1 :
ブレア娘。:
指摘事情で、かなり前にdat逝きになってしまった作品の続きです。
前回の反省を生かして、ほとんど書いたので、読んでくれたら嬉しいです。
では、
企画ユニットに関連づけた、ドラマ「QUIZ」を元にした小説です。
話は6月27日、Mステに出演する3日前からはじまります。
それでは、どうぞ。
「くいずです あなたの いちばん たいせつな むすめ だーれだ」
2 :
プロローグ:02/02/20 13:40 ID:wFU8tGtx
輝かしい人生なんてどこにもない。
枯れない花が無いように。
私は1つの夢を見た。光が私を差している。
そこで私は歌っていた。
踊りながら、笑いながら。確かにそこで歌っていた。
「件名:くいずです
あなたの いちばん たいせつな むすめ だーれだ
ひんと すでに なくなっています」
このメールがプロデューサーつんくのパソコンに届いたのは6月26日の朝の事だ。
メールが届きました、と無機質な声がそれを告げる。
「なんや、これからが良い所なのに…」
朝から自宅でアダルトサイトを見ていたつんくは、少々いらだった。
「んー、なんやって…件名…『くいずです』。誰の悪戯や。なになに、
『あなたの いちばん たいせつな むすめ だーれだ
ひんと すでに なくなっています』
こ、これは新手のオタクのやり方かいな」
呆れながらも内容の事が気になりつんくは携帯を手にした。
短い呼び出し音のあと、元気な声が聞こえてきた。
「あ、つんくさん!どうしたんですか、こんな朝から?
こっちですか?こっちは7人祭りの練習で大変なんですよ〜」
その声を聞いただけでつんくは安心した。
「あぁーそうか!後藤がんばりな!」
そう言うとつんくは携帯を切った。
「ねーやぐっつぁん〜。なんか、つんくさんから電話来ちゃった。
珍しいよね〜。なんかあったのかな?」
練習とは名ばかりに汗1つかいてない後藤。
それを横目に矢口は練習に励んでいる。
…何言ってるのよ、黄色い声だして…
そう心で思うながらも、
「んー、なんか楽しい事でも起きたんじゃない?キャハハ!」
と矢口は言ってしまった。
つんく家ではつんくがアダルトサイト巡りにいそしんでいた。
ふと、つんくが再び携帯を手にした。
「そうやった、そうやった!10人祭りのソロのパート割り変わったんやった」
パソコンの画面に『早漏』と言う太い赤い字がいやらしく光る。
今度は呼び出し音が長かった。
(なんや、せっかくつんく様が電話してやってるのに)
すると吉澤の慌しい声が聞こえた。
「あ、つんくさん!」
「あれ、吉澤、これ飯田の携帯やで?どうしたんや、そんなに急いで?」
電話越しが何やら騒がしい。
「ど、どうしたんや!」
「あの…安倍さんが来てないんです。電話もしてるんですけど…」
つんくの脳裏に今朝のメールが浮かび上がった。
まさか安倍が、安倍が…?
メールを見ると、その小さめの字が薄気味悪く思えてきた。
これは混乱を避けるために娘達には伝えないほうが良いとつんくは判断した。
「あ、た…多分、いつもの遅刻やないか?」
「違いますよ。だって、自宅にも電話してますよ」
「あ…あぁ、そうやった!安倍な、体調悪言うて、家で寝かせてるんや。
電話にも出るなって言ったから多分、家にいるで。
だから、そっちはそっちで、安倍抜きで練習してくれや」
その悪状況がさらに不安を煽る。
吉澤を納得させて、みんなにも言うように言うとつんくは再び携帯を手にした。
「こんな時、頼れる奴と言ったら…」
その手は迷わず、とあるメモリーを探し当てた。
「な、中澤!今すぐ…今すぐ家に来てくれ!」
その凄まじい勢いに押され、中澤はOKした。
なんや…いきなりの用事って…?私も暇じゃないねん。
やや空白が多目のスケジュール表を見つめ、中澤は急いでつんく家へ向かった。
カレンダーには大きな字で「急ぎの仕事」と付け足されていた。
10人祭りの練習場に携帯が鳴り響く。
みんなに申し訳なさそうに保田が携帯の元へ歩く。
ウィンドウには「石川」と表示されている。
「もしもし…」
「あ、保田さん?石川です〜!なんかそっち、大変なんですってね。大丈夫ですか?」
…下らない。こんな事を言うために電話してきたの?
「ねぇ石川。だれからその事聞いたの?」
「え?よっすぃーですよ〜」
…やっぱり。口の軽い女。
「石川?練習楽しい?」
「え?あっはい!楽しいですよ!亜弥ちゃんとも仲良くできてるし!」
石川がとても嬉しそうに答える。保田に質問されたのがよほど嬉しいみたいだ。
「そう。私はつまらないわ」
「え…?」
「10人もいたら、テレビに映らないわよ。可愛いって特よね」
そう言うと保田は携帯の電源を切った。
「はぁ…」
三人祭りの練習場で石川はため息をついた。
…なんで、いつもこうなっちゃうんだろう…。
…早く家に帰ってアレをしたい…
そう思うと石川は必ず自分を責める。
…駄目だよ、アレは。アレはやっちゃだめだよ…。
リダイヤルの『圭ちゃん』と言う文字を見つめながら石川は再びため息をついた。
7 :
ブレア娘。:02/02/20 13:47 ID:wFU8tGtx
すいません。
ちょっと、ひとまずここまでです。
夜にまた更新します。
つんく家に1人の女性が尋ねてくる。ピンポーン。インターホンが家の静寂を破った。
つんくは廊下を走り急いで玄関に向かった。
「中澤!」
そう叫び扉を開けたが、そこには中澤はいなかった。
そこには肩まで黒い髪の伸びた少女がいた。
「あの…つんくさん?」
不思議そうにつんくの顔を覗き込む少女。それは市井だった。
大き目のトートバッグにはなにやら何冊かのノートが見える。
「あぁそうか、今日はあの日か…」
チッと、つんくは舌打ちをした。
その瞬間、市井が鋭く睨んだ事をつんくは気付かなかった。
つんくががっかりして肩を落とした時、遠くから金髪の女性が走ってくるのが見えた。
「中澤!」
つんくは歓喜の声をあげた。その声が市井には堪らなく不快だった。
息切れしながら中澤は玄関までやってきた。
「ハァハァ…。つんくさん。用事って何ですか…?ん?紗耶香…?どうしたん?」
市井は「久しぶり」と小声で言い、顔を背けた。
「早かったなぁ!よし!ちょっと中まで入ってくれ!」
慌しく中澤の手を引くつんく。すると市井が、
「あの…。私は…?」
今日は市井に帰ってもらおうとつんくは考えた。
その旨を伝えようとしたとき、つんくは1つ名案を思いついた。
「市井、今日はお前暇か?」
「ひ、暇って…今日はこれから…」
市井が言い切る前につんくは話を続けた。
「あんな事やってる時間があるなら手伝ってくれや!」
市井は上手く言いくるめられ、中に入らされた。
…あんな事?市井は最も言われたくない事を言われた気でいた。
分かってるわよ、私だって。でも仕方ないじゃない…。
中に入った中澤と市井は、つんくからメールの事、安倍の事を聞かされた。
「考え過ぎとちゃうか?」
中澤がそう言うと横で市井も頷く。
「そうかも知れへんけど…。こんな偶然があるわけ…。現に安倍は行方不明なんやで…」
不安がるつんくを横目に、
「いざとなったら警察に言うのはどうですか?」
そう言い、市井はバッグからノートを取り出そうとしていた。
その瞬間、再びあの無機質な声が部屋中に響いた。
「メールが届きました」
3人はそろってパソコンを覗き込む。
中に入った中澤と市井は、つんくからメールの事、安倍の事を聞かされた。
「考え過ぎとちゃうか?」
中澤がそう言うと横で市井も頷く。
「そうかも知れへんけど…。こんな偶然があるわけ…。現に安倍は行方不明なんやで…」
不安がるつんくを横目に、
「いざとなったら警察に言うのはどうですか?」
そう言い、市井はバッグからノートを取り出そうとしていた。
その瞬間、再びあの無機質な声が部屋中に響いた。
「メールが届きました」
3人はそろってパソコンを覗き込む。
「件名:くいずです
かべにあって じゅうで ころされちゃう しごとって なーんだ」
「な、何やこれ!」
中澤が声を裏返しながら言った。
市井もそのメールに気を取られてしまった。
「こ、これや!このメールや!」
つんくも混乱を隠しきれない様子だ。
「はっ、早よ考えな!」
集中できないのか、つんくがヒステリックに言う。
時計の針の音だけが聞こえる。
2人が必死で考えている中、市井はノートの事だけ考えていた。
すると中澤がポツリと言った。
「掲示板…。刑事…バン!…?」
3人とも顔を見合わせ、そして納得した。
「警察は呼ぶなって事かな…」
市井がそう呟く。
「こ、こんなのはったりや!なぁつんくさん!警察に連絡し…」
その時、またメールが届いた。
「件名:わかったかな
こたえは けいじ けいじ ばんっ なんてね
けいさつに いったら なっちの いのちは ないよ
ねんのために いって おくね ひとりで がんばってね」
そのメールを読んだ瞬間、外で何かの爆発音がまるで猛獣の叫びのように響いた。
「きゃーーーーーー!!!!」
中澤は叫んだ。市井は呆然としている。だが、顔は冷ややかだ。
そして、つんくは混乱する頭を落ち着かせ、市井に頼み事をした。
閑静な住宅街。その中心より少し離れたところにその家はあった。
その家はまさに豪邸と言う言葉にふさわしく、車庫には外車が何台もあった。
その家の主人の妻、石黒彩は子供が昼寝をしたのでインターネットで麻雀をしていた。
同じキーを何度も押し、いかにもいらついていた。
その石黒の携帯がなった。画面には『裕ちゃん』。
石黒は急いで携帯を手にした。
「あ、裕ちゃん?久しぶり〜!どうしたの〜いきなり電話なんて?
え?私?あ、あぁ、忙しいけど、電話くらいなら大丈夫だよ。
石黒はパソコンのモニターを消した。
「え?なっち?来てないよ。どうしたの?なっちと連絡がつかない?
そんなの良くある事じゃない。どうしたのよ?まさか何かあった?」
突如石黒の目が輝いた。
「そうなんでしょー。どうしたのよ。話してよー。
え?もう切っちゃうの?分かった。はぁーい。またね」
まだ話し足りない感じで石黒は携帯を切った。
「うふふ…」
鼻歌混じりでドレッサーに向かい化粧を始める。
「もしかして、誘拐〜なんちゃって!アハハ!テレビ押しかけてきたりしてー」
そう言いながら、子供の隣で昼寝を始めた。
石黒の胸は、安倍の事で早く何か起きないかとドキドキしていた。
「んー、彩の所にもいないかぁ…」
中澤は脱力し、リビングのソファに腰をおろした。
そんな中澤を後ろから2つの腕が包み込んだ。
「久しぶりやろぉ…?市井に任せて、うちらはお楽しみせんかぁ?」
耳にフッと息をかけ、中澤の反応を楽しむつんく。
「な、何言ってるんですか!つんくさん!」
咄嗟に腕を振り払う中澤。
「連れないなぁ。2人の時は呼び捨てで良いんやで」
ニヤニヤといやらしく笑った。
「もうっ!なっちの事は心配じゃないの!?」
いつの間にか、中澤は敬語を使ってはいなかった。
「だから、市井に任せるって言ってるんや。
さっきのメールで分かったやろ?犯人はこっちの状況は分からないんや。
せやろ?『ひとりで がんばってね』って。盗聴も盗撮もされてない証拠や!」
ソファに寝転びながらつんくはそう言った。
「でも、それが犯人の狙いじゃぁ…」
中澤は他人事のように話すつんくに少し苛立ちを覚えた。
「んな訳あるかい!相手はオタクやで!馬鹿に決まっとる!
それに…。まだ安倍の悪戯って言う可能性もあるんやから!」
中澤の言葉を飲み込むように強く言い放った。
「…。わかった。私、今から心当たりありそうな人に電話しまくるから」
そう言って、中澤は携帯を手にした。
…あ!通話料はんぱないやん!
「ちょ、ちょっと、家の電話使わせてもらうわ!電池切れたみたい」
そういって、リビングの隅にある電話へ中澤は向かった。
リビングの中心にある少し低めのテーブル。
そこの上にパソコンが置いてある。そして下には赤いライトが点滅していた。
練習は一通り終わり、モーニング娘。としての活動があまり無い今、
メンバーはユニットでの仕事に向かっていた。
「おー来た来た!」
飯田はシャワーを浴びて濡れた髪を風になびかせ迎えを待っていた。
その髪が揺れるほどシャンプーのほのかな匂いが立ち込める。
ワゴンの中で加護と石川がはしゃいでいる。
と言っても、ほぼ加護1人が騒いでいるように見えた。
「ふぅ…」
飯田はため息をついた。
普段メンバーには決して見せない悲しい顔、不安な顔。
彼女は1人になった時にだけ見せる顔がある。
…私は新リーダー…。大丈夫、大丈夫…。
何度自分に言い聞かせたかな?
サブリーダーの圭ちゃんに、色々相談もしてるけど、
圭ちゃんは圭ちゃんで悩んでるみたい。
再びワゴンを見る。近づいてくるワゴン。
…加護って、結構うるさくて、わがままなのよね…
またため息をつく。
…これから新メンバーが入ってくるんだぁ…
私なんかにまとめる事ができるの…?只でさえ、加護と辻で手がいっぱいなのに…
ねぇ、裕ちゃん。私はリーダーとして何ができる…?
矢口も合流したタンポポは『OH−SO−RO』の収録に来ていた。
「45分から収録になりますので、よろしくお願いしますー」
スタッフがそう言い、みんなはブースでたわいもない話をしていた。
そこに、トートバッグを抱えた見覚えのある人がやってきた。
「よっ!みんな!」
サングラスをはずすと、タンポポのメンバーは驚嘆した。
「紗耶香!」
「市井さん!」
みんな口々にそう言った。
「みんなさ、ちょっと、なっちの事で話があるんだけど…」
辻の携帯にメールが入った。
「件名:くいずです
ののー!今日、すっごい人と会っちゃった!誰だと思う〜?」
辻は怪訝そうな顔をして返信をした。
「件名:Re:くいずです
だれ?」
この間わずか一分。返信し終わると、辻は携帯をカバンの奥へしまい込んだ。
ふと、辻は飯田が言っていた事を思い出した。
「これからラジオの収録だよ〜。ラジオって好きなんだー」
時計を見るともう46分。もう収録が始まっていてもおかしくない時間だ。
5分後、再び辻の携帯にメールが入った。
不思議に思い、辻はカバンの奥から携帯を取り出した。
「件名:せいかいは
ののー、正解はね〜。だーれだ?なんちゃって〜!
あのね、市井さんが来たんだよー。うち、超ビックリしちゃった!!!
でねでね〜、なぁんと今、ラジオの収録中なの〜。
あっ、余りメール書いてると、飯田さんに怒られちゃう〜。
それじゃ、またね〜!!!ちゅ☆」
へぇ〜。辻も少し驚いた。だが、それは市井が来たって事でだ。
収録中にメールかいてる事には驚かなかった。
心では「やっぱり」と思っていた。
辻はメールを見終えると、後ろから脇をくすぐられた。
「きゃっ!」
手を振り解き振り返るとそこには吉澤がいた。
「よっすぃー!いじわるしないでよー」
クスクスと笑いながら辻は反抗した。
「だってー、ののって見てると、いじりたくなるんだもん〜」
吉澤もつられてクスクス笑う。
しばらく2人は笑いの耐えない会話をしていた。
すると後ろのほうで声がした。
「吉澤!そろそろ行かないと遅れちゃうよー」
保田だ。これから、プッチモニも『プッチモニダイバー』の収録があるらしい。
「ごめん!のの!これからラジオなんだ!またねっ!メールするから!」
そう言って吉澤は保田の元へ走っていった。
「まったね〜」
辻は元気良く2人を見送った。
…ラジオか。良いなぁ。
辻は正直にそう思った。
会話なんて無い。私がMDを聞いてるから。
それでなくても会話なんて無いわ。話す事なんて無いもの。
吉澤と私を乗せたワゴンは只、車の揺れる音がするだけ。
もうすぐ後藤が乗り込む。そしたら、私の居場所は無くなる。
横でマンガを読んでいる吉澤も後藤が来れば楽しく喋るんだろう。
羨ましくなんてない。話す事なんてないから…。
「あの…このマンガ面白いんですよ〜。保田さんも読みませんか…?」
今、吉澤が恐る恐る話し掛けてきた。
でも私は無視た。だってMD聞いてるから…。
私は只前を見てるだけ。だって横を向けば…話をすれば…吉澤の顔が見えちゃうじゃない。
私は見たくないの、誰も…。
ほら、吉澤だってまたマンガを読み始めたわ。良いのよこれで。
「おはっよ〜」
あ、後藤が乗ってきた。うるさいお喋りが始まるわ。
MDのボリューム上げなくちゃ…。アレ?アレ?
あ、そうか…。最初からMDなんて入ってなかったんだっけ。
私が聞いているのは空のMD。
話し掛けられたくないから…。そう、話し掛けられたくないから…。
それでも2人の会話は聞こえない、聞かない…。
保田は手に持っていたカメラをずっと拭いていた。
一通り電話をし終わった中澤は見るからに疲れていた。
「どうやった?なんか手がかりあったか?」
ブンブンと首を横に振る中澤。
「そうか…」
つんくもさすがに不安の色を隠せない。
すると中澤がリビングから出ようとした。手には携帯を握っている。
「お!裕子!どこ行くんや?」
「ちょ、ちょっとトイレに…」
そう中澤が言うと、そそくさとリビングを出て行った。
「携帯電池切れたって言ってなかったっけ…?」
つんくは首をかしげた。
その時家の電話が鳴った。
つんくは急いで電話を取った。
「市井か?」
市井はタンポポが安倍について何も知らないことを伝えた。
そして市井は不満や愚痴をつんくにぶつけた。
「どうして、あんな平仮名しか打ってこない犯人を警戒しなきゃいけないんですか?
題名も『くいずです』なんて…。なっちも誘拐するなんて…」
「まぁそう言うなや。今度あれの埋め合わせするから。ほな、がんばり〜」
つんくは電話を切った。
「…」
市井はバッグの中のノートを見つめた。
…次に行くか…
市井は今朝、つんくにこう言われた。
「市井、今日みんなの所に行って安倍の事聞いてきてくれんか?
もしかしたら安倍の悪戯かも知れへんし…」
市井はノートを見つめ仕方なく了承した。
…みんなに挨拶していくか…
ブースに入った市井はふと疑問を感じた。
「あれ、収録は?ってゆうか、加護は?」
「あいぼん、トイレに行っちゃったんですよ〜」
あっそ、と市井は相づちをしてその場を去った。
「またね〜、圭織、矢口〜」
みんな手を振って見送る中、石川はひときわ元気に手を振った。
そのころ辻にはメールが届いていた。
…よっすぃーかな?
しかし、画面には『加護亜依』と表示されている。
辻はうんざりした顔で電源を切った。
カシャッ!カシャッ!
『プッチモニダイバー』収録の休憩に、保田は写真を撮った。
しかし、決して人物は写らない。只、無機質な物体が被写体の撮影。
「保田さんってカメラ好きですよねー。10人祭りの時も撮ってましたし」
吉澤が近づいてくる。
「そうね」
保田は淡々と答える。
カシャッ!カシャッ!
その音は、保田の内に秘めた言葉にも聞こえた。
「そ、そう言えば保田さんって、映画も好きでしたよね?」
なんとか話を盛り上げようとする吉澤。そんな彼女はどこかいじらしかった。
「そうね…」
保田はふと思い出した。
…そう言えば、私、なっちにDVD貸したまんまだった。
テレビでも言ったのに忘れているなんて…。
「たまには、良い事言うのね」
それは保田の精一杯の感謝の言葉だった。
吉澤が悲しそうに立たずんでいると、後藤が吉澤を手招きした。
吉澤は少し躊躇しながらもスタスタ歩いていく。
何か喋っている。どうやら市井のことを話しているみたいだ。
…最初から後藤といれば良いじゃない…
25 :
ブレア娘。:02/02/20 23:24 ID:jbBz/Qhq
ここまでです。
いろいろ修正してるんで、少ない更新ですいません。
よくよく考えてみたら、Mステが金曜だから前のスレッドでは一日始めるのが遅かった事に気がつきました。
感想とか書いてくれると嬉しいです。
あと、伏線をかなり張ってるんですが、気付かないような所にまで張っているので表記した方が良いですか?
27 :
ブレア娘。:02/02/21 01:34 ID:pKuVKjEj
>KOSINさん
お疲れさまです。
小説スレが成長するのはKOSINさんのお陰だと思いますよ〜。
ぜひ情報を掲載してください。
それでは、頑張ってくださいね。
うぉー!!すっげーヒサブリじゃん!
待ってたYO!
伏線は表記しなくていいんじゃん?
「ふぅ〜、やっと終わった〜」
背伸びするタンポポの面々。
「まったく〜、加護が途中でトイレなんか行くからだよ〜」
矢口は叱るようにそう言った。石川がうんうんと頷く。
…リーダーとしてフォローすべきかな…?
「でも、お陰で紗耶香にバイバイできた訳だし。良いじゃん〜」
石川がまたうんうんと頷く。
「すいませーん、ちょっとトイレ行きたいんですけどー」
そう言い、1時半頃、収録を一時中断させた加護。
…ののから返事がこない…
ののはうちの事、嫌いなのかな…
加護は再び辻にメールを出した。
…早く帰らないと怒られちゃうね…
加護は急いで戻った。
「ねぇみんな。なっちが体調悪いって紗耶香が言ってたじゃん?
お見舞いでも行かない?『おねモー』の収録まで時間あるし」
飯田が言った。それはリーダーとして言ったのだろうか。
「えー、いいじゃん、別にー」
…他人の事なんて気にしてられない…
矢口は間髪入れずに断った。
「あ、うちもちょっと用事があるんですよ」
…ののに会いたいな…暇してるやろうし…それに…
加護も断った。
「あ…あ…わ、私も家で用事が…」
…安倍さんと…あんまり話したことないんだよね…それにわざわざ行かなくても…
「わかった…。」
飯田はガクッと肩を落とし、しょんぼりした。
東京都心のマンション。ここが安倍の自宅だ。
さすがは一流アイドルといったおもむきの外観だ。
保田はそれを見上げながら1枚写真を撮った。
「結構良い家よね」
感心していると、後ろの方で「あれ〜」と言う声がした。
「圭ちゃん〜。どうしたの〜?お見舞い?」
そう、飯田だ。
「圭織?」
2人はあまりの偶然に爆笑した。
「…へー。DVD貸していたんだぁ」
「そうよ。だから今、暇な時間に返してもらおうかなって。アハハ」
保田は久しぶりに笑った自分が少しだけ恥ずかしくなった。
「え…あ、か、圭織!何その大きなカバンー!」
話を変えて気を紛らわそうとした保田。
「え…あ、ちょっとね〜」
飯田は照れながら笑っていた。
ピンポーン!
安倍の家のインターホンを押す保田。しかし、返事はない。
「おかしいなぁ。吉澤が『家にいる』って言ってたのに」
保田は何度もインターホンを押した。
飯田はドアノブをガチャガチャしている。
すると、飯田が、
「あ、ごめん、圭ちゃん。鍵開いてた…」
申し訳なさそうに笑う飯田に保田も呆れた。
「それにしても、不用心だね」
保田は怪訝そうな顔をして中に入った。
「なっち〜?私と圭織が来たよ〜?なっち?」
しかし、返事はない。
2人は顔を見合わせた。
「そう言えば、今日、紗耶香がなっちの事、聞きに来たんだよね」
飯田が言った。
…ふぅん。
保田は軽く相づちした。
「まぁいっかぁ〜。DVD探そうよ、圭ちゃん〜」
飯田は安倍の部屋をいじくり回していた。
「圭織…」
さすがの保田も怒る気が失せた。
さっさとDVDを返してもらおう、保田はそう思ったが、
久しぶりに安倍の家に来たせいか、心が少しだけ弾んでいた。
カシャッ!カシャッ!
保田は安倍の部屋をカメラで撮っていた。
「圭ちゃん?」
フレーム越しに飯田が聞いてくる。
カシャッ!
「あ、あぁごめん。さっ、DVD返してもらおう」
飯田も保田も安倍の家から直接日本テレビの収録へやってきた。
こうして見ると、かなり多忙の毎日だ。
もうスタジオ前ではメンバー全員がそろっている。
リーダー、サブリーダーそろって遅刻してはならないと思い、
飯田と保田は走ったせいか息切れをしている。
「飯田さーん、保田さーん、どうでした?安倍さんの部屋?」
さっきまで、家に帰っていた石川が嬉しそうな顔をして保田に聞いてきた。
「…」
保田は無視した。別に石川には関係ないと思ったからだ。
それでも返事を期待している石川を見た保田は、仕方無しにこう言った。
「いなかった…」
すると石川は心配そうに、
「そーですかぁ。安倍さん助かると良いですよね」
石川はとても嬉しそうだった。
「あ、そうだ。あと、これ…」
石川はポケットから2枚のカードを取り出した。
「これ、『おねモー』のテレホンカードなんですって。番組の方がみんなにくれたんです。」
飯田と保田はそれを手にすると、各々こう思った。
…今さらテレホンカード…?
2人はしぶしぶそれをポケットに入れた。
時間がたつに連れてますます騒がしくなる。
その中心で加護と辻が会話をしていた。
「でさ〜、おもしろかったんよ〜!」
「へ〜」
はしゃいでる加護とは裏腹に、辻はうわの空だ。
するとスタッフが加護の名前を大声で呼んだ。どうやら打ち合わせがあるらしい。
「じゃぁね、のの!あとでね〜!」
小刻みに手を振り走ってスタッフの元に走る加護。
…メールの事、怒ってないのかな?
辻は不思議に思った。
普通のメールを無視したことならまだしも、収録中にお忍びで送ったメールだ。
これを無視されて加護が何か言ってこないのはおかしい。
そう思いながらも、辻はメールを見ようとはしなかった。
「ねぇ、辻」
辻が振り返るとそこには後藤がいた。
「あ、後藤さん…」
さすがの辻でも後藤の前では緊張するみたいだ。
「なんかさ、やぐっつぁんって怖くない?」
突然酷い事を言ってきた。
「なんかさー、みんなの事いっつも睨んでるしさ。 特には私なんだけどね。
辻は気付いてないかもしれないけど、辻も睨まれているんだよ」
えっ、と辻は驚いた。今まで気付きもしなかった。
…そう言えば最近、矢口さんの笑った顔見てない…
辻は心配になり矢口を見つめていた。
すると、矢口と目が合い、すさまじい形相で睨んできた。
びくっと体を震わせて目を逸らした辻を見て後藤は笑った。
「ハハハ!でしょ?」
36 :
ブレア娘。:02/02/22 02:39 ID:T7uHtVS+
>小説総合スレッド5の169さん
いろいろとありがとう御座いました。
頑張りますので応援してください。
>>28さん
待ってた…なんてとても嬉しい言葉ありがとう御座います。
伏線は表記しないことにしました。
でも、何て言うか、話を進めて行く中で、「この部分の伏線はここでした」とか書いてみようかなと思ったりしてます。
全ての伏線が『犯人』を示す物ではないので。
では、更新は少しでしたが楽しんで下さい。
37 :
ブレア娘。:02/02/22 03:02 ID:T7uHtVS+
駄目出しです…。
>>3の文章中の日付が違ってます…。26日→27日でお願いします。
自分が気付かないんでお願いがあるのですが、
辻と加護の一人称がバラバラなところがあるかもしれません。
そーゆー時は、(辻→私。加護→うち)でお願いします。
夏に書いていた文章をそのまま使っているので、今日までの間に色々知識などが変わったのでこういうミスが…。
最後に、これは戯れ言ですが、ちょっと伏線つけるの忘れました…。
そんなこんなでミスが多い小説ですが、完結するまで、ご同行お願いします!
…あ、加護が走ってる。
飯田はメンバー全員を見渡していた。
…リーダーとして、もっとみんなの事知らないとね。
…辻がごっちんと話してる。めずらしー!いつの間に仲良くなったんだ?
まぁ辻のほうが、まだ騒がしくないからね…
再びチラッと加護を見る。
すると、その瞬間吉澤と加護がぶつかった。
…あ〜あ、痛そう〜。加護もちゃんと、前見なきゃ〜。
加護が吉澤に頭を下げる。吉澤は怒ってはなさそうだ。
だが、どこか引きつった笑顔で答えている。
そして吉澤は加護を通り過ぎ、辻の頭をなでた。
…仲良しが…一番だよね…
飯田はしみじみそう思った。
…あれ?なんで矢口、後藤の事あんなに睨んでるの?よっしーにも…。
ふと目を向けた先には矢口がいた。
…圭ちゃん、カメラ好きだよね。でも、何撮ってるんだろう?
保田は誰いない方向をカメラにとっている。
…そろそろ始まるかな?
あともう少しで『おねモー』の収録が始まる。
その時、メンバー全員に加え中澤、市井、石黒の元にメールが届いた。
そのメールには題名が「みんなへ」と書かれ、HPのアドレスだけが書かれていた。
つんく邸。
突然中澤は立ち上がり、
「あ!つんくさん!私、なっちのいる場所、心当たりあるわ!」
と言うと中澤は外に出る用意をしだした。
「お、おい!裕子。なんやいきなり、ちょい待ちぃ…」
つんくの引き止める声も聞かずに中澤は玄関を飛び出た。
窓のから覗くと、中澤が走っていくのが見える。
すると、突然タクシーが登場し中澤は急いで乗った。
「あいつ、いつの間にタクシー呼んだんや?」
その問いには誰も答えなかった。
スタジオでは加護、吉澤、石川以外のメンバーがスタンバイしている。
彼女たち3人は楽屋でお茶をしながら談笑していた。
「今日は2本撮りだね〜。めっちゃ疲れる〜!あ、携帯、電池なくなっちゃった〜!」
加護が前髪を整えながらぼやく。
「そうだね〜。この前は9人全員でやったのにね〜。
今回は5人かぁ。安倍さん、大丈夫かなぁ?」
安倍は体調不良と言う事で、番組は納得してくれたようだ。
「よっすぃーはごっつあんが一緒じゃなくて寂しいでしょ〜?
あ〜、でも〜。ごっつあんも市井さんがいなくなった時すごかったよ〜。
自分の部屋で1人きりでずっと泣いているんだもん。」
石川が親しげに吉澤に話し掛ける。
「……」
一瞬にしてその場のムードが変わった。
「さ、さっき変なメール来たの〜。『みんなへ』って題名なんだけど…」
咄嗟に話題展開をした。だが、
「…それ、他のメンバーにも来てるんや。チェーンメールやろ…」
加護もそっけない態度である。
石川はどうして吉澤が暗くなってしまったのかが分からなかった。
話を逸らそうと石川は頭を働かせた。
「そ、そーいえば、三人祭りの衣装って露出激しいよね〜。さっき着て恥ずかしかった〜。
おへその周りとか、肩とか、結構見えちゃうもんね〜。
あいぼんも、さっきの練習の時、着ればよかったのに〜。
そう言えば私、1回もあいぼんが衣装着てるの見たことない〜」
石川の中ではこの上ない良い話題だと思った。だが返事はない。
「ねぇ、あいぼ…」
「無視しないでよ」とは言えなかった。
それでも反応がないのが寂しく、
加護の名を呼ぼうとしたが、加護はジッと吉澤を見つめている。
石川はお茶を一気飲みした。
「メールはもう来ないみたいやな…」
つんくは、ホッと胸をなで下ろした。
しかし、その胸は再び恐怖で震える事になる。
「メールが届きました」
間髪なくパソコンの画面を見つめた。
件名はやはり「くいずです」だ。
つんくは、恐る恐るメールを開いた。
「件名:くいずです
よしざわを もーにんぐむすめから だったいさせろ
さもないと よしざわの いのちは ないよ」
つんくは腰を抜かした。
フローリングの床は冷たく、体温を全て奪われそうだ。
今が『おねモー』の収録である事をスケジュールで確かめると、つんくは電話を手にした。
…スタッフに電話を…
だが、つんくは電話を元に戻した。
…スタッフが犯人かも知れへん…。
今度は現メンバーの携帯に電話をかけた。しかし、誰1人出ない。収録中だからだ。
…どうしてだ!
自分自身の中で葛藤がおきた。
…どないしよぅ…裕子…
その瞬間ハッと我に返りつんくは中澤に電話をした。
「はいはい」
中澤の少し気の抜けた声が聞こえた。
「た、大変なんや!」
つんくはメールの事を話した。
「え…吉澤が!?」
中澤の驚いた声は非常に大きく、携帯を離さなければ耳が痛くなりそうだ。
「どうしたら良え?」
つんくは明らかに混乱している。唯一の犯人との接触者ゆえのプレッシャーなのか。
「帰ってきてくれや!!」
つんくはそう哀願した、が、
「ご、ごめん…。私、行かなきゃいけなくて…紗耶香にでも電話したら?」
そう中澤が言った途端、つんくは携帯を切り、市井に電話をした。
「市井!とにかく、日本テレビのスタジオまで行け!」
あまりに突然で市井も驚く。
「どうしたんですか?」
つんくは、話を要約して話した。
すると、市井がおどけた声で聞いてきた。
「つんくさん…?吉澤には電話したんですか?」
「あ…」
つんくは間の抜けた声を思わずだし、携帯を切った。
「…頭悪い…」
市井は煙草の煙をフッとはき、それまでいたマクドナルドを後にした。
「『行け!』ね…。」
市井はうんざりした顔で言う。
「これからが、本番ね」
10人祭りの着信音が楽屋に響く。吉澤の携帯だ。
画面には『つんくさん』と表示されている。
「はい、もしもし…」
「よ、吉澤かぁ…良かった…」
つんくの声が聞こえる。つんくは、安倍の事、そして吉澤が狙われている事を話した。
「え!安倍さんが!それに、なんで私が!?」
吉澤の握っている拳に力が入る。
「今、そこには誰がいるんや?」
「えっと、あいぼんと梨華ちゃん…梨華ちゃん寝てますけど…」
「いいか、吉澤!絶対楽屋から出るなよ!絶対だぞ!」
「はい…」
加護は心配そうに吉澤を見つめていた。
時を同じくしてここはインターネットカフェ。
サングラスをかけた中澤がそこにはいた。
手元には先ほど届いたメールが表示されていた。
中澤のパソコンの画面にはおどろおどろしい文字でこう書いてあった。
『モーニング娘。誘拐事件 実況生中継』
「何これ…」
石黒のパソコンの画面に『モーニング娘。誘拐事件 実況生中継』が映る。
「よっしゃ!リーチ!」
昼寝を終えた石黒は再びインターネット麻雀を始めていた。
その瞬間、石黒の携帯のメール着信音が鳴る。「たんぽぽ」だ。
しかし石黒は夫からのメールだと思い、その時は見なかった。
だが、なかなかツモれず、その苛立ちを晴らそうとメールを見た。
アドレスだけが書かれているメールを、始めは迷惑メールだと石黒は思った。
…でも、なんかいつものと様子が違う?
そのアドレスを携帯で見ようとしたが、容量が大きすぎて見れなかった。
仕方無しに、パソコンにそのアドレスを打ち込んだ。
石黒の胸は高鳴っていた。
…これから面白くなる…
HPには今まで起きた事や、ついさっき、つんくの元に来たメールの内容も書いてある。
掲示板やチャットもあるが、まだ参加者はいないようだ。
管理人だけの発言だけがそこにはあった。
題名:『モーニング娘。誘拐事件 実況生中継』開催
投稿者:SILVA
私がここの管理人。
これから随時情報を公開していくね。
まずはなっち誘拐だね、犯人はだれだろう。
6月27日 17時49分
石黒は「ケケケ」と笑い声を上げて書き込んだ。
題名:最高!
投稿者:深夜
更新待ってマース!
なんか私、ドキドキしてきちゃいました!
6月27日 18時15分
石黒はもう一度「ケケケ」と笑い、何度も何度も更新ボタンを押した。
インターネット麻雀では、石黒がツモったまま止まっていた。
48 :
名無し:02/02/24 00:20 ID:l74IBIkx
俺前に見てたよ!復活するは思わなかった(w
って訳で犯人は石川
49 :
:02/02/24 18:08 ID:iqY4n9B9
hp
俺このもとネタのドラマ好きだったな。
メンバー全員心の中に裏があって訝しげな所がイイ!
当方石川好きなんで、ちょっと鬱になった。(w
期待してるんでがんばって下さい!
51 :
51:02/02/25 00:10 ID:yVmhgxzg
犯人は、市井と中澤じゃないか?
52 :
ふとした疑問:02/02/25 02:04 ID:rILJvUGz
この事件を解決する役を与えられたのは一体誰なのでしょう?
読んでいる人、娘。のだれか、つんく、これから出てくるであろう他の登場人物、
のどれになるのでしょう?
「ふぅ〜、休憩休憩〜!」
後藤が気だるそうに楽屋のほうへ向かって行った。
その後から、メンバーがぞろぞろ歩いてくる。
「あ、つんくさんから着信があった〜」
黄色い声をあげ、後藤が嬉しそうに奇声をあげる。
だが、他のメンバーにも着信がある事が分かると、後藤はトーンダウンした。
「わ、私がかけるからね!」
後藤は、そう皆に言うとつんくに電話をした。
「あ、つんくさん?」
「おお!後藤か!もう収録終わったんやな?」
「いえ、まだ休憩中ですけど…」
「そうか…。みんなに異常はないんやな?」
「え?あ、はい。何も…」
つんくにだけに見せる従順な顔。それが鼻につくメンバーは多いだろう。
「良かったぁ…。ほな、ちょっと吉澤に代わってくれへんか?」
後藤は一瞬ムッとした顔をした。
「え?よっすぃーですか?いませんよ」
電話越しでつんくが慌しくなった。
「ど、どーゆー事やっ!楽屋にいたメンバーはどこや!」
つんくが携帯越しでも聞こえる大声で怒鳴ると、メンバーが一斉に後藤の携帯を見る。
「えっ!あ、えっと、梨華ちゃんがいますけど…。そういえば加護もいないです」
つんくの脳裏に不吉な考えが巡った。
…まさか、2人とも…?
「い、いいか!急いで、その2人を探すんや!」
「な、なんでですか?つんくさん…。飲み物でも買いに行った…」
「いいから!」
最後に「あとで、詳しく説明する」と言い残し、つんくは電話を切った。
「ねぇ、みんな…」
後藤がつんくに言われた事をメンバーに話す。
「加護と、吉澤って、よく2人でいなくなるよね。だから、心配いらないんじゃない?」
矢口が爪をいじりながら言う。
「そーいえば、そうですよね…」
辻がポツリと言う。
「言われてみるとそうだ…」
後藤が人差し指を顎につけ考え込む。
「ってゆうか、こいつ起こそうよ」
保田は突然石川を揺さぶり起こした。
すると、石川が目をこすりながら言った。
「あれ…?私寝ちゃったんですか…?」
誰もそれに答えず飯田が問い詰める。
「石川、あんた、吉澤と加護、どこ行ったか知らない?」
石川は一瞬寂しそうな顔をした。
「え…あ、あの…私、お茶飲んだらいきなり眠くなって…その…」
起きたばかりの目をこすりながら石川が語る。
お茶を一気に飲み干した石川は突然睡魔に襲われた。
「どうしたの?梨華ちゃん?」
吉澤が聞いてくるも、睡魔に勝てない石川は、
「ごめん…ちょっと、寝て良い?」
そう言うと返事も聞かずに目を閉じた。
「あ、うちもちょっとだけ眠くなってきた…」
加護の声が薄れゆく意識の中聞こえた。
「あ、あいぼんも寝ちゃったんです〜!」
「使えなーい!キャハハ!」
矢口があざ笑う。
「睡眠薬…?」
飯田が推理した。だがしかし、それ位は辻にも想像がついた。
「わ、私、あいぼんに電話してみる!」
辻が携帯で電話をかけた。
「あ、のの〜。あいぼんの携帯は、電池が…」
「コールしてるのに出ません」
辻が残念そうにそう言う。
「じゃぁ、よっすぃーにもかけたらどうで…?」
「よっすぃーも駄目みたい」
石川が恨めしく後藤をにらむ。
「仕方ない…。探そ…」
後藤がそう言うと、皆だるそうに楽屋を出た。
石黒邸。
石黒は何度も更新ボタンを押していた。
…何か起きないかしら…
そう胸を踊らしていた瞬間、パソコンの画面に変化が起きた。
題名:『モーニング娘。誘拐事件 途中経過』
投稿者:SILVA
お待たせ!新しい事件がおきたわ。
吉澤を辞めさせろというメールがつんくの元に届いたの。
モーニング娘。は今『お願いモーニング』の収録中。
一体どうなるのかしら。
詳しくは送られてきたメールの写しを読んでね。
6月27日 18時36分
「ただいま〜」
玄関のほうで野太い男の声。
これが私を縛っている縄。
この縄のせいで私はモーニング娘。を辞める羽目になった。
私はもっと輝いていたかった。
「なぁ、明後日さ…」
聞こえない。聞こえない。
あいつの声は聞きたくない。
テレビ局を歩きながら加護と吉澤を探す娘たち。
「いないですね…」
辻がほそぼそと言う。
「どこいっちゃったんでしょうね〜。あいぼんとよっすぃー」
石川はどこか楽しげだ。
「そうだ!あいぼんにメールだしてみる!」
辻が一瞬にしてメールを打ち始めた。
「送信っと!」
「返事が来るといいね〜」
そんな石川を無視した辻。するとすぐさま携帯が鳴った。
「メールが返ってきちゃった…?」
不可解に思った辻は、再びメールを送る。
…やっぱり戻ってきちゃう…
飯田と保田はテレビ局のスタジオで合流した。
「いた?圭ちゃん」
「ううん…」
「いないね…加護と吉澤…」
飯田が心配そう顔でそう言う。
「そうね…」
そんな事保田には関係なかった。
「じゃぁ私、こっち探すから」
再び2人は探し出した。
後藤と矢口は会話もなくただ歩いていた。
「よっすぃーどこかな?」
後藤が気を配りそう言ってみたが矢口は無視した。
「ねぇ、やぐっつあん?」
酷い人相で周りを見ている矢口。しかし口元はどこか楽しそうだ。
…やっぱ、こえ〜…
「ちょっと私、トイレ行ってくる」
そんな雰囲気に絶えられなかった後藤はその場を駆け出した。
不機嫌そうな顔をしていた後藤が一瞬にして笑顔に変わった。
その目線の先に市井がいたからだ。
「よっ!」
「いち〜ちゃん!!!」
後藤が、甘えた声で市井の側に駆け寄る。
「なんでここにいるの〜?」
満面の笑みで市井の服を引っ張る。
「なんか大変なんだって?私も付き合おうよ」
そう言うと市井はスタスタと歩いていった。
「あ、あとね、さっき裕ちゃん見たよ」
市井が来た方向をチラッと見ながら言った。
「裕ちゃんが…」
別に後藤はなんとも思わなかったが、市井の言葉がただ嬉しかった。
…なんで私がこんな事しないといけないのよ。
市井は心底そう思っていた。
…こんな事無意味だ。
後藤がしきりに話し掛けてくるが、その返事も曖昧になっている。
その瞬間、遠くでかん高い石川の叫び声が聞こえた。
「いやぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「何!?」
後藤の顔が少しずつ青くなる。
「行ってみよう!」
市井は後藤の手をとって走り出した。
…この手、やっぱ市井ちゃんだ…
後藤は市井の手を強く握りしめた。
あら?書き込みが増えた。
題名:『じょうほうありがとう』
投稿者:はんにん
じょうほう ありがとう
6月27日 18時45分
犯人から?本人かしら。
ケケケ。そんなわけないか。
楽しくなってきたわ…。
63 :
ブレア娘。:02/02/25 05:28 ID:ZMy0LT1t
感想とかのレスが増えて、かなり嬉しいです!
ちなみに
>>55の回想は
>>40の続きです。
>>48さん
前のも見てくれていたんですか、ありがとうございます。最後までがんばります。
>>49さん
はい、『モーニング娘。誘拐事件 実況生中継』はHPです。
>>50さん
自分もこのドラマ好きでした。期待に応えれるようがんばります。
>>51さん
予想とかしてくれると、サスペンス、推理小説を書く醍醐味みたいで嬉しいです。
>>52さん
ひとまずはみなさんが考えてみてください。話が進む内に娘の誰かが解決するかもしれないですし。
犯人予想とかは自由にどうぞ。
でも文章が結構長いので、この場で話し合いとかは容量とかの問題があるのでご遠慮下さい。
64 :
おけつファントム:02/02/25 06:58 ID:uP5opcmt
おもろい。書きコが文章の邪魔になるので迷うぐらい。
続きたのしみです。age
おいらも旧羊のころ読んでましたよん♪
というか2chで初めてお気に入りに入れた小説だったかも。
たしかに「桐子カヲル」的な人物が出てくるのか気になるね…
それと、名前欄の日時のAM/PMはいらないんじゃないかと思われ。
もし付けるのなら24時表示じゃなくて12時表示にしないと。
復活おめでとうございます。
旧羊時代の小説で続きが気になってたものの一つだったので、また読むことができて嬉しいです。
ブレアウィッチの方は復活されないのですか?
確かいいところで終わってたような気がしたので・・・。
更新楽しみにしてますので、無理のないペースで頑張って下さいね。
テレビ局のすみの方にある階段の踊り場で石川は腰を抜かしていた。
石川は体中を振るわせながら、目の前に広がる現実に目をそむけていた。
その声につられて、テレビ局のスタッフなどが集まりかけていた。
そんな中、中澤、保田、飯田、辻、矢口、そして市井らの順で集まった。
「すいませーん!うちの石川がお騒がせしました! なんでもないんで、皆さんはお仕事に戻ってください!」
中澤は咄嗟に起点をきかせ、スタッフを遠ざけた。
「裕ちゃん!なんでここに!?」
飯田が大声でそう言った。
「え!?あ…えっと…、ちょっとな…」
頭をポリポリ掻きながら答えた。
「あれ?石川、辻と一緒じゃなかったの?」
保田が、自分よりも後ろにいる辻を見ながらそう言った。
「んー、何度やってもあいぼん出ないや…メールも駄目だし…」
辻が携帯をいじりながら言う。
「どうしてだろうね〜。なんでだろう〜?」
首をかしげて石川が考えていると、辻は、
「あ、梨華ちゃん。私、トイレ行ってくるね。先に行ってていいよ」
そそくさとトイレへ走っていく。
…一緒に行こうって言ってくれても良いじゃない…
うつむきながらトボトボと歩いていく石川は、何かに呼ばれるように階段に辿り着いた。
…あれ…?足…?
その先に広がる戦慄の光景…。
「いやぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「そ、そんな事よりも…!」
石川の震える指先が指す方向には、加護と吉澤が放り投げられた人形の様に倒れていた。
その異様な風景に、皆これがさっきまでいた加護と吉澤なのかが理解できなかった。
いつも騒がしい加護と吉澤が気持ち悪いほどに静かだ。
「な、何!?どうしたの!?」
飯田が階段を一気に下り、2人の元へ急いだ。
「わ、分からないんで…」
「そんな事よりも、早よぉ楽屋に運ぶんや!」
そう叫ぶと、固まっていた辻たちは吉澤らの元へ急いだ。
「裕ちゃん…」
メンバーたちが吉澤らを担いでいるさなか、市井は中澤の所にいた。
「ん?なんや紗耶香?」
「救急車とかは呼ばないのね。さすが…」
冷ややかな目で中澤を睨む市井。そして、皮肉をこめた笑みを浮かべた。
「な、あんた何を…」
心を読まれた気がして中澤は体温が下がった気がした。
「あ、そうそう。ドラマおめでとう」
そう言い残すと、市井はメンバーの元へ行った。
…なんや、一体…
紗耶香が言いたい事なんて分かってるわ。
そうや、つんくさんの言いなりや。
騒ぎを大きくしたらアカンからな…、
ドラマやって、それ以外はあまり出演ないんや…。
でもな、今、ここにいる事は…自分だけの問題じゃないんや…
アイツの…アイツと私との問題でもあるんや…
中澤は自分に強く言い聞かせた。
70 :
ブレア娘。:02/02/26 23:40 ID:sbWeBXLr
今宵はかなり短い更新です。
まだ、旧羊でアップした所まで追いついてないんですけどね。
>>おけつファントムさん
感想とかはかなり嬉しいので、邪魔になどにはならないので気にしないでください。
>>65 お気に入りだなんて…嬉しい!カヲル的存在は今のところ不明って事でお願いします。
>>66 ブレア〜はですね、今のところ再開はないですが…。これ終わったら考えてみます。
時間の表記方法なんですが、自分も「あれ?おかしいな」とか思ってたんですが、
今更変えるのもなんなんで、このままで良いでしょうか?
それでは。
71 :
ねぇ、名乗って:02/02/27 02:44 ID:3/YfaXXP
川o・-・).。oO<(私はでないんでしょうか…?)
72 :
名無し娘。:02/02/27 02:47 ID:O7X8QIXy
(〜^◇^)<復活ありがとー(●´ー`●)
「ふぅ…」
一同は楽屋に吉澤と加護を運ぶと一息ついた。
すると中澤の携帯が鳴った。
「中澤か!今どこや!?安倍は見つかったんか!?」
つんくのけたたましい声が響く。
「見つかってへんけど…。今は…皆と一緒やけど…。そうや!吉澤と加護が!」
中澤は一部始終を話すとつんくはため息をついた。
「なんて事や…。本当に襲われるなんて…。周囲には気付かれてしまったんか?」
「大丈夫」
中澤が間髪なくそう言う。
「そうか…。こっちは1人で不安なんや!早ぉ帰って来てくれや!」
中澤は腕時計を見た。
…もう、時間的に大丈夫やな…
「わかった。今帰る」
「あ、後、例の事で相談があるから…」
つんくが声を小さくした。
「え?例の事?」
「そう、あれや…」
中澤の頭に思い当たるものがあった。
「わかった…」
そうして中澤は携帯を切った。
「じゃ、皆!うち、そろそろ帰るな」
楽屋内のメンバーにそう言った。
「うん…裕ちゃんありがとう…」
飯田と保田が深々と礼をする。
楽屋の隅では市井がノートを片手に冷ややかな目で見てくる。
「ん…じゃ、またな!」
「あ、待って!」
保田が中澤を引きとめる。
「あのさ、裕ちゃんも紗耶香も久しぶりだからさ、写真とらせてよ」
そう言うと、楽屋の隅の市井を手で招き写真を何枚もとった。
カシャッ!カシャッ!
「ありがとう」
保田はそう言うとカメラをカバンにしまった。
「あんた撮り過ぎやで。じゃな。あ、そうそう!今回の事は誰にも言ったらあかんで!」
中澤が楽屋のドアを開け帰っていった。
市井をはずすメンバー全員は、中澤がつんくの家に言ったとは露知らずだった。
「ばいばい…」
酷く低い市井の声は誰にも聞かれていなかった。
楽屋内は未だに沈黙が守られている。
唯一の物音とすれば飯田のすすり泣く声だろう。横で保田が見守っている。
石川は誰かと話したそうだが、彼女の周りには誰もいない。
後藤は市井の顔が見るからに不機嫌な為、黙り込んでいる。
それでも後藤は何かを言いたそうにしていた。
「あ、あのね、市井ちゃん…。私たちプッチでね…」
市井の裾を軽めに引っ張る後藤。
「後藤、ちょっとごめんね…」
市井はそう言って後藤をあしらうと、カバンのノートを見つめていた。
加護の前に辻が腰を下ろしている。
「ねぇ、辻。良かったね…」
辻の耳元で矢口が小さな声で囁いた。
「な、何を言うんですか?矢口さん…」
辻は驚いて矢口を見上げた。
「辻さ、加護の事良く思ってなかったでしょ?」
辻は心を読まれた気がして不快になった。
「そ、そんな事ないですよ!」
少し大きめのその声に、メンバーは皆振り向いた。
「しっ!あんまり声大きいとバレちゃうよ…」
矢口は人差し指で辻の口を塞いだ。
「ミニモニとかで見てると分かるんだよね。あんた結構露骨だよ」
否定をできない辻。
「まぁ私も辻の気持ち分かるけどね…。私も自分を出し抜く人は嫌いだし」
そう言って矢口は辻の元を離れていった。
…どうして分かったんだろう。
本当はあいぼんの事あんまり好きじゃない…。
いっつも私にくっ付いてきて…。それなのに、いっつも私より目立って…。
合宿の時からあいぼんがどっかに行けばいいなぁ、って思ってた。
だから、モーニング娘。の時よりも10人祭りの方が好き。あいぼんいないから…。
でも、なんかあいぼんかわいそう…。
「それじゃ、そろそろ私も帰るね」
市井がドアの方へと歩く。
「あ、市井ちゃん!帰っちゃうの?あのね、私たち市井ちゃんに…」
後藤が引き止めるが市井は軽く受け流した。
「待って下さいよ〜」
石川の声がすると、楽屋の空気が一段と重くなった。
「もうそろそろ休憩終わりなんですよ〜。そしたら石川は1人になっちゃうんです〜。
市井さん〜。一緒にいてください〜」
後藤がキッと横目で睨む。
しかし、市井はそんな石川を無視して帰っていった。
「さぁ、そろそろ収録に戻ろう!今日の仕事はこれで終わりだからね。もう一分張り!」
飯田が涙を拭きながら元気に言った
楽屋には3人きり。石川、加護、吉澤。
石川は横たわる2人を見ていて不安になった。
…どうしよう。安倍さんと同じ犯人に…?
1人きりだと想像が無限大に広がり、いても立ってもいられなかった。
…早く帰ってアレしないと…
石川は震える肩を抑えきれないでいた。
スタジオでは『おねモー』が順調に進行されていた。
風船占い…してみたいなぁ。
そう思っているうちに石川は再び眠気に負けた。
『おねモー』の収録も盛り上がってきた。
スタジオでは元気な顔でメンバーは笑っている。
しかし、その内には不安を拭いきれない者もいた。
「風船占いって楽しいね〜」
矢口が楽しそうに喋る。
「本当〜!ねっ!辻!」
後藤が辻に話を振る。本来だったら吉澤に振っただろう。
「そうですね。梨華ちゃんがいたらやりたそう〜」
辻が目立とうと前に出る。
「でもさ、石川だったら『私できません〜』とか言ってやらなそう〜」
飯田が間髪入れずに突っ込む。
「あ〜やらないね〜」
矢口も笑いながら言った。
こうして『おねモー』の収録は順調に進んでいった。
…良かったわね。喋れて。私が振ってあげたからよ。
そうよ、私のお陰よ。私があんたと仲良くしてあげてるからテレビに映れるのよ。
加護や梨華ちゃんみたいに事務所からプッシュされてる訳じゃないんだから。
いっつも金魚の糞みたいにくっ付いてきて…。はっきり言ってうざい。
「あんたは私がいなきゃ駄目なのよ」
「例えるなら私は太陽。あんたはその光を受けて光る月」
「とびきり可愛いわけじゃないのに、キャラが立ってないなんて最悪ね」
「市井ちゃんと大違いね」
「安心して、また話し振ってあげるから」
一体何回言っただろう?その度にあんたはエヘラエヘラ笑っている。
まぁ、目が覚めたらまた私にくっ付いてくるんでしょ?
分かってる分かってる。分かってるわよ。
何度でも話し掛けてあげるわよ、よっすぃー。
あんたは私の奴隷なんだから。
「ハックション!」
石川は突然大きなくしゃみと共に目を覚ました。その声にも加護と吉澤は起きなかった。
「誰か噂したんですか〜?」
返事はない。いつもの事だ。
ただ今は加護らが眠っているから返事がないのだ。石川はそう思う事にした。
「それにしても、階段から落ちたなんてかわいそう…」
加護の体をつんつん突付く。
「あ、服がはだけてますよ〜」
加護のへそが見えていることに気付く石川。
隠してあげようと服に手をつけたその瞬間、石川はふと紫色のものが目に付いた。
「これは…?」
服の隙間からはかすかにあざらしき物が見える。
「え…?あざ…?あいぼん、ごめんね!」
そう言うと石川は服をまくり上げた。
そこに広がったのは無数のあざ。石川は驚きのけぞった。
目を手で伏せるも、その隙間からその光景は見えてくる。
あざ。
あざ。
あざ。
中には内出血しているものもあった。石川は言葉を失った。
「い…一体、どれだけ階段を落ちたんだろう…」
ふと石川は吉澤に目を向け、服を少し脱がしてみた。
「あれ…?ない…?」
吉澤の体には少しのあざしかなかった。
2人の体を見比べてみると、余りにも違いすぎる。
「よ、よっすぃーって…階段から落とされたのに…。丈夫な体なんですね〜」
少し笑いながら言った。
人気のない公園。
ギー…ギー…
ブランコが揺れる音だけがする。
街灯の光が煙草の煙で鈍く光る。
そんな光に市井は照らされていた。
「市井…お前は音楽の才能があるんや…このままモーニング娘。にいたら損や…
俺が…お前に音楽の事教えてやるわ…だから…」
市井はブランコに揺られながら、無機質な声でそう呟いていた。
頭の中には、その時の場面が鮮やかに蘇る。
「…だから…辞めへんか…」
足先で地面を削る。
「…まずは…作詞やな…」
靴に煙草の灰が落ちる。
「…これからノートに…詞を…書くんや…」
逆の足で灰をどかした。
「…で、俺が…採点したり…やり方を教えて…」
灰をどかした靴の裏の砂が片方の靴にかかった。
「…作曲は後や…作詞はお前の…感情や…気持ちやから…」
手で砂を払おうとした。
「…大丈夫やって…。俺を信じ…」
目の前が見えなくなった。
「…だからな…市井…脱退を…」
目の前が見えたと思ったら手が濡れた。
「…良いか…感じた事を…書くんや…」
地面も濡れた。
「わかりました…」
どんどん地面が濡れていく。
そして市井は赤ん坊のように泣いた。
溢れる涙はそのまま乾いた地面へと吸収されていった。
彼女はその後、何度も何度もつんくの言葉を繰り返した。
「なんや、帰りはえらい早いなぁ」
つんく家の玄関先でつんくが言う。
「まぁ、まぁな。しっかし、大変やったで!」
中澤は話をはぐらかすようにリビングへと向かう。
「てか、メールの予告通りなんて…。しかも加護まで…」
中澤がため息混じりに言う。
「これがそのメールや…」
つんくは、6時ごろ送られてきたメールを開いた。
「件名、くいずです…。同じやなぁ」
中澤が画面に顔を近づける。
「で、例の話やけど…」
「ん…?」
中澤が何かに気付いた。
「ど、どうしたんや」
つんくが身を乗り出す。
「これ…。犯人のアドレス、携帯のやで…」
画面を見ると、確かに携帯から送られてたものだ。
それまでのメールとは、アドレスが違っていた。
「なんで気付かなかったん?」
中澤が呆れた声で言う。
「え、そ、それは驚いたからや!」
つんくは明らかに焦っていた。
「で、例の話や…」
中澤の顔が険しくなる。
「また…紗耶香みたいに…」
拳をぎゅっと握り締める。
「そうや。誰を脱退させるか決めなあかん」
「なんでや?うちが辞めたんで充分やんか!」
「話題が必要なんや」
そう言うとつんくはメンバーの顔写真を並べた。
「やっぱこいつかな…」
つんくは1枚の写真を手にとった。
「保田やろ」
83 :
ブレア娘。:02/02/28 19:05 ID:EoZNMC0B
>>こんこん
残念ながら新メンバー加入前ですから…。
>>72 矢口となっちまで…(w。応援ありがとう御座います。
次の更新で、過去ログ逝きになった所までいくと思います。
84 :
前作から読んでた人A:02/03/01 16:10 ID:NTLknvdU
がんがって下さ〜い
85 :
名無し募集中。。。:02/03/01 18:17 ID:py3dGYPt
ま、これで犯人が安倍だったら糞小説決定だな。
86 :
おけつファントム:02/03/01 19:51 ID:OnFQUkqd
あげ。
更新やたー!石黒のネット麻雀が藁。
いきなり続きから始まったからびっくりした。プロローグ短すぎだよ
中断したの去年の8月初頭だもん。どんな話だがほとんど忘れてる
8時を過ぎる前に『おねモー』の収録は終わった。
「はぁ〜終わった終わった!」
楽屋にメンバーが続々入ってくる。
「おかえりなさい〜」
石川が笑顔で出迎える。
「ただいま〜」
返事は飯田と辻からだけだ。
「あ、そうそう!石川気付きましたよ!あのですね、あいぼんの体に…」
「解散〜」
矢口が石川の言葉をさえぎり、嬉しそうに叫ぶ。
「ちょっと待ってよ。つんくさんから返事待たなきゃ」
後藤が皆引き止める。
「それに…あいぼんたちが目を覚ますのも待たなきゃ…」
辻が細々と言う。
「ん〜、それじゃ、30分くらい自由行動とする?」
飯田がリーダーらしく提案した。
「そうだね。それがいいかも」
保田もそれに同意した。
「そうしよう!じゃ、私がつんくさんの電話待ってるね」
後藤が携帯を取り出した。
「ッチ…」
矢口が舌打ちした。
「私は、写真の現像してこようかな…」
保田が楽屋を出ようとする。
「あ、保田さ〜ん。私も付いて行きま…」
保田はその声に耳を傾けず、楽屋を後にした。
「私もちょっと外出てくる」
飯田もカバンを抱え楽屋を出た。
矢口は何も言わずに楽屋を出た。
「私もちょっと…ジュース飲んでくる」
辻が楽屋を出ようとした。
「あ、私のもお願いできますか〜?」
石川が大声で叫んだ。だが、辻はトボトボと歩いていってしまった。
再び石川はしゃがみこんだ。
「梨華ちゃんは、どっか行くの〜?」
後藤が嫌味っぽく聞いてくる。
「…。」
石川は無言のまま楽屋のドアを開けた。
「あ、私の分のジュースよろしくね〜」
後藤の嫌味たっぷりの声を耳に残し、石川は楽屋を出て行った。
「現像お願いします」
日本テレビ近くのカメラ屋に保田はいた。
「あ…はい…。あれ?モーニング娘。の保田さん…?」
店員が顔を覗いてくる。深々とかぶった帽子は意味をなさなかったようだ。
「あ…はい…。」
そう言うと店員は嬉しそうに喋りだした。
「あ、俺、ファンなんですよ!」
…私以外のね。
「いや〜嬉しいなぁ!」
…私だから残念ね。
「いい事ってあるんですね〜」
…私と会った事は嫌な事ってことね。
「現像、早めにしますよ!」
「いつ頃…?」
「えっと、すぐにでも!」
店員のキラキラした目が逆に保田の気に障る。
「じゃぁ、30分後位にまた来ます」
そう言うと保田は店を後にした。
「お待ちしています!」
…待ってても来るのは私よ。
「収録、ありがとうございました!」
スタッフたちに礼儀正しくお辞儀をする矢口。
「これからも楽しい番組を作りましょうね!」
満面の笑みでそう言うと、矢口はスタッフたちの元を離れていった。
…これでスタッフ達の印象は良いわね…
キャハハと笑う。
…今日も収録中はいっぱい喋ったし…
キャハハと笑う。
…なっちはいないみたいだし…
キャハハと笑う。
…ソロになりたいな…
キャハハと心で笑う。
…今が…チャンスだよ、私…
「ふぅ…」
オレンジジュース片手に飯田が椅子に腰掛ける。
…なんで…あんな事になってたんだろう…
飯田の頭に加護と吉澤の顔が浮かぶ。
…リーダー失格かな…
ジュースをゴクリと飲む。冷たさが喉を通る。
飯田はカバンからファイルのようなものを取り出した。
そこには手書きで『メンバー分析表』と書かれていた。
それは、メンバーの性格や好き嫌いが事細かに書かれたものだった。
…私はリーダーなんだから、みんなのこともっと知らなきゃ…
飯田はファイルを読み始めた。
石川はりんごジュース片手に廊下にたたずんでいた。
…なんで、みんな仲良くしてくれないんだろう…
目の前を日本テレビの社員であろう女性2人が楽しそうに話しながら通り過ぎる。
…ののだって、あの時ちょっと私のこと待ってくれれば…
ジュースの缶が少し潰れる。
…保田さんだって…飯田さんも矢口さんも!…
石川の目に涙が溢れていく。
…私も…誘拐されたら、みんな心配してくれるかな…
石川は目を手でこすった。
…私は…みんなのこと…いっぱい知りたいのに…
…あいぼん…どうなっちゃうんだろう…
辻の手には携帯が2つあった。片方は加護のだ。
…あいぼん、どうしたんだろう…
携帯のメモリーを開く。
…どーせ、あいぼんが悪いことしたんだよね…
辻はその後延々加護の携帯を調べた。
…良かった、着信ある。拒否されてなかった…
そう思ったが、無視されたと考えると腹が立ってしょうがなかった。
楽屋では後藤が携帯ばかり見つめている。
加護と吉澤には関心がないようだ。
「ん………んん…。」
気の抜けたあくびの様な声がした。
後藤は、その声がする方向を向くと吉澤が体を起こしていた。
「よっすぃー、起きたんだ。」
後藤は再び携帯を見つめた。
「あ…うん…」
隣で寝ている加護をチラリと見る。
「あと少しでみんな来るから」
顔も向けずにそう言ってくる。
「あ…うん…」
すると、後藤が鼻で笑いながら振り返った。
「それにしても、よっすぃー馬鹿だね〜。気絶してるんだもん。
かなり間抜けな顔してたよ。私、笑うの必死でこらえちゃった!」
吉澤はうつむき、
「あ…うん…」
と再び言った。
「ねぇ、あんたそれしか言えないの?ホント、1人だと何も言えないのね。
そんなんで、よくポスト市井ちゃん気取ってられるわね。信じられない。
あ、そうだ。みんなが来たら、私がよっすぃーの目を覚まさせたって言って。
言えるよね?理由は適当に考えてよね」
そう言うと後藤は椅子から立ち上がった。トイレにでも行くのだろうか。
「あ…あのね…私…」
その声は後藤には届かなかった。
94 :
ブレア娘。:02/03/02 04:04 ID:WSK1KITI
>>84さん
夏の頃に読んでてくれたんですね、ありがとう御座います!
>>83さん
ふ、糞小説にならないようにがんばります。
>>おけつファントムさん
またまたありがとう御座います!東風荘、自分も好きです(w
>>86さん
プロローグ短かったですかぁ。じゃぁエピローグは長めに…。忘れてしまう位期間空いちゃいましたからね…。
できれば読み直してくれれば嬉しいです。
95 :
名無し募集中。。。:02/03/02 10:36 ID:B8JCVWa8
圭ちゃんが・・・かわいそう・・・
96 :
:02/03/04 00:34 ID:unFpMtTE
保全。。。
ほぜーん
98 :
va:02/03/05 17:27 ID:dtSaZ5HL
確か前回この辺で流れちゃったよね(w
以前も楽しみだったから
今回も頑張ってくれ!!!
次々に楽屋に娘達が集まってきた。
「よっしー!目が覚めたの〜?」
石川が声を張り上げると吉澤は困ったように微笑んだ。
「後は、つんくさんからの電話待ち〜」
後藤が嬉しそうに携帯を見つめては笑いを浮かべていた。
みんなそんな後藤を見ては軽蔑の眼差しをむけた。
すると後藤の携帯が音を鳴らした。
「は!はい、もしもしつんくさん!後藤です〜!」
黄色い声で後藤が対応する。
「お、後藤か。収録は終わったみたいやな。他の皆はおるか?」
「はい!みんないます!まだ加護が寝てますけど」
周りを見渡さずに即答した。
「それでつんくさん、一体どうしたんですか?」
「そうやな…、もう隠す必要はないな…」
つんくはこれまでの事を話した。
安倍の誘拐…吉澤への脅迫…。
唯一話さなかったことは、保田脱退の命令だけだった。
「…はい、ありがとうございました…」
黄色い後藤の声は、いつの間にか暗く重い声に変わっていた。
ピッっと携帯を切る音がした。
「…今から、つんくさんが言ったこと…言うね…」
そう言うと、後藤は暗い雰囲気のまま語り始めた。
「なっち…」
保田の憂いを帯びた声が聞こえた。
「ど、どういう事ですか!私は嫌です!私はもう帰りたいです!
辻がワッと泣き出した。
「大丈夫…大丈夫だから…」
そんな辻を飯田が抱きしめる。
石川はこれと言って反応はない。
「冗談じゃないわ…、私帰るから…」
後藤がいきり立ち、バッグを手に取り楽屋から出ようとした。
「ちょっと…こんな時に1人になっちゃ危ないよ…」
吉澤が後藤を止めようとした。
「なら、よっしーも一緒に来なさいよ。ほら行くわよ」
後藤は吉澤の手を強引に引き、楽屋を出て行ってしまった。
「勝手な人たち…」
飯田が辻に囁いた。
「じゃ、私も帰るね。急ぎの用ができたし」
矢口はそう言うと楽屋を出て行ってしまった。
「圭織、私も帰って良い?写真の現像終わっただろうし…」
保田は飯田の了解を得て、楽屋を出ようとした。
「待って下さい〜!石川も行きます〜!」
石川がカバンを担ぎ、保田に付いて行こうとした。
「あんたは来ないで良いわよ」
そう言うと、保田はそそくさと出て行った。
「…」
石川は何も言わずにとぼとぼと楽屋を後にした。
「辻…どうする?私もそろそろ帰るけど…」
「私はあいぼんといます…。どっか別の部屋かります…」
「じゃぁ私も少し手伝うよ。」
そう言うと飯田は加護を抱きかかえ、辻と共に楽屋を出た。
「はい、写真できあがりました!」
先ほど来たカメラ屋。
「ちょっと遅れて悪かったわね…」
「いえ、そんな事ないですよ」
…良いのよ、本当の事言って…
写真を受け取ると、保田は無言でカメラ屋を後にした。
「また来てくださいね!」
店員の元気な声だけがした。
…来て欲しくないくせに…
石黒邸。
台所のほうで、あの男がコンビニ弁当を食べている。
一方で石黒の目にはパソコンの画面しか映っていなかった。
しかしHPには管理人と犯人以外の投稿は何もない。
題名:『モーニング娘。誘拐事件 途中経過その2』
投稿者:SILVA
犯人さん、書き込みありがとう。本物じゃないでしょうけど。
速報よ。
さっき面白い事が起きたみたい。
なんと、吉澤と加護が何者かに襲われたの!
なっちが誘拐、その上この事件!
これからももっと大波乱の予感!
6月27日 21:23
「ケケケ」
笑いが止まらない。
楽しい。いつぶりだろう、こんな楽しさ。
それにしても、この管理人のSILVAって誰かしら?
シルバー…歌手…銀…
焼銀杏…?
懐かしい事思い出しちゃった。
「なぁ風呂は…」
うるさい雑音ね。
私は今、とっても楽しい事をしているの。
だから、邪魔しないで、縄男。
更新遅れてすいません!私的事情で睡眠不足だったので…。
>>103 ご苦労様です。楽しく読ませていただいてます。
「もうメールは来ないみたいやな」
ふぅっと深呼吸するつんく。
隣にいる中澤も少し安心の色を見せていたが、どこが青ざめている。
「ちょっと休憩しましょうか…」
お茶でもくんでこようかと、ソファを立ち上がった瞬間だった。
LOVEマシーンの着信音。つんくの携帯が鳴り響いた。
画面には「非通知」。
誰やろう、そう思い携帯に出た。
「もしもし…」
「くいずです」
機械を通したような、妙に声が高い声でそう聞こえた。
「ひぃ!」
つんくの顔がみるみる歪んでいく。それを見ただけで、犯人からだと中澤は認知できた。
「くいずです。後藤を今すぐ娘。から脱退させてソロデビューさせろ。
さもないと安倍の命はないよ」
そう言付けすると電話は一方的に切られた。
「な、なんやって…」
中澤の驚く声。初めての電話に、メールのときとはまた違った恐怖が感じられた。
「…!こんな要求って…」
まさか、後藤の熱烈ファンが犯人…?中澤はそう考えた。
「なんや、こんな簡単なことか」
中澤は耳を疑った。
「こんな事なら、いくらでもしたるわ!」
つんくは笑みを浮かべた。
「つんくさん?本気で言ってるん?」
中澤が恐る恐る尋ねると
「当たり前やん、今から後藤に連絡せなあかんな」
すると、つんくは携帯を手にした。
「ちょっとトイレ行ってくるわ…」
中澤はリビングを出て行った。
「保田ならいくらでも脱退させれるっちゅうのに…」
ピッピッ…。
トイレで携帯の番号を押す中澤。
「もしもし…」
「…なんか動きがあったのね。教えなさい」
「…って訳や…」
「あはは、これでまたHPが盛り上がるわ」
「うち…もうこんな事したぁない…」
「何言ってるのよ。あんたが私に何したかわかってるの?」
携帯が切れた。
泣いている福田の顔が脳裏に浮かんでくる。
…ごめん…ほんまごめん…
言葉に出せない叫びが胸をかき乱していた。
…ごめん…明日香…
石黒邸。
リビングで石黒の旦那が子供をあやしている。
ケケケ…。また更新されている…。
へぇ、今度は後藤がねぇ…。
ソロデビューって…。まさかあの子、自作自演してるんじゃない…?
それにしても電話だなんて…面白いことしてくれるじゃない…
「なぁ…彩…」
…うるさい、縄男。
「さっきも言ったけどな…明後日…」
…耳障りな声…
「俺とお前で…」
…
「わかったわよ。だからちょっと1人にしてよ」
そう言うと、石黒の旦那はまた子供をあやし始めた。
「…だから!嫌です!」
ファミレスの中で小さく怒鳴る後藤。そんな後藤を、機嫌を伺うように見る吉澤。
「そんな事言ったって、犯人がそう言ってきてるんや!」
携帯からでも、聞こえてくるほどのつんくの大声。
「それじゃ、犯人の思う壺じゃないですか!後藤は絶対嫌ですからね!絶対!」
そう言うと、後藤は携帯の電源を切る。
「最低…。ソロなんて娘。にいても出来てた事じゃない…」
苛立ちながら目の前のオレンジジュースを飲む。
「ねぇ…ごっつあん…」
吉澤が何か言いたそうだ。
「何よ…。ちょっと今機嫌悪いんだけど…」
後藤はふてぶてしく髪を耳にかけた。
「あのね、私ね…。」
この次の段落は結構長めで重要なんですが、一応次の更新行きで…。
>>104さん
ありがとう御座います!
109 :
名無し募集中。。。:02/03/08 00:51 ID:Q+GzIKUC
福田マンセーあげ
>>ブレア娘。
アンタの小説は「世にも奇妙」でも読んでたよ。
ガンガッテね。
「うちなんだ…」
いつの間に目が覚めたのだろう、ソファに寝かされていた加護がそう言った。
「え?」
お菓子を食べていた辻は、突然の出来事に驚きふためいた。
「よっしーを階段から…落としたの…うちなんだ…」
涙を我慢しているような、少し声が裏返っている。
「なっ…!じょ、冗談でしょ…。ど、どうしてそんな事…!」
辻は目の前に犯人がいる事の恐怖と、好奇心でいっぱいだった。
「今日、『OH−SO−RO』の収録中に市井さんが来たって言ったやん…?」
辻は、あぁそんなメールが来たっけ、と記憶をさかのぼっていた。
「その時、市井さんがつんくさんに今回の事件の事話していたんや…」
「どうして、あんな平仮名しか打ってこない犯人を警戒しなきゃいけないんですか?
題名も『くいずです』なんて…。なっちも誘拐するなんて…」
ラジオ局での市井の声だ。
「うちな、収録中にトイレに行ったんや。その帰りのこと…」
加護の声がみるみる涙に染まっていく。
「うち、それ聞いて…今回の事思いついたんや…。アドレスは、前につんくさんから聞いたし…。
ただメール出すために、携帯のアドレス変えなきゃいけなかったけどな」
辻は、ようやく加護宛に出したメールが戻ってきた理由が分かった。
「でも、でもなんでよっしーを…?」
辻は明らかに怯えた声だった。
すると加護はいきなり服を脱ぎだした。
加護の肌に見えたものは、いくつものあざ。
大きいもの…小さいもの…。色も様々だ。
「これ…何に見える…?なぁ…何に見える?」
立ち上がった加護の顔は、赤味と大粒の涙で彩られていた。
「冗談でしょう…」
後藤がこの声を発するまでどれくらいの時間がかかっただろう。
彼女が睨む先には泣きすする吉澤がうつむいていた。
「ううん…本当…。あいぼんが…やったの…」
また再び沈黙が訪れる。
「あの時ね…、あの…皆を待っている時間。いきなり梨華ちゃんが寝始めたの…。
今考えると、睡眠薬とか、目薬とか入れていたのかもしれない…。そして…そして私は…」
吉澤がせきを切ったように語り始めた。
辻がむせるような声で涙を必死にこらえている。
それもそのはず。目の前で全身あざだらけの少女がいるのだから。
「こんなんだから…うち。三人祭り…嫌やってん…」
普段、服を着た状態で露出する部分には、あざは1つもない。
「これな…全部…よっしーにつけられたものなんや…」
「は…?」
辻は加護の言葉を信じようとは思わなかった。
「結構…うちらが娘に入って、ちょっとした位やったと思う。最初は軽く叩かれたり、打たれたり。
それだけやったんや…。でも、段々…段々それが強くなってきて…」
加護の体が震え始めた。
「休憩中とか…みんながいない時とか…、人気のない所に呼び出されて…。
殴ったり…蹴ったり…つねったり…。すっごく…すっごく痛かったん…。
今日…梨華ちゃんのお茶に…ね、目薬入れてみたんや…。
そしたら、梨華ちゃん…本当に寝てもうて…。うちも寝ようかなって思ったけど…。
そしたら、いつものように…よっしーが…。今日こそ、よっしーにこんな事やめさせようと…。
これで説得できなくてもな…、つんくさんに出したメールで…よっしーが脱退する思て…。
安倍さんの事…利用して…悪い事してるて…思ってた…。」
辻は胃の奥から吹き上げてくるものをこらえながら聞いていた。
「でもうちは…誰にも相談できなかった…。ののに相談しようとしても、あんまり話聞いてくれなかったり…。
ほんまは、今日も階段から突き落とそうなんて…考えてなかったんや…。
だから…その後、誰かに背中押されたんも…バチなんや…。
でもな、のの…。うちが…よっしーを説得しようと…こんな事もうよそう、と言った時…。
…よっしーが…よっしーが言ったんや…。『あんたが…』」
「…最低」
加護の口が止まった。一番側にいて欲しい人に、一番言われたくない言葉…。
「どっちも…どっちじゃん…」
一番分かっていて欲しい人の、冷徹な言葉…。
加護は、足の力が無くなったかのように床に尻を落とした。
「心配して…友達だと思ったのに…。よっしーもあいぼんも一緒じゃん…!」
耳を塞いでも響いてくる声。
「安倍さんも…安倍さんもあいぼんが…」
「それは…それは違うで!!」
すると辻は自分のバッグも持ち、部屋を出て行った、「人殺し…!」と言う事場を残して。
加護は半裸のまま、ただ泣くことし出来なかった。
「なんで…そんな事したのよ…」
オレンジジュースの氷が溶けてしまった。
「分かるでしょ…?あいぼんばっかり皆見てて…。おかげで私ははきだめの10人祭りよ…」
「そんな…そんな事で加護をひどい目に…。あんた、最低…!」
最低、という言葉に吉澤は笑った。
「そうかもね…。どんな理由があっても私は最低だよね…どんな理由があっても…」
吉澤の目に涙が溢れた。
「でもあの時、私、あいぼんに酷い事言ったの…。だからあいぼんは…」
「なんて…なんて言ったのよ…」
「……」
みるみる内に後藤の顔が明らかに怒りに満ちた。
「…あんた…ゲスよ。市井ちゃんと…大違いよ!」
「市井ちゃんと大違いか…」
どこか思いつめた様子で立ち上がる吉澤。
「ごめんね、もうここにはいれないや…」
そう言い残し、吉澤はファミリーレストランを飛び出していった。
テーブルには2つのコップと1人の少女だけが残された。
>>109さん
福田マンセーっすか(w。
>>110さん
あっちも見てたんですかぁ、なつかしいです…。
あいぼむ凹凹。(((゚д゚)))キョワー
更新は明日になります、遅れてすいません。
飯田の自宅マンション。
携帯を片手に誰かと話している。
「…で…ね、こんな状態で…皆…大丈夫かな…、裕ちゃん」
飯田が弱々しく喋る。
「大丈夫やって!圭織はリーダーなんやで!」
中澤が飯田を元気付ける。
「でも…」
「心配すんなや〜。元リーダーの私が言ってるんやで。
あ、ちょっとつんくさん呼んでるから、切るな。ま、またなんか相談あったら電話しぃな」
しぶしぶ携帯を耳から話す飯田。
…明日香にあんな事しておいて、よくリーダー語っていられるわね…
「焼銀杏ってあだ名つけられてそんなに嬉しい?」
「あんた、誉められているんやないで。ブスって言われてるんや」
「1人で顔面偏差値下げるんじゃないわよ」
石黒と中澤が福田を囲っている。
「そ…そんな事ないよ…」
飯田と安倍を横目で見る福田。その目は助けを求めているようだった。
「あぁん?タメ口聞いて良いって誰が言った?」
石黒が福田の足を踏む。
「痛っ…!」
顔が歪んでいく福田。
「ねぇ、圭織…。明日香…助けに行こう…」
安倍が飯田の裾を引っ張る。
「…う…うん…」
曖昧な返事。
行動を起こさない飯田に対し、安倍はすぐさま福田達の元へ駆けつけた。
あの頃を思い出すたびに胸が苦しくなる…。
でも、仕方なかったのよ。じゃないと自分が酷い目に会っちゃうかもしれなかったし…。
でも…明日香。私は、明日香の味方だったよ。
「助けて…欲しかったな…」
…。
私は味方…だったの…?
短い更新で本当すいません!
最近忙しくて…。
>>おけつファントムさん
いつも感想ありがとう御座います。かなり励みになります!
裏モーニング娘。って感じで良いね
hozen
保全
保全してみよう
127 :
ななしで:02/03/18 14:43 ID:QfGNpbAl
ほぜM
128 :
名無し募集中。。。:02/03/19 00:19 ID:IOZW4oEd
定期age
129 :
6月28日 AM00:48:02/03/19 23:04 ID:/RYtpnq4
保田はもう自宅帰っていて、寝る準備をしていた。
「やだ…レンズがない…」
寝る前の習慣であるカメラの手入れをしようとした矢先の事だった。
…確か、紗耶香と裕ちゃんが来た時には写真撮ったから…
「やだ…楽屋に忘れてきたんだ…」
明日は日本テレビで仕事がない。
…大切なレンズなのに…
時計をチラリと見る保田。
「仕方ない…今から行くか…」
保田は眠たい目をこすりながら、着替え始めた。
保田のベッドの下では、つんくの家のリビングと同じように、赤いライトが点滅していた。
「…です」
辻が携帯でつんくに加護の事を話す。
「…ほんまかいな…。なんであいつそんな事…」
絶望したようにうつむき携帯を切った。
「ちょ…どういうこと…」
中澤がつんくを覗き込む。
「…あのな…」
「…ってことらしいんや…」
「じゃ、じゃぁあの携帯からのくいずメールは…」
「加護っちゅうこっちゃ…」
加護の事、そして吉澤の事。
気付けなかった事の悔しさが中澤を襲う。
「裕子…あんまり気にするなや」
「…」
肩に置かれた手から伝わるつんくの優しさ。
「まぁ加護の事よりも、まずは保田を辞めさせなあかんな…」
そっと手のひらが離れていった。
「早ぉ、保田に電話せな…まだあいつ起きとるかな?」
「今日は…もうやめとこうや…」
中澤に再び悔しさが襲う。
「…」
全てをつんくに話した辻は、胃の中のものを全て吐き出しだような爽快感を感じていた。
…お風呂にでも入るか。
そうして辻は下着をタンスから取り出すと、風呂場に向かった。
パチン…。
部屋が暗闇をまとう、赤く点滅するライトを残して。
意識と無意識の狭間。
すでに眠気でもうろうとしているつんくと中澤。
2人ともソファに寄りかかり、今にも深い眠りに入りそうだ。
そこに目覚めを告げる使者の声。
「メールが届きました」
突然のその声に、重いまぶたが再び開き始めた。
「件名:こらしめたよ
びんじょうはんたちは ゆるさない だからこらしめちゃった
そうそう おもしろい ほーむぺーじ あったよ」
メールの一番下にはURLが書かれていた。
「なんや…このホームページは…」
咄嗟に中澤がそれを制止しようとする。
「ちょっ、つんくさ…」
中澤の手が間に合わずウィンドウが開かれる。
「な…なんや…なんやこのホームページは!」
『モーニング娘。誘拐事件 実況生中継』
今まで送られてきたメールが全て公開されている。
「い、一体誰が…」
つんくが青ざめていくのが分かる。
「裕子…これは一体…」
HP内を隅々見渡すつんく。
「なんでこのホームページが…」
中澤はそうつぶやきトイレへと駆け込んだ。
驚きのあまり、トイレの回数が異常に多い事につんくは気付かなかった。
トイレに入るなり携帯を取り出し、福田の番号を押す。
するとコール音が3回もしないうちに福田が出る。
「…なぁ、あんたあのホームページ、誰に教えたん…」
頭の中に巡る2つの想像。
福田がHPを不特定多数に公開し、今回の事件が世間に浮き彫りになってしまう事。
しかし、それが最悪の事態なのではない。
むしろもう1つのほうが最悪なのだ。
中澤は福田の返答を息を飲んで待った。
「安心しなさいよ。メンバーだけにしか送ってないわ…」
それは、中澤が想像した最も悪い結果を導き出す審判だった。
世間にはおろか、ネット上でこのHPのアドレスを誰にも公開していない。
しかし、犯人はこのHPの存在を知っていた。
つまり犯人はこのHPを知っている人物、つまり…。
…犯人は…うちらの中に…いるんかい…
更新遅れてすいません!
保全してくれたみなさんありがとう御座います。
そして、ageてすいません・・・。
更新感謝
hozen
保全
つんくの興奮が冷めてきた頃、再びつんく邸に静けさが戻った。
「…大丈夫やから…」
つんくの肩を抱き、頬をすり寄せる中澤。
「…せやな…」
おもむろに携帯を手に取る。
「誰に電話するん?」
「誰かって…決まってるやろ。保田や」
中澤はつんくの体から身を離した。
「あんた…!こんな時にどうして…!」
「こんな時だからに…決まってるやろ!ストレス…発散や!」
半ばヤケクソになってるのだろうか、つんくの目は常軌を逸していた。
「ちょっと待ってぇな!」
中澤が携帯を取り上げた。
日本テレビ。
「すいません。ここの楽屋にカメラのレンズありませんでした?」
局員にレンズの所在を尋ねる保田。
聞くところによると所有者がわからなかったため、一時小道具部屋に置かれたらしい。
ありがとうございました、と礼を言うと保田は小道具部屋に向かった。
その途中、後方で聞き覚えのある声がした。
「保田さ〜ん!」
石川が走って保田のもとへ近づいてくる。
「あんた!どうしてここにるのよ!」
前かがみになり息を整える石川。
「そんな事よりも…つんくさんから…電話ありました…?」
息が切れている石川はどこか色っぽかった。
「つんくさんから?ないわよ。で、なんでここにいるのよ」
「それは…なんとなくですよ…」
そうこう話しているうちに小道具部屋に着く二人。
小道具部屋とはいったものの、その役目はほとんど物置と変わらなかった。
「なんか…ほこりくさいですね…」
当たり前のように無視をされた。
…ここに私の大切なレンズが…
その事だけが保田の頭に浮かんでいた。
部屋を見渡すと、使わなくなった服、ストーブ、ドラマの台本などがあちこちにあった。
…忘れ物をこんな所に置いておくんじゃないわよ…
苛立ちを覚えながら石川に命令する。
「あんた、私のカメラのレンズ探しておいて」
そう言うと、部屋にあるパイプ椅子に座る保田。
「え〜、私がですか〜?」
利用されている反面、頼られているのが内心嬉しかった石川。
棚がいくつもあるため、探すのは困難だ。
…ふう、疲れた…
「保田さ〜ん、ありませんよ〜」
…紗耶香、元気なかったな…
「保田さ〜ん!これなんですか〜。面白いですよ〜」
…裕ちゃんも、なんか違ったし…
「あ!保田さ〜ん」
…2人ともつんくさんと上手くいってないのかな…
「紗耶香…本当に辞めるの…」
「うん、でもねつんくさんがね…」
「そっか…、じゃぁ栄光ある卒業なんだね…」
「そうよ!今に見てなよ〜!すっごいシンガーソングライターになってやるんだから!」
…そう言えば、現像した写真見てなかった…
「ほら、ガス詮がありますよ〜」
…どこだっけ…あっ、これか…
「石川ここで暮らせそうですよ〜」
…ちゃんと現像してあるわね…
「保田さんも一緒に暮らしませんか〜」
…なに…これ…
「保田さん?」
写真を覗き込もうとする石川。
「な、なにやってるのよ!早く探しなさい!」
そういわれた石川はしぶしぶ戻っていく。
とたんに、保田の携帯が鳴り響く。すると、石川はすごい剣幕で声を張り上げた。
「保田さん!だ、誰からですか!?」
「うるさいわね…。裕ちゃんよ」
「そ、そうですかぁ」
どこか石川は安心したようだ。
「もしもし…?」
「あぁ…圭坊か…」
いつもの中澤の元気がない。
「裕ちゃん…?泣いてるの?」
「いや、大丈夫や…。サブリーダーのあんたに話があるんやけど…」
「何?」
「良いか、誰にも言ったらあかんで。あのな…」
「え?犯人がメンバーの中に?」
「そうなんや…。信じたくないけどな…」
「そんな事って…。圭織もこの事…」
「圭織には言ってへん。あいつリーダーやけど動揺しやすいからな」
「おかしい…おかしいよ…」
「気持ちは分かるで。でもな…これが現実なんや」
「……」
「それだけや、じゃまたな…」
中澤との電話が切れると、再び保田の携帯がなった。
「…、石川。つんくさんからよ…」
さらに驚く石川。
「出ちゃ駄目です!」
いつもとは違った、真剣な表情のでそう言った。
保田は少し勢いに押されたが、それでも携帯に出ようとする。
「保田さん…出ないで下さい…」
石川はいつの間にか涙声に変わっていた。
…うるさい…
そして保田は携帯に出た。
「もしもし…」
「あぁ、保田か!お前になぁ、良い話持ってきたんや」
どこかつんくの息遣いは荒い。石川はなぜか涙を流している。
「良い話?」
「そうや。保田、お前脱退しろ」
「は!?」
「市井みたいに回りくどい辞めさせ方はやめや!お前はな、戦力外なんや。
お前1人いなけりゃ、今度のオーディションで1人多く合格させれるやろ?」
「ちょ…」
「お前もいい夢見れたやろ。会見とかのコメントは事務所に任せとき。」
「待って下さい!紗耶香がなんですって…?」
「だからな、市井辞めさせる時は面倒やったんや。色々嘘考えたりな。
せやけどな、やっぱ話題っちゅうのは必要なんや。」
「そんな…。紗耶香は…シンガーソングライターになるって…」
「なれるわけないやろ?大体、なんであいつが選ばれたか分かるか?あみだくじで決めたんやで…ハハハ」
「嘘…」
「嘘やない。ってか市井の事はもう良いねん。じゃ、保田は脱退決定な」
「なんで!なんで私が!?」
「…分かってるやろ」
そう言ってつんくは一方的に電話を切った。
泣きながらリビングに入る中澤。頬がかなり赤い。
「裕子か…殴ってすまんかったなぁ」
悪気が微塵もこもってもない謝罪の声。
「でもな、お前が邪魔するからいけないんやで」
つんくが下品に笑った。
「トイレ…行ってました…」
中澤にとってその言葉は、『福田に報告しました』と同等の意味だった。
「またか、裕子!しかも、お前のトイレ長いなぁ!」
つんくがまた下品に笑った。
「…」
無言のまま放心状態となる保田。
「保田さん…」
「…知ってたの…?」
保田の声からは怒りは感じられなかった。
むしろなんの感情もこもっていない無機質な声だ。
「石川は…なんでも知ってますよ…。保田さんが…ここに戻ってくる事も…。
安倍さんが誘拐された事も…あいぼんが…よっしーを階段から突き落とした事も…。なんでも…」
涙で途切れ途切れの声でも、保田にははっきり聞こえた。
加護が吉澤を階段から突き落としたという事が。
「そう…。もう駄目ね、娘は…。いらなくなったらすぐお払い箱。
おまけに仲間を疑ったり…傷つけるなんてね…。もう…疲れたわ」
そう言うと保田は石川を払いのけ、ガス詮を開いた。
シューとがガスがもれる音がし始める。
「保田さん…?何する気ですか…?」
そんな事はとっくに想像はついていた。だが石川は認めたくなかった。
保田はストーブの灯油を床に撒き散らした。
「やめて…やめて…下さい」
保田に飛び掛り止めようとしても振り払われてしまう。
「ふん…良い気味だと思ってるんでしょう…。もう疲れたわよ!そんな人生。
笑いなさい…笑いなさいよ!無様でしょ?」
シューとガスがもれる音が大きくなる。
「保田さん…そんなこと…言わないで下さい…」
灯油まみれの石川が保田の足にすがる。
倒れたストーブからは続々灯油が流れ出る。
それでも保田は棚にあったマッチを手にした。
「…行きなさい……」
涙を流すその目は力強かった。
「行きません…保田さん…駄目です…」
涙で顔がくしゃくしゃになる。その顔はとてもアイドルとは思えないほどだった。
「うるさい!あんたも巻き添えになるわよ!」
マッチを箱から取り出す保田。
ガスが部屋中に充満したせいか、2人ともせきをし始めた。
「駄目ですよ…そんなことしちゃ…保田さぁん…」
見下ろすとそこにある石川の顔。
…私はずっとこの顔が憎かった。
「はじめまして…石川梨華です。よろしくお願いします」
…この声も大嫌いだった。
「保田さ〜ん、今度の曲、石川がセンターなんですって!どうしたら良いんですか?」
…私を踏み越えていく女。
「やめましょう…保田…さん…」
「うるさい…!うるさいわよ!」
マッチ棒をやすりに付ける。
「駄目です…。駄目……!」
「だまれ…黙れ…!」
その時、日本テレビの建物が激しく揺れた。
ジリリリリリリ!
日本テレビの火災報知気が鳴り響く。
そして、けたたましい音と共に爆風が部屋のドアを吹き飛ばした。
熱気とざわめきが波紋のように広がっていく。
更新遅れてすいません!3日とか空いての更新になりそうです。
保全してくれたみなさん、ありがとございます。
面白いです!
楽しみにしてます。
ほぜむ
144 :
名無し募集中。。。:02/03/28 18:37 ID:XWDvHJlh
みんなそれぞれ裏の顔があってイイ(・∀・)
hozem
・・・・スゲエ・・・・・!まさかここまでの惨事に
発展していくとは・・・。作者さんは鬼ですねwマジ土器です。
超ほぜむ!
なっちの誘拐とはまた違ったところで次々に事件が・・・。
がんがれ作者
作者はまったく書き直したって言ってるから大丈夫だと思うけど
あんまり風呂敷広げすぎて、風呂敷畳む時グダグダにならないよう頼む
定期ほぜm
ほぜ
む
明日、更新します!
遅れてすいません!!!
楽しみにしてます。がんがって!!
「え…圭ちゃんと石川が!?」
真夜中に携帯で起こされた飯田。
「そうや…、病院に運び込まれたん…」
「そんな…そんな…」
涙をこらえようにも、それはとめどなく溢れ出す。
「良いか…落ち着け…。とにかく…明日は普通に仕事せい…」
「こんな時に仕事ですか!」
「あほ!記者の奴らに勘付かれたらどうするんや!現場のほうは事務所の力で抑えてある!良いか、イメージが大切なんや!」
「あんたのせいやで…」
つんくが携帯を切り終わると中澤がそうつぶやいた。
「ほんまや…なんで…なんで保田だけやなかったんや…」
中澤の背筋を何かが伝った。
「あんた…あんた今…なんて…」
「せやから、石川まで巻き込まれたのは痛いっちゅうことや。保田だけやったら、脱退の良い材料が揃うっちゅうねん」
平然と喋るつんく。いつぞやの恐怖に満ちた声とはまるで大違いだ。
「狂ってる…」
もしかしたらつんくが犯人なのでは、中澤はそう思えてしかたなかった。
「ここがその病院か…」
市井は、保田と石川が運ばれた病院に来ていた。
看護婦に自らの顔を見せると、市井は病院の最上階にあるいかにもVIP用の部屋に連れて行かれた。
部屋に入ると、頭のよさそうな医者と年配の看護婦が話し合っていた。
2人は市井の姿に気付くと手招きをして彼女を呼び寄せた。
「あの…2人の容体は…?」
「なんとか2人とも命に別状はありません…」
言葉の割には雰囲気が重い。
「ただ…火傷がひどいですね…」
看護婦が気まずそうにベッドを見つめる。
「爆発の大本が、お2人の近くであったのが何よりの幸いです…」
「2人の近く…?」
「ええ、どうやら保田さんがガスの充満した部屋でマッチを付けたみたいですね」
保田に脱退命令が下された事を知らない市井は、なぜ保田がそのような行動をしたかが分からなかった。
…馬鹿な人…
市井は呆れてしまい、笑いをこらえた。
「でも、近くにあったのが幸いって…?」
「あぁ…爆発が起きたときは、中心に近いほうが衝撃は少ないんですよ。
もし遠く離れていたのなら、爆風と熱風でもっと酷い事に…」
看護婦の表情が暗くなる。
「あの…それで火傷の具合は…?」
「ああ…。保田さんは比較的軽いほうですね。ただ石川さんが…。彼女たちを見てみるのが早いでしょうね…」
そう言うと、医者は市井をベッドの方へ誘い、2人を見るように促した。
2つのベッドが左右に並んでいる。そこに寝込んでいる2人は不気味なほどに動かない。
体には数本の管が繋がっている。これが彼女たちを生かしているのだろう。
その管が大小さまざまな大きさの機械へと続いている。
保田と石川。2人は静かに眠っている、とても静かに。
いや、石川に関して言えば“眠っているのかもしれない”。
なぜなら、市井は石川の顔が見れないからだ。
「先生…これって…」
「石川さんは…顔中が火傷で…」
腕には多少の包帯が巻かれているものの、顔にはガーゼ程度の処置が施されている保田。
それに対し、石川の頭部は包帯でぐるぐる巻きにされていた。
…気持ち悪い…
まさにミイラと呼ぶべきなのだろう、そのグロテスクさに市井は吐き気すら覚えた。
「なんで…石川はこんなにひどいんですか…」
すると、看護婦が涙を流しだし、部屋を出て行った。
「石川さんは…保田さんをかばったんですよ…」
「えっ…」
市井は詳しく医者にその事を聞いた。その時の真実を見極めるために。
更新遅れて本当にすいません。
保全して下さったみなさん、ありがとう御座います。
157 :
:02/04/06 16:44 ID:iKCK1LLa
おもろいわ。更新ありがとう。
こういう雰囲気の小説大好き。
がんばってや。
159 :
ななし:02/04/07 14:56 ID:/FBC8Aas
なんで石川が保田脱退知ってるのか不思議あげ
160 :
読者鳩:02/04/07 17:09 ID:YikBW/1I
あの火事がこんな形で再現されるとは・・・すごいです。
って、このままじゃ最後に娘。全員が石川のオムライスを食べることに?!
そっちの方が怖いよ〜。 でもガムバレ作者さん!
保全
ほぜむ。
更新遅れてすいません!
明日更新します。この時期忙しくて…。って言い訳ですけど。
保
何事もなく、平穏な時間が3時間過ぎた。
いつもは気にも留めない穏やかな時間。何もない時間がこれ程愛しい物だと中澤は気付かなかった。
今まで多忙なスケジュールの中疾走してきた自分を改めて振り返る。
朝の光が、昨日つんくに叩かれ赤く染まった頬を優しく照らす。
隣ではつんくが軽くいびきを立てながら寝ている。
…疲れたんやな…
そっとタオルケットをかける中澤。
ふと福田の作ったHPを見ようと欲した中澤。
「…!」
…あれ…もう朝…?
気だるそうに髪を掻き上げると、石黒は肩にかけられたタオルケットに気付く。
どうやら石黒は、HPの更新を待ちわびてそのままパソコンの前で眠ってしまったようだ。
パソコンの画面には置手紙が張り付けてあった。
体の事も気を付けろな。
風邪引いたら駄目だろう。
それじゃ、仕事行ってきます。
石黒はそれを取り去り、破り捨てゴミ箱に放り投げた。
「あ…更新されている…」
再び瞳に輝きを戻し、HPをまじまじと見渡す。
題名:『モーニング娘。誘拐事件 途中経過その3』
投稿者:SILVA
更新が遅れちゃったわね。
お詫びに超重大情報!
なんと犯人はモーニング娘。の中にいるの!
これは確かな情報よ!
それを記念して犯人予想コーナーを作ったわ。
是非投票して!
6月28日 02時05分
HPのトップに新しいリンクが貼られていた。
おどろおどろしい文字でこう書かれていた。
『モーニング娘。誘拐犯人予想』
安倍、飯田、中澤、福田、石黒、市井、保田、矢口、石川、吉澤、加護、辻。
そこには元娘から現娘、全員のプロフィールから家族構成まで、事細かに書かれていた。
…アハハ…まじで!?犯人がいるの?サイテーじゃん!なぁんちゃって…ハハハ…
…どこから情報得ているのかしら…
自分のところにカーソルを合わせ何度もクリックする。
…アハハ…私1位だわ…
石黒はトップの位置にいる自分に酔いしれていた。
今日は『MUSIX!』の収録日。
飯田が芳しくない様子で収録スタジオにやってくる。
しかし、やはりメンバーの集まりは少ない。
…やっぱり後藤とか、加護とか吉澤は来ないのかな…
つんくから全てを聞いた飯田は今後の娘の将来に不安の影を拭えなかった。
そうこう悩んでいるうちに、矢口がスタジオに到着した。
「あれ〜、人の集まり悪いね」
スタッフに笑顔を振り撒きながら矢口が近づいてくる。
「あのさ…矢口…」
1人で全ての真実を背負うのがおっくうになったのか、飯田は矢口に全てを話した。
「そうなんだ」
スタジオ内にある椅子に座り、鏡を見ながら矢口が答える。
「そうなんだって…それだけなの…?」
「そうじゃないけどさ…」
矢口が独り言のように喋り始めた。
「私だって…ごっつぁんがいなくれなれば良いって思うけどさ。そしたら、私にだってセンターなれるかもしれないじゃん。
なっちだって…消息不明でしょ…?だったら今しかチャンスないじゃん」
飯田は黙って聞いていた。
「矢口はね…こういう時じゃなきゃチャンスをつかめないんだよ。『うたばん』とかでもね…。
正直、石橋さん達にいじられている圭織とか圭ちゃんだって悔しいほど羨ましいし…」
矢口がせきを切ったように語りだす。飯田は何も答える事が出来ない。
「矢口にとって…みんな…強いんだよ、強すぎるんだ…。
だから、必死に自分も強くなろうって…みんなに負けないようにって…。
そしたらさ…キャハハ。いつの間にかみんなの事憎んでて…睨んでて…笑っちゃうよね。
でもって…誰も矢口の話…聞いてくれなくなった。番組中じゃないのにだよ?」
キャハハと笑い、笑顔を浮かべながら前髪を整える矢口。
「でも、そうじゃないと自分を保っていられないんだ。誰かを憎む、仲間を裏切る、それが矢口のアイデンティティ…。
矢口が矢口であるために、どんな事だって…するんだよ…。どんな事でも…」
「矢口…まさか…」
「キャハハ…何、こんな事圭織に話しているんだろう!」
矢口は涙を流すが、髪を整える振りをして拭いてしまう。
「キャハハ!やだ!矢口ったらなんで涙流しているんだろう!」
「矢口…」
飯田も涙を流し矢口を抱きしめる。
「やだ!圭織ったら!抱きつかないでよ!スタッフさんも見てるでしょ!」
そう言いながらも、矢口は心底嬉しそうだ。
「矢口…圭織に…なんでも言って良いんだよ…我慢しなくて良いんだよ…」
その言葉を聞いた瞬間、矢口の顔が何かに解放されたかのように緩む。
「私…やっぱりタンポポにいれないよ…紗耶香とかに悪いよ…」
「そんなことないんだよ、まりっぺ。誰もまりっぺのことは責めてないよ」
「でも…でも…」
「大丈夫。彩っぺもまりっぺのこと認めてるし。ねっ」
「…」
「ほらぁ!元気出して!笑ってよ、ね!?」
「…キャハハ…。こんなんで良い…?」
「ぷっ、ハハハ!普通『キャハハ』なんて笑わないよ!アハハ」
「そんなっ!笑わないで…!」
「アハハハハハハ!」
「キャハハ!」
「ね、まりっぺ。悩みとかあったら、圭織になんでも言っていいんだよ。我慢しなくて良いんだよ」
「うん…」
「アハハ。それにしてもキャハハって!」
「もう〜!」
「アハハ!」
「キャハハ」
この頃からだ。私が『キャハハ』って笑うようになったのは。
…そうだ…どうして矢口は…誰かに言わなかったんだろう…
圭織は…いつでも聞いてくれたのに。
いつから、みんなが憎しみの対象になってしまったんだろう。
私は気付いてなかったんだ…。近すぎて大きすぎて優しすぎて。
いつの間にか私には見えなくなってしまっていたんだ。
「ごめんね…圭織」
「な、なんで謝るのよ矢口」
「だって…圭織は…いつもなんでも聞いてくれていたのに…」
「大丈夫」
…『大丈夫』。圭織のこの言葉が、いつも私を救ってくれる、許してくれる。
「ねぇ圭織」
「ん?なぁに?」
抱きついている飯田を軽く引き離す矢口。
「矢口が…どんな事をしても…圭織だけは…本当の矢口を、『私』を見ていてね」
台風の後の青空のような矢口の笑顔。そして朝露のような涙。
「矢口…?」
「覚えてて。いつでも、私は弱かったの。そして、圭織やごっつあん、なっちは強い存在だったの」
「矢口…」
「しっかし、みんな遅いね〜!って矢口達も早く来すぎたのかもね、キャハハ!」
「え?早く着すぎた?」
「そうだよ!収録は12時からじゃん!」
そう言うと矢口は涙を拭い、スタッフ達の元へ歩き出した。
「キャハハ!今日はよろしくお願いしますー!」
そして矢口はいつもの偽りの笑顔の仮面をつけた。
更新遅れてすいません!
もうすぐ生活も普通になると思うのでちゃんと更新できそうです!
保全してくださったみなさん、ありがとう御座います!
今見たら、何気にIDが加護亜依に惜しかったですね…。
あのスレッドに書いておけば良かった(w。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
hozen
ほぜ
「メールが届きました」
この無機質な声に、今までぐっすりと寝ていたつんくが跳ね起きた。
「裕子…!」
いつもは寝起きは最悪なのに…そう思いながら中沢もパソコンの元へと急いだ。
「件名:くいずです
どこにだって さいている はなって なーんだ」
つんくはすぐさま答えた。
「タンポポや!」
さすがっ、と中澤がおだてるとつんくはいささか嬉しそうだ。
すると再びあの声が響く。
「メールが届きました」
「件名:せいかいは
せかいは たんぽぽ でした
それでは いまから たんぽぽを つみに いってきます
まえにも いったよね
びんじょうはんたちは ゆるさないって」
急いで昨日送られてきたメールを開く二人。
確かに書いてあった。『びんじょうはんたち』と。
「あかん…どうして気付かなかったんや…」
つんくが頭を抱える。
「つんくさん!これって犯行予告やで!」
「そんなん分かってる!」
「じゃぁ早く警察に…」
「やかましい!犯人からも駄目やって言われているやろ!」
そういうと携帯を取り出し市井に電話をかけた。だが繋がらない。
「っちくしょう!あのバカ女!」
荒々しく取り乱す。そんなつんくを蔑むかのように見る中澤。
「紗耶香は病院やから…携帯切ってるんやろ…」
そうか、とつんくは納得すると急いで市井たちがいる病院へと電話をかけた。
期待保全
176 :
七誌:02/04/19 11:09 ID:PbnnLWPZ
きたいあげ
緊急dat落ち阻止sage
羊dat落ちしまくってますな・・・
179 :
zz:02/04/21 21:24 ID:qtWgHlSS
がんばれ保全sage
180 :
いのき:02/04/22 22:48 ID:xR6GA1vC
1日1保全
「はい…わかりました」
受付の看護婦に軽く礼をすると市井は再び保田達の部屋に向かった。
「…圭ちゃん?」
部屋に戻った市井は保田が起き上がっているのに気付いた。
「紗耶香…」
どこか保田の眼は憂いを帯びていた。
「これで安心やな」
…そんな訳あるか。
そう思っていても口には出せない歯がゆさ。
「待ってえな!圭織や矢口たちにも教えんと!スタッフの人たちにも…」
「あほか!仕事に支障が出たら大変や!スタッフかて信用できへん!」
言葉を失う中澤。
「なぁ裕子。腹減ったわ。メシ作って…」
「そ、そうや!うち行くところがあってん!」
そう言い残し、中澤は再びつんく邸を後にした。
その時のつんくの冷たい視線に中澤は気付くよしもなかった。
…それでも私は…つんくさんには逆らえないんやな…
中澤は『飯田圭織』と表示された携帯をカバンへとしまった。
「ごめん…私…行かなきゃいけない所が…」
「それも…つんくさんの命令…?」
市井は心臓が止まるような感覚に襲われた。
「な…何言ってるのよ…」
「紗耶香…あんたあいつにいいように使われているだけなのよ」
「ちょっと、圭ちゃんどうしたのよ?私は将来のシンガーソングラ…」
「…もう分かっているんでしょう?」
「…」
何も答えられない。いつもとは違う保田の気迫に打ち負かされていた。
「紗耶香の脱退の真相…教えてあげるよ」
「…嘘よ…」
市井がうつむきながら、恐ろしく低い声でうなる。
「本当よ。あみだくじなのよ」
保田も涙をこらえながら話す。
「じゃぁ、じゃぁこのノートは…」
涙を流しながらカバンからノートを取り出す。歌詞を溜めておいたノートだ。
「ねぇ、紗耶香…あんたももう気付いていたんでしょ…」
知らなかった!と市井は答えてみたかった。
しかし、自分でも薄々勘付いてはいた。
「だったら、だったらなんで私だけがこんな目に会わなくちゃいけないの!?」
静かな病院内に1人の女の悲痛の声が響く。
「…私もよ…」
市井は一瞬驚きの顔をしたが、すぐに泣き顔に戻る。
「私は、ずっと娘にいたかったのよ…でも…でも私には才能があるって…。
未来があるって、あいつが言ったのよ?それなのにどうしてよ。どうして…。
私は大好きなモーニング娘。まで辞めて選んだのに…。私はみんなのことが…大好きだったのに…」
こんなに泣いた市井を見たのは、石黒が脱退した時以来だ。
ノートが音を立てて地面へと落ちる。
「紗耶香…。あんたが娘を必要だったように…今私たちも紗耶香が必要なの…。
今、事件の事を詳しく知っていて自由に動けるの紗耶香なら…」
「うるさい!」
地面に泣き崩れる市井。保田もそれ以上は言えなかった。
面白くなってきましたねぇ・・・続きにも期待
1日1保田
1日1保
ほ
スタジオには犯行予告を知るよしもないメンバーが揃い始めていた。
と言っても、現在はのところ飯田、矢口、辻の三人だけだ。
加護と吉澤は来るのだろうか、飯田はしきりに考えていた。
「みんな遅いね。リーダーの圭織がびしって言わなきゃね」
「…そうですね」
辻は妙に落ち着いている。
そこにまた一人メンバーが入ってきた。
「おはようございます…」
加護だ。辻を見るやいなや笑みを浮かべ隣に座る。
「おはよう、の…」
「トイレ行ってきます」
加護に顔を合わせることなくスタジオを出て行く辻。
そんな彼女を見ている加護は今にも泣き出しそうな顔だ。
「キャハハ!二人ともケンカか!」
矢口が鏡を見ながら笑い飛ばす。
すると、加護は顔を隠しながら席を立つ。
加護を抱きしめてやりたい衝動に駆られながらも飯田は去り行く加護を見ていた。
そして机の下で矢口の足を軽く蹴る。
「え?」
飯田の顔を覗き込むと大きな瞳が矢口を映し出す。
「ちょ…ちょっと散歩してくるね…」
その場から逃げるように矢口もスタジオを後にした。
「たんぽぽを摘むか…」
携帯を、肩と首で挟みながらHPを更新する福田。
通話相手はもちろん中澤だ。
「たんぽぽか…」
「圭織、娘に負けないくらいがんばるからね!」
張り切り勇む飯田。この頃も今も、瞳の奥の輝きは変わらない。
「私もがんばります!」
まだ緊張気味な矢口。そういえば加入当初から積極的な人物だった。
「私もがんばるよ!」
新メンバーからは恐れられる対象の一人だった石黒。
それでも矢口に話し掛ける顔は優しさと喜びに満ちていた。
「あのさ…」
福田が振り返るとそこには石黒が立っていた。
驚くと同時に、心が防御体制に入る。
…何を言われても大丈夫…
そう構えていたものの、石黒から思いもかけない言葉が言われた。
「あのさ…ごめんね!明日香!」
そう言うと、いきなり福田の手を握る石黒。
「なんて言うかさ、余裕…なかったんだよね…。いろんな事がいっきに起きたから…」
石黒が照れたように笑う。
「許してくれとは言わない!言えないけど、今まで本当ごめんね!」
あの日から…彩っぺと話し合えるようになったんだっけ…。
暖かかった…あの手…。
「もしもし…聞いてるか?」
「あ、ああ…。分かったわ。じゃぁスタジオに行きなさい」
ピッ。
この女がいなかったら、私は今でも娘にいれたのかしら…。
この女の手も…暖かかったのかしら…。
更新遅れてすいません…申し訳ないです…。
頑張りますから読んでくれたら嬉しいです。
作者がんばれ保全
保全
1日1保
保全と記念カキコ
こどもの日保全
そういや原作の犯人は子供だったな・・・
更新遅れてすいません!
明日、ちゃんと更新します!
保全してくれたみなさん、ありがとう御座います!
197 :
197:02/05/06 00:12 ID:2/lz92Ug
197
198 :
198:02/05/06 00:12 ID:2/lz92Ug
198!
199 :
199:02/05/06 00:13 ID:2/lz92Ug
199!
200 :
200:02/05/06 00:14 ID:2/lz92Ug
200 get!
保全。
ホゼソ
保全
ho
続きが読みたい・・・。
まったり保全
保全
209 :
名無し募集中。。。:02/05/14 20:05 ID:8Sl8c1KH
dat逝き
dat逝かせないよ・・・
これだけ更新遅れていて、更新して良いんですかね…。
あとで更新します。
「つんくさん。うち急用が…」
トイレから出てきた中澤はスタジオに向かおうとつんくに話し掛けた。
「な…なあ裕子!」
つんくが驚いたように中澤を呼び、言った。
「便乗犯の1人は加護やろ?ならもう1人の便乗犯は何しよってん?」
中澤は呆れたように答えた。
「後藤の脱退やろ…」
ああそうか、と納得するつんく。
それを見届けると中澤は家を出た。
自らこれから行われるであろう犯行現場に足を向ける中澤。
加護と吉澤の件の時もそうだった。
犯行を止めることもせず、ただ“現場にいた”という事実だけを作りに。
それにより、事件が起こるにつれ容疑がますます深まっていく。
タクシーに揺られ、そんな中澤はいつも同じ場面を思い出していた。
福田が脱退の手続きを終え、本当の意味での“脱退を”迎えることとなった日。
当時のメンバーは思い思いに喋り、笑い、そして泣いた。
一緒になって福田を虐げてきた石黒も、福田と仲睦まじく抱き合っている。
ずっとうちが言いたかった言葉。あの時しか言えないと思ったんや。
一言だけで良かったんや。『ごめんな』って。
そして、最後に明日香と話せる瞬間がきた時、明日香が言った。
「許さないから」
もう、戻れないと思った。手売りで5万枚売っていたあの頃に…。
それから数日後、電話がかかってきたんや。
内容はただ1つ。モーニング娘。のスキャンダルや内部事情をリークすること。
いろんな事を明日香に話した。もちろん仲間を裏切っている事は分かってたけどな…。
それでも明日香は満足しなかった…。
そして、今回の事件…。
最初に話した時、明日香は嬉しそうだった…。
これでこの役目、この背徳感から逃れられる…そう思ったん。
でもな、明日香が言った。
「じゃぁあんたが怪しまれるようにしなさいよ」
この時から、私の新しい役目が始まった…。
うちは自らアリバイをなくしていく。
いずれ警察が介入するかもしれない。そしてうちは疑惑の渦中に存在していくんねな。
なんでこんなことやってんやろ…。
今までは他人のことだったけど、今回は自分の身のことやで?
…こんな疑問、とっくに答え出ている。
でもいつも自分自身に投げかけてしまう。まだ、この心に良心が残っているんやろか?
こうやって現場に向かうたびに思うねん。
ああ、うちは明日香に『ごめんな』って言うチャンス待ってるんやなって…。
そんな思いを乗せ、タクシーはスタジオへと走っていく。
その頃、1人のメンバーの携帯の元に1通のメールが届く。
「件名:くいずです
あなたの すんでいるばしょ どーこだ
あなたの でんわばんごう なーんだ
あなたの いのち どーこだ」
本当に遅れてしまってすいません!
保全してくれたみなさんありがとう御座います!
こんな時間に更新ありがとうございます。
がんがれ!
ほぜん
ブレア娘。さん、お帰りなさい。
お待ちしてましたよ。
ほぜん
保全しときます
221 :
sage:02/05/21 04:03 ID:noeEKu1m
保全しときます2
保全しときます3
遅れてすいません!
保全してくれたみなさんありがとう御座います。
ちょっとピッチあげていきたいと思います…。
保全しますです
保全しますです2
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保全しますです20
保全しますです21
保全しますです22
最後に作者現れて1ヶ月経つんですが・・・
保全しますです23
保全しますです24
そろそろ作者を解放してやれよ
更新が辛いならカキコしてくれ作者よ
一応保全
hozen
252 :
:02/07/01 16:55 ID:q12LKhir
穂前しといたほうがいいよな!
ほぜ
254 :
:02/07/04 07:48 ID:uABaE4t7
保全
256 :
ー:02/07/06 10:26 ID:Hy1i5NVD
ほぜむ。
保全
258 :
凶:02/07/09 23:09 ID:QxFOj+z/
保
保田
保田圭
圭ちゃん
いのち
ho
ze
n
保
保田軽
660ccじゃ収まらんだろな
保全書き込みを行います. 1027609839
ほ(ry
270 :
:02/08/02 12:32 ID:GQVVRx8n
保田
(ry
273 :
:02/08/08 20:52 ID:wQ+dK0aK
ほぜーん
275 :
:02/08/17 11:58 ID:KRJ46BBq
ほぜんぬ
ふぉ
ho
ze
mu
保
田
283 :
:02/09/02 10:36 ID:rn34AqNO
大
明
285 :
名無し募集中。。。:02/09/03 21:27 ID:9UmfYZkS
行
列
287 :
:02/09/11 11:55 ID:MV3dLyec
@ノハ@
( ‘д‘)<「くいずです うちの さいずは いくつでしょう」
288 :
名無し募集中。。。:02/09/12 01:46 ID:h15gASpw
このスピードなら言える
娘。サイコー!byおかむ(ry
289 :
:02/09/14 12:05 ID:Hu2Bh8vM
だれか小説書けや
ほぜん
( ^▽^)ホゼ美 1032273162
292 :
:02/09/20 02:22 ID:MqQXan79
ho
293 :
:02/09/25 08:23 ID:nm3WcfL4
ho
294 :
_:02/09/29 05:16 ID:3z1IWJgk
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321 :
:02/11/09 18:46 ID:Y9dSkDDH
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