モーニング一家ー安倍ちゃんの誕生日

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27牧野唯
「なに?なんだって?」
「朝ごはんの材料、買って来てって。なんもないみたい」
「あー、そっか。私のために用意してくれてたんだもんな。わかった。今日の朝食は私が腕によりをかけてっ!」
「う、うん・・・」
現在、時刻は午後5時をまわったところ。この女は、これから海に行って、買い物して、家に帰って、
腕によりをかけた朝ご飯をつくるというのか・・・・!
「す、すご〜い・・・なっち・・・」
モノノケ・・・という言葉が矢口の頭をかすめたが、口にする必要はないとわかっていた・・・。

28牧野唯:02/01/27 05:20 ID:VB1D2NGp
がくん。
「はっ・・・・ね、寝て・・・」
授業中のうたたねを邪魔されたの如く、どきどきと高鳴る胸を可愛らしく両手で抑えつつ、
矢口は目をしばたたかせた。
と。
「矢口!ほら、見てみてよ!」
矢口が一瞬眠りに入っていたことも気付いていない安倍は、満足げに前方を指差した。
目の前に広がったのは、青い海から昇る、見事な朝日・・・・!
「う・・わー!!すげー!!」
思わず身を乗り出して歓喜の声を上げる矢口の大きな目がきらきらと輝く様を、
安倍はそれはそれはしあわせそうに視界に入れた。
「な、すげーだろ。昨日もこれが見たくてつい車飛ばしちゃってさぁ・・・」
それはもう、安倍は当番を忘れるのも頷ける!というほどに美しい風景で。
「これ、見せたかったの?私に」
「そう。綺麗だろ?良かった、間に合って」
「・・・・でもなっちの誕生日なのに、なんか変なのぉ」
「なんでぇ?私がこうしたかったんだから、いーの。矢口が一緒に来てくれただけでっ」
「なっち・・・」
じぃぃぃん・・・!!
矢口は思わず、ごめんなっち・・・おまえの誕生日綺麗さっぱり忘れてて・・・!!と心の中で詫びを入れ、
これからは私もイベントには敏感になるように心がけるから・・・!!と、ちょっとはずれた決心を心に固めたのだった。

29牧野唯:02/01/27 05:26 ID:VB1D2NGp
そんなこんなで、4人、もとい3人のお誕生日プレゼント大作戦は大団円で幕を閉じた。
諸々の疲れで完璧に寝入ってしまっっていた3人と、家に帰り着くなり着飾ったままの恰好でベッドに直行した矢口は、
いつものように安倍の「メシだぞー!!」という声で目を覚ますこととなる。
もちろんいつものように「なんでんな元気なんだよ・・・」と突っ込みを入れつつ。

これがモーニング家の正しい日常風景なのである。


■ 完 ■