☆PEACE・9☆「THE PEACE!・1〜変わらない日々の中で〜」
時は流れて、冬。
随分と、平和なまま月日は流れて…。
もう、クリスマスが目前まで迫ってきています。
早いもので、もうすぐここに来て1年。
あの、うなるような暑さの夏も、
比較的に涼しい、初めての秋も…。
瞬く間に過ぎ去ってしまった。
時間の過ぎるのって、本当に早いコトだ。
そうしたいつもの生活の中。
ただ、なんでもない日常の中。
私の、一番好きな毎日…。
どうか、ずっとこのままで…。
…なーんてね。
各寮には、巨大なクリスマスツリーが立っていて、
赤や黄色や緑などの色とりどりの装飾が施されている。
どこを歩いていても、鮮やかなツリーを見かけるコトができて、
「みんなハリきってるなぁ」という気分になってくる。
私たちも、当然、頑張って飾り付けをした。
「カオリ、ツリーの設計してみたの」
食卓にみんなが集まるなり、圭織先輩は小さなメモを広げた。
「どれどれ?」
テーブルの上に広げられた紙を、ひょいっとひとみ先輩が取り上げる。
そして、しばらく「ふむふむ」と言った後、微妙な表情で肩をすくめてみせた。
「いいんじゃない?」
「そうでしょォ〜♪さすが、ひとみちゃんってばわかってるぅ〜」
圭織先輩が素で喜んで見せると、私の右隣であいぼんが呟いた。
「…お世辞やっちゅーねん…」
その言葉が聞こえたのか、ののちゃんが今度は大きい声で叫んだ。
「お世辞れすよ!!!」
「のの!?お世辞なんて言ったのは!?」
その言葉にキレた圭織先輩、イスから立ち上がった。
大きな瞳がさらに大きく開かれ、怒気を孕んでいた。
ついでに、立った時の勢いで、イスがバタンと倒れた。
ひぇぇ…恐いッ!
ガンつけられた、ののちゃんは、「ひぃっ」と小さく怯えると、
左隣の席のあいぼんにしがみついていた。
「ののじゃ、ないれすよ…あいぼんが…」
「んなっ!?ウチのせい!?」
あいぼんがイスから立ちあがり、ののちゃんの腕を振り払った。
立ちあがった時に、彼女のイスもパタンと倒れた。
「のの、あいぼんのマネしたんれすよ!」
「コラ、のの!余計なコト…」
ののちゃんの口を、あいぼんが必死になって塞ぎこもうとする。
けれど、その両手を上から掴まれてしまった。
あいぼんから見れば、巨人のように見えるのだろう。
…その視点の先にいたのは…圭織先輩だった。
鬼ババのように殺気立った顔で、あいぼんの両手を掴んでいる。
そして時々、「カオリ、オコル、カオリ、オコル」と繰り返していた。
「ちょ…ちょっと!!早ぅ、誰か止めて!」
命の危険すら感じたのでしょうか。
あいぼんは、マジで泣きそうな顔で喚いた。
「アハハハハ…」
モーニング荘は、今日も笑いの渦に巻き込まれていたのでした。