「バイクロッサー登場」
ここは、「加護生化学研究所」から車で数十分の静かな住宅街
その中に今日オープンしたばかりのインテリアショップがある。
店の前には二人の人物の姿があった。
「ついに始まりだね、雅恵。今日からがんばるよ。」
「がんばろう。でも、めぐみの腕にお店の運命がかかってるんだからね。」
『インテリアショップペガサス』看板にはそう書いてあった。
この店は前にもここにあった。
今から十数年前、めぐみと雅恵の父親二人が共同でこの店をやっていのだ。
あの事件があるまで・・・
当時二人はまだ小学生。学校の帰りだった。
二人の前に、一台の車が止まった。
「めぐみちゃん、雅恵ちゃん、大変だよ。お家が火事で・・・
二人とも、車に早く乗って。」
それは、近所のおばさんだった。二人が車に乗って着いた先は病院。
二人の両親は火事で火傷を負って重体と知らされた。
それから数日後、四人は帰らぬ人になってしまった。
その後、二人は施設に預けられ現在に至る。
「雅恵だって、しっかりしてよ。私たちの夢、そして家族の夢なんだから。」
そう言うと二人は店の中に入っていった。
開店後のお店は一応順調だった。
昔の友達や近所の人もお祝いに来てくれた。
二人が一番嬉しかったのは、あの時迎えに来てくれた大山田のおばさんが
来てくれた事だった。施設に入ってからも事あるごとに尋ねて来て
励ましてくれたのもこの人だった。
三人で昔話をしながら夕食をとりおばさんは帰って行った。
そしてその夜中、二人は運命の時を迎えるのである。
二人は次の日の準備をしていた。このお店での二人の役割は
めぐみは、得意の工作でオリジナル家具などの製作、修理
雅恵は、趣味のパソコンで経理や仕入れなどを担当してた。
それぞれが、明日の仕度を終え眠りに就こうとしていた時だった。
(ペガサスの心を持つ者よ、聞こえているか・・)
「えっ、なんか言った?」
「雅恵も聞こえた?何だろう?」
(私は海蛇座第V星団の守護神ペガサス・・私はお前達の様な人間を探していた)
「どっから聞こえるの?この声・・」
(よく聞け、今地球は悪の手により危機に晒されようとしている・・
私はそれを救える人間を探していたのだ・・お前達はペガサスの
心を持つ人間、お前達に私の力を授けよう。)
「なんなのこれ?ちょっと誰だか知らないけど偉そうじゃない。」
「雅恵!まって、最後まで聞いてみようよ。」
(ペガサスの心を持つ者よ、 お前達にバイクロッサーの力を与える。
村田めぐみ、お前はバイクロッサーメグミの力を
大谷雅恵、お前はバイクロッサーマサエの力を与えよう・・
お前達の父親が残したタンスの中の超空間をくぐれば変身できる
バイクロッサーの超能力で地球の危機を救うのだ・・
行け、バイクロッサーよ・・)
「・・・・なんだったの今の・・超能力?変身?・・ねぇ、めぐみー。」
雅恵はめぐみを見た。めぐみは形見のタンスを覗いていた。
「・・雅恵・・見て・・」
タンスの中は不思議な空間につながっていた。
しばらく考えた二人。
「本当にやるの?」
雅恵は、めぐみに聞いた。
「やろうよ、おもしろそうじゃない。」
「本当に?・・うん、でもやってみるか。」
軽い乗りで、二人はバイクロッサーになる事にした。
バイクロッサー誕生の瞬間である。