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この頃、モーニング娘。軍オセアニア方面軍の『白き鷹』は行政府の屋根に登り、
遠く日本の方角を眺めていた。
なんとかと煙は高い所が好きなのである。
「…梨華ちゃん遅いなぁ…」
石川と交代で日本に帰る予定だった吉澤ひとみだった。
石川はたった2日の日本滞在の予定だったはず。
なのにもう2週間以上の時間が経過してしまっている。
その石川からは何の音沙汰も無いのだ。
「はぁ…ごっちん、中澤さん、つんくさん…みんな元気なのかな…」
寂しそうな吉澤の瞳は見えるはずも無い遥か遠い日本を真っ直ぐに見つめていた。
梨華ちゃんはみんなと昔のように楽しくやってるのかな…
「うらやましい…」
吉澤はため息まじりにそう呟いていた。
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「祐ちゃん、なんか石川さん物騒なもの持ち出してきたみたいだよ」
「んん?…気にせんでええって。撃ってくるはずあらへん。ただの脅しや」
そうだよね…そう言ってもう一度後ろを振り返る市井。
「!!」
しかしその直後市井の表情が一変する。
「な…なんだって!?」
「み…味方ミサイル急速に接近!!よ…避けられません!!」
副操縦士の声悲鳴のようなが機内に響いたが、それを言い終えるかいなかのところで
機体が大きく傾いた。
「い…石川…!?アンタ何してんねん…」
「…祐ちゃんごめん…こんなことになるなんて…残念だよ…」
「紗耶香…」
次の瞬間、モーニング娘。結成当初以来のリーダーと、二期メンバー最初の卒業者2人の
世界を変えるかもしれなかった決断は空港に向かうヘリコプターの中で
爆風と共にこの世から消えた。
この頃、ハロプロ軍は独立決定目前という喜びに沸いていた。
あと1日もすれば中澤が到着し、そこで独立が成立するのだ。
ようやく決まった新しい衣装――アフリカの民族衣装――をまとったメロン記念日の4人も
この時ばかりは全ての悩みから開放されていた。
これまでずっと延期されてきたデビューも独立がきまれば具体的な形になるだろう。
独立記念日はもうすぐだ。
プルル…
そんな時、アフリカ行政府に通信が入った。
「はい。平家ですが」
機嫌良く電話を受け取った平家の顔から、見る間に血の気が引いていく。
受話器を持つ手が震えているのも見て取れた。
「…」
無言で受話器を置いた平家。
会場は一度に静まり返ってしまった。
「みっちゃん…何があったん?」
しばらく誰も声をかけられなかったが稲葉が口火を切った。
「祐ちゃんが……せ……戦死しはったって…」
登場人物
安倍なつみ
モーニング娘。スポンジで出来ている。太りやすい。度量が広いようで広くない。北海道。豚っぽい。