半ばふたりの関係も諦めながら部屋に戻った。
座り込んで、もし、ふたり終わってしまったらのことを考えた。
また、以前と同じ暮らしに戻ろう。 そしたら、テレビでなっちを見たら、
どんな気持ちになるんだろう。
2日経った。 ずっと、気になったままだった。
その日の夕方、なっちは帰ってきた。
なにごともなかったような、涼しい顔で。
「ただいまぁー」
元気に言うと、ニコニコしながらオレを見つめた。
問いかけようとすると、またなっちは動き出して、家事をせっせと始めた。
立ち尽くすのもどうかと思って、そばのテーブルのイスに腰掛けた。
「こーちゃーん」
洗濯機のところから呼ばれた。
「んー?」
「怒ってない?」
「怒ってないよ。」
確かに、怒ってはない。
バタン、と洗濯機のフタを閉めて、こっちに来た。
「よかったぁー。」
その顔は、いつもの笑顔。
トコトコ歩いてきて、その勢いを緩めずに、オレのほっぺにくちびるを当てた。
そしてそのまま家事に戻る。」
「反則だよお譲ちゃん。」
言うと、今度は掃除機をかけようとしてる。
結局、あの日の涙の理由は聞かずに、また月日が過ぎる。
けど、ことあるごとに、漠然とした不安に駆られる。
その正体は、あの時よぎった、もしも別れたら、の不安。
大体そのことを考えるのは、一人でいるとき。
ふたりでいると、そんな不安は感じない。感じられない。
あの笑顔は、安心できる。