第25話「ライダー・・・死す」
辻希美、加護亜依こと仮面ライダーののとあいの前に立ち塞がった、ゼティマの
パーフェクトサイボーグZX・・・。
今、ダブルライダーとZXの死闘の幕が切って落とされようとしていた・・・。
「ライダーパンチ!」
ライダーののの放ったパンチがZXに向かって放たれる。しかし・・・。
「ふっ、この程度なのか?加護博士が作ったと聞いていたが・・・」
ZXはのののパンチを片手で受け止めると、そのまま宙に放り投げる。
「のの!なら、これはどうやライダーキック!」
ライダーあいが今度は空高く舞い蹴りを放つ。
「うるさい蝿め。お前達の攻撃など、私には利かない!」
今度はあいの蹴りを受け止めるとそのまま地面に叩きつける。
「がはっ・・・嘘やろ?うちらの攻撃が利かんなんて・・・」
「うぐっ・・・あいちゃん、やっぱりあいつ強いのれす・・」
地面に落ちたあいとののが吐き捨てる。
「ののとあいちゃんは・・・こんなところで負けるわけにはいかねぇのれす!」
「のの・・・今度は二人で行くで!ダブルライダーキックや!」
辻と加護は呼吸を合わせると二人同時に宙を舞う。
「これなら、どうれすか!」
「食らえや、今までの言った事全部後悔するんやな!」
二人は同時に叫び、ZXめがけて蹴りを撃つ。
「ダブルライダーキック!!」
「・・・ふっ、無駄な事を」
地上で身構えると、ZXは自分に目掛けて襲い掛かる2人の蹴りを見切ると、
2人の足を同時に受け止め、そのまま前方へと弾き返した。
「・・・しょんな、ダブルライダーキックが・・・」
「これさえ、利かへんのか?こいつには・・・」
明らかに、ダブルライダーに焦りの色が見える。
「この程度で私を倒そうなど・・・愚か者どもめ、今度はこちらの番だ」
「マイクロチェーン!」
ZXの手甲から放たれた鎖がダブルライダーを絡め取る。
「な、なんや?この鎖。くっ、ち、ちぎれへん。」
「のののパワーでも無理なのれす、あいちゃん。」
2人は身動きすらとれなくされてしまった。
「・・・2人仲良く、彼の世に行け。衝撃集中爆弾!」
膝に装備された爆弾を外すと、ZXはそれを2人に向かって投げたつけた。
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名無し天狗:02/09/10 06:49 ID:hdRJXHiF
お?ヤッタ!!
名無し1号さん、Fight!!
爆弾が2人にぶつかり、激しい爆音と光を放つ。
「うぎゃーっ!」
「ひゃーっ!」
辺り一面を激しい炎と光、爆音が包む。
そして・・・爆音が止んだ時には・・・。
変身が解かれ、あちこちから煙を上げた辻と加護が転がっていた。
「ふっ・・・たわいもない。これが仮面ライダーか。」
「私の手にかかれば・・・他の奴らもこうなるのだ!」
手を握り合い、倒れる辻と加護・・・2人はぴくりとも動く事はない。
-同時刻、中沢家-
辻、加護のOシグナルが敵との遭遇を告げ、そして2人が危機に陥った時、
中沢家に戻っていたライダーや人造人間達にもそれは伝わっていた。
「!辻!どうしたの、返事して!」
飯田圭織こと、スーパー1は必死にテレパシーで交信をする。
しかし・・・辻から返事が返ってくることはない。
「!あいちゃん、聞こえる?梨華だよ、返事してよ!」
梨華ことビジンダーの声に加護が応える事も無かった・・。
その様子を見守っていた、中澤と石黒にも動揺がはしる。
「ゆうちゃん、まさか?!」
「・・・あんまり、考えたないけどな・・・何かあったとしか考えられん」
石黒の問いに、中澤は重い口を開いた。
「まさか・・・そんな」
圭が信じられないというような表情をする。
「あの2人に限って・・・そんな事はないよ・・・きっと。」
そう言いつつも、矢口の肩は震えていた。
「私が見てくるよ!Vジェットならすぐそこまで行ける!」
「私も行きます。スカイターボなら、飯田さんについて行けます!」
飯田と紺野が言う。
「待ってよ、じゃあ私だって!」
「おいらも行くよ!」
「私も!」
皆が口々に言う。
「待ち!みんな行ってもしゃないやろ!ましてや、もしもの時は・・」
「奴ら、ここと、研究所を狙ってくるんやで!あんまり考えないけど・・・」
中澤が静止する。
「ここは・・・圭織と紺野にまかそや・・・」
「圭織、紺野頼んだで。2人の事・・・」
「うん、分かった。必ず助けるよ、2人を。」
「みなさんは、中澤さんと石黒さんの事お願いします。」
そう言うと飯田と紺野はそれぞれのマシーンを呼んだ。
加護生化学研究所の地下格納庫から、Vジェットとスカイターボが発進する。
マシンが目の前まで来る。
「変身!」
「スカイ、変身!」
スーパー1とスカイライダーに変身すると2人は辻と加護のいるであろう
場所へと猛スピードで駆けて行った。
2人は走る。辻と加護の元へ。
「どうか、無事でいて・・・」
圭織ことスーパー1は祈るような気持ちでVジェットのアクセルをふかす。
「・・・きっと、大丈夫ですよね?私を助けてくれた2人だもの・・・。」
紺野も同じような気持ちでアクセルをふかす。
しかし・・・2人は次の瞬間を絶望を見る。
倒れる辻と加護、そして、そこに立つ見たこともない改造人間を見て・・・。
「辻!加護!」
「辻さん、加護さん!」
スーパー1とスカイライダーは2人に走り寄ろうとする。
しかし・・・その前に見たことのない改造人間が立ち塞がる。
「・・・スーパー1にスカイライダーか。いいところに来た。
お前たちも仮面ライダー1号、2号のように地獄に送ってやろう・・・。」
「なに?!あんたが辻と加護をこんな目に・・・」
スーパー1が叫ぶ。
「・・・許さない、あなただけは、ゆるさない!」
スカイライダーは拳を握り締めた。
「・・・2人は死んだ。お前たちも同じ運命をたどるのだ。」
「さぁ、来い。お前たちもZXの手で葬ってやろう!」
しかし、ZXには誤算があった。
2人のデータがあまりにも不足していたことだ。
「食らえ!マイクロチェーン!」
辻と加護の動きを封じたチェーンがスーパー1を襲う。
「・・・言っておくが、その鎖は改造人間の力でも断ち切る事はできない」
ZXは勝ち誇ったように言う。
「・・・それは、どうかしら?チェンジ!パワーハンド!」
スーパー1の腕が赤い力腕に変わる。
60tの重りさえはじき返すその腕がなんなく鎖を断ち切る。
「な、なに?!そんなバカな!」
「くっ!お前は後回しだ、スカイライダー死ね!衝撃集中爆弾!」
激しい爆発がスカイライダーの周りで起こる。
「危ない!セーリングジャンプ!」
スカイライダーは、重力低減装置を使うと空高く舞い、爆発から逃れる。
「・・・食らいなさい、スカイキーーック!」
「・・・ふん、そんなものお見通しだ。」
ZXはスカイキックをなんなく受け止める。しかし・・・その時!
「飯田さん、今です!」
スカイライダーこと紺野が叫ぶ。
「チェーンジ!エレキハンド!」
スーパー1の腕が青い電撃の腕へと変化する。
「エレキ光線発射!」
3億ボルトのエレキ光線がZXに襲いかかった。
「うぐわーっ!」
さしものZXもその攻撃の前に動きを止める。
・・
・・・マ・・
・・・・マコ・・
・・・・・マコ・・ト
・・・・・・マコト・・
「うっ、なんだ、なんだこの声は」
エレキ光線を受けたZXに変化が起こる。
「・・・マコト・・ヤメナサイ・・・コレイジョウハ・・・」
「・・・ツミヲ・・・カサネ・・・ナイデ・・・」
「誰だ!うぐっ、頭がーっ!」
ZXが頭を抱えて苦しみだす。
「?どうしたのあいつ。急に苦しみだしたけど・・・利いたのね、攻撃が!」
「なら、今がチャンス!」
「紺野、今よ!ライダーブレイク!」
「分かりました!スカイターボ!」
紺野の呼びかけにスカイターボがやってくる。
そして、高速走行にはいるとそのまま前輪を跳ね上げる。
「・・・食らえ!ライダーブレイク!」
そのままZXに突進する。
HRVによった起こされた衝撃がZXに叩きこまれた。
「・・・ぐっ、誤ったか。こいつらの力を・・・」
ZXは吹き飛ばされながらも立ち上がる。
「勝負はこの次に預けた。ライダー2人の首だけでも満足するとしよう。」
「来い!ヘルダイバー!」
ZXの呼びかけにバイクがやってくる。
「さらばだ、スーパー1、スカイライダー!」
そのままバイクに跨るとZXは走り去った。
「待ちなさい!」
ZXをスーパー1こと飯田が追おうとする。
「待ってください、飯田さん!それより、辻さんと加護さんを!」
「あ、そうだ!辻、加護!」
2人は辻と加護の元に走り寄る。
「しっかりして!辻!」
「加護さん!しっかりしてください。」
黒焦げに近い2人を抱きしめ揺する。
しかし・・・2人から返事はない。
胸に耳を当てる・・・しかし、人工心臓の鼓動は聞こえる事はなかった。
「辻、辻、つじーぃっ!」
絶叫に近い飯田の声が闇に轟く。
「加護さん・・・そんな・・・ううっ・・・」
辻と加護を抱きながら、俯く2人。
「どうした!どうやったんや!返事せい!2人とも!」
中澤からの無線の音が響く。
2人は辻と加護を抱えたまま、バイクに近づく。
「・・・祐ちゃん・・・辻と加護が・・・死んじゃった・・・」
力ない声で無線に応えを返す、飯田。
「!?なんやて!?そんなん・・・嘘やろ、なぁ、嘘やろ!」
中澤の声も震えていた。
「これから、連れて帰るよ・・・。研究所で待ってて・・・」
飯田は、辻をかかえるとバイクに乗る。
「辻・・・圭織にどこまでできるか分からないけど、きっと助けてあげる」
紺野も加護を抱きバイクに乗る。
「加護さん・・・今度は私が貴方を助ける番です!」
目を閉じたままの2人を乗せて、飯田と紺野のバイクは夜道を走る。
だんだんと暗闇が全てを覆っていくように飯田と紺野には感じられた。
・・・まるで、すべてが絶望に包まれていくかのように・・・。
-ゼティマ基地内-
「首領、ZXめがダブルライダーを討ち取りました。」
「そうか・・・でかした。あの2人だけでも片付けられたのは幸いだな。」
「しかし・・・気になることが。」
「なんだ?申してみよ。」
「ZXめですが・・・脳改造の効果が解けかけている可能性があります。」
「ふっ・・・そんな事か。それならば手は打ってある。」
「ほう、それは?」
「まぁ、見よ。出でよ、タイダーロイド!」
暗闇の中から、虎の姿をした改造人間が現れる。
「パーフェクトサイボーグ2号、タイガーロイドだ。」
「こやつは、自らFBIを裏切った女を改造した。」
「これでパーフェクトサイボーグはいくらでも作れるのじゃ。」
「しかも、このような人材なら脳改造などというめんどうもいらんしな」
「つまり・・・試作品のZXなどいつでも処分してよいと?」
「そういう事じゃ。もし奴が人間としての記憶を取り戻したならば・・・。」
「タイガーロイドよ。いつでも、ZXめを始末せよ!」
目を瞑っていた、タイガーロイドが目を開ける。
「はっ、仰せのままに。もし、ZXめが裏切るならば・・・この手で始末
しましょう。」
「ふふっ、頼もしいのう。どちらにせよ、加護の改造人間どもに、
未来はない・・・くくっ・・ふはっはっはっは。」
首領の笑い声だけが、闇に轟いた・・・。
第25話「ライダー・・・死す」完