仮面ライダーののV3

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817ナナシマン
 「ガイゼル、いやヨハン!貴様と儂は確かに袂を分かったが、互いに
不可侵を通してきたはず。このような振る舞いは断じて許さん!」

 怒り狂ったバンバはガイゼル総統の元へ猛然と歩み寄っていく。
しかし、それを制止するのは総統の片腕、ウデスパー参謀だ。

 「どうやってここまで・・・だが、閣下には指一本触れさせんぞ!」

 自ら総統の盾となるべく二人の間に割ってはいるウデスパー。しかし、
そんな彼を制止したのは他ならぬガイゼル総統だった。チェスの手を
止め、手にした杖でウデスパーの行く手を遮る。

 「閣下!」

 なおもバンバに向かおうとするウデスパーだったが、ガイゼルの命
に逆らうことはできない。
 ひとまずウデスパーが一歩退くと、代わって椅子から立ち上がった
ガイゼル総統がバンバの前に歩み出た。残された右目に狂気がにじむ。
その視線に射すくめられたか、バンバは一瞬彼に対して躊躇した。
818ナナシマン:02/09/20 14:15 ID:XVyKIQCh
 「親愛なる同士よ。だが、貴様も私を裏切った・・・!」

 そう言うや総統は手にした杖に手をかけた。次の瞬間、杖に仕込まれた
白刃のきらめきと共にバンバの首があっけなく転がり落ちた。かつての友
ですら容赦なく手にかける冷酷さに、思わず息をのむウデスパー参謀。

 崩れ落ちる帝王バンバ。それと同時にどす黒い血が絨毯に広がっていく。
足下に転がる友の骸、その様子に一瞬哀れむような視線を送るガイゼル総統。
しかし彼はすぐまた椅子に腰掛け、何事もなかったかのごとく再びチェスに
興じ始めた。


 その直後、ガイゼル総統の元に通信連絡が入った。肖像画の裏側から
現れたスクリーンに写ったのは、尖った角を何本も頭に生やし、まるで
中世の拷問器具「鋼鉄の処女」に手足の生えたような姿のロボット
だった。彼こそこのデスパーシティの管理者、サデスパー市長である。

 「総統閣下。ゼティマに放ったスパイからの情報が入りました」

 サデスパーの言葉に手を止めたガイゼル総統はゆっくりとスクリーン
に向き直る。その姿を見るや、スクリーンの向こうのサデスパーは報告
を始めた。居合わせたウデスパーもその様子を食い入るように見ている。
819ナナシマン:02/09/20 14:16 ID:XVyKIQCh
 「ゼティマになにやら動きがあった様子。何でもかねてよりやつら
に楯突いていた『仮面ライダー』なる者達を倒したとかで勢いづいて
おります」

 その言葉を聞いたガイゼル総統は、静かにスクリーンに背を向けると
再びチェスを始めた。それを見たウデスパーは一人頷いて言った。

 「捨て置け、と仰せだ。サデスパー、今後も監視を続けよ」

 ウデスパーの言葉を聞いたサデスパーは恭しく一礼すると、そのまま
スクリーンから姿を消した。サデスパーの報告に総統の意志を代弁して
みせたものの、実はゼティマを脅威に感じていたウデスパー参謀。
しかし、そんな彼の本心を見透かしたようにガイゼル総統は言った。

 「ゼティマは今もその者達との戦いに血道を上げているはず。当面
我々に手を出す様なことはあるまい」

 その言葉に得心したウデスパーも総統に一礼すると退室した。ゆっくり
とドアの閉まる音が静かな居室に響く。

 彼以外に誰もいない部屋。次の一手を思案していた総統は、しばし手を
休めて一人つぶやいた。

 「私の街だ・・・私の・・・」