「君を徹底的に追い詰めて 心身ともに疲弊させることが、必要だったんだよ」
「………」
武蔵があたしにした残酷な仕打ちについて説明している…真希ちゃんの言っていた通りだ
こいつ 誰かに命令されていたみたい…
「それは…なぜかと言うとね…君の持っている現在の価値感や社会的地位、お金や幸福が
いかに 儚いものかと…幸福なんか所詮相対的なものと認識してもらい
絶対的価値感についての新しい思考を植えつける為の土壌を作りたかったからだよ」
「……?」
何言ってるのこの人?よーし じゃあ訊いてやる!
「そ、それじゃあー」
「うん、なに?」
「あたしを、脅して強姦しまくったのも…お金を恐喝したのもみんなあたしの為だと言うの?」
「そうだよ…君に幸せについて考えてもらいたかったからだよ」
「!!!」
このーーっ なにを、調子のいいことを、言ってるの!ふざけるな!
あたしの 怒りを気にする様子もなく 武蔵が更にこう言いだした…
「君が警察に行かないことは確信していたからね…後 ヤクザを使い
僕を脅してくるのもある程度 予測できたよ。あそこまで追い詰められれば
非合法だろうと…多少のリスクを犯しても…
暴力装置の行使を選択するのは人間の常套手段だからまあ君もその
呪縛から逃れられなかった理由だ
もちろんあのゴミどもは真っ先に淘汰されるべき 存在の屑どもだからね
我々の組織を使い粛清させてもらたっよ。
来たるべく 劣等種どもとの、闘争の良い前哨戦になったよ。逆に感謝しているよ
汚物処理はやらなければいけないからね 世の中を清潔にするためにも」
「………」
「そしてこの君たちの旅行は、我々にとってまさに天佑だったよ。君の行動はこの数ヶ月
24時間監視していたけどね中々近づくことなんか出来ないからね
でもこの状況なら君達は隙だらけで無警戒 お陰でこうしてまたあえる事ができるし
こうして話す事もできる」
「………」
アイツの話しが続くわ…全部計算ずくだったみたい…?これも真希ちゃんの言った通りだ…
あたしを、監視していたってなんだろう?なんでそんなことをするのーーっ
「君の個人情報も我々は掌握しているよ・・・過去から今にいたるプロセス
趣味、嗜好、家庭環境、子供時代、思想、宗教、学歴、生活パターン、異性関係、友人、
仕事、資産、健康状態…まあ それにもっと
細かい君の肉体や知性のデーターは交わった僕にちゃんとインプットされてるよ そして…」
「そして?」
「理想の男性像も…」
「!!」
「君に接近すれば…君が僕に魅かれる事も…」
「なにを…言って…」
あたしは何か言おうとするけど…ショックでなにも言えない
そして 武蔵が笑いながら更にこう呟くの…
「もちろん僕も君を愛しているよーーひとみ…でも…君は少し勉強嫌いで
…学校はクラブ活動と友達と遊ぶ以外好きじゃなかったみたいだね…才色兼備が僕の理想なんだけど
まあでも君にはそれを、補う有り余る美貌があるから…それに女性には知性は重要では無いし大体君は
子供の頃から……」
「………!」
あたしの 小学生時代の事や…生活習慣までなにげに話す事が全部当たってる!
こ、こいつ…どうやってそんなことを調べたの?…なにが目的なの…?
「ああ、あとねー、君が同性愛に異常にのめり込んでしまったのは
我々にも予測できない展開だったよ それは、僕のミスでもあるけど…君に恐怖心を与えすぎた
まあー 僕は美史上主義者だから…君と彼女の戯れも見ていて不快ではないけど」
「…なに…を…」
「後藤真希…美しい子だよね?君と一緒で…」
「真希ちゃんに何するつもり!」
あたしは、そう声を荒げた 真希ちゃんに何かしたら許さないからー
それを訊いた武蔵は苦笑いを浮かべながらこう言ったの
「何もしないさ 彼女も君と同じ我々が選んだ100人の花嫁の一人なんだから…」
100人の花嫁? なにそれ? 一体なにを言ってるの…なんなのよ〜この男?ようするに
あたしに見せていた 顔は全てフェイク(うそ)であたしにしたことも全部アングル(仕掛け)
だったってーー訳エ〜〜〜っ?
あたしは 身体が震えてどうしようないほど…怖いけどこうアイツに言うの…睨みながら
「要するに全部…うそだったの?」
「その言い方は、おかしいな…ひとみ?」
「なんで…」
「君も虚構とやらせの世界に生きる住人なら知っている事だろう?この世がいかに欺瞞と幻想に満ちているか」
「………でもあなたのやっていることは…どう考えても…異常」
あたしが そう言うと…武蔵の形相が変わってきたそして重々しい口調でこう言うの凄い眼で…
「我々の理想を冒涜することは、許さない!
腐れ果てた 地上を改造する意思も勇気も持たず。自己の才能や美貌の上にあぐらをかき
くだらない遊びにうつつを抜かし人民の膏血を啜る。下等なごろつきを扱うにはそれなりの方法があるんだよ
オマエたちが生きる値打ちのない。翳れたメス豚だと判断したらいますぐ一人残らず抹殺してやるよ」
「………」
突然興奮して獰猛な本性を表したわ…やっぱりコイツこわいよーーっ 助けてエー真希ちゃん
ようするに…逆らったら大変な目にあわせるという事なんだ
どうすればいいの…どうすれば……ううううう…