ゆっくりとあたしは立ちあがりかぶりをふった。
あれっ?もう一人いたはず。
見回すとだいぶ離れた場所で倒れている相手に向ってナッチが
「いじめは、いけないっしょ」
などと説教を垂れている。
ヤグチはゴトーに肩を貸そうと奮闘している。
身長の差が歴然だ。
「チャミー、怖かったんでネガティブになったんすけどー、ヤスダさんが
負けている所を見てボジティブにならなきゃって頑張ったんです。チャーミーは…」
興奮して勝ち誇ったようにかん高い声で何か言いながら、右肩に寄り添ってくる。
冗談じゃないわ。こんな双はあたし一人で勝てたわよ。
あたしが負けていたって?いた?いたかもしれない。
ん。今回はこの子に助けられたわね。
しゃくだけど、お礼を言うか。
喋り続けているチャーミーの耳元に口を近づける。
「あ・り・が・と…」
「…!」
チャーミーが驚いたようにあたしの目を見上げると、みるみる頬が紅に染まっていく。
んまっ。可愛いじゃん。
思わず見つめちゃたわよ。
「あの〜お二人さん、お取り込中の処誠に申分けないのですが…」
ヤグチがゴトーを背負うようにしてやってくる。
ゴトーはまだ足がフラついているようだ。
「これ見つけたんだけど…」
ヤグチの手の中には、宇宙軍大学校卒業者が付けることを許される徽章、通称『天保銭』が握られていた。
将来中央の幹部になってゆく士官の印・天保銭。
黒色だから法科の専攻だ。
こいつ等が落としたのだろうか?
だとしたら…。
うっう。頭が痛い。