その日帰りに昨日なっちと行ったデパートに行った。
そして最後に行ったあのアクセサリーショップに。
なっち、どれが欲しかったんだろ? なんで泣いたんだろ?
どんなのが好きなのかわからないけど、とりあえず
細い月にとまる青い目のフクロウのネックレスを買った。
まぁぶっちゃけオレが気に入ったんだけど。
割と飛ばして帰った。 道路交通法を破りながら。
早く、なっちに見せたかった。
帰ったら、いっちばん寂しいパターン。 いないんだ。なっち。
とりあえず、あるもの食べて、風呂に入った。
出たら帰ってるんじゃないか、とかささやかな希望も打ち砕かれた。
そうだ、スケジュール表を・・・あいにく古かった。
電話も・・ないし、もちメールもない。
・・・心配になるじゃねーか、って・・・
だいぶ前に見た最悪な夢を思い出した。
体中の毛穴という毛穴が開くのがわかった。
玄関にいつも置いてあるキーを、流れ作業で無意識に手に取るキーを、つかみそこねた。
なっちのブーツの上に落ちたキーを拾い上げて家を出た。
急いで、まるで何かから逃げるように乗り込んで、エンジンをかけ、走り出した。
小気味いいスキールが鳴った。
一個めの信号にかかった。 ここにくるまで距離はない。
けど、1回エンストした。 赤いランプを眺めながら思った。
一体どこへ走ればいい。 今度ばかりはどこにいけばいいのかサッパリ。
メーターパネルにふと目をやるとガソリンメーターの針はEの所まで沈んでいた。
「ぅをっ!!」
すぐ見えたスタンドに入った。
なにひとつうまくいかない自分に苛立った。
電話をかけてみた。 コール音がする度に、なっちが電話に出るような錯覚に陥る。
電話をパタッと閉じて、給油が終わるまで、シートに身体をうずめて、気持ちを鎮めた。