モーニング一家ー安倍ちゃんの誕生日

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77牧野唯
ちょうど同じ頃。
後藤・石川・吉澤の三人は、学校に向かうために家を出た所だった。
生徒会に関係ない彼女らは、この時間に出てもちょうどいいのだ。
「ねぇ、ねぇ、今年の賞品って、何かなぁ」
後藤が、鞄をぶんぶん振り回しながら尋ねる。吉澤は、それに当らないように2・3歩
後ろを歩きながら、首をちょっとかしげた。
「何?賞品って」
「あれでしょ。最優秀賞、MVPに送られるやつ。去年は、学食無料券1年分だったよね」
「えぇ!?すごーい!!」
思いのほかの大きなリアクションに、石川が吉澤を振り返る。
「何で知らないの、よっすぃー・・・」
「だって、去年私、足捻挫しちゃって途中で早退したんだもん」
「あっ。そっかぁ!!そーだったよね!それで、その後何回も家の階段で転んだよね!!」
「うるさいなぁ」
駄目押しする後藤を、吉澤が軽く睨んだ。
「へへへっと、射程距離から逃げる後藤。
(しかも、吉澤の射程距離は、かなり狭い)
「去年も、ダントツなっちだったよねー。今年も、狙ってるんじゃない?」
「えぇ!?なっち?じゃあ、学食1年分タダだったの!?」
「はぁ〜!?なんで知らないの、よっすぃー」
「めちゃくちゃ有名だったじゃん。私も何回か、奢ってもらったよ?」

78牧野唯:02/03/11 23:24 ID:+Fjt6AYW
再び驚く吉澤。ただし今回は、聞いた二人の方が驚いている。
「うそぉ。私、一回もない・・・。もしかして、知らなかったのって、私だけ・・・!?」
「・・・普通、知ってるよね」
「多分、全校生徒知ってると思ってたよぉ」
石川と後藤は、顔を見合わせて、笑いを堪えた。
「ねー、二人とも。どっちかMVP取ったら、私に奢ってね」
「うわー!私、絶対無理!!」
大声で叫んだ後藤に、石川が続ける。
「あ。でも、今年はまた、賞品違うんじゃない?たしか、体育委員会が決めるんだよ、あれ」
「えぇ〜!?なっちが決めるのぉぉ!?」
「何なんだろ・・・。ちょっと怖い・・・」
開会式で、発表されるよ。きっと」
うーん、と考え込んだ三人の遥か先から、どおんどおん、と再び花火の音が、響いてくるのだった。