QUIZ

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886月27日 PM19:59

8時を過ぎる前に『おねモー』の収録は終わった。
「はぁ〜終わった終わった!」
楽屋にメンバーが続々入ってくる。
「おかえりなさい〜」
石川が笑顔で出迎える。
「ただいま〜」
返事は飯田と辻からだけだ。
「あ、そうそう!石川気付きましたよ!あのですね、あいぼんの体に…」
「解散〜」
矢口が石川の言葉をさえぎり、嬉しそうに叫ぶ。
「ちょっと待ってよ。つんくさんから返事待たなきゃ」
後藤が皆引き止める。
「それに…あいぼんたちが目を覚ますのも待たなきゃ…」
辻が細々と言う。
「ん〜、それじゃ、30分くらい自由行動とする?」
飯田がリーダーらしく提案した。
「そうだね。それがいいかも」
保田もそれに同意した。
「そうしよう!じゃ、私がつんくさんの電話待ってるね」
後藤が携帯を取り出した。
「ッチ…」
矢口が舌打ちした。
「私は、写真の現像してこようかな…」
保田が楽屋を出ようとする。
「あ、保田さ〜ん。私も付いて行きま…」
保田はその声に耳を傾けず、楽屋を後にした。
「私もちょっと外出てくる」
飯田もカバンを抱え楽屋を出た。
矢口は何も言わずに楽屋を出た。
「私もちょっと…ジュース飲んでくる」
辻が楽屋を出ようとした。
「あ、私のもお願いできますか〜?」
石川が大声で叫んだ。だが、辻はトボトボと歩いていってしまった。
再び石川はしゃがみこんだ。
「梨華ちゃんは、どっか行くの〜?」
後藤が嫌味っぽく聞いてくる。
「…。」
石川は無言のまま楽屋のドアを開けた。
「あ、私の分のジュースよろしくね〜」
後藤の嫌味たっぷりの声を耳に残し、石川は楽屋を出て行った。

896月27日 PM20:04:02/03/02 03:54 ID:WSK1KITI

「現像お願いします」
日本テレビ近くのカメラ屋に保田はいた。
「あ…はい…。あれ?モーニング娘。の保田さん…?」
店員が顔を覗いてくる。深々とかぶった帽子は意味をなさなかったようだ。
「あ…はい…。」
そう言うと店員は嬉しそうに喋りだした。
「あ、俺、ファンなんですよ!」
…私以外のね。
「いや〜嬉しいなぁ!」
…私だから残念ね。
「いい事ってあるんですね〜」
…私と会った事は嫌な事ってことね。
「現像、早めにしますよ!」
「いつ頃…?」
「えっと、すぐにでも!」
店員のキラキラした目が逆に保田の気に障る。
「じゃぁ、30分後位にまた来ます」
そう言うと保田は店を後にした。
「お待ちしています!」
…待ってても来るのは私よ。


906月27日 PM20:04:02/03/02 03:56 ID:WSK1KITI

「収録、ありがとうございました!」
スタッフたちに礼儀正しくお辞儀をする矢口。
「これからも楽しい番組を作りましょうね!」
満面の笑みでそう言うと、矢口はスタッフたちの元を離れていった。
…これでスタッフ達の印象は良いわね…
キャハハと笑う。
…今日も収録中はいっぱい喋ったし…
キャハハと笑う。
…なっちはいないみたいだし…
キャハハと笑う。
…ソロになりたいな…
キャハハと心で笑う。
…今が…チャンスだよ、私…
916月27日 PM20:04:02/03/02 03:57 ID:WSK1KITI

「ふぅ…」
オレンジジュース片手に飯田が椅子に腰掛ける。
…なんで…あんな事になってたんだろう…
飯田の頭に加護と吉澤の顔が浮かぶ。
…リーダー失格かな…
ジュースをゴクリと飲む。冷たさが喉を通る。
飯田はカバンからファイルのようなものを取り出した。
そこには手書きで『メンバー分析表』と書かれていた。
それは、メンバーの性格や好き嫌いが事細かに書かれたものだった。
…私はリーダーなんだから、みんなのこともっと知らなきゃ…
飯田はファイルを読み始めた。

926月27日 PM20:04:02/03/02 03:58 ID:WSK1KITI

石川はりんごジュース片手に廊下にたたずんでいた。
…なんで、みんな仲良くしてくれないんだろう…
目の前を日本テレビの社員であろう女性2人が楽しそうに話しながら通り過ぎる。
…ののだって、あの時ちょっと私のこと待ってくれれば…
ジュースの缶が少し潰れる。
…保田さんだって…飯田さんも矢口さんも!…
石川の目に涙が溢れていく。
…私も…誘拐されたら、みんな心配してくれるかな…
石川は目を手でこすった。
…私は…みんなのこと…いっぱい知りたいのに…


…あいぼん…どうなっちゃうんだろう…
辻の手には携帯が2つあった。片方は加護のだ。
…あいぼん、どうしたんだろう…
携帯のメモリーを開く。
…どーせ、あいぼんが悪いことしたんだよね…
辻はその後延々加護の携帯を調べた。
…良かった、着信ある。拒否されてなかった…
そう思ったが、無視されたと考えると腹が立ってしょうがなかった。
936月27日 PM20:27:02/03/02 03:58 ID:WSK1KITI

楽屋では後藤が携帯ばかり見つめている。
加護と吉澤には関心がないようだ。
「ん………んん…。」
気の抜けたあくびの様な声がした。
後藤は、その声がする方向を向くと吉澤が体を起こしていた。
「よっすぃー、起きたんだ。」
後藤は再び携帯を見つめた。
「あ…うん…」
隣で寝ている加護をチラリと見る。
「あと少しでみんな来るから」
顔も向けずにそう言ってくる。
「あ…うん…」
すると、後藤が鼻で笑いながら振り返った。
「それにしても、よっすぃー馬鹿だね〜。気絶してるんだもん。
かなり間抜けな顔してたよ。私、笑うの必死でこらえちゃった!」
吉澤はうつむき、
「あ…うん…」
と再び言った。
「ねぇ、あんたそれしか言えないの?ホント、1人だと何も言えないのね。
そんなんで、よくポスト市井ちゃん気取ってられるわね。信じられない。
あ、そうだ。みんなが来たら、私がよっすぃーの目を覚まさせたって言って。
言えるよね?理由は適当に考えてよね」
そう言うと後藤は椅子から立ち上がった。トイレにでも行くのだろうか。
「あ…あのね…私…」
その声は後藤には届かなかった。
94ブレア娘。:02/03/02 04:04 ID:WSK1KITI

>>84さん
夏の頃に読んでてくれたんですね、ありがとう御座います!

>>83さん
ふ、糞小説にならないようにがんばります。

>>おけつファントムさん
またまたありがとう御座います!東風荘、自分も好きです(w

>>86さん
プロローグ短かったですかぁ。じゃぁエピローグは長めに…。忘れてしまう位期間空いちゃいましたからね…。
できれば読み直してくれれば嬉しいです。