モーニング娘。の小説書きます。

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429ごっつぁむ ◆USDAplHQ

「今日、暇だったから料理頑張っちゃった」
「おいしぃ。これなら、いつでも嫁にいけるんじゃないの」
「何言ってんの…」
そんな、他愛のない夕食の時間。
いつもは15人で囲っている食卓が、今日はすごく広く見えた。
変なのー。昨日もおとといも、3人だったけど、気にならなかったのに。
「愛さん、麻琴さん」
あさ美ちゃんが、静かに口を開いた。
ふと、皿を覗くと何度もうるさく言っていた激カラカレーがもうない。
「何?」
「どーかした?もしかして、カレー、辛くなかった?」
すると、あさ美ちゃんは顔を横に振った。
「カレーはとてもおいしかったです。
 …じゃなくて、私、発見しちゃったんです」
発見?
発見って、何の発見??
「どうしたの?」
「あ〜〜〜〜〜!!!!!もしかしてっ!!?」
マコちゃんが叫んだ。でも、私にはまだ分からない。
な、何??
「井戸のコトでしょ!?」
「……そうです」
い、い、井戸ォ!?
井戸って、この間言ってた話?
もしかして、あさ美ちゃん…。
「もしかして、あさ美…」
私が、今まさに頭の中で思ったそのままを、マコちゃんが聞いた。
「そうです。ついに見つけました」
不敵な笑いを浮かべ、あさ美ちゃんは懐から本を取り出した。
…どーやって入れてたのかは、謎だけれど。
430ごっつぁむ ◆USDAplHQ :02/09/21 09:52 ID:eMh07ndY

「まさか、それを調べるために図書館に行ってたの?」
ところが、あさ美ちゃんは首を横に振る。
「違いますよ。…偶然です」
本当に偶然かどうかは怪しいけれど、とにかくあさ美ちゃんは何かを見つけたみたいだった。
きっと、本人的にもその気になってたんだろう。
「んで、何を見つけたの?」
「この本、見てください。資料みたいなんですけど…」
あさ美ちゃんが開いた、古臭い茶色く褪せた書物。
「たまたま、図書館の倉庫に入る機会があったので見つけてきたんですけど…」
辞典みたいなもんなのかな?
とにかく、ところどころ破れたりしていて、汚い。
「ここ、見て下さい」
あさ美ちゃんが指差したのは、地図の載っている汚いページ。
かなり茶色くなっていて、見づらい。
「この部分、見て下さい」
ん〜〜〜???
かなり見づらいけど、よく見ると字が書いてある。
「井戸!」
「井戸ね!!」
「そう、井戸です」
そこには、かなり汚くなっているけれど、確かに『井戸』という字が書かれていた。
「つまり、井戸はあったんです」
「なるほどね。…でも、これいつのだろ?」
「50年程前のものらしいですよ」
「ご、50年!!?」
なるほど。
当時あった井戸が、今はまったく無くなってても誰も何も知らないワケだ。
…となると、この学園も50年以上の伝統があるってコトなんだなぁ。
そういえば、うちの『おばあさま』もここの卒業生だっけ…。
431ごっつぁむ ◆USDAplHQ :02/09/21 09:53 ID:eMh07ndY

「井戸があったのはわかったけど、これじゃ、どこだか分からないよねぇ」
「いや、わかりますよ」
「えっ!!?」
「……大変申しにくいんですけど」
あさ美ちゃんは、古びた地図を指でささーっとなぞった。
その度にほこりが舞うので、私は少し、煙たい顔をした。
「井戸があったのは…現在の地図で言うとココです…」
古びた地図の井戸のところに左手の人差し指を置き、
反対に広げた今の地図を、右手の人差し指でささーっとなぞる。
そして止まったのは…。
「もしかして…ここ!!!?」
そう、あさ美ちゃんの指が止まったのは、紛れもなく、この『モーニング荘』の上だった。
「そうです。井戸があったのは、ココです」
ひぇぇぇぇ〜〜〜!!!!!
ん?でも待てよ。
伝説は、井戸に近づくと…って噂だったよね。
だったら、今はもうないんだから別に何もないんじゃぁ…。
「ねぇ、でもさぁ、今はもうないんだよね?この井戸」
「そのようですけどね」
「じゃあ、別に女のコのユーレイなんか出てこないんじゃない?」
「…噂が本当なら、そうなりますね」
「それなら、別に怖くもなんともないねぇ…」
「いや、アタシは怖いけど…」
「まあ、とにかく…」
あさ美ちゃんが、古びた書物をぱたん、と閉じた。
「この話はこれで完結です。麻琴さん、納得しました?」
「あ…うん。まあね。ってか、アタシもさすがに忘れてたし…」
う〜ん。ちょっと会ってみたかったな、ユーレイ。
でも、もう井戸はないんだし、会わないんだったら会わない方がいっか。
おっと、それよりカレーが冷めちゃう!食べなきゃ…。