紺野のスポ根(紺)小説

このエントリーをはてなブックマークに追加
戸高さんがリングを降りても、会場のさわめきは消えなかった。
「西島も大した事ないな」「戸高って選手のあれ、狙ってただろ?」「あれはラッキーパンチだよ」
あちこちで今の試合の会話が聞かれる。逆転KOで会場は沸きに沸いていた。
と、気がつくと周囲に人が溢れている。もう足の踏み場もない。メインが始まるらしい。
あ、吉澤さん、探してるかな。
私は何とか人ごみを掻き分け、会場を出ることにした。
「す・・・すいません・・・通してください・・・」
凄い人。何とか進めるものの、まるで満員電車だ。
「・・・ぷはあ・・・」
私は会場の出ると同時にため息をついた。
しばらく一息ついて、吉澤さんがいる控え室に向かおうとした。
しかし、ここで重大なことに気がついた。控え室がどこにあるかわからない。
私はここで吉澤さんが来るのを待つことにした。