モーニング娘。の小説書きます。

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174ごっつぁむ ◆USDAplHQ
コホンッ!」
突然、バカでかい咳払いが聞こえて一堂はシーンと静まり返った。
咳払いを発した主に視線が注がれるけれど、当人は逆にそれで気分を良くして立ち上がった。
…立ち上がったのは、寮リーダーの飯田圭織さんだった。
「いいですか、皆さん。カオリから大事な話があります!」
シーンとした空気の中、圭織先輩はバンッと机に両手をついて言い放った。
「自己紹介もすんだことだし…早くご飯にしましょう」
「ハァ?」
「結局、カオリがご飯食べたいだけだべさ」
「ち、違うわよっ!」
圭織先輩はムキになって机についた手を振り上げ、あさっての方向を眺めながら
「私のこの体の中には、小さな宇宙が広がっているの。
 宇宙は食物のパワーを欲しがっているんだわ。だから私は今!この瞬間に宇宙にパワーを送るべきなのよ!」
・・・・・・ハァ?
あ、あの…?う、宇宙って何…。
「出た出た。カオリの宇宙パワー!」
「…ったく、電波なんだから」
「メシが食いたいなら、そうやって言えばいいのに」
いつものこと…というように呆れ返ってる皆さんとは別に、私とあさ美ちゃんだけはキョトンとして圭織先輩を見ていた。
…と思ったら。
「わ、解ります!私のこの体にも宇宙がパワーを欲しがっているんです!!!」
あさ美ちゃんが突然立ち上がって、圭織先輩の手のひらを掴んでブンブンと上下に振りまわし始めた。
その瞳は、さっきまでには一度も見せないくらいにキラキラと輝いていた…。
「あら、あなた。なかなか話が解るじゃない?」
「ハ、ハイ!」
「えっと。…愛ちゃんだったわよね?」
うわ。
やっちゃったよ、この人。
「…………あさ美です…………」
さっきまでのキラキラした瞳から光が消え、背後にどんよりとした空気が見えそうな程、あさ美ちゃんは落ち込んでしまった。
「ふっ。あさ美ちゃんね。間違いには誰にだってあるじゃない?」
「うわ。なかったことにしてるよ、コイツ」
さっきから冷たいツッコミを入れてるのは真里先輩。あの、年下じゃなかったでしたっけ…?
175ごっつぁむ ◆USDAplHQ :02/04/07 23:24 ID:jch1msYe
「それより!今日のご飯、頑張ったんです〜!」
話を途中で遮って、梨華先輩が大声を張り上げた。
あ…あの。普段は可愛い声なんだけど、大声で怒鳴られると超音波みたいで〜…。
「今日のこのビーフシチューとかかなりオイシイよね」
「梨華ちゃんのご飯は結構おいしいねんな」
「ののはなんれもすきれす〜」
誉められて、「えへへ」と笑っていたけどキッと真里先輩を睨みつけ
「でも、ホントはもっとおいしくなるハズだったのに…」
「キャハハ☆塩と砂糖間違えるなんて、ベタなコトするよね〜」
「……間違えたのは、真里先輩ですからねっ!」
梨華先輩はほっぺたを膨らませて、キャハハと笑っている真里先輩を睨んだままだった。
「あたしはね〜、梨華の作るケーキとか好きかも〜」
真希先輩が、梨華先輩の膨らませたほっぺたをぷにぷに突っつきながらニコニコしている。
当の梨華先輩は、複雑な表情でほっぺたを押されるたびに「ブウッ」とかやっていた。
「オッ、同感だね真希。アタシも梨華の作るケーキは何気に好きかもよ」
ひとみ先輩もそれに便乗し、真希先輩と一緒になってほっぺたを突つきはじめた。
「や、やめてよ二人とも〜!!」
「どう?あさ美ちゃん。おいしい?」
不意に、真里先輩がニコッとあさ美ちゃんに笑いかけながら聞く。
あさ美ちゃんはそれにいきなりビックリしたのか、目の前のパスタをフォークに巻きつけながら
「あ、このビーフンとかとってもデリシャスです、うん」
「え…ι」
「あっちゃ〜…あさ美ちゃん、それはパスタやねん…」
かなり動揺してたのか、あさ美ちゃんはパスタとビーフンを間違えていたのだった。
「い、いいのっ…。梨華の作る料理なんて、所詮…所詮…そんなものなんだもん…」
あさっての方向を向き、瞳をうるうるさせて梨華先輩は自分で自分を励ましていた。
それを見て、真希先輩とひとみ先輩が「うるせ〜!カワイコぶるな」とか
「オラオラ、修行が足りねーんだよ!」とか言っている。
「や、やめてよ二人ともぉ〜!!」
…梨華先輩は嫌がりながら言ってるけれど、私には喜びながら言っているようにしか見えなかった…。