>>216続きです。
愛が走って行ってしまったので
当然ひとみと梨華は2人きりになってしまう。
ひとみはきょろきょろしていて落ち着きがない。
梨華は下を向いていてどうしているのかわからなかった。
2人の間に沈黙が流れる。
「………。」
「………。」
ひとみにとってこの間は言葉では表せない幸せを感じた。
梨華と話すチャンスでもあった。
でも勇気の出せないひとみは切り出すことが出来なかった。
「あ〜……。」
下を向いていた梨華が急に顔を上げて言った。
「………どうして止めに入ったの?」
ひとみが何か言おうと思ったが梨華の問いかけによりかき消された。
「……どうしてって……梨…石川さんがキスされてたから…」
『梨華』と言ってはいけない気がしてとっさに『石川さん』と言ってしまった。
また沈黙が流れる。
梨華が何かに気付き少しビックリした顔をしている。
(なんだ?)
「…ひ…吉澤さん…手…血が出てるわよ……。」
「んっ???ほ、本当だ!!」
「本当だっ!って気付かなかったの?」
「痛いな〜って思ってたけどまさか血が出てるとは思わなかった。」
頭をかきながら言うと梨華が笑い出した。
それにつられて一緒に笑ってしまった。
久しぶりに笑った気がした。
梨華と笑うのは懐かしい気さえした。
いつものクールなのと違いどこか少年ぽい
鈍くさいひとみを見て梨華は少しドキドキした。
ずぅっと笑っていたのを止めて梨華はひとみに
「……ひとみちゃん……手貸して……」
と言った。ひとみは素直に血の出ている右手を差し出す。
梨華はジャージのポケットからハンカチを出し、
器用に巻き出す。
ひとみのとの距離は10cmぐらいまで縮まり
胸の高鳴りが聞こえそうな距離にいるためひとみは
ハラハラしてしょうがない。
梨華の吐息が手に当たる。
それだけでなにかが壊れそうなのを一生懸命我慢した。
梨華にバレないように顔を上に向けて歯を食いしばった。
(ひとみ……我慢するんだ……)
そう心に誓い頑張って我慢した。
ハンカチを巻き終わった梨華が
「どうかしたの?」
と訪ねてきたため急いで顔を戻し笑顔で
「ありがとっ梨華ちゃん!」
と精一杯感謝の気持ちを込めて言った。
梨華はあたしが一番大好きな笑顔で返してくれた。
「いえいえどういたしましてひとみちゃん!」
( ´D`)<ここらで休憩なのれす♪
ちょっと書き方を変えてみました!
やりやすい。。。自分は楽天家系が好きなので(w
またあとで来ます。ひとまず
|彡サッ
(んっ?そーいえばなにか忘れてないか?)
「「あっ!!バレーの試合!!」」
2人の声が綺麗にそろった。それに受けて笑いながら
「すっかり忘れてたね梨華ちゃん!」
「そうだね早く行こっか!」
あたしたちは体育館の方に走って行った。
********
中をおそるおそる覗いてみるともう試合が終わっていた。
あたしたちは顧問に呼ばれた。
「お前達どこに行ってたんだ?試合を放っておいて。」
怒った口調で訪ねてくる。
すると梨華は
「変な人がいて吉澤さんに助けて貰ったんです。でも吉澤さんケガしちゃって…」
梨華はあたしにウインクをしてきた。
(あ〜そうゆうことね・・・)
あたしは黙って梨華の言ってる事に合わせて頷いた。
「ケガ?見してみろ」
右手を見せると先生は
「そうか。大丈夫だったか?お前も一応女の子なんだから気おつけろよ」
(一応って・・・)
いつものクールの顔で「はい。」と言っておいた。
「じゃあ吉澤は保健室に行って来い。石川はそれに付き添ってやれ」
(えっ?やばいよ・・・梨華ちゃんが来ちゃったら。。。)
そう思ったひとみは先生に
「先生!あたし大丈夫なんで!!トイレ行ってきます!!」
その場かすぐに立ち去ってトイレに向かった。
トイレに走って行くと人が沢山並んでいた。
その列の一番後ろに並ぶと前の方から
矢口先輩と飯田先輩が「こっちこっち!」と手招きしている
のがわかった。そっちに向かって歩いて行くと
誰かに手を引っ張られた。振り返って見るとそれは
愛ちゃんと麻琴ちゃんだった。
「前どうぞ。」
と言われたため断れず渋々列に並んだ。
「………。」
誰とも喋らず静にしていると後ろから
麻琴ちゃんに話しかけられた。
「吉澤先輩……手どうしたんですか?」
「あーちょっとケガしちゃってさ」
なにも喋らない愛ちゃんを横にあたしと麻琴ちゃんで喋っていると
先に入った先輩達がやってきた。
「おっ!ヨシザワー1年をナンパ中ですかぁ〜」
「ちがいますよっ!」
麻琴ちゃんは顔が赤くなってしまった。
矢口先輩は隣りにいた愛ちゃんにも話しかけた。
「君も吉澤ファンかぁ〜?」
笑いながらからかうように言う。
愛ちゃんは矢口先輩を睨み付けて
「わたしは石川梨華先輩の事が好きなんです。」
と言ってまた走って行ってしまった。
矢口先輩は口を膨らませて
「カンジ悪るぅ〜〜矢口あーゆータイプ嫌い〜」
と言った。あたしは
「ははは〜」笑うことしか出来なかった。