推理小説「卒業旅行」

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163辻っ子のお豆さん
【一日目 午後6時】
そして天井に設置されたスピーカーから、場違いなほど陽気な声が聞こえてきた。

『こんばんはー、モーニング娘のみなさん。
 いっきなりだけど、君達の仲間を1人預かったよー。
 彼女の命がおしければ、12人の力を合わせて謎を解いてみな。
 ヒントはテーブルの上に記しておいたよー。んじゃね〜。
 …おっと忘れてた。私が誰か言ってなかったね。私は君達の中にいるよ。』
ガチャ

そこで声は途切れた。
「なんじゃそりゃ〜!!」
私達は一斉に声をあげた。
「何何何、これってどういうこと?」
「私は君達の中にいるよ?ほえ〜?」
あまりの出来事に、その場の全員がパニくっていた。
その声は機械的な物で、誰の声か判別するのは不可能だった。
「あ〜わかった〜!」
すると、石川さんの甲高い声があがった。
164辻っ子のお豆さん:02/02/22 17:55 ID:VpxakDcl
「きっとこれはTVのドッキリ番組ですよ。」
すると矢口さんが大袈裟に倒れ込んだ。
「ヤラレタ〜!せっかくのバカンスだと思ったのにそうゆうことかよ!」
「つんくさんにハメられたって訳か。あ〜あ。」
後藤さんも頭をテーブルに落として、軽くへこんでいる。
「え!てことはどっかに隠しカメラとかあったりすんの、最悪ぅ!」
吉澤さんの言葉で、全員が一斉に当りを探し始める。
「探せ探せ!」
「こっちにはないで〜。」
「ないれすね。」
食堂中を掻き回したが、結局どこにも隠しカメラらしき物は見当たらなかった。
すると安倍さんが何か思い出した様に言った。
「そういえば・・さっきヒントがどうとかって言ってたよね。」
「うん、確かテーブルの上とか・・」
保田さんの答えに、今度は11人全員が一斉にテーブルを囲んで覗き見る。
しかしこれから食べる料理が並んでいるだけで、変わった物は特に見当たらない。
「てゆーかこんな所に何かあったら、先にうちらが気付いてるっつーの、なぁ。」
矢口さんの意見に石川さんが頷く。
165辻っ子のお豆さん:02/02/22 17:57 ID:VpxakDcl
「もしかしてこの下じゃないですかぁ?」
まこっちゃんがテーブルシートの端を持ってびらびらさせる。
「んあ〜面倒くさいけど、一応確かめてみる?」
私達はテーブルの上の皿を全部どかして、テーブルシートを剥ぎ取った。
「あ!」
誰かが驚きの声をあげた。
木製のテーブルには文章が切り刻まれていたのだ。
――――――――――――――――――
全てから
モーニング娘13人が消えた時
その2番目と13番目
――――――――――――――――――
よく意味のわからない文章。これがヒントなのだろうか?
「わかったぁー!!」
すると辻加護コンビが声を揃えて手を上げた。
「犯人は2番目に消えた人と13番目に消えた人だ〜!」
「そのままかよ!」
流石矢口さん。ていねいに突っ込んであげている。
166辻っ子のお豆さん:02/02/22 17:58 ID:VpxakDcl
「ん〜。訳わかんないから、ちょっと整理してみようよ。」
「のの、おなかすいたのれす。」
安倍さんとののの意見を受け入れ、食事を取りながら整理することにした。
・ 飯田、新垣が行方不明
・ 謎の放送、声の主はこの中の誰かと言っている。
・ 隠しカメラ等は一切見つかっていない
・ テーブルの上に意味不明のヒント
代表して矢口さんが紙に書いてまとめる。
「こんなもんか?」
「そういえば、さっきの放送変じゃなかった。2人いないのに1人預かったって…」
後藤さんの発言に石川さんも頷く。
「私も思ったの、12人の力を合わせろとか、まちがってるよね。」
「そそっかしい犯人じゃないの。」
「じゃあよっすぃーかな。」
「だね。」
「あーひでー!梨華ちゃんもごっつぁんもー!」
「よっすぃーはしっかりものれす。」
「ののーわかってくれるのはお前だけだー!」
吉澤さんは泣き真似しながらののに抱き着いた。