389 :
名無し坊:
「何かと思えば、そんな戯言」
突然、誰かの声がした。
二人が振り向くと、部屋の入り口に、絢が立っていた。
そしてその目は、みちよを嘲笑っていた。
「脆弱な人間の生死を語って何になるというの?
人間はただ、G4の力にひれ伏していればそれでいいのよ」
彼女を取り込んで、今やG4は別次元の存在になった。
何者もG4に触れる事すら敵わないのよ!」
絢が勝ち誇った声でみちよに言った時。
『警告!! 警告!! 侵入者アリ!!!』
突然、基地内に警報が流れ出した。
絢が部屋のパソコンを操作すると、磔にされている梨華の映像から、基地内各所に設置された
幾つかの監視カメラの映像に切り替わる。
すると、そのカメラからの映像全てに、件の侵入者の姿が映し出される。
そう。侵入者は一体ではないのだ。
390 :
名無し坊:02/06/09 00:32 ID:2xySD2cD
「あれは・・・・ この間の蟻の未確認生物!!」
みちよが声をあげる。
みちよの言うとおりそれは、あの朝陽港倉庫街と真夏森林公園に現れた、蟻の怪人達の姿だった。
その数は、10や20では足りない。
「どうして・・・・ こんな所に・・・・・」
訝しがるみちよだが、絢と祐子には見当がついていた。
即ち、ゼティマ本体が自分達の裏切りに気付き、刺客を送ってきた。
状況を即座に理解した絢は、祐子に対し指令を出す。
「G4システム出動!!」
「・・・・・・・・・・・了解」
一瞬だけ逡巡する素振りを見せたが、祐子はそう応えると部屋を出て行った。
そして、絢もそれに続いて部屋を出て行く。
みちよだけが、その部屋に取り残された。
391 :
名無し坊:02/06/09 00:33 ID:2xySD2cD
『作戦番号:B−1358
作戦内容:元・ゼティマ特殊戦闘部隊GWSの完全壊滅
作戦執行者:Z−20・ドラス Z−21・コウモリ男 A−31・アントロード』
たったこれだけが、侵入者達の脳に刻み込まれた情報の全てだった。
392 :
名無し坊:02/06/09 00:34 ID:2xySD2cD
「プロジェクション開始!!」
磔にされた梨華を目の前に、作戦室の絢は叫ぶ。
「目標、敵・ゼティマ怪人!」
「ESP信号伝達開始!」
「伝達指数、98パーセントを記録!」
「・・・・・うぅ・・・・・・・・・・」
マシンの起動と共に、梨華の顔が苦痛に歪む。
そしてモニターに、G4に襲い掛かるアントロードの映像が映し出された。
スーツ同士の擦れあう独特の音を響かせながら、G4は基地入り口に現れた。
既に無数のアントロード達が、警備の兵士達を殺しまわっている。
しかし、G4の姿を認めると、彼らは兵士を投げ捨て、一斉にG4に群がる。
『一番強い奴に向かっていく・・・・・・
中々見上げた根性やないか。
でも、そいつは無謀な事や』
既にプロジェクションの映像は送られている。
誰がどんな攻撃を、何処から仕掛けてくるのかはわかっている。
これほど楽な事はない。
G4はGM−01改を手にすると、手近なアントロード達に向けて発砲した。
393 :
名無し坊:02/06/09 00:35 ID:2xySD2cD
途中でケイと別れ、単独で行動していた希美は、梨華が捉われている建物の入り口に、
この間の蟻怪人達が群がっているのを発見した。
「変・・・・・・身!!!」
バイクの上で変身ポーズを取り、飛び上がる。
空中で変身を完了させると、希美の変身と同時に変化したサイクロンに跨り、そのまま蟻怪人達に突っ込む。
ライダーのアタックに巻き込まれ、蟻怪人達はあっけなく爆発した。
一方、ケイも別ルートからの侵入を試みていた。
建物の裏側、金網で仕切られただけの簡素な作りのバリケードの前にケイはいた。
「見張りの一人くらい、いたっておかしくないけど・・・・・・・」
その瞬間、建物の敷地内で爆発が起こった。
「・・・・・ よくわからないけど、何か起こってるみたいね」
呟くと、ケイは腕を交差させた。
「アァァァァァマァァァァァゾォォォォォォンッ!!!!」
そしてアマゾンに変身すると、ケイはジャングラーに跨り、建物の中に向け走り出した。
394 :
名無し坊:02/06/09 00:36 ID:2xySD2cD
そして、彼女もまた、戦場に歩き出した。
「生きる為に戦う・・・・・・・・
それが・・・・ 私の戦う、意味・・・・・・・」
そう呟くと、彼女は胸部アーマーのジョイントをロック、ヘルメットを顔に当てる。
小さな駆動音と共に、ヘルメットが彼女の頭全てを覆う。
「G3−X・・・・ 出動します!!」