★「なんで娘。応援してるの?」に対する解答999★

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65オレンジジュース

先刻、足にひっかかったコップから、
オレンジジュースがこぼれているのが右目の端に写った。
「でも、いちーちゃんを思い出したのは」
なっちが私から少しだけ離れて私の目を見た。
「思い出したのは?」
「なっちが、好きになった切っ掛けだからで」
「……ホント……?」
だんだん床を侵食していくオレンジジュースは、
私達のすぐ傍まできていた。
「なっちが、好きになった理由とか思い出して」
「……」
「だから」
私は口を閉じられて、
目の前にはなっちの顔があった。
私は最初何が起こったのかがわからなくて、
ぼぉっとしてしまった。
66オレンジジュース:02/02/10 23:59 ID:YVeV3G3S

「例え、ごっちんが紗耶香が好きだったとしても」
唇に息がかかって、それが熱くてドキドキした。
「それでも、なっちはごっちんが好きなの」
何時の間にか、私達は床に座り込んでいた。
オレンジジュースが後少しで私達まで侵食してきそうな距離まで来ていた。
「私を見てくれてなくても傍にいたかったけど、だけどそれはとても辛くて」
「後藤は、なっちしか見てないよ?」
なっちが涙でぐしゃぐしゃな顔で笑って言った。
「ちゃんと、信じさせて?」
オレンジジュースが何時の間にか動くのを止めていた。
なっちの唇がオレンジ色に光った。
「今日の口紅、オレンジ色なんだ」
「な、何?急に。…そうだけど」
オレンジ色に濡れて光る唇に、今度は自分から近付いた。
「……オレンジジュースの味するかな?」
「バカ」
多分、まだ隣にはいないけれど、
私は何時かなっちの隣に行こうと決心した。
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苦くて、酸っぱくて、だけどとびっきり甘くて。