元気爆発メロン記念日

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92マングース西浦
この日からつんくは昏睡状態に入った。
その事実は一切伏せられ、石川は実質的にモーニング娘。統一国家の
全権を握ることとなったのである。

「石川…あの子一体…」
保田はつんくから聞かされた言葉を思い出していた。
どうしてつんくは『ザ!ピース』でフロントを任せた石川ではなく後藤を補佐官にしたか…

「後藤はな、俺の期待に一番応えてくれる子なんや」
後藤は、人気に陰りが見えたモーニング娘。を『ラブマシーン』で盛り返してみせた。
これは周知の事実であり、後藤がつんくの期待に応えた結果である。
その後モーニング娘。の人気を不動のものにしてきたのも後藤の力だし、
ソロになってからもつんくの期待に充分応えている。

その加入の約1年後に加入してきたのが石川梨華だった。
つんくは石川をインスピレーションだけで選んだという。
「無限の可能性を感じた…」
そう言っていた。

そしてその後石川は『ザ!ピース』でフロントを努め、堂々たる結果を残した。
だが、その結果は予想の範囲を超えたものではなかったのである。
ラブマシーンの時の後藤を越える働きは出来なかった。

要求に対し、それをいい意味でも時には悪い意味でも越えてくれるのが後藤であって、
予想の範囲で最大限要求に答えるのが石川だ、そうつんくは思っていたのである。
確かに、補佐官として使いやすい者を選ぶとしたら石川を選ぶのが普通だろう。
だが、つんくは敢えて後藤の未知数な部分に掛けてみたのだ。
つんくは、そういうことが好きな男だった。

「それだけやない」
つんくは続けた。
ここまでは保田もなんとなく分かっていたことだった。
「石川には徳が無い…や、無い言うのとは少し違うな、徳の質が違うんや」
石川の持つ人徳は、学校の部活動の部長、学級委員、そういう小さな範囲を
治めるのに適しており、
後藤の持つ人徳はそうではない。例えば生徒会長、総理大臣、そういった
いわゆるカリスマ的なものであり、
生まれ持った資質からして、2人は大きく違っていたのである。

そういう資質を持った後藤を、辺境のオセアニア方面に行かせるのは得策ではない…
つんくはそう判断した。