紺野のスポ根(紺)小説

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    One More Dream 第二部

輝かしい舞台。ステージは溢れんばかりの光に包まれている。
私は・・・いや、私たちは、舞台の上で、歌い。踊り、笑顔を振り撒きヒット曲を熱唱する。
Wow Wow Wow・・・。ファンのみんなもそれに呼応してくれている。
そしてアンコール。最後の曲「I Wish]。
メインは後藤さんと四期メンバーのみんなだけど、今回はメンバー全員の大合唱だ。
イントロが始まる。皆が歌う新しいI Wish。
皆が笑顔で熱唱する。お客さんも私たちに合わせて歌ってくれている。
しかし歌の途中、後藤さんが泣き出した。それにつられ、辻ちゃん、加護ちゃん、石川さんも泣き出す。このフレーズは後藤さんなので、歌が止まってしまった。
お客さんがザワザワしてきた。
と、その時、後藤さんのパートを誰かが歌い出す。
後藤さんは驚いた表情でその方向を見ると、吉澤さんが歌っている。
吉澤さんは後藤さんに向かってウインクをした。その目は涙ぐんでいる。
後藤さんは涙をこらえて再び歌いだした。それにつられて私も涙が出そうになる。
しかし泣いてはいられない。ここでメンバー全員のサビの大合唱だ。
私はギュッと歯を食いしばる。途中なんども涙が出そうになる。
しかし我慢、我慢、我慢・・・。私だけが泣くわけにはいかない。
そして大合唱が終わり、辻ちゃん、加護ちゃんが歌う最後のフレーズ。
「でも笑顔は〜大切にした〜ぁ〜い♪」
そうだ、泣いちゃだめなんだ、笑っていないと。
「・・・愛する人〜のためぇ〜に〜・・・♪」
湧き上がる大歓声。とたんに後藤さんの目から涙が溢れてくる。
吉澤さんが後藤さんに近づき、抱き寄せる。吉澤さんの胸の中で後藤さんが号泣する。
「みんな、ありがとおおおおおう!!」
吉澤さんが叫ぶ。その声に呼応し、再び湧き上がる歓声。
ファンのみなさんが口々に誰かの名前を叫んでいる。私の名前も聞こえる。
新垣ちゃんは、自分の名前が聞こえたのを聞いて、ポロポロと涙をこぼした。
やがて歓声が静まり、飯田さんがステージの前に出てくる。
証明が暗くなり、会場内には本当の無音が流れた。
しばらくして、飯田さんが口を開く。

ピピピピピ ピピピピピ
突然頭に鳴り響く明瞭な音に、私は飛び上がった。
いや、正確には飛び起きた。と言った方がいいのかもしれない。
ピピピピピ ピピピピピ
何かがけたたましく鳴る。目覚まし時計が鳴っている。
なんでコンサート会場に目覚ましが?私は混乱した頭を整理しだした。
しかし、私の周りにあるのは家具、テーブル、ベッド・・・。
どこかで見たようなものばかり。
というより、いつも見ているもののような気がする。
「・・・あ」
私はすっとんきょうな声を上げた。ここは私の部屋だ。そしてさっき見たのは夢だ。
ピピピピピ ピピピピピ
目覚ましを止めるのをすっかり忘れていた。目覚ましを止め、時間を見ると7時。
今日のスケジュール、何時からだっけ・・・。
スケジュールを見ると、「8時、TBS入り」と書いてある。
まずい!私は急いで寝巻きを脱ぎ捨て、シャワーを浴び、朝食の支度をする。

ピンポーン
玄関のチャイムが鳴った。
「ちょっと紺野!もう時間よ!早くしないと間に合わないわよ!」
マネージャーだ。私は、今すぐ出ます。と言い、着替え、部屋のドアを開ける。
「ちょっと〜5分もオーバーしたじゃない!これじゃ時間ギリギリじゃない!」
「すいません・・・保田さん」
「ほらもう、行くわよ!お説教は車の中でやるんだから!」
マネージャー・・・保田さんと私はマンションを降りて車に乗り込んだ。