやった。

ウチの稼ぎでは生活も苦しく、毎日がどん底やった。
せやけど、ウチはそれでも船影が見えるとあの場所へと出かけていった。

お兄ちゃんは二つの約束してくれた。
一つは青い貝殻の髪飾り。もう一つは絶対帰ってくること。
すでに、約束の一つは守ってくれた。
おにいちゃんは嘘をつくような人やない。

ウチはおにいちゃんを信じとった。
いや、信じるしか心の支えがなかったんかもしれん。

何隻もの復員船が港についた。
何度もあの場所へ走った。
沢山の人が抱き合って喜んどった。
せやけど、やっぱりウチのおにいちゃんは帰って来んかった。
774名無し娘。:02/06/23 13:20 ID:5RSau/IP

おかあちゃんの病状は悪くなる一方やった。
内職の稼ぎだけでは、病院に行くこともできず、
何の病気かも分からんかったし、お薬も買えんかった。
おかあちゃんはいつしか、昔のおにいちゃんのことばかり
話すようになっていた。そして、おにいちゃんが生きていれば、
おにいちゃんが生きていればと呟くようになっていた。

ウチはそれでも、船がみえるたび、神戸のあの場所へ行った。
気がつけば、復員船の数も減って、
いつしか普通の貨物船ばかりになっていた。
そんなときは、しばらく神戸の海を眺めていた。

実はもうあきらめとったのかもしれんかった。
おにいちゃんを待つんやなくて、
おにいちゃんとの思い出を探していたのかもしれんかった。
せやけど、ウチにとってはどちらでもよかった。
あの青い海をみればおにいちゃんを思い出す。
ただ、それだけがどん底な生活での唯一の心の支えやった。
775名無し娘。:02/06/23 13:22 ID:5RSau/IP

六甲の山頂に白い帽子が被り始めた頃、
ののが、病気やという知らせが届いた。
最近会っていないことに気づいたウチは、
あわててののの家に見舞いに言った。

薄暗い北向きの部屋で、布団の中で横たわっているののは、
青白い顔をして、そして少しやせていて、まるで別人のようやった。
ののは小さな咳をしながらウチをみた。

「あいぼん、ののは結核なんれすよ」
ののは寂しげにそう言った。
「結核……」
ウチは驚いた。
それは、死の病やった。
ウチのおとうちゃんもそれで死んだことを思い出した。

「びょ、病院はいったんか?」
「一度だけ。れも、お薬は高いんれす。ののは居候ですから、
そんな贅沢はいえないんれす」
ののはそう呟いた。
ウチはなにもいえへんかった。

「あいぼん、そんな悲しい顔しないでくらさい。ののは怖くないれす」
そう言うと、ずっと握り締めていた右手を開いてウチにみせた。

そこには、赤い貝殻の髪飾りがあった。

「もうすぐ、おにいちゃんのところにいけるんれす」
ののはそれを見つめながらそう呟いた。
その表情はほんまに嬉しそうやった。
776名無し娘。:02/06/23 13:22 ID:5RSau/IP

「あいぼん、おねがいがあるんれす」
ののはウチのほうをみると、ゆっくりそう言った。

「ののが死んだら、遺骨をもって、靖国神社に連れてってくれますか?」
ウチはののの言っている意味が分からへんかった。

不思議そうな顔をしていると、
「おにいちゃんはそこにいるんれす。そこでおにいちゃんの天国ですんでる
場所を聞かないといけないんれす」
と、ののは真面目な顔をしてそう言った。

結核がどんな病気かはよう知っていた。
そしてののの気持ちも充分伝わっとった。
せやけど、ウチは嫌やった。

ののはいままで生きてきて、なんかええことあったんか?
家族みんな、戦争で殺されて。
そして自分は苦しい生活のなかで、結核に冒されとる。

不憫やった。悔しかった。
せやけどウチはののになんもしてやれへんかった。

おにいちゃんがおったら、医者のおにいちゃんがおったら、
ののの病気を少しでも良くすることができたのに。
おにいちゃん、なんで帰って来うへんの?
そんなことを思っていたら、また涙が出て来そうになった。

ののの前で泣いたらあかん。

ウチは必死で涙をこらえながら、分かったと言った。
それを聞いてののは嬉しそうな顔をした。
777名無し娘。:02/06/23 13:25 ID:5RSau/IP
更新できないといいながら、時間ができたので更新しました。
次で終わりです。短編のつもりだったんですが、結構長い……。

>>766
すばやいレス有難うございます。次で終わりですので。
778 :02/06/24 00:52 ID:TvDkxquZ
hozen
779 :02/06/24 07:53 ID:7yBnsjk1
がんがってください。
780名無し娘。:02/06/24 14:04 ID:FIaoh95x

そんなある日、ウチがいつものように内職をしながら、
家の窓から海をみていると、遠くから船がやってきた。
暫く眺めていると、いつもの貨物船とは違う船やった。
それは久々に帰ってくる復員船やった。

「おかあちゃん、復員船やな」
ウチはそう呟いた。おかあちゃんは布団の中でああそうと
ため息をついた。それはいつものようにあきらめた口調だった。

「ちょっとみてくるわ」
ウチはそう言って、ゆっくりと立ち上がった。

久しぶりやった。雪がちらつき始めた神戸の港はどんよりと曇っていて、
六甲おろしがぴりぴりとウチの頬を刺した。

ウチは服の襟をたてながら、いつものように降りてくる人の波を見つめた。
沢山の人が船から出てくる。そのたびに歓声があがり、
何人もの人が抱き合って喜んどった。

せやけど、おにいちゃんは出てこおへんかった。
やっぱり、今回も無理なんやな、とちいさくため息をついたときやった。

ウチの視線は一人にくぎ付けとなった。
781名無し娘。:02/06/24 14:05 ID:FIaoh95x

おにいちゃん?

そこにはおにいちゃんにそっくりなひとが降りてきていた。
ウチは慌てて、ポケットの中をまさぐった。

青い貝殻の髪飾り。

そして、それをぱさぱさのウチの髪の毛につけると、
人ごみの中へと入っていった。

おにいちゃん、分かる?あいぼんやで。
ほら、おにいちゃんが買うてくれた、
青い貝殻の髪飾りしとるで。

体の小さいウチを見つけてもらうために、
少し背伸びしながら人ごみを掻き分けた。

その人はウチの髪飾りをみると、はっと嬉しそうな表情をした。
782名無し娘。:02/06/24 14:06 ID:FIaoh95x

もう、間違いなかった。
そこには、ぼろぼろになった軍服を着て、
おおきなかばんを抱えたおにいちゃんがいた。

ウチの前におにいちゃんがゆっくりとやってくる。
それはどうみても、何度も目を擦ってみても、
やっぱりおにいちゃんやった。

「おにいちゃん!」
ウチはずっと言いたかったその言葉をやっと叫ぶことができた。

おにいちゃんはにっこりと微笑むと、ウチの髪飾りを見て、
「よう、似合っとる」
と言って、ウチの頭をクシャクシャと優しく撫でた。
その感触は、あの出兵した日と全く同じやった。

「約束、守ってくれたんやね」
ウチはそう言っておにいちゃんに抱きついた。

嬉しくて嬉しくて涙がとまらんかった。
おにいちゃんはウチを優しく抱きしめてくれた。
ちょっとやせたおにいちゃんは、あのときと同じ匂いがした。
783名無し娘。:02/06/24 14:06 ID:FIaoh95x

ウチは昔、おにいちゃんといつも歩いてた道をとおった。
おにいちゃんは変わり果てた神戸の街をみて寂しそうな顔をした。
そしてウチらの住むバラック小屋についた。
おにいちゃんは驚いとった。

「空襲で全部もえてしもうてん」
ウチはおにいちゃんにそう言った。

ガラリと玄関の扉を開ける。
すぐそこには床に臥したおかあちゃんがいた。
おかあちゃんはおにいちゃんの顔をみると、
とても驚いた顔をして、一生懸命起き上がろうとした。

おにいちゃんは、ええからといっておかあちゃんの
布団のそばに座り、おかあちゃんの体をゆっくりとさすった。
そして、心配かけてすまなかったと謝った。
784名無し娘。:02/06/24 14:10 ID:8vRT9FWp

「おにいちゃん、実はおかあちゃん病気やねん」
ウチはおにいちゃんの横にぴったりと寄り添いながらそう言った。
もう離れたくなかった。

おにいちゃんはウチをみてにっこり笑うと、持っていた大きなかばんを開けた。

ウチはその中を見て驚いた。
そこには、戦地から持ちかえってきた、沢山の薬が入っとった。

「おにいちゃん、これでおかあちゃん治るん?」
と、ウチは聞いた。お兄ちゃんはゆっくりと頷いた。
おかあちゃんはそんなおにいちゃんの姿の見ながら、泣いとった。

ウチはおにいちゃんにお茶をいれた。
おにいちゃんは、温まるなあと嬉しそうな顔をした。
それを飲みながら、ウチはののの話をした。
ウチの一番の友達ということ。
しらんおっちゃんが、この青い髪飾りといっしょに、
赤い髪飾りを持ってきてくれたことを。
おにいちゃんと同じ部隊で闘ってた人の妹やということ。
そして今、ののは、結核に冒されていること。
髪飾りを握り締めながら、おにいちゃんのところへいくんだと言っていること。

おにいちゃんは少し驚いた顔をしとった。
そして、のののおにいちゃんのことを少し話してくれた。

のののおにいちゃんは、その部隊の指揮官やったこと。
そして、のののおねだりの手紙がきて、のののおにいちゃんは、
ウチのおにいちゃんが髪飾りを買ったお店で、色違いの髪飾りを買ったこと。
そして、部隊が前線に進むとき、もう日本には戻れないと思って、
そのおっちゃんに二人でそれを預けたこと。
前線に進む途中、けが人が沢山出て、その手当てをしていたおにいちゃんたちを残して、
のののおにいちゃんと、残った兵隊さんたちはさらに進んだこと。
せやけど、残念ながらアメリカ軍の攻撃をうけ、自決したこと。

ウチはおにいちゃんの話を真剣に聞いとった。
おにいちゃんはお茶をおかわりすると、少し伸びをした。
そして、明日のののところにお薬を持って一緒に行こうと言ってくれた。
ウチは、そんなおにいちゃんが大きく見えた。
785名無し娘。:02/06/24 14:10 ID:8vRT9FWp

おにいちゃんは、ちょっと横になりたいと言った。
長旅の疲れが出ているのがウチにも分かった。

ウチはおにいちゃんのために布団を引いた。
せやけど、薄っぺらい掛け布団は一枚しかなくて、
冬の神戸には寒いものやった。

ウチはおにいちゃんの寝ている布団の横に、ちょこんと座り、
「寒いやろ、ごめんな」
と、言った。
おにいちゃんは、ちょっとだけや、と答えた。
ウチはおもわず、掛け布団の端を持ち上げ、
おにいちゃんの布団の中へ入った。

どないしたんや、とおにいちゃんは不思議そうな顔をした。
「こうしたらあったかいやろ」
ウチはそう呟いた。
おにいちゃんは、そうやなと言った。

しばらく二人で布団のなかが温まるのを待った。

「あのな、おにいちゃん」
ウチはそう言った。
「髪飾り、ありがとうな」
おにいちゃんはええよ、と答えた。
おにいちゃんはやっぱり死んだおとうちゃんと同じ匂いがした。

「あのな、おにいちゃん」
ウチはまた尋ねた。おにいちゃんと呼べるのが嬉しくてたまらんかった。
「この髪飾り、神戸の海と同じ青色やな」
おにいちゃんは、そうやな、似合っとるで、と言って笑った。
なんか照れくさかった。
786名無し娘。:02/06/24 14:11 ID:8vRT9FWp

「あのな、おにいちゃん」
ウチはもう一度尋ねた。おにいちゃんと呼びたくて仕方なかった。
「この布団な、ウチのやねん。空襲で焼けてもうないねん」
おにいちゃんは、新しいの買うたる、と言って頭をクシャクシャと撫でてくれた。
「別にしばらくはええよ」
と、ウチは言った。
おにいちゃんは、遠慮なんかせんでええ、と言った。
ウチは遠慮してるつもりはなかった。
おにいちゃんと一緒にいられる時間が増えることが嬉しかった。
「寒いし、一緒に寝たらええねん」
ウチはそう言った。
おにいちゃんはそうか、と答えた。


「あのな、おにいちゃん」
ウチはまた尋ねた。気がつけば、なぜだか涙が溢れていた。
そして、ウチの体は小さく震え取った。

「もう……、どこにも行かへんやんな……」
ウチはそう呟いた。
おにいちゃんは、ああ、行かへんよ、と答えると、
ウチをそっと抱きしめてくれた。

その感触はとても優しくて、暖かくて、涙がとまらへんかった。



小説 「あいぼん1945─青い髪飾り─」 了
787名無し娘。:02/06/24 14:13 ID:8vRT9FWp

完結です。
お読みいただいた方、有難うございます。
あと、加護たんと添い寝したい奴の数スレのレス256さんに感謝です。

さらっと書いたので、下調べはしてません。
舞台が神戸なのは、奈良(加護の実家)に近い軍港って神戸?と思っただけです。
あと、史実に全く基づいてないです。申し訳ないです。
もし、感想などございましたら、書き込んでいただけたら幸いです。
788名無し募集中。。。:02/06/24 15:33 ID:K8+ltqi/
さわやかな感動でした。
やはりこの季節、日本人は戦争を忘れちゃいけませんね。
前作に続き、忘れちゃいけない物を思い出させてもらいました。

でも次はコメディキボーン、と書いてみたりして・・
789名無し募集中。。。:02/06/24 22:51 ID:4LEbXiI/
素晴らしい!!

もう名作としか言い様がない!!

もっと、あいぼんの兄妹小説を禿しくきぼんぬ!!
790あいぼん好き:02/06/25 01:23 ID:sdXA/xVV
期待あげ
791名無し募集中。。。:02/06/25 22:19 ID:HkVQUJSE
>>787
はやく次回作見たい!!

もちろん兄妹モノ頼んます!!
792おーい:02/06/26 02:09 ID:vZe2tlCZ
名無し娘。様

どうか現れて下さい

もう我慢できない!!
793名無し娘。:02/06/26 10:23 ID:O6GmCUvi

>>788
本当に有難うございました。
またアイデアが降臨したら、コメディを。でも難しいんですよね……。

>>789-792
お読みいただいて、感謝しております。
レス遅くなって申し訳ないです。一応働いてるのでそんなに来れないんです。
256さんへのお礼のレスで、あちらのスレをお騒がせして申し訳ないです。
前のは256さんのおかげで脳内に神が降臨したから短時間で書けたんです。
でも、今はなにも降臨してくれないので、脳内真っ白です。
期待しないでください。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
794名無し募集中。。。:02/06/26 23:30 ID:+9J8B5IT
>>793
ああ先生、やっと来てくれたんだね!!

http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1022438716/l50

↑のスレみたいな感じの小説を早く見たいです!!

私は読んでて胸がいっぱいになる様な兄妹愛ストーリーが見たいのです!!

先生の才能ならきっと優れた小説が書けるはず!!もっと自信を持って下さい!!

そしてまた私達を素晴らしい夢の世界へ連れてって下さい!!
795名無し募集中。。。:02/06/27 00:25 ID:3xlB66oE
名無し娘。 先生〜!!

寂しいよぉ〜!!
796.:02/06/27 01:44 ID:qsVZPPG7
先生
作品の善し悪しについては贅沢は言いません

先生の書く小説なら、あいぼんの輝きもきっと倍に増すでしょう

三度のメシより、あいぼん!!
797名無し娘。:02/06/27 13:03 ID:S7wATXSp

>>794-6
わざわざレスしていただいて申し訳ないです。
続編を少しづつ書きますので、なにとぞご容赦を。
駄文かつプロットがないまま書きますので、完結できるか分かりません。
更新頻度もかなり間があきますし、しかも一回の更新量は1、2レスです。
萌えれない、感動できないです。ただ、あいぼんがおにいちゃんと言ってるだけです。
すみません、すみません、すみません。

あと、もしレスをされるときはなにとぞ、sageでお願いいたします。
なんか、謝ってばかりですみません。

でも脳内真っ白なんです。ほんとに。
というわけで、真っ白なイメージで書いて見ます。
下のAAは全く関係ないんですが、思わず拾ってきて、台詞いれました。
ガイシュツだったらスマソ。
798名無し娘。:02/06/27 13:06 ID:S7wATXSp

小説 「あいぼん1946─白い粉ぐすり─ 続・あいぼん1945」

                     
               ……オニイチャン?
                  @ノハ@
                  (''‘ д ⊂ゝノ⌒ヽ、
               ( ̄c'入  ノノ⌒"  )
             (⌒⌒⌒⌒⌒⌒~\ノ⌒⌒)


799名無し娘。:02/06/27 13:07 ID:S7wATXSp

「あれ、綿菓子やったらええのにな」
目の前に広がる再度(ふたたび)山が真っ白に染まっているのをみて、
ウチはかじかんだ手のひらに白い息を当てながら、そう呟いた。
おにいちゃんは、ほんまやな、と答えるとウチの冷えきった手を握ってくれた。

おにいちゃんと神戸の急な上り坂を登っていく。
向かい風になる六甲おろしは相変わらず冷たくて、
いつものように、ウチの頬をピリピリと刺しとった。
せやけど、おにいちゃんが握ってくれとるウチの手と、
見上げるおにいちゃんの横顔のは、なんか暖かかった。

後ろを振り返ると、小さなウチの家はもっと小さくなっていて、
神戸の海はウチの髪飾りと同じ青色をして、真っ白な六甲の山々を見上げていた。

それは、おにいちゃんが復員した次の日やった。
ウチとおにいちゃんは、結核に冒されとるののの為に、
お薬と、そして戦死したのののおにいちゃんの思い出を持っていくために、
彼女の家につづく坂を登っとった。
800名無し娘。:02/06/27 13:13 ID:S7wATXSp

高台にあるののの家にはうっすらと雪がつもっとった。
ガラリとののの家の扉を開けて、ごめんくださいとウチが言うと、
中からののの親戚のおばちゃんが出てきた。
ウチとおにいちゃんが挨拶をすると、おばちゃんにののの部屋へと通された。

「のの、どない?」
ウチはふすまを開けてそう尋ねた。
ののは薄っぺらい布団の中で、小さい体をさらに縮こませるようにして
横になっていた。そしてゆっくりと、ウチのほうをみた。

「あいぼん……」
そう呟くののの声は弱々しくて、ウチはおもわずそばへと駆け寄った。
ののは前にあったときよりもさらに痩せ、白い肌はさらに青白くなっとった。
ウチは後ろを振り返る。そして、ののはウチの目線の先を追いかけた。

801名無し娘。:02/06/27 13:15 ID:S7wATXSp
今日の更新は以上です。ちょっとですみません。
802名無し募集中。。。:02/06/27 22:26 ID:3xlB66oE
>>801
先生お忙しい中、本当にありがどう!!

しかしアイデアが浮かばないと言いながら、これだけの作品に仕上げるとは!!

内容は少しでも、先生の小説を読めるだけでも幸せです

もう次のストーリーが気になって仕方ないくらいです

少しずつでもいいから連載してください

おねがいします!!
803.:02/06/28 01:39 ID:hsFg3jww
>>801
ののは・・・ののタンは助かるのでしょうか!?

どうか助けてやってください

親兄弟まで亡くして、さらに結核に蝕まれて・・・・

読んでてマジ泣きました

涙が止まりません
804名無し募集中。。。:02/06/28 10:30 ID:6PMbfRvZ
>>797
>>萌えれない、感動できないです。ただ、あいぼんがおにいちゃんと言ってるだけです。
なんかワラタ!
マターリがんばってください。
805名無し娘。:02/06/28 10:43 ID:EyK9BItI

「はじめまして」
ののはゆっくりとそう言った。
「あいぼん……、おにいちゃんれすか?」
ののは少し驚いた表情をしたあと、よかったれすねといって微笑んだ。
ウチはその表情をみて、少し胸がちくりと痛んだ。

おにいちゃんはののの枕もとに歩み寄ると、かばんを置いて
ゆっくりと座り、「あいぼんの兄です。いつも妹がお世話になってます」、と
お辞儀をした。

ののはお話はいつもあいぼんから聞いてます、と答えると、ウチの手を握り、
よかったれね、よかったれすね、とまた繰り返した。その瞳にはうっすらと
涙が浮かんでいて、それがまたウチの胸をちくりと刺した。
806名無し娘。:02/06/28 10:45 ID:EyK9BItI

おにいちゃんはののの枕もとで、
「おにいさんは、いつもあなたのお話をされてましたよ」
と、言った。

ののの前でおにいちゃんは、上官だったのののおにいちゃんの話をした。
優秀な指揮官だったこと。
いつも、妹のことを想っていたこと。
二人で妹の話をして、故郷を懐かしんだこと。
そして、自分たちとけが人を残し、お国の為に散っていったこと。

ののは、それを少し涙を浮かべながら黙って聞いとった。
ウチはそんなののの姿をみて、また胸がちくりと痛んだ。

一通り話がおわると、ののは、「おにいちゃん……」と小さく呟いて、
ずっと握り締めていた、赤い髪飾りを見つめた。
おにいちゃんは、それに気づくと、懐かしいなと言って、
それをみせてくれるようにののにたずねた。
ののは、それをおにいちゃんに渡すと、ウチの顔を見て
またよかったれすね、と言った。
ウチはそれに返事をすることがでけへんかった。
807名無し娘。:02/06/28 10:46 ID:EyK9BItI

おにいちゃんはその赤い髪飾りをみながら、のののおにいちゃんが、
戦地で妹のことを想いながら、それを買ったときのことを話していた。
「おにいさんは、あなたがそれをつけている姿を思い浮かべていましたよ」
と、おにいちゃんは言って、その髪飾りをののの頭に付けた。
そして、「おにいさんの言うとおり、良く似合ってます」
と言って、微笑んだ。

赤い髪飾りを付けたののは、痩せたのと、青白くなった肌の色のためか、
それはきれいやった。

ウチはその姿に暫く見とれとった。
ふと気がつくと、ののの瞳から涙が流れとった。
おにいちゃんは慌てて、ののの涙を拭いていた。

しばらくの間、小さくののの嗚咽だけが聞こえとった。

擦り切れた畳の下から、しんしんと冬の寒さが伝わってきた。
808名無し娘。:02/06/28 10:49 ID:EyK9BItI
今日の更新は以上です。
>>802
少しづつで申し訳ないです。
>>803
まだストーリーが決まってないのでなんとも……。
>>804
有難うございます。

スレ容量が一杯になってきたので、また氏にスレを探しておきます。
809.:02/06/29 01:03 ID:Z+DerMKG
>>808
先生、小説ありがとうございました
もう涙なしには語れない小説ですね

もう読んでいて心が洗われてきます

なんだか忘れかけてた優しさを思い出した気分です

この位素晴らしい作品がかけるなら、直木賞も夢ではないのでは!?(笑
810名無し募集中。。。:02/06/29 22:29 ID:Aby0hwNj
>>808
すいません

http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1022438716/l50

↑の「加護たんと添い寝したい奴」のスレで、先生の小説を楽しみにしている人が大量に発生しています(w

もしよければ、こっちのスレにも心温まるあいぼん兄妹小説を禿しくおながいします
811.:02/06/30 01:06 ID:MREoAtlO
今日は更新なし?
812
新氏にスレでも期待しています。