モーニング娘。の小説書きます。

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620ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ

「2〜クリスマス会の後で〜」

そうこうしてるうちに、テストが終わって冬休みが来てしまった。
とうとう、明日はクリスマスイブ。
この、学園内全体のクリスマスムードも真っ盛りになってきた。
あちこちから、クリスマスの歌が聞こえてきたりもする。

私たち、合唱部もだ。
明日の全校クリスマス会では、「ジングルベル」のアカペラに兆戦する。
すでに部長交代を終えて、今は二年の藤本さんが部長なんだけど。
三年で前部長の真里先輩と、前副部長の紗耶香先輩も、
合唱部での最後の舞台として、頑張って練習していた。
…当然、あのバカ亜弥も。
だけどねー…。
よく考えたら、合唱部での思い出ってあんまりないんだよなぁ。
そんなに練習自体、運動部と違って毎日じゃないし。
大会とか、そういうのもないし。
文化祭もこの学園はないから、このクリスマス会くらいでしか活躍がないの。
…だからこそ、気合入れて、みんな頑張ってるんだけどね。
バカ亜弥はウザイけど。
621ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:38 ID:TIi2Q+fH

寮に戻ると、あっちこちで明日の準備が始まっていた。
中等部組は飾りつけ担当、
真希先輩とひとみ先輩、梨華先輩は料理担当。
他の先輩はまだ帰ってなかったけど。

「愛ちゃ〜ん、ボンド持ってきてちょ」
「はいはい」
声のした方に、とてとてと向かう。

「んあ〜…。愛ちゃ〜ん、ちゃっとお鍋見てて〜」
「はいは〜い」

「愛さん、ちょっと手が離せないんで、コレ片付けてもらっていいですか?」
「はいはい」

「愛ちゃん、しんちょー届かないからこれつけてほしいれす」
「はいはい」

もう、上へ下への大騒ぎ。
あっちへ行ったりこっちへ行ったり…。

だから、準備が終わった時はちょっと感動した。
622ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:39 ID:TIi2Q+fH

いつもは外に飾りつけてある、『モーニング荘』の看板。
あちこちに折り紙で作った輪っかが飾られて、
赤や緑のライトがたくさん点けられた。
ケーキや明日のための料理もすでに仕込み中。
後は、明日を待つばかりだ。

「愛ちゃん、明日は楽しもうね」
「愛さん、明日は楽しみましょうね」
寝る直前に、あさ美ちゃんとマコちゃんの二人に同じコトを言われて、
そのまま眠りに就いた。
明日は、クリスマスイブ。
楽しみだなぁ〜。

クリスマス会は、予想外の大騒ぎだった。
なんと、今年は広場を使っての大ガーデンパーティー。
すっごいったらありゃしない!
あっちこちに幾多ものテーブルが用意されて、
シャンパンやらケーキやらローストチキンやらが山盛りになっていた。
そこで、生徒会長の梨華先輩が最初の挨拶をしていた。
「あッ…アッ。あの…メ、メリークリスマス!」
623ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:39 ID:TIi2Q+fH

テーブルの席順はクラスごとだったので、
私は、合唱部の発表までみんなのところに回るコトにした。
ミカちゃんが「一緒に行こうカ?」と聞いてくれたけど、
ミカちゃんも都合があるだろうので丁重にお断りした。

まずは、大学生組から。
いるかな〜…と思ったら、すぐに見つけた。
すでに宴会場と化している、大学生ゾーン。
ほろ酔い気分の先輩たちに囲まれて大変だったけど、
目的の三人は一緒にいてくれた。

「ほれ、イッキイッキイッキ!!!」
「オラアァァ〜〜!!!」
圭織先輩の掛け声で、シャンパンをラッパ飲みでイッキする圭先輩…。
なんか、絵になりすぎてて恐い。
「アハハ。圭ちゃんは面白いべさ」
ほんのり赤くなった顔で、なつみ先輩も始終ニコニコしていた。
「せんぱ〜い」
「アハハ、愛ちゃんだべ」
「愛ちゃぁ〜ん。どーしたのさぁ?」
「あ、いえ。先輩たちに会いに…」
「えっ!?カオリに会いに!?」
そ、そんなコト言ってないッ…。
「ほらほらぁ、飲んだ飲んだぁ♪」
「オラァァァァ〜〜!!!!!」
・・・・・・。
とりあえず、暴走している先輩たちを置いて、私はダッシュで逃げましたとさ。
624ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:40 ID:TIi2Q+fH

次は、華の二年生トリオ。
多分、人だかりができてて会うの困難だろうなぁ。
…案の定、三人とも見つからなかった。
残念。

「あ〜。愛ちゃんや」
「愛ちゃんれす」
「やっほ〜」
あいぼんとののちゃん。
今日も仲良し。
ケーキを目の前にして、二人で大食い選手権をしていた。
ののちゃんが、少し優勢か。
あいぼんは、私の方に顔を向けたのに、
ののちゃんはまだケーキに夢中のままだった。
アハハ…。顔中、クリームだらけだ。
「本当に二人は仲が良いねぇ♪」
「当ったり前やで〜。なあ、のの」
「がってんれす!あいぼん」
うんうん、仲良きことは美しき。
これからも、仲良くしたまえ。
「じゃあ、私次のとこに行くね」
「じゃ、またあとでな〜」
「れす〜」
625ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:41 ID:TIi2Q+fH

マコちゃんとあさ美ちゃんは見つからなかったけれど、
ポツン、と一人寂しそうにしている里沙ちゃんを見つけた。
「里沙ちゃん」
「ワッ!?な、なんだ、愛ちゃん…」
「どーしたの?一人で…」
私は、今自分で言ったコトを少し後悔した。
里沙ちゃんが、うつむいて神妙な顔つきになってしまったからだ。
プライドの高い里沙ちゃんだもの、きっと傷ついたよね?
「あ、えっと…」
「別に、何でもないよ。ただ、ケーキが不味くて具合悪くなっただけだもん」
「…ハ、ハァ…」
「だいたいね、こんな甘ったるいケーキ食べれないのよね。
 味も貧相だしさぁ。もっと上品で高級なケーキが…(略)」
あーーーーー。
心配して、損した。
次行こ、次。
626ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:42 ID:TIi2Q+fH

「あ、いたいた」
今度は、逆に話しかけられた。
真里先輩だ。
「アレッ?もしかして、もうそんな時間ですか?」
「そーだよ。あと愛ちゃんだけだよ!早く準備して!」
しまったぁ…。
もう、合唱部の歌の時間かぁ。
あっちこっち回るのに夢中で、気付かなかったよ…。
見ると、真里先輩は額に汗までかいている。
「ゴ、ゴメンなさい!行きましょう!!」
「へいへい」
私は、合唱部の控え室へと向かった。
627ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:42 ID:TIi2Q+fH

ジングルベル、ジングルベル
鈴が鳴る〜♪

「今日の愛さん、張切ってますねぇ」
「一生懸命、練習してたみたいだしね」
「ふん。ぜんっぜん上手くなんかないもん」

「ほら見て、なっち。矢口と紗耶香も頑張ってるよ」
「ほんとだべさ。愛ちゃんも、一生懸命歌ってるべさ」
「宇宙の心みたいだね」

「ほら、のの。食べてばっかいないで、歌聴け」
「歌??」

「んあ…。何か、歌…聞こえない?」
「歌ってるよ〜。合唱部」
「真希ィ、お前今までどこにいたのさ」
628ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:43 ID:TIi2Q+fH

今日は楽しいクリスマス♪

「なんかこう〜暖かくなりますね」
「ホント。なかなかやるね、愛ちゃん」
「ぜんっぜん上手くないけどね」

ジングルベル、ジングルベル♪

「圭ちゃんも、合唱部で歌ったよね。昔」
「そうだねー。懐かしいねぇ…」
「宇宙の神秘みたいよね」

ジングルベル、ジングルベル♪

「のの、ほら。見てみィ。みんなええ顔しとるで」
「ケーキがあれば、ののだっていい顔れすよ」

ジングルベル、ジングルベル♪

「眠くなる…」
「おい、真希。こんなトコで寝るな。アホ」
「ひ、ひとみちゃん…真希ちゃん、怒ってるよ…」

今日は楽しいク・リ・ス・マ・ス〜〜〜〜♪

629ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:44 ID:TIi2Q+fH

・・・・・・。
精一杯歌った!
頑張った!
歌い終わった後、合唱部みんなしてボロボロ泣いちゃったんだから。
それこそ、あの亜弥すらも。
とにかく、大成功!
いいクリスマスがきっと来ると思うな。
うん、絶対そう!!
メリークリスマス!!!!

「お疲れ〜!」
「みんな、よくやったじゃん!!」
「ホントですぅ。誰かさんも、足引っ張らなかったしィ」
ブリブリな口調で、亜弥が先輩たちに媚びた。
それを制しようと、私は身を乗り出して反論する。
「ちょっと亜弥!?あんただけには言われたく…」
ちょうど、その時。

『あー。クリスマス会の途中で失礼やけど。
 高等部1年、高橋愛。至急、学園長室まで来なさい』

えええええ〜〜〜〜!!!?
「な、な、何!?何でぇぇ!?」
騒然としている周りと、嘲笑う亜弥を後に、私は学園長室までダッシュした。
な、何でなの〜!?
私、何かしたっけ〜〜〜!!!!?
630ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:44 ID:TIi2Q+fH

「3〜突然〜」

学園長室の前で、私と寺田学園長が向き合っていた。
私の丁度真後ろに、裕子先生もいる。
何?何なの、この緊迫したムード…。
「早速やけどな。高橋」
「は、はい」
「今すぐ帰宅の準備してくれ」
「え!?」
私は、普段「ビックリ顔」とか言われるけど、
それを更にヒドクしたようなビックリ顔で驚いてしまった。
帰宅?
どこに?
「実はな。お前のおばあさまが、病気で倒れたらしいんや」
学園長はさらりと言ったけれど…、私は一瞬頭が真っ白になった。
おばあさまが…倒れた?嘘…?
あの、強情でワガママで、趣味が悪くて、性格も悪いおばあさまが?
殺しても死なないようなおばあさまが?
マジデ、デジマ、マジデジマ???
631ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:45 ID:TIi2Q+fH

「高橋ィ、高橋…」
「はっ…!?」
あまりに突然だったから、ビックリして脳みそ吹っ飛んじゃってたみたい。
でも、でも…。
おばあさまが倒れたって、ありえない。
「とにかく、すぐに準備してきなさい」
「私が、麓の駅まで送るから」
学園長先生と、裕子先生に押し出されるように学園長室を出た。
ワケもわからないまま。
ど、どうなってるの!??

数十分後、とりあえず一日分の着替えを持った私は、
裕子先生の青いスポーツカーの隣に座っていた。
どうなってるの?
おばあさまが、倒れたなんて…。

632ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:46 ID:TIi2Q+fH

翌日の昼。
私は、おばあさまの病室に居た。
約半年振りくらいに見るおばあさまは、ひどくやせ細っていて、
今は衰弱して眠りについていた。

おばあさまの病名。
それくらい、私でも知ってた。
───ガン───。
しかも、末期の。
発病してから、発見されるまでがかなり遅かったから、
いつ死んでもおかしくない容態らしかった。

……。
何よ。
悲しくなんて、ないよ。
大嫌いだもん、こんなババアなんか。
私に関係ないじゃん…。
……。
だってさ、だってさぁ。
この人、私のコト、いつもバカにしてたじゃん。
「小娘が、小娘が…」って。
それに、小さい時の記憶だと…。
お母さんのコト、「庶民風情のくせに」ってぶってたじゃん。
そうだよ、大ッ嫌いだよ。
こんな人。
人間の、クズとすら思ってたもん。

633ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:46 ID:TIi2Q+fH

それなのに、なんで?

悲しくなんかないのに、なんで?
なんで、どーして涙なんか出るんだろ。
大っ嫌いだったじゃない。
憎んでたじゃない。
なのに、どーして?
全然、わかんないよ…。

こうして病院で、一人で泣くのはこれが初めてじゃない。
…お父さんと、お母さんが死んだ時に似てる。
突然死んだ、両親。
私から、今までの毎日を奪ったおばあさま。
でも、その代わりに、とても大好きな毎日をくれた。

いつぞや、幽霊の人に出会った時に言ってたっけ。
本当は、優しい人だって。
……。
そんなの、わかんないよ…。
全然、わかんないよッ!!!

私は一人、おばあさまの疲れ果てた寝顔を見て、
自問自答を繰り返すばっかりだった…。
634ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:47 ID:TIi2Q+fH

意識を取り戻したおばあさまだったけど、
咳込んだりすると、すぐに呼吸困難になったりする。
本当に、一緒に見てて危なっかしかった。
一日中付き添ってないと、いつ逝ってしまうか解らないくらいに
ひどい容態になっているそうだった。
なんだか、特別な病室に入れられて、
私も手術だかなんだかで使うような、シーツみたいな服を着せられた。


「…愛…?」
「はい。ここにいます、おばあさま」
しわくちゃな、小さな手。
変なの。おばあさまの手って、こんなに小さかったんだ。
もっと、魔女みたいに大きくて、ゴツゴツした手だと思ってたよ。
その手で、私の手を握り締めた。
極々、小さな、小さな力で…。

635ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:48 ID:TIi2Q+fH

「愛…ごめんなさい…ね」
「何が、ですか?」
弱々しいおばあさまの言葉。
初めて、あのおばあさまが謝った。
「あなたの…事…どうしていいか、わからなかった…」
「……」
「だから…。遠ざけて、しまった」
「……いいんです。わかってます」
「そう…。あなたは、良い子だわ…」
おばあさまは、それだけ言うと、また深く目を閉じた。
握り締めた手は、いつまでも離そうとしないまま。
636ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:49 ID:TIi2Q+fH

私は、自然と悟っていた。
ああ、人間が死ぬ時って、こういう感じなんだなって。

だから、別にね。
悲しかったけど、驚きはしなかった。

その夜遅く。
おばあさまは、亡くなった───。
637ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:49 ID:TIi2Q+fH

「4〜サヨナラの予感〜」

おばあさまが亡くなって、二週間程。
ちょうどお正月真っ只中だったので、親戚一同は、
新年の挨拶ではなく、お葬式のために集まった。
見たこともないような親戚の人がたくさんいたり、
おばあさまと同世代のような人もたくさんいた。
そういえば、政治家の人も来てたみたいだった。
私は特に何もすることはなく、ただボーっとしていた。

いきなり、死ななくたっていいじゃない…。

本音を出すと、きっと誰かに怒られたでしょうね。
けど、これが正直な気持ちだった。

別に、おばあさまを好きになったワケじゃない。
だけど、たった一人の肉親だもの。
もう少し、生きて欲しかったよ。
それが例え、大ッ嫌いだったおばあさまでも。

もう大変過ぎて、私が学園に戻った頃には、
三学期がすでに始まっていた。

638ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:50 ID:TIi2Q+fH

「愛ちゃん…」
「愛さん…」
みんなが、私を励ました。
だけど、ちょっとそれは痛かった。

ここに来る前日に、言われた。
親戚の、おばあさまに一番親しかったおじさんかな?
「君が望めば、元にいた場所に戻る事もできる」
ってね。
元にいた場所…。
本当は行きたかった高校とか…。
ずーっと一緒にいた友達とか…。

悩んだ。
すっごく。
そりゃあね、戻れるならすぐに戻りたいって。
だけど…。
今は、この生活があるから…。
639ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:51 ID:TIi2Q+fH

「あの〜…愛さん」
はぁ…。
「愛さん」
はぁ〜〜…。
「愛さんってば!!」
「え?」
「またボーっとして…。体に良くないですよ」
「あ、うん…」
あんまりにもボーっとしてたから、呼ばれてるの、わからなかった…。

「ねえ愛さん」
「ん?」
「…もしかして、実家に帰る…んですか?」
「へ!?」
私は、驚いてあさ美ちゃんの顔を見つめた。
な、何でわかるんだろ!?
「ど、どうしてそう思うの?」
「…なんとなく」
ポツリ、とつぶやいたあさ美ちゃんは遠い目をしていた。
だけど、こっちに向き直ると、まっすぐに私を見た。
「愛さん。責めたりなんかしませんよ」
「え?」
それだけ言うと、あさ美ちゃんは部屋から出て行ってしまった。
ちょっと〜。あさ美ちゃぁ〜〜〜ん…。
640ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:52 ID:TIi2Q+fH

あさ美ちゃんが出て行ってすぐに、マコちゃんが入ってきた。
血相抱えて、目が血走っている。
「愛ちゃんッッッ」
「な、何?どしたの…」
その言葉が、終わるか終わらないかのうちに、
マコちゃんに問い詰められた。
「出てくの!?」
「え!?」
「出てくって、ホント!?」
「え…あ…」
「嘘でしょ!?」
「……ん……。まだ、悩んでる」
嘘ついても無駄だと悟った私は、正直にそう伝えた。
その言葉を聞くと、マコちゃんは今度は肩を落とした。
「…そっかぁ。ううん。愛ちゃんが決めるコトだよね。
 私は、寂しいけど、愛ちゃんのしたいようにしたらいいと思うよ」
マコちゃんはそう言うと、あさ美ちゃんと同じように
何も聞かずに去ってしまった。
641ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:53 ID:TIi2Q+fH

「愛ちゃん」
「里沙ちゃん」
珍しい…と思ったけれど、里沙ちゃんも話を聞いたのかな?
「里沙ね、別に愛ちゃんがいなくなっても寂しくともなんともないけど。
 やりたいようにやればいいと思うもん。じゃね」
相変わらず、ワケのわかんないコだな。
けなしてるのか、慰めてるのか〜…。
でも、ありがたかった。

他のみんなも、続々と話しを聞きつけて私のところへやってきた。

「愛ちゃん、チャンスを逃したらあかんでぇ!」
うん、わかったよ。あいぼん。

「ののは、食べたい物を食べるのれす」
うん、そうだね。したいようにしろってことだね。ののちゃん。

「いつだって、ポジティブポジティブ!!」
梨華先輩は、いつもそればっかりだなぁ〜。

「別に、今生の別れじゃないだろ?
 また来たくなったら、来ればいい話じゃんなぁ」
アハハ。ひとみ先輩、相変わらずサッパリしてますね。
642ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:55 ID:TIi2Q+fH

「さびしいけど〜…ごーまいうぇいだよ」
真希先輩、またまたそれはアバウトですね〜。

「キャハハ!!だいじょぶだいじょぶ!」
真里先輩、何が大丈夫なんスかぁ〜…?

「うん。月並みな言葉だけど。
 愛ちゃんのやりたいようにすればいいと思うよ」
いつも冷静ですね、紗耶香先輩は。

「なっちももうすぐ、卒業だべさぁ〜。
 みんな、仲間だべさ」
なつみ先輩…。ありがとうございます。

「出会いとは、宇宙の───」
カオリサマハ、エライエライエライ…。

「あ〜〜!!そう言えば、アタシももう卒業じゃないの!!
 すっかり忘れてた!!」
圭先輩…。飲んでばっかりいるからですよ。

「寂しくなるなぁ。でも、高橋のしたいようにすればええで」
裕子先生。もう出ていくの決定したみたいに言わないでくださ〜い。

「寂しくなるヨー。ワタシたち、友達だヨ?」
ミカちゃん。友達だよね。

「ふん。あんたなんかいなくても、寂しくともなんともないもの」
強がるなってば。ホントは寂しいくせに。
あんたとは、いつか決着つけるよ。亜弥。
643ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:55 ID:TIi2Q+fH

その日、私は退学を申し出た。

それからしばらく、またごたごたが続いた。
編入試験を受けに行ったり、
久しぶりの我が家の引越しの準備をしたり。
気がついたら、明日は退寮の日だった。

ここに来てから、約一年。
短い間だったけど、色々あった。
…色々…。
忘れないよ。
忘れない。
いつまでも、いつまでも…。

「バイバイ」
644ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:56 ID:TIi2Q+fH

「LAST PEACE」

元気ですか、愛さん。
こっちはみんな元気にやってます。
こないだ、圭先輩の卒業式でした。
なんでも、音楽スクールの講師になるらしいですよ。
圭先輩ったら、ボロボロ泣きまくっちゃって凄かったんです。
その後で、大宴会になって…(笑)
ののちゃんとあいぼんが、間違ってお酒飲んでしまって。
みんな大暴れでした。

愛さんは、どうですか?
一人暮らしは慣れましたか?

いつだって、遊びに来てくださいね。

あ、そうそう。
松浦先輩が、愛さんのコトでいつもグチグチ言って来ます。
だからこないだ、「愛さんが忘れられないんですね」って言いました。
顔真っ赤にしてましたけど(笑)

あ、そうだ。
春休み、麻琴さんと一緒に愛さんの家に遊びにいこうって
言ってたんです。
そしたら、みんなが便乗しちゃって…。
結局、みんなで行くことになりそうです(笑)

それでは、また手紙書きますね。
                      あさ美ヨリ。
645ごっつぁむ ◆ddUSDAplHQ :02/10/29 21:56 ID:TIi2Q+fH




・・・・・・。
忘れないよ、いつまでも。
「THE☆PEACE!!」
                ───おしまい。───