仮面ライダーののV3

このエントリーをはてなブックマークに追加
637名無しX

それでは始めます。しばらくお付き合いの程を。


第23話


〜プロローグ〜


大都会の夜景を見下ろす高級ホテルの最上階スウィートルーム。
ブランデーのグラスを片手に、資料に目を通すスーツ姿の紳士がいた。

その姿が映っているはずのスウィートルームのガラス窓には
顔一面が爛々と光る巨大な一つ目の恐ろしい姿が映し出されている。

「ストロンガー達の他にこんなにもゼティマに牙をむく愚か者達が居たとは・・・。
他の幹部共は今まで何をやっていたのだ、大首領はどこまでご存知なのだ?
・・・しかしこれは私にとって好都合か。」


そしてもう1つの資料にも目を落とす。

「今までストロンガー達を泳がせておいたがそろそろ消えてもらうとするか。
木村麻美・・・この経歴・・・使わせてもらうぞ・・・。」

紳士は眼鏡の奥に潜む冷たい瞳を妖しく輝かせた。

638名無しX:02/08/17 00:38 ID:W8zMscaQ
その時だった、部屋のドアが突然開いたかと思うや否や紳士の周りは
不思議な香りを漂わせる真紅の巨大な花達で埋め尽くされた。

「ふ、来たか・・・ようこそドクターケイト。」

「この私を呼び出すとはどういう了見だ?一つ目タイタンよ。」

花達の中から現れたのは美しくも毒々しい花の姿をしたデルザー軍団幹部ドクターケイト
である。

「君に耳寄りな情報を差し上げようと思ってね。」
「貴様がなぜ私に情報など?信じられぬわ。」

「信じないなら構わないが他のデルザー軍団幹部を出し抜きたくは無いのかな?
最近本部に呼ばれるのはジェネラルシャドウばかりのようだが。」

「むぅ・・・・その情報とやら話してみろ。」
639名無しX:02/08/17 00:39 ID:W8zMscaQ
(1)

「もう、なんでいつもいつもこうなるのよ。これじゃいつまでたっても『加護生化学研究所』に
たどり着かないじゃない。」

愛車テントローを駆り、寂れた田舎の県道を疾走しつつあさみは呟いた。
しかしいつも連なって走っているなつみのカブトローと愛のクルーザーの姿がない。

「困ったな。二人ともどこ行っちゃったんだろう?早く合流しないと。
それにしてもなっちはどうしてああ行き当たりばったりなのかしら。」




3人が離れ離れになってしまったのは1時間ほど前、国道を調子よく走っていた時だった。

「ん? なんだべ?」

先頭を走るなつみの前方に赤い発光灯を持った人影が踊り出てきた。

「なっち、おまわりさんだよ。ひょっとして・・・。」

「はい。30キロオーバーね、免許証見せて。」

どうやらスピード違反取り締まりに引っ掛かってしまったようだ。

「あっちゃ〜」
640名無しX:02/08/17 00:42 ID:W8zMscaQ
側道にバイクを寄せ渋々免許証を取り出そうとするなつみとあさみ。
しかし愛だけが真っ青な顔をして立ちすくんでいる。

なつみとあさみはその時初めて重大な事実に気がついた。

「高橋ちゃん、免許持ってない・・・・の?」

コクリと頷く愛。当然だった、愛はまだ15歳だ。

これにはさすがのあさみも焦った。スピード違反、無免許、未成年。
これでは只で済む訳が無い。
警察に全ての事情を話すわけにもいかない(というより信用されるはずが無い)。
だがここで警察とイザコザを起こすのも得策では無い気がする。
どうする?あさみはなつみに目配せをした。

「逃げるべさ!」

・・・マジで?それはあさみには正しい選択には思えなかったが、なつみの大声に
反射的にバイクに飛び乗り走りだした。

そして3人散り散りになり今に至るのである。
641名無しX:02/08/17 00:46 ID:W8zMscaQ
平日の真昼間だというのに人通りの全く無い田舎道。
自分の現在地すら把握できぬままあさみは走りつづけていた。

「!」

走るあさみの前方、道のど真ん中に巨大な何かが放置されている。

「今度は何?」

右手でフロントブレーキレバーを力いっぱい握りリアタイヤを滑らせ
巨大な放置物直前で止まったあさみはすぐさまバイクを降り、それに目をやった。

「・・・・花?」
642名無しX:02/08/17 00:47 ID:W8zMscaQ
それは今まで見たことのないような巨大な花で、禍禍しい赤色が不気味な雰囲気を漂わせていた。

「なんでこんな所に花が?それにこの大きさ・・・。」

あさみは恐る恐る花びらのあたりを覗きこんで見た。
その瞬間、花弁の奥から妖しい匂いのする煙のような花粉が噴出された。

「?・・・うっ。こ、これヤバイか・・・も・・・」

もろに花粉を吸い込んだあさみは意識が遠のきその場に倒れ込んでしまった。


「ふん、他愛も無い、これがタックルか。この分だとストロンガーやXとやらも
大した事なさそうだね。」


いつのまにか倒れたあさみの傍らに立つドクターケイトが少々がっかりした様に呟いた。