ところで・・・

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123紺野の愛+α
「いい?いち、にの、さんで体当たりだからね?」
安倍が再確認をするように言う。
ドアを開けない高橋。もはや強行突破しかない。
「うん、わかった!」
飯田、保田が頷く。安倍、飯田、保田の三人が体を低くかまえた。
目標は、高橋がいるトイレのドア。
「よし・・・行くよ。いち・・・にの・・・さん!」
ガチャッ
「え?」
突然ドアが開いて、三人の目の前に高橋が姿を現した。
「高橋!?・・・わあああああああああああ!どいてどいてどいて〜!!」
勢いがついて止まらない三人は、そのまま個室になだれ込んだ。
ドカドカドカドカドカ!!
高橋に覆い被さるようにして、四人が倒れた。
その様子を唖然として見つめる(小川・新垣以外の)五人。
しばらくして、高橋が「いたたたた・・・」と言って起きあがった。
「た・・・たかはしぃ・・・大丈夫・・・?」
飯田もフラフラとしながらも起きあがる。それに続いて安倍、保田も。
「は・・・はい・・・大丈夫で・・・」
と、誰かが後ろから突然、高橋の肩をつかんだ。
振りかえると、そこには普段の気の抜けた顔とは違う、口を固く結んでいる後藤。
「後藤さ・・・」
ビシィッ!!
後藤は有無を言わさず、高橋の頬に張り手をした。
「ご・・・ごっちん!?何するの!?」
高橋は一瞬何が起こったのかわからなかったが。
「ご・・・ごっちん!?何するの!?」
安倍が高橋に駆け寄り、後藤を見る。
「なっち」
後ろから飯田の声が聞こえ、安倍は振り向く。
飯田は「ダメだよ」と言いたそうに、首を横に振っている。
と、後藤が高橋に近寄り、高橋は後藤を見た。
その顔は、普段の気の抜けた後藤ではない、真剣な顔そのものだ。
「・・・今度、こんなことやったら、承知しないから」
それだけ言うと、後藤は一人、スタスタと出て行った。
それを呆然と見送るメンバー。
「・・・カッケー」
吉澤がボソッと呟いた。
高橋も、しばらく唖然としていたが、頬にビリッとした痛みを感じ、手で抑えた。
痛い・・・。
それは右頬だった。小川を叩いた時と同じ。
高橋の目に、再び自然と涙が浮かんできて、小さくしゃっくりをあげ始めた。
痛みの涙ではなく、後悔の涙が溢れてきて止まらない。
高橋をじっと見つめるメンバー。
安倍が無言で、高橋の頭をなでていた。
124紺野の愛+α:02/03/02 11:40 ID:V9deRdxz
「・・・はい、OKです!お疲れ様でした〜!」
あれから何とか収録に漕ぎつけ、何とか収録を終えることができた。
普段は収録と同時に騒ぎだすメンバー。
しかし、今日は誰もほとんど喋らない。どこか空気が重い。
高橋には理由がわかっていた。
誰も椅子から立ちあがろうとしない。
そして時々、誰かが高橋をチラッと見ているような視線を感じる。
謝ればいいだけかもしれない。しかし、どうすればいいのかわからない。
『・・・ん、愛ちゃん』
と、頭の中に紺野の声が聞こえてきた。
「・・・あさ美?」
高橋は心の声で言ってみた。
『愛ちゃん、ちゃんと謝らなきゃダメだよ』
紺野が諭すように言う。しかし、高橋には謝ることにためらいがあった。
「・・・でも・・・」
『大丈夫、私が見てるから』
「・・・・・・・・・」
『愛ちゃん』
「・・・・・・うん」
そう言って高橋は、小川の方を見る。
小川はビクッとして一瞬目を逸らせたが、おずおずと高橋の顔を見る。
「・・・・・・何?」
どこか怒ってるような・・・怯えているような小川の声。
「・・・・・・麻琴、ごめん」
高橋は、小川の目をじっと見つめながら言った。
小川は「えっ?」と言いたそうな目で高橋の顔を見ている。
―――沈黙
と、
「・・・さて、仕事も終わったし、帰ろうか!」
突然飯田が立ちあがって叫んだ。
そして「はいみんな!いつまで座ってんの!立って立って!」と言って手を叩く。
それと同時にザワザワと騒ぎだすスタジオ。
「あ〜!今日も疲れたね〜!」
「うん、お腹ペッコペコだよ〜」
そう言って、メンバーはゾロゾロとスタジオを出ていく。
あっけに取られて椅子に座ったままいる高橋に、
「愛〜!なにやってんの〜!?置いてくよ〜!」
と、小川が声をかける。
「え?あ、うん!い、今行く」
そう言ってアタフタと椅子から立ちあがる高橋。
と、その拍子に足がもつれて転んだ。
「・・・・・・ぷ・・・あはははは!なにやってんの高橋ぃ!」
後藤が腹をかかえて笑いだした。
「あははははは!今日の高橋の中に、紺野がいるんじゃないの?」
飯田の言葉に、メンバー全員が笑いだす。
それにつられて高橋も笑った。不快感はなかった。
125紺野の愛+α:02/03/02 11:41 ID:V9deRdxz
ドンドンドンドン!!
『お〜い!誰かおらんか?』
つんくが、城の扉をノックする。しかし返事はない。
『くそっ!漫才ならここで、誰もいませんよ〜。言うハズやのに、
全くノリの悪い扉やで!』
そう言って扉をガァンと蹴りつけ『あいた〜!』ともだえる。
『ねえねえつんくさん!』
辻が城の端っこから叫んでいる。
『・・・なんや!こっちは今お取り込み中や!』
『このお城、ハリボテだよ〜!』
『そんなオチ、今時誰も・・・・・・え!?』
『あさ美ちゃんもいる!』
つんくは痛みも忘れ、辻のいるところへと走りだした。
『あっ!・・・ホンマや・・・』
確かに城には表部分しかなかった。
その先には、見渡す限りの花畑が広がっていた。
そして・・・
『・・・あっ、紺野・・・』
紺野は、ハートの形をしたものに寄りかかり、笑顔を浮かべながら眠っていた。
二人は気がついていなかったが、辺りの風景は、荒野から見渡す限りの平原へと変わっていた。

「・・・でね、あれからみんなでご飯食べに行ってね」
宿直室のベッドの中、高橋は一人言を呟いていた。
『・・・うん』
高橋の中に、紺野の声が響いた。
紺野の隣りでは、つんくと辻が寝息をたてている。
「はあ・・・今日でこの変な生活も終わりかぁ〜」
『・・・うん』
「これで明日から、また普通の生活だね」
『・・・うん』
「もう〜!あさ美ったら、さっきからうんうんばっかり〜」
『・・・うん』
また「うん」だ。高橋は小さく笑った。
「・・・ねえあさ美、元の体に戻ったら、どこか遊びに行こうよ」
『・・・うん』
「どこがいい?」
しららくの沈黙の後、
『・・・愛ちゃんと、かっぱえびせん食べたいな・・・』
紺野は呟くように言った。
高橋は「何それ?」と言いたそうな顔をしていたが、
「・・・うん、わかった」
そう言って微笑んだ。

やがて夜も更け、高橋と紺野も眠りについた。
そして、高橋の体が発光し始める―――。
――― 四日目 終了
126紺野の愛+α:02/03/02 11:43 ID:V9deRdxz
ジリリリリ ジリリリリ
目覚ましの音に、高橋は目を覚ました。宿直室のベッドの中。
「・・・あれ?」
誰もいない。
てっきり元に戻り、あちこちに散らばっていると思っていたのだが・・・。
「ひいっ!?」
と、足元に何やらモゾッとした感触を感じ、高橋は思わず布団をひっぺがした。
「うう〜ん・・・メグミちゃ〜ん・・・30分だけ・・・延長・・・ええやろ?」
つんくが高橋の足にしがみついて、ほおずりをしていた。
「!?!?!?!? ・・・ぎぃやああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
高橋はかん高い声をあげ、枕でつんくの頭をバンバンと叩いた。
「いた!いたい!SMかいな!・・・・・・れ?メグミちゃん?」
つんくが目を覚まし、辺りをキョロキョロと見渡す。
「メグミちゃ〜ん?メグた〜ん?どこにいる・・・・・・あ!」
目の前に高橋を発見して、つんくは慌てて咳払いをした。
「な、なに!?今の声!?」
と、台所から辻が姿を現した。そして高橋が起きてるのを確認すると、
「あ!愛ちゃんおはよ〜!」
と言ってニッコリと微笑んだ。
あさ美は?
高橋は紺野の姿を探した。
「つんくさん。あさ美知りませんか?」
つんくは頭を痛そうに抑えながら、首を左右に振り、
「知らんよ。俺が起きた時にはおらんかった」
「辻ちゃん!あさ美は?」
辻も台所から顔だけ出し、「しあなうぃよ」と言って首を振った。
どうしたんだろう・・・。まさか、まだ中に?
高橋は頭の中に声をかけてみようとした。と、
ガチャッ
宿直室のドアが開いて、そこから紺野が現れた。
「・・・あ、みなさん、おはようございます・・・」
紺野は全身汗まみれで、息がきれている。
「あさ美!どこ行ってたの?」
「うん、ちょっと走ってきたの」
高橋は「心配したんだよ?」と言いたげな目を紺野に向けた。
紺野も「ゴメンね」と目で返す。
127紺野の愛+α:02/03/02 11:44 ID:V9deRdxz
「・・・あ、シャワー浴びていいかな?」
紺野の声に、辻が「いいよ〜」と言う。何をしているのだろう。
「・・・ね、あさ美、一緒に入ろうか?」
高橋がイタズラっぽく笑う。つんくが「何!?」という顔で高橋を見る。
「あ〜!じゃあののも!」
口に青糊をつけた辻が台所から出てきて言う。
紺野はちょっと困った顔をしていた。
「そ・・・そんなら俺も・・・」
「ダメです」
高橋に突っ込まれ、「冗談や」と言って、つんくはしぶしぶとトイレに入っていく。
「・・・じゃあ、入ろうか?」
紺野の声に、高橋と辻は、きゃあきゃあ言いながら服を脱ぎ捨てた。
「・・・もう、ちゃんと畳まなきゃ」
シャワー室に入って行く二人。紺野は二人の衣類を持って、シャワー室に入った。

「うわぁ〜!あさ美ちゃん胸おっきい〜!」
「あん・・・もう〜だめだよ・・・」
「辻ちゃんの胸だって小さくて可愛いよ」
「きゃっ!愛ちゃんのエッチ〜」
シャワー室でじゃれ合う三人。その隣りでは・・・。
つんくがトイレの壁に耳を押し当て、右手で一心にナニをしごいていた。
「ハァハァ・・・・・・ここ最近ごぶさたやったからな・・・」
そして「メグミちゃ〜ん!今日は行ったるで〜!」そう言って果てた。
128紺野の愛+α:02/03/02 11:46 ID:V9deRdxz
あれから数日―――
仕事の合間の休憩時間、高橋たち三人は机に向かい、何やら書いている。
「・・・ここはもっとこうしたら・・・」
「え〜、そう?そうしたら、ここの良さが消えない?」
「ののは、もっと可愛くしたらいいと思うなぁ」
周りのメンバーも何をしているのか気になっている様子だ。
「・・・これをここに持ってくるとかは・・・」
「ねえ、さっきから三人で何してんの?」
後ろから声がし、慌てて三人が振り向く。そこには飯田の顔があった。
「わあっ!」
高橋が、慌てて紙を隠し、「何でもないです・・・」と苦笑いをした。
「・・・何でもないなら、なんで隠すの?」
「そ・・・それは・・・その・・・」
オロオロとする高橋。
「ダメェ!今、とっても大切な大切なもの書いてるんだから!」
辻の真剣な表情に、飯田はわかったわかったと言って三人から離れた。
「・・・ふうっ、危なかったね・・・」
高橋がため息をついた。
「・・・まだこれは見せれないもんね」
辻が二人を見て笑う。
「うん、これを見せる時は、ワタモニ完成の時だからね」
紺野の声に、高橋、辻も、ぷくくくっと笑う。
メンバーには、三人が何をやっているのかわからない。
しかし誰にも、何をしているのかをこれ以上詮索する気はなかった。
三人の目は、とても生き生きしていた。
129紺野の愛+α:02/03/02 11:47 ID:V9deRdxz
コンコン
「失礼します」
つんくの控え室のドアがノックされ、高橋、辻、紺野の三人が入ってくる。
「おう、来たか」
つんくは近くにあった椅子に座り、タバコに火をつけた。
そして、煙をフーッと吐き出すと、三人を見た。
「ここに三人を呼んだっちゅーことは、何だかわかるやろ?」
つんくの言葉に、三人はコクンと頷いた。
しばらくの沈黙が室内に流れる。と。
「――― 単刀直入に言ってな、紺野、お前にワタモニのリーダーをやってもらいたい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
紺野は驚きを隠せなかった。何で自分が?という思いが頭を駆け巡る。
紺野は高橋を見る。高橋は無言で頷いた。辻も同様だ。
「・・・紺野、お前、今なんて思ってる?」
つんくが紺野を見て言う。紺野は答えない。
「・・・私なんかが、劣等性なんかが、リーダーなんて無理。
先輩の辻か、年上の高橋がリーダーに適任。そう思っとるやろ?」
紺野はうつむいた。その通りだったからだ。
紺野は何も喋らない。つんくは、しばらくの間を置いてから言った。
「あんなあ紺野。お前は確かに歌は下手やしダンスも下手。おまけにトロ臭いときてる。
芸能人としたら落第点だらけや」
つんくの言葉が、紺野の胸にチクチクと刺さる。紺野は全くその通りだと思った。
「・・・せやけどな、紺野。お前じゃないとダメなんや。
お前の持っているその空気は、フワフワしてる辻にも高橋にも出せん。
それをまだ、お前はうまく使いこなせてないだけや。
お前はきっとこの先、娘。に必要な人間になる。もっと自信持てや」
「・・・・・・はい」
「声が小さい!」
「はいっ!」
紺野の声に、つんくは満足そうに頷いた。そして、再び真剣な目になり、
「・・・せやけど、お前はまだ未熟もんや。
お前なんかをリーダーにしたら、どんなことになるかわからん。せらから」
そう言って、今度は高橋を見る。
「高橋、お前がサブリーダーになって、紺野が一人前になるまでサポートしたれや」
高橋も、まっすぐにつんくの目を見る。
「・・・はいっ!」
その声に、つんくは再びコクンと頷いた。
130紺野の愛+α:02/03/02 11:48 ID:V9deRdxz
「それでやな・・・」
「・・・ねえねえ、ののは?」
話を始めようとしたつんくを、辻が遮る。
「辻か?辻はミニモニとか色々大変やろ?あんま無理さすわけにもいかんからな」
つんくの言葉に、辻は「わかった」とだけ言った。
「・・・でな、もう曲だけはできとるから、明日から振り付けの練習に入ってくれ」
手を上げて「以上!」と言うつんく。しかし、三人は動かない。
「ん?どないした?もう行ってもええよ」
「・・・あの、実は曲のことなんですけど・・・」
紺野が言う。そして何やら封筒のようなものを出した。
「何や?それ」
「実は、私たちで詞を書いてみたんです。ワタモニの」
「それでね、ののたちこの歌詞で歌いたいな〜って思うの」
高橋、辻も続く。つんくは片手を差し出し、「見せてみい」と紺野に言う。
紺野はつんくに歩み寄り、封筒を差し出して手渡す。
「・・・・・・・・・ふ〜ん・・・・・・」
つんくはまじまじと歌詞が書かれた紙を見つめる。
それを緊張しながら見ている三人。
「・・・これ、もしかして、例の体験のことを詞にしたんか?」
つんくが目だけ向けて聞く。紺野が頷く。そして再び紙に目を戻す。
「・・・詞の意味、俺にはわかるで。
でもな、これを知らん奴には何言ってるかわからんかもしれん。
もしかしたら、お前らの芸能活動に影響が出るほどダメージを受けるかもしれん」
つんくは紙を膝の上に置き、三人を見つめる。
その目は「もし最悪の事態になっても、それでもええんか?」と言っているように見える。
「・・・・・・はい、あの体験無しにはワタモニはありません。
それが皆さんに伝わらなくても、言葉だけを頭の片隅に置いてほしいんです」
紺野は、つんくの目を真っ直ぐみつめながら言った。
つんくは紺野を見、紙を見、高橋を見、紙を見、辻を見、紙を見・・・。
「・・・わかった。これで歌詞をつけてみる」
つんくの声に、三人の顔が輝く。
「は、はい!ありがとうございます!」
そう言って部屋を出ていく三人。
と、辻が戻ってきた。
「おう、どないしたん、辻」
「・・・あ・・・あのね・・・」
辻は何やら口ごもって答えない。
つんくは机の上にあったセンベイを取り上げ、
「センベイ、食うか?」
と言って辻に差し出した。
「わあ!つんくさんありがとう!」
そう言って、袋ごと持っていって部屋を出ていった。
つんくは差し出したままの姿勢で固まった。
「・・・・・・一枚だけちゃうんか」
椅子の背もたれに寄りかかり、つんくは呟いた。
そして、天井をみあげながら、ハハッと笑った。
131紺野の愛+α:02/03/02 11:49 ID:V9deRdxz
――― エピローグ
飯田、安倍はTV局の廊下を歩いていた。
「大丈夫かなぁ、あの三人」
飯田が呟く。
「大丈夫だよ、・・・多分」
安倍はそう言うものの、どこか不安そうだ。
今日は、ワタモニの曲の初披露の日だ。しかも生。
きっと緊張しているに違いない。と思い、仕事の合間を縫って、二人は三人の控え室に向かっていた。
コンコン
安倍がドアをノックする。
「みんな、いる?」
しかし返事がない。
やっぱり緊張してるのかなぁ。安倍は飯田と目を合わせる。
「ドア、開けてもいいかな」
「いいんじゃない?」
ガチャッ
ドアを開け、二人が控え室に入ると、三人とも緊張して。
「あれ〜?安倍さんに飯田さん?」
いなかった。
三人とも、お菓子を食べながら、何やら雑談をしている。
「・・・お菓子、食べます?」
そう言って、紺野がかっぱえびせんの袋を差し出す。
二人は、あっけに取られたような顔で、三人を見ている。
「・・・あんたたち、随分リラックスしてるわね」
飯田が呆れたように呟く(ついでに、お菓子もつまみ食い)。
安倍も「緊張とか、ないの?」言う。
「緊張してるよ〜!もうバクバク!」
辻がそう言って笑う。どう見ても緊張しているようには見えない。
安倍、飯田は顔を見合わせ、苦笑いをした。
ガチャッ
控え室のドアが回る。
「ワタモニの皆さん、そろそろスタジオの方にお願いします」
ディレクターだ。高橋は「よ〜し、行こうか」と言い、椅子から立ちあがる。
高橋と辻が控え室から出ていく。紺野はお菓子の袋を片付けている。
「あ〜!いいよ紺野!ナッチがやるから!」
紺野は「すいません」と言って、ドアに向かう。
「紺野?」
飯田が声をかける。紺野が「はい?」と言って振り向く。
「・・・本当に大丈夫?緊張とかいてない?」
飯田の言葉に紺野は何やら考えるような仕草をした。少しの沈黙の後、
「・・・緊張がないと言ったら嘘になりますね。今でも、かなりドキドキしています。
でも、愛ちゃんと辻ちゃんが側にいますから、平気です」
そう言って、紺野は控え室を出ていく。
飯田は、紺野が出ていったドアを見ていた。そして、近くの椅子に腰をかける。
「・・・二人がいるから平気・・・か」
飯田が誰に言うでもなく呟いた。
「・・・カオリ」
お菓子を片付け終えた安倍が言う。
「・・・今日、久しぶりに、二人だけでご飯食べに行こうか?」
飯田は、コクンと頷いた。そして、二人で顔を見合わせて微笑んだ。
テレビから、女子アナウンサーの声が聞こえる。
「・・・では、早速今週のゲストの皆さま方をご紹介したいと思います」
明るく、暖かい音楽に乗って、高橋、辻、紺野の三人が画面に現れた。
「・・・大丈夫だよ、あの三人は」
「・・・うん」
安倍と飯田は、微笑みながら三人を見ていた。

――― END
132タオルケット:02/03/02 11:54 ID:V9deRdxz
>>123-131
以上で完結です。更新まで時間かかってすいません。
なかなか思いつかなかったんで・・・。

>>120
もし作って頂けるのでしたらお願いします。
一歩離れて、自分が作った小説も見てみたいです。

では、しばらく休憩・・・。
気が向いたらまた何か書くかもしれません。
読んでくれた皆さん、ありがとうございました。
では。