うーん。身長からいくと問題ないけど二人とも横幅がねぇ。
むしろ、あたしとミカの方が…でも、おとりになるほうが重要か。
二人が接近する前に全滅したら元も子もない。
よし、まかせよう。
次に来る攻撃を防ぐ作戦はっと…。
何かの工事用のコンクリートパイプやドラム管の束が目にはいった。
ヤグチは一人の隊員になにごとか話しかける。
アンドロイド兵士の方向を眺めると、何時の間にかその数が増していた。1個歩兵中隊分120はいるだろう。
整列を始めている。
こんどは、重厚な縦長体型だ。
先ほど話しかけられた兵士が、ホバーの位置を変える。
「みんな、前から順に狙うんだよ。倒したらすぐに次を狙う。
倒れたのにかまっている必要はないよ。
獲物はたくさん居るんだからね」
先頭が射程距離に入る。
「ファイヤー!」
最前列のアンドロイド兵士が倒れる。
その倒れた兵士を踏み越えて次の兵士が前進してくる。
その兵士を倒す。次の隊伍が前進する。
次々と迫ってくるその姿に恐怖感が増大してくる。
「今だよ!やっちゃえ!」
ヤグチは頃合を謀ってホバー上の兵士に叫ぶ。
エンジンのうなり声がしてたと思うとドラム缶やら土管やらが転がりアンドロイド兵士に襲いかかる。
レーザーで応戦するアンドロイドもいるが、ドラム缶の中身がアスファルトだったからたまらない。
レーザーの熱で中身が溶け、あいた穴から溶れ出す。
足を滑らせてバランスをくずし倒れる者、可動部分にアスファルトがはいり込み動けなくなるものが多数になる。
だが後方の者は前方の惨状におかまいなく前進を続ける。
まもなくアンドロイド兵士たちの有効戦闘距離にはいってくる。
55 :
おーびたー1:02/01/31 21:44 ID:+yWtan+l
「いくでぇー!」
「へい!」
ガラガラガラ・・・・
あいぼんが前に載り、後ろからののが全力で押す。
一気に加速する台車。そうあの荷持を運ぶ台車である。
通常手で押す手すりの部分にこの台車は荷物止めのステンレス板が貼られていた。
そのステンレス板を盾にして乗っているのだ。
マスターの位置した場所は坂の下なので都合がよい。
しかも二人の重量で、一度速度が出れば慣性も大きい。
ボブスレーの様に体重移動をして向きを変え、ドラム管やアンドロイド達を縫うように進む。
アンドロイド兵士も撃って来るが、ほとんどのレーザー光をステンレス板は跳ね返している。
彼女たちは身長が低いので巧くステンレス板の後ろに隠れることができる。
「テヘッ。いんでい・じょうずみたいれ、かっこいいれす。」
途中のバンカーもひとっ跳びでみるみるマスターに近づく。
あいぼんはハンドアボーン砲をかまえ、
「のの、いくでえ〜。」
「へい!」
ののがエネルギーカートリッジを装着しあいぼんの肩を叩いた。
「でえぃゃ!」
掛け声とともに青い閃光が覆う。
マスターは、分子の段階までに分解され欠き消えた
ヤグチたちを攻撃していたアンドロイド兵士もその場で機能停止している。
「みんなー、やったね。大勝利!イェー。」
「「イェーィ」」
破顔一笑のヤグチの叫び声に隊員達も一斉に笑顔で答える。
曹長一人が渋い顔をしているのにヤグチは気付いた。
「ミカどうしたの。あたしら勝ったんだよ。」
「オーノゥ。隊長、はやくゥこの星からァ脱出したほうがいい。いそがないと…。」
勝利もつかのま、マスターと―緒に赤い建物、つまり地殻制御コンピューターまでふっとばしてしまっていた。
警備コンピューターは、地殻制御システムを盾にしていればヤグチ隊の攻撃はないと判断したのだ。
そう所詮コンピューターである。
ヤグチ達がこんな重大なことに気付かないという事をコンピュータは予測できなかった。
はげしい地震と火山の噴火のなかヤグチ隊は全員無事に撤収した。
こうして、非常通信は誰が発信したのかわからなくなったのよ。
そのうえ、所属根拠地への即刻帰還命令がやってきたの。
しぶんぎ座イーター星系への無法な攻撃で住民千二百名の殺害と惑星破壊による損害賠償でWWWAから訴えられたらしいわ。
根拠地へ入港するとすぐに法務官が軍事査問会議への出頭命令をもってきたのよ。
厳しい取調べを受けたけど結局、ヤグチ隊の個々に取り付けられているビデオの映像から行動に過失がないことが認められたわよ。
ののが警備システムを作動させてしまったのも事故と判断されて過失なしよ。
唯一、攻撃前に地殻制御システムの存在に気付かなかったとして、ヤグチが管区指令官の口頭注意の処分をうけたけれど・・・・
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新聞は、宇宙軍が事件をもみ消したと叩いたが事実が無いものは無いと憤慨する娘。たち
寄港中のある飲み屋で酔っ払いにゴトーはからまれ一発くらわす。その早い事、強いこと。
大事にならないうちに店に勘定と迷惑料をカウンターに置き外へ出たが、ゴトーは酔っ払いの仲間に追われていた。
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ふあぁ。つまらない映画だったわよ。
今日は、たまのお休み、めったにないお休みよ。
なのに何故女4人で映画なんか見てるわけ?。
なんか間違っているわよ。
本当はヤグチとあたしだけで男あさりに行くはずだったのよ。
そしたらなっつあんも一緒に行きたいって言うし、チャーミーまでついてきたし。
しかもーチャーミーの奴、今日もあたしの右腕にずーとぶら下がったままなのよ。
重いわよ。
今日のチャーミーは、ピンク色のワンピースに白いフリル付きであたしから見ても可愛いわよ。
でもね、男が声かけてくるたびあたしの腕を握りしめて男を威嚇するのよ。
そらぁ、どんな男だって引くわよね。
「けんかだー。けんかだぞー」
通行人の叫び声が聞こえた。
なぬぅ。喧嘩?あたしゃ喧嘩大すきだ。
血沸き肉踊る。喧嘩よ、けんか。喧嘩はどこよ?
ヤグチを見るとこいつも目を輝やかせている。
きっと退屈していたに違いない。
お互い肯き合って走りだした。無論、あたしはチャーミーを引きずっていたけど。
ボカ。ズカン。
ヒョホー。やっているわよ。4対1で。
細身で長身の男がカンフーの構えをして、その長い足で廻しケりを入れる。
カッケー!。
ケリをくらった奴がふっとび道路にうずくまる。
あたしは、1人で戦う男に見とれたわよ。
その筋のとおった鼻筋。端正な顔。かお?ってゴトーじゃん。
「「ゴトー!」」
ヤグチとハモッちゃった。
そしてゴトーはこっちを振り向いた所で、おやくそく通りに顔にパンチが入って崩れ落ちる。
ゆるやない。あたしは血が逆流した。