なかよしのフィギュア全種

このエントリーをはてなブックマークに追加
148相模 33
梨華ちゃんの話です。 モーニング娘。の梨華ちゃんではなく、
普通に高校を出て、大学生になっている梨華ちゃんの話です。
では、どうぞお付き合いくださいぃ。
149相模 33:02/03/29 00:37 ID:EazM4D1g

もうすぐ春。いや、暦の上ではもう春だけど、寒かったりするなぁ、まだ。
もう慣れた仕事だけど、やっぱ毎日クタクタになる。でも、充実感はある。
だからこんな日曜日は妙にヒマが出来る。

だからベッドの下からエロ本を出そうとしてると、部屋のドアが開いた。
梨華が来た。
「あ、いらっしゃい!」
本を引っ張り出す姿はかなりコッケイに見えるらしく、笑いながら近寄ってくる。
「またそんな本見てたの?」
「見てない、見てない! 誓ったじゃん!!」
「あの時全部捨てたはずなのにねー」
「違うって、コレ友達が置いてったんだよ!!」
「ホント〜?」
「・・・・・・ウソです・・。」
コツッとおでこをぶつけてきた。 そのまま、ノリでキスして・・・
やることやった後、梨華が静寂を破った。
150相模 33:02/03/29 00:47 ID:EazM4D1g

「あのねー、驚かないでよ?」
「ん? ま、内容によるけど。」
「いっつもそういう風に返すね」
イタズラな子を見るような瞳で言った。
「わかったわかった、マジメに聞きますっ。」
「あのね、お父さんが、肩叩きにあいました。」
「・・・・・・・マジで!?」
「んー・・・マジ。」
だんだん梨華の表情が寂しげになっていく。
「大変だべ!!オレにできることあったらなんでもするから。」
「ホント?・・・じゃぁ、ひとつだけ、オネガイあるの。」
「・・・なに?」

「あたしのこと・・・忘れてくれない?」
151相模 33:02/03/29 23:33 ID:1XDeo8bs

「ん!?」
そりゃあ驚く。本気で言ってるとも思えない。忘れろはないよ。
梨華はうつむいてなにも言わない。
「梨華、イヤだよ、オレ。 忘れないし、そもそも別れないしさ!」
「んもー、わかってよ〜、別れなきゃいけないってこともぉ〜」
「なんでさ。」
「引っ越すの・・。」
「イヤ、梨華残ればいいじゃん!大学もあるし!」
「だからダメなんだってば!」
梨華はもう半分泣いてる。
「絶対、ムリ?」
「ん、どこにそんなお金があるの!ってひっぱたかれた・・・」
「オレがなんとかするよ!貯金あるし!結構あるよ!!ずっと貯めてるから。」

そう、チャラチャラしてそうだけど、マジメに働いて、
我がFCをオーバーホールしてやりたい。 で、いろいろいじりたいから、かなり貯めてある。
だから、親のスネをかじって、一人暮らししてないワケ。

「知ってるよ・・・でもクルマ、改造するんでしょ?」
「そんなんいつでもできるから!」
「ありがとう」

心が晴れた、梨華と離れないですむ。 それを考えたら、オーバーホールも見送っていい。

「だけど・・・やっぱムリみたい・・・」
「ん!?」
152相模 33:02/03/29 23:46 ID:1XDeo8bs

そのあと、ずっと説得してみたけど、やっぱり梨華とオレじゃなにも変えられないみたいだ。
結局引っ越しちゃうんだって。
更に驚いたのが、引越しの日、明日なんだって。

「ねぇ、泊まってもいい?」
「ん?いいけど、怒られない?」
「大丈夫。 ちょっと静かにしてて、電話するから。」

梨華は、女友達集まって夜を過ごすとウソをついた。
うちに泊まるときはいつもこう。
電話を切ると、誇らしげに笑って見せた。でもどこか寂しそう。

ふたり最後の夜を、いつもとかわらず過ごした。
逆に、最後だから、なんて意識すると、余計寂しくなるから。
でも、いつもよりもっとくっついて眠った。

明日、梨華との恋愛が止まるんだ・・・

153相模 33:02/03/30 00:14 ID:Sdho8vhu

不覚!! 寝過ごした!!っつーか、梨華が気づいたらいなかった!
でも、梨華が寝てたところはまだ温かい、梨華が帰ってからまだあんまり経ってないみたい。
ソッコー着替えて、クルマのキーを掴んだ、つもりが無い。 キーがいつも置く場所にない。
ルーズなオレも、カギだけはここに置くはずなのに・・・そんなこと考えてるヒマはねぇな。

梨華も歩きだ、走りゃ間に合う!!
勢いよく外に出れば、まあどしゃぶりという言葉がよく似合う。
うるさいほど雨が降っている。
傘は、ジャマになりそうだからささないことにした。
ガムシャラに走った。 こういう時、乳酸の蓄積を感じない。

あ、タクシーとか拾われてたら追いつけないじゃん。
でも、走り続けた。 梨華の背中が見える気がするから。

横断歩道に梨華はいた。 よかった、ちょうど止まってる。
追いつきそうになったとき青になった。 覚えとけよ信号!
1歩踏み出す梨華の腕をつかんだ。 驚いた顔で振り返った。
いや、意外と疲れてる自分に気づいた。息が切れてる。

「どうしたの?」
「オレがききたぃ・・・なんで勝手にいなくなるかなぁ・・」
「とりあえず座ろ」

アーケードの下のベンチに座った。

「なんで追いかけてきたの?」
困った顔で言う。
「や、ちゃんとさよならしたいから。」
むせび泣き始めた。
「泣きたくなかったの・・・涙見せたくなかったの・・。」
抱きたいけど、抱いちゃいけないような気がして、体が動かなかった。

「忘れないよ、梨華。」
ぼろぼろ涙をこぼしながら、うなずいた。

「はぁ〜、・・・梨華と結婚できるかなぁ〜、とか思ってた。オレ。」
「やだね・・・別れたくない・・・」

梨華がそっと、手を握った。

154名無し募集中。。。:02/03/30 00:30 ID:uz3f6iXm
お、これも面白いですね。
頑張ってください。
155相模 33:02/03/30 01:05 ID:Sdho8vhu

何も言えないなー・・・もう、昨日話したいこと全部話しちゃったか・・。
それとも、言葉が見つからないか・・。

バイバイって言えないな・・。 言ったら、ホントに終わっちゃうんだ。

「つらい?」
「つらい決まってるじゃん・・・。」
「想い出すだろな。 楽しかったときのこと・・・。」
梨華の瞳から、さらに大きな涙が落ちた気がした。
「言わないで・・・」

「泣くなよぉ〜・・・」

いきなりの別れ、心の準備もできないままに。
こんな瞬間のことなんて、考えもしなかった。

梨華の電話が鳴った。
家からみたい。 帰って来い、だろうな。

涙を、ゴシゴシ拭って、鼻水をすすって、笑顔を作ってみせた。

「えへっ、じゃぁ、もう行くね。」
「ん、もう泣くなよ?」
「大丈夫! 今まで、ありがとう。」
「オレこそ、いろいろありがとな。」
「傘、返す。 おばさんにお礼言っといて。」
「ん?どうやって帰るの?」
「時間ないから、タクシー拾う。」
触れるだけのキスをした。
「帰ったら、フェラーリの中見てみて。」

梨華は、オレに手を振って、タクシーに乗り込んだ。
オレも、小さく手を振った。

家路についた。 結構走ったんだなぁ。 傘はあえてささなかった。
泣いてるから。
156相模 33:02/03/30 01:08 ID:Sdho8vhu
>154 さんくす! 次、最終回です!
157相模 33:02/03/30 01:19 ID:Sdho8vhu

家についた。 家族がなんか言ってるけど、無視しといた。
デリケートなハートにズカズカ入ってくんじゃねーよ・・・。

フェラーリっつってたな・・・。
そのフェラーリとは、F40 1:18モデルのことだと思う。
言われたとおり、見てみると、FCのキーと白いメモ帳に書かれた手紙。

手紙は、「ありふれた言葉しかでてこないよ    ありがとう   」
と書かれただけ。 正直な気持ちなんだろうな・・・。

その後、その手紙はサイフに入れて、別れを吹っ切るように、
FCのオーバーホールをした。 その際に、タービンを交換して、クラッチを替えて、
エアロをつけたり、かなり手を加えた。 

まだまだ走ってくれ。
この地味なブルーのFCのナビシートに、違う華が咲くまで。
158相模 33:02/03/30 01:25 ID:Sdho8vhu

−FCに咲く黄色い華−  完


ありがとうございましたー!
3,4篇とか言って7篇にもなってしまいました。
やっぱショート楽ですわ!