仮面ライダーののV3

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604白い名無し娘。

現場である銀行のATM前には、駆けつけた警備員達が倒れていた。
彼らの息はすでにない。息絶えた彼らを尻目に、ダークのアンドロイドマンたち
はATMを破壊している。その光景を、ビルの作り出す暗闇から見つめるものがいた。
黒いライダースーツに身を包んだ少女姿の、ハカイダー・マキの姿があった。
悪の秘密組織ほど割の合わないものは無い。財源があったとしても、収支より支出が
多いのが現状である。だからこそ、銀行を襲ったりして資金を作り出している。
組織の怪人や、人造人間の任務にもそれらの事は含まれている。しかし、ハカイダー・マキ
が、この任務を行う事はめったに無かった。しかし、他の人造人間が任務を行う時には
密かに同行したりはしている。それは、必ずといっていいほど現れる、キカイダーと
闘うためである。全ては『キカイダー抹殺』の為に。それこそが最大の任務と自負する
ハカイダー・マキには、ATM襲撃などはポリシーに反する任務である。
それがなぜか、今回はみずから陣頭指揮をしている。指揮といっても、アンドロイド
マンに命令を与えただけであったのだが。アンドロイドマンがATMを破壊している
光景を見ながら、マキはキカイダーが現れるのを待っていた。
マキは、右手で髪をかき上げる仕草をすると、頭頂部あたりに手がきたところで
その手を止める。その光景は、まるで何かに悩まされている少女に見える。
(まるで八つ当たりだな…。)
マキは、自らの行動をそう分析する。先日に、頭部の溶液交換を行った時からだった。
頭の中が疼くのだ。頭部に収められているつんくの脳を生かすため、今は必要最低限の
接続しかしていない。今までに何度かあったつんくの記憶との共有により、自分が
後藤真希という少女に似せて作られたことは知っている。そして、その少女の死。
そして今回、新たに分かった事。後藤真希によって名づけられた『ハカイダー』と言う
人造人間は、後藤真希の死によって命を吹き込まれた事である。しかし、後藤真希の
脳を持ったハカイダーは起動しなかった。その後、ハカイダーはその場で厳重に封印さ
れた。手術台の上に張り付けたように固定され、さらに鎖を何重にもまいて。
605白い名無し娘。:02/08/07 00:05 ID:pns+qKQm
後藤真希の遺体を手厚く葬った後、臨時の研究室であった病院は爆破した。そして、
加護博士と別れたつんくは再び自らの研究室に戻り、新たな人造人間の理論を完成させた。
その記憶を共有した時から脳が疼きだしたのだ。そして約1時間前、疼きが痛みに変わった。痛みに変わったというのは、おかしいかもしれない。人造人間であるマキは、痛みなどは
感じないはずであった。あえて言うならば、未知のデータによる不快感。そして、マキの
電子頭脳がそ、れを振り払うためには闘うしかない。という結果を出した。
手っ取り早く相手を呼び出すのなら、ATM襲撃しかない。そして、今にいたるわけである。
不快感を取り除くために闘う。それを八つ当たりといわずしてなんと言おう。
マキは腕を組むと、背中からビルの壁にもたれかかった。無表情であったマキの口元が
笑みを形作る。バイクのエギゾーストが聞こえたからだ。しかし、キカイダーのバイク
、ダブルマシーンのエギゾーストとは違っている。初めて耳にする音であった。
「ま、誰でもいいさ。今は。相手が強いのならそれでいい。」
程なくしてバイクが現れる。見たことの無い白いバイク。降りてきたのは、いつも
キカイダーに付きまとっているビジンダーとか言う人造人間と、髪を二つのお団子に
まとめている小さい女の子であった。マキはまた一段と不快感が増したような気がした。