【小説】 ★★ 『ハロプロ』バトルロワイヤル★★

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456デッドオアアライブ

"☆:.°*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*°.:☆"
        ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】Ψ†‡




無限の宇宙空間には無数の惑星が有り、誕生そして消滅を繰り返す。

それが当たり前の様に、名も知らぬ、ある惑星が爆発し消滅した。

しかし、その爆発は未知の放射線を放った・・・・

その惑星爆発に人類が気付いたのは爆発から五十億年後の現代である。

ニュースにも成らないその惑星の消滅の影響は其れから数年にも及ぶ・・・・

だが、人類は最後まで解らなかった・・・・・

その謎の放射線が人間だけに影響を与える怪光線であった事を・・・・・


最初に異変に気が付いたのは各地の病院だった。
「御臨終です・・・・」
医師の言葉に家族が泣き崩れる・・・・
しかし死体はピクリと動いた。
「おじいちゃん!・・・先生!おじいちゃんが!おじいちゃんが!」
病室を出ようとした医師が振り向き愕然とする。
確かに死んだ筈なのに上半身をムクリと起こしたからだ。
駆け寄り脈を取って診ると脈は無かった。
「いったい、どう言う・・・」
言いかけた医師の首に老人が噛み付いた、
僅かに残った歯が動脈を切った。
「何してんの!」
医師から引き剥がし押さえ付けようとする家族を
手当たりしだいに噛み付く老人の目は淀んでいた。

病院はパニックになった。
霊安室に収容していた遺体が動き出したからだ。
事態が掴めず、声をかけ、なだめ近寄る病院職員を次々と噛み付いて
廊下に出る死体達は入院患者に襲い掛かり、
遂には噛み殺した患者の肉を食い始めた。
職員の殆んどが噛み付かれ血を流した。

全国全ての病院、いや世界の病院で同時に同じ事が起こった。

警察も迂闊には病院に入れなかった。
生物テロの可能性が高かったからだが、全国の病院から一斉に
110番要請があって人手が全然足りなかったのも一因だった。
病院から逃げ出る怪我人を保護するのがやっとだった。

自衛隊の生物テロ対策班が防毒マスクを着けて病院内に入る、
だが、全国の病院に手が回るはずも無かった。
絶対的に人員が足らなかったからだ。

テレビ局では一斉にニュース特番に切り替わった。
日本で同時多発テロが起きた可能性があるとかもしれないと
報道したのが事件発生から1時間後の午後三時の事だった。

未確認情報として遺体が動き出し患者や医師達を襲ったと報道する
キャスターは首を捻りながら生物テロの可能性が有るとし、
しかしながら「死体が生き返るなどバカバカしい」と付け加えた。

同じ時刻、各地の葬儀場も同じ理由でパニックになるが、
報道各社はこの情報を無視した。
死体が動き出したとの情報に便乗した悪質な悪戯と判断したからだった。

457デッドオアアライブ :02/04/16 02:46 ID:pwayjD2t
"☆:.°*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*°.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

フジテレビの控え室にいたミニモニの4人はテレビにかじり付いていた。
今日の衣装は何故か例の赤と白のTシャツと短パンだ。
辻はポカンと口を開けて画面の久米宏を見ている。
「テロかも知れないって・・・」
チラリとミカを見ると体が震え、こぶしを握り締めていた。
「ミカちゃ・・・」矢口が声をかけると同時にミカは
「ガッテム!!!」とテーブルを叩いた。
「絶対アルカイーダノセイダヨ!!!」
アメリカ人のミカはテロに敏感だった。
こんなミカを初めて見る3人はしばし動けなかったが
「ほ、ほら、まだテロって決まった訳じゃ無いから・・・」
矢口が口火をきって3人でミカを宥めた。
辻がお菓子を差し出すと
「アリガト・・・ゴメンネ・・・」
ポリポリとポテチを食べながらミカは反省した。

「しっかし、今日の収録はどうなんだろうね?」
矢口がぼやき出した時、ノックをしてADが入ってきた。
説明によると、何時になるか分からないけど収録は
するので待ってほしいとの事だった。
「なんでやねん!・・・・と言っても仕方ないか・・・」
矢口は溜め息をついた。

458デッドオアアライブ :02/04/16 02:49 ID:pwayjD2t
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     ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

暇を持て余した後藤、吉澤、石川の3人は球体展望室に続く
廊下に出て見ると誰も人が居なかった。

ミニモニ以外は全員セーラー服を着せられていたが
プロデューサーの意図は解らなかった。

「やっぱり、本当だったんだね」
ゾロゾロとフジテレビを出る一般観光客を廊下の窓から
見下ろし、石川が呟いた。

ニュースの第一報からテロの可能性を考慮して一般人を
帰したと、さっきADから聞いたのだ。

年に一度の娘。特番・・・
辻、紺野と来て今度は私の番だと思っていた石川は
今日は絶対目立ってやろうと張り切っていたのだが
収録はすると言っても何時になるか分からないとの事で
テンションが急に落ちていた。
それは吉澤も同じだった。
今年の主役はまだ誰か発表されていなかったからだ。

バタバタと廊下を走る職員達を横目に
「とりあえず、展望室見てみようよ!ゆっくり見た事無いからさ」
後藤が2人を促がすと、石川と吉澤は顔を見合わせ
「それもそうだね」と動きが止まった巨大観覧車を横目に
展望室に向かった。
459デッドオアアライブ :02/04/16 02:51 ID:pwayjD2t
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   ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


「ちょっとぉ、どうなってるのよ!」
控え室で市井沙耶香とTV画面に釘付けになってる
中沢裕子は不安を隠せないでいた。
この2人だけは私服だった。
市井はジーパンにトレーナー、中沢は黒のパンツと白いブラウスを着ていた。
娘。特番で華を添える為に呼ばれたがそれどころではなかった。
まあまあ、となだめる市井は出演を断る事は出来なかった。
今では完全に水を空けられた娘。とは競演したくはなかったが
事務所の命令では仕方なかった。
「自衛隊も出動だってよ!」
次々とチャンネルを変える中沢はテレ朝でチャンネルを止めた。

「我々、テレビ朝日では人道的観点から局を避難所として
開放する事に決めました、とにかく怪我人が続出してます、
今回のテロは病院がターゲットになってます・・・・・・」
まくし立てる久米の顔は何故か高揚感に浸っているように見えた。

それに続きTBSの筑紫も局を解放すると宣言した。

「ここも開放するの?」
フジTVにチャンネルを合わせると暫らくしてその情報が入ったのか
木村太郎が久米と筑紫の実名を挙げて医者も居ないのに
何故そんな事をするのか理解出来ない、紛れこんだテロリストに
占拠されたらどうするのかと真顔で怒っていた。

「そうだよ、木村さん良い事言ったよ!」
中沢は少しホッとしたようだった。
TVを見ながら興奮している中沢を冷静に見ている市井は
何故自分はこんなにも落着いていられるのだろうと不思議に思った。



460デッドオアアライブ :02/04/16 02:58 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


「本当に収録始めるんですか?」
食堂で飯を食べていたプロデューサーに詰め寄る安倍、飯田、保田の3人は
普段は文句など言わないのだが今回は違った。
事件が広がるに付け言い用の無い不安に駆られ
浮き足立っていた。
「ちょ、ちょっと待ってよ、絶対収録はする予定だから・・・・」
菊池プロデューサーも自信が無かったが
今日収録しないとスケジュールが詰っている娘。の
時間が取れないのだ。
若いスタッフ連中は皆情報収集に駆り出されていた。
「と、とにかく待ってて・・・・」
プロデューサーは逃げるようにその場を後にする。

「あ〜もう!」
保田が地団駄を踏む。
周りを見回しても2,3人がポツリポツリと黙って食事をしている。
「誰も居ないね・・・・」
安倍が飯田の顔を見ると、飯田はウンウンと頷いた。
「よし!しゃあない!おじさん、カレー頂だい!」
飯田は食券を買いカレーライスを注文して、
受け取りテーブルにドカリと座った。
「カオリは食うよ!ナッチ達も何か頼めば?」
やけ食いをする飯田を見て
「よし、ナッチも食うよ!」
安倍はカツ丼を注文する。
「あんた達さっき弁当食べたでしょ!もう!」
保田は呆れたように紅茶を頼んだ。



461デッドオアアライブ :02/04/16 03:00 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


控え室で家に帰りたいと泣きじゃくる新垣と高橋を
マネージャーが必死になだめていた。
「ちょっと、プロデューサーに掛け合ってみるね」
と出て行くマネージャーはヤレヤレとウンザリした様子だ。
「大丈夫だよ」
小川が新垣の頭を撫でる。
「そうですよ」
紺野が高橋の手を取って慰める。

テレビでは小泉首相を中心にした緊急対策本部が立ち上がり、
小泉首相が国民に冷静になるよう呼びかけていた。

「小泉さんも言ってますよ、冷静になれって」
紺野は3人の心を静めるよう心掛けたが
自身の声が震えている事に気付いてなかった。
「日本が終わっちゃうの?」
高橋が手を握っている紺野に聞いた。
「日本だけじゃ無いみたいだよ・・・」
小川の声も震えていた。

「これは世界同時テロの可能性が大きくなりました、ワシントンの
内田さん・・・・・」
久米宏が世界各国でも同様の事件が起きていると伝えた。

「せっかくモーニング娘。に入ったのに!」
ワ〜と泣きじゃくる新垣に小川は声を掛けられなかった。
心配無いとは言ったものの、明日にはこの事件が収まるとは思えなかった。
いや、明日だけではない、明後日もその次の日も、ず〜っと・・・・・
ただただ、不安になる心が大きくなるだけだった。




462デッドオアアライブ :02/04/16 03:01 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


「あれ見て!よっすぃ、ごっちん!」
石川が展示室の窓から夕暮れが迫る外を指差す。
「なにアレ・・・?」
外の広場と局に続く道は人がまばらになっていた。
石川が指差したのはフラフラと歩く十数人の人間だった。
その人間は普通に歩く人が近くに居ると襲い掛かる動作をする。
だが、避けられてしまう、尚も襲おうとする人間に
走って逃げる人・・・・

若者5,6人のグループが連れの彼女を襲い掛かろうとする人間に詰め寄った。
「あっ!」後藤が小さく声を上げた。
一人の若者の首にその人間が噛み付いたのが見えたからだ。
逆上したグループは噛み付いた人間をボコボコにするが
そのグループを包囲するようにヨタヨタと歩く不気味な人間達が
距離を縮め、気付かぬ若者達に背後から襲い掛かった。
血飛沫が上がるのが見えた。

若者達は動かなくなった。
吉澤は彼等は殺されたと思った。
だが、動き出した。
死んだ筈なのに・・・・
ヨタヨタと起き上がる若者達は襲った人間達と同じ動きだった。
周りを遠くから見守っていた人達はパニックになった様に逃げ出した。

ペタリと座り込む石川は震えていた。
「大変だ!みんなに知らせてくる!」
後藤は一人駆け出した。
呆然とその光景を見続ける吉澤は独り言のように呟いた。
「・・・・ゾンビだ・・・・・」
握るこぶしがワナワナと震えていた。

463デッドオアアライブ :02/04/16 03:03 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

ロケ車がフジテレビの駐車場に滑り込んだ。
中から出てきたのは血だらけになった『めちゃイケ』のメンバー達だ。
外でのロケ中に正体不明の連中に襲われ噛み付かれたのだった。
病院に運ぼうにも閉鎖されてて仕方なく帰ってきた。
「医務室に早く早く!」
スタッフの叫び声が木霊する。
江頭2:50が瀕死の重傷だった。
彼はロケ中ふざけて襲い掛かる連中に体当たりをした。
襲われた江頭を助けようとして他のメンバーも噛み付かれたのだ。
血を流しているのは男子メンバー全員、女子メンバーは直ぐにロケバスに
逃げ込み無事だった。
464デッドオアアライブ :02/04/16 03:04 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


後藤の慌てぶりに驚いたモーニング娘。達は全員食堂に集まった。
先程の出来事を話す後藤達は泣き声だ。
飯田は「ごめん・・・」と言ってトイレに駆け込む。
騒ぎ出した娘。達に「黙って!」と叫んだのは市井だった。
「ごめん・・・でも、もう少し冷静になりなよ」
市井はマネージャーに尋ねた。
「私達、帰れるの?」
マネージャーは腕組みしながら首を横に振る。
「ここに居た方が安全なんだ、結果的には収録が押した事が
幸いした形になったけど・・・・」
「じゃあ・・・」聞きかけた矢口に
「この先の事は俺にも分からない・・・・」
マネージャーは椅子にもたれ掛かる様に座った。
「それから、ミカ、英語が話せる人間が足りないそうだ・・・
すまんが手伝ってやってくれ」
「ワ、ワカッタ・・・・」
テロは許さない!ミカの瞳には怒りが込められていた。
出て行くミカを見送り、中沢は溜め息をしながら
「もう、なる様にしかならへん・・・」
と椅子に座ってうつ伏せる。
それに続くかのように娘。達も椅子に座った。

テレビの久米宏は「大変だ、大変だ」としか言わない。
その久米の顔が一瞬ビックリする、画面にフレームインしたのは
死人の顔をした人間だった。
ソレは久米の手の甲に噛み付いた。
慌てたスタッフが男を取り押さえ引きずり出した。
「おい!スタッフ!何やってんだ馬鹿!そんな奴摘み出せ!!」
久米は怪我人の為に局を解放した事を忘れて激高した。
自分の手のひらから滲む血を恨めしそうに眺めて
スタッフが持ち出した包帯と薬を隣の渡辺真理に処置をさせて
「大変失礼しました、僕は大丈夫ですので・・・・」
と番組を続けた。

画面に釘付けになる娘。達・・・・
「やっぱり、ゾンビだよ・・・・」
吉澤が誰にでもなく話しかける、
その言葉に娘。達は異存が無かった。
「かじられたら、ゾンビになるよ・・・多分・・・」
後藤の言葉に石川が追随する
「そうだよ、私達見たもん・・・・」
「でも、それは死んだらの事だろ?」
市井が疑問を投げかける。
「それは、そうだけど・・・・」
石川も自信は無い。
「まあ、今の時点では誰も信じないだろうねゾンビなんて・・・」
市井の話しに安倍が立ち上がり「あっ!」と声を上げた。
「大変だ!家族に電話しないと・・・・家から出ちゃ駄目だって」
みんな顔を見合わせて、慌てて携帯を取り出した。

465デッドオアアライブ :02/04/16 03:06 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


菊池プロデューサーが慌てて食堂に入ってきた。
「いやあ、探したよ!みんな頼みがあるんだ!」
「なんですか〜?」
飯田がふて腐れるように聞いた。
「い、いや、そんな怒んないでよ・・・
それより、国民に冷静になるようにテレビで呼びかけて欲しいんだよ」
「え〜」とウザそうに顔を見合わせる娘。達・・・
「いや、これは政府からの要請なんだよ、小泉首相から
直に電話が有ったんだよ!」
「え〜!」今度は目を見開いて顔を見合わせる娘。達・・・

「早く早く・・・」
プロデューサーに追い立てられるようにスタジオに向かう
モーニング娘。を中沢と市井が如何した物かと首を振りながら見送った、
その顔は心なしか微笑んでいた。
「あいつ等本当に国民的アイドルなんやね・・・」
「そうだね、オンエアでも見よっか」
テレビではスマップがスマスマのスタジオから国民に呼びかけていた。
「スマップも今日収録日だったんやね・・・」
「他の芸能人の人はどうしたんだろ?」
「そやね・・・・どないしたんやろ?」
中沢は走るADを捉まえて聞いてみた。
他の人達は皆自宅に慌てて帰ったとの事だった。
「外はヤバイと思うんだけど・・・・」
市井の予想は当たっていた。

ゾンビと化した死人は道路など関係なかった。
ゾンビと知らぬ一般の国民は道路を塞ぐ死人を無視する事を出来ない。
全国で交通渋滞が発生し、交通事故、列車事故が相次いだ。
警察は全く対応できない。
日本のインフラはストップした。


466デッドオアアライブ :02/04/16 03:08 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


死んだ人間に対して火葬をする日本は世界に比べるとまだマシな方だった。

各国では墓から次々と死人が這い出し『ゾンビ』が鼠算式に増殖した。

アメリカは生物テロと断定し、悪の枢軸国家に宣戦を布告する。

宣戦を布告された国も対抗する体力は殆んど持ち合わせていない。

アメリカを止められる国など無かった。

日本を含め他の国も自国の事で手がいっぱいだったからだ。

それは事件発生から5時間後の事だった。



医務室では『めちゃイケ』の女子メンバーがテレビに釘付けになっていた。
「アメリカが戦争だってよ、どないすんの?」
鈴木紗里奈が涙目になる。
「日本は関係ないよ!」
光浦靖子はそう言いながらベッドで唸っている男子メンバーに
「うすさいよ!」と注意する。
江頭だけでは無く噛まれた男子メンバー全員が発熱し、
ベッドに横になり唸っていた。

小泉首相が何回目かの緊急会見をする。
日本に非常事態宣言が発せられた。
この時間より朝まで夜間外出禁止令が出た。
自治は警察だけではなく自衛隊も出動する。
空港は閉鎖し自衛隊の管理下に置く。
原発及び発電施設、通信施設は自衛隊が守る事が発表された。

直後、モーニング娘。が画面に登場した。
必死の笑顔で国民に平静を呼びかける姿は見ていて痛々しかった。
「頑張ってんなあ・・・でもなんでセーラー服なん?」
感心する紗里奈に「うん」と雛形が頷く。
「もう、帰りたい!」と我慢できない大久保に
「帰れる訳無いじゃん!」と光浦がビンタをする。
「アンタねえ!今、戒厳令が出・・・・・・」
光浦は言葉を失った。
後ろから抱きつくように伸びてきた腕が江頭の手だと分かったからだ。
そのままもたれ掛かり江頭は光浦の頬に噛み付いた。
「うぎゃぁああぁぁああ!!」
暴れる光浦をガッチリ押さえ江頭は尚もかぶり付く。
「な、何!なんやねん!!!」
紗里奈は目を見開き、雛形と大久保は悲鳴を上げて腰を抜かす。
幽鬼の様に立ち上がる男子メンバー達は「うぅうう・・・」と呻きながら
女子に迫って来たのだ。
その目は死人の目だった。
雛形の乳房を食い千切り租借する山本。
紗里奈の太腿を食らう加藤。
大久保の腕に噛み付き血を啜るよゐこ。
覆い被さる他のメンバー。
地獄絵の中でゾンビと化した矢部は濁った目でテレビの
モーニング娘。を不思議そうに見ていた。


467デッドオアアライブ :02/04/16 03:10 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

シャッターを下ろし完全に閉鎖したフジテレビの出入り口で
自衛隊の小部隊の隊長とフジテレビの編成部長が言い合いをしていた。
中に入れろ入れないの話し合いは結局入れる人数を十名に
絞る事で折り合いが着いた。
他の自衛隊員は外を固める事になった。
なんにしろ編成部長は銃を持った自衛隊が局を守る事に安堵感を憶えた。


局内を歩き回る『めちゃイケ』ゾンビ軍団に局内の人間は呆れた。
いくらバラエティだからと言ってやり過ぎだ、
こんな時にあんな格好で歩き回るなんて何を考えてるんだ。
非常識にも程が有ると他の職員は無視をした。
しかし、犠牲者は確実に増えていった。
噛み付かれてる職員を見ても、手の込んだ事をするなあ、
ぐらいにしか思わなかったのだ。
その犠牲者の中にはミニモニと競演する筈だった志村けんも含まれていた。
468デッドオアアライブ :02/04/16 03:12 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

「お疲れ様でしたー!」
国民に呼びかける撮影が終わった娘。達に菊池プロデューサーが
「また、やるかも知れないから、食堂か何処かで待機してて」
と頼み込んだ。
「この事件が解決したら、もうワンステップ、ステータスが
上がると思うよ」
プロデューサーは胡麻すりも忘れなかった。
新垣理沙はペコリとおじぎをして、そそくさとスタジオを離れた。
「何?あれ」保田が不機嫌そうに聞く。
「トイレ、トイレと言ってましたよ」
紺野は一人逃げ出したと思われた新垣をフォローした。
「ふうん、そうかい?あの子なら逃げかねないからね」
「そんな・・・」
保田はニッと笑って紺野の頭を撫でてやる。
「冗談だよ・・・でも紺野、アンタは優しいねえ」
さ、行こうと紺野の肩を揉みながらスタジオを出ようとすると
出口にナイナイの矢部が立っていた。


469デッドオアアライブ :02/04/16 03:13 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

トイレに続く廊下で見た事が有る後姿があった。
新垣は誰も居ないのをチャンスだと思ってトコトコと近付いた。
「おはようございます、志村さん!」
志村けんはピタリと足を止めた。
「あ、あの・・・お願いが有るんです・・・私をミニモニに入れるように
つんくさんにプッシュして欲しいんです」
ペコリと頭を下げる新垣は志村がミニモニと一緒にCDを出したいと
つんくに迫ってCDを出す事が出来た事を知っていた。
黙っている志村に
「も、もちろんタダとは言いません・・・あの〜、私今からトイレ行くんです
・・・その・・・良かったら一緒にどうです?」
何を意味するのか、新垣の処世術は其の世界に長けていた。
しかし、志村に新垣の世渡りは通じなかった。
振り向く志村の顔は半分肉が裂けていて右目の眼球が飛び出ていたのだ。
「ひっ!」
踵を返し逃げようとする新垣に志村が覆い被さるが寸でで腕から逃れる。
志村はそのまま倒れた。
走り出そうとする新垣の足首を志村が掴んだ。
新垣も倒れた。
「痛い!」
右ふくらはぎに激痛が走った。
志村が噛み付いていた。
「わあぁぁああ!離して!離して!! この!この!このぉ!!」
空いている左足で志村の顔面を何回も蹴りつけた。
やっと離れた志村の顔はもう誰かも判らない程変形していた。
「ひっ、ひっ、・・・かじられちゃった・・・・」
血が滴るふくらはぎを押さえてうずくまる新垣は
慌てて這いずりながらその場を離れる。
志村がムクリと起き上がったからだ。
470デッドオアアライブ :02/04/16 03:15 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

「あっ、矢部さん、おはようございま〜す」
近付いて頭を下げる矢口をギロリと見る矢部に
何かを感じたマネージャーが「どうしたんですか?」
と矢口と矢部の間に立った。
その首に矢部が歯を立てた。
「キャーーーー!!!」
矢口が悲鳴を上げて尻餅をつく。
マネージャーの首からは真っ赤な鮮血がブシューと吹き出たのだ。
矢部はそのままマネージャーに圧し掛かり顔面に食らいつく。
マネージャーは空をもがく様に掴み痙攣して動かなくなった。
「矢口ぃ!!」
保田と安倍がへたり込む矢口の肩を掴みその場から引きずり離した。
「おい!スタッフ!取り押さえろ!!モー娘達はココから出て!」
菊池プロデューサーが叫ぶ。
スタジオはパニックになった。
「おい!矢口、矢口!逃げるよ!」
座り込み震える矢口の肩を保田は激しく揺さぶる。
震えながらも矢口は大きく何度も頷いた。
へたり込んだのは飯田もだった。
「飯田さん!逃げなきゃダメです!」
辻と加護に促がされ飯田は這いながらスタジオを出る。
スタジオを出る時に紺野は見た、矢部に殺されたマネージャーが
スタッフに襲い掛かる姿を・・・・・
悪夢が始まったと思った。
471デッドオアアライブ :02/04/16 03:16 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

「とりあえず、みんな食堂に集合ね!」
走りながら安倍は振り向きメンバーに伝えた。
途中ゾンビになった職員とすれ違ったが走り抜ける
娘。達を捕まえる事は出来ないようだ。
それを見た吉澤はゾンビの前で立ち止まり、業と歩いて抜けて見た。
「よっすぃ!何やってんの!危ないよ!」
石川がたまらず叫んだ。
「・・・・のろいんだ・・・・」
吉澤はゾンビの背中を蹴ってみると受身もとらず
そのままベチャっと倒れた。
「よっすぃ!駄目だって!」
石川は吉澤の手を取って引っ張る。
ゾンビの上を走って来た加護が飛び越えた。
ムクリと起きるゾンビに飛び越えた加護が振り向き
ビックリした顔をする。
倒れている人間をゾンビと知らなかったのだ。
後から来た辻がゾンビの前で立ち止まり踵を返そうとする。
「辻ぃ!大丈夫だ、抜けれるよ!ソイツ動きが遅いから!」
吉澤は石川の手を振り解き、もう一度ゾンビの後ろから蹴りを入れる。
バタンと倒れるゾンビ。
「ほら、大丈夫だから・・・来な!」
辻は頷きゾンビを避けて吉澤の元に走り寄って抱きついた。
「なっ、大丈夫だったろ?さあ、行こう」
辻の頭を撫でてやり吉澤は食堂に向かった。
「よっすぃ、カッコイイ!」
石川はこんな状況なのに感激してしまった。
472デッドオアアライブ :02/04/16 03:18 ID:pwayjD2t
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

「これで全員そろったかい?」
飯田がリーダーの意地で震える声を抑え確認する。
「おじちゃん!鍵閉めさせてもらうよ!」
確認すると厨房には誰も居なかった。
「ここの従業員はさっき皆出て行ったよ・・・何故かは知らないけど」
市井が報告すると飯田は辻と加護に命じて食堂の鍵を閉めさせた。
「大丈夫かい?」
市井が新垣に声を掛けるが新垣はテーブルに突っ伏して泣いていた。
足には市井と中沢が巻いた包帯が痛々しい。
隣に座る小川が必死になだめていた。
「死ななければゾンビにならないです」
辻の他意の無い言葉に新垣はさらに声を上げて泣く。
言い換えれば、死ねばゾンビになるという事に気付かない辻は
キョトンとしている。
「辻ぃ!なんて事言うの!」
中沢がギロリと睨むと辻はやっと気付いたのかシュンとなる。
今度は加護が辻を慰める。
「とにかく、なんか武器を探さないと・・・」
石川が提案すると「武器なら揃えたよ」と市井は手拭で
グルグル巻いた物をテーブルにドンドンと置きだした。
「包丁だよ、裸だと危ないからね、布で巻いたんだ・・・
コレをみんな腰に収めておきな」
「やるね!沙耶香!」
イエ〜イ!と保田とハイタッチする。
「さて、後はこれからどうするか、なんだよね〜」
腰に包丁を納めながら後藤が言った。
「とりあえず隠れる所を探そうよ、ここじゃヤバイよ」
矢口の言葉に辻、加護も頷き
「あと、ミカちゃんも・・・」
と加護が付け加えた。
「ミカちゃんはもうココからじゃどうしようも無いよ、
なんとか生き延びる事を祈るしか・・・・」
冷たいが後藤が言う言葉も現実だった。
「あれ見て・・・・」
安倍がテレビを指差した。
473デッドオアアライブ :02/04/16 03:20 ID:pwayjD2t
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


久米宏の顔が真っ青になっていた。
心配する渡辺真理に大丈夫だ、僕には使命が有るんだと頑張った。
最後まで視聴者を気にする久米宏の最後のパフォーマンスは突然来た。
「うぅうう!」と声を上げると机に突っ伏してしまった。
慌てる渡辺真理と解説者で来ていた田原総一郎が久米を揺さぶった。
ゆっくりと顔を上げる久米宏のソレは死人の顔だった。
目を見張る渡辺に襲い掛かる久米宏・・・・
画面はそこで別のスタジオに切り替わった。

「噛まれただけでゾンビになるよ!」
後藤が叫ぶと同時に新垣を除く全員がガタンと立ち上がり一斉に新垣を見た。
新垣は目を見張り呆然とテレビ画面を見ていた。
ショックの余り小便を漏らし椅子からポタポタと雫をたらす。
「新垣!」
吉澤が声を掛けると新垣はハッと我に返ったように
マバタキをするが目が泳いでいる。
「ハ・・・ハハハ・・・ハハハ・・・わたし・・・わたし・・・」
そう言うと新垣が立ち上がった。
隣の小川が腰を抜かす、その小川の顔を見た新垣の何とも言えぬ表情・・・・
そのまま後ずさり新垣はドアに向かって駆け出し何かを叫びながら
鍵を外し廊下に跳び出した。
「新垣!待って!」
小川が新垣の後を追った。
「待て!小川!」
飯田の呼び止めに振り向いた小川は
「・・・わたし・・・わたしぃ!!!」
そのまま新垣を追って廊下に飛び出した。

腰を抜かした小川は自分を見る新垣に向かって
・・・・・・バケモノ・・・・・・
と声を出さずに唇を動かしてしまったのだ。

474デッドオアアライブ :02/04/16 03:22 ID:pwayjD2t
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


「ふ、2人を追わなきゃ・・・」
市井を見る矢口に市井は首を振った。
「なんで・・・?」
市井は小川が出て行ったドアを指差す。
ドアからは江頭2:50と極楽の山本がヨタヨタと入ってきた。
「ウガァアアァァアア!!!」
江頭が叫ぶと皆パニックになった。
「落ち着け!!!」
市井が叫んだ。
「隠れ場所は見つけて有るんだ!」
市井はモップを厨房から持ってきて天井の通風口を叩いた。
通風口の枠がガタンと外れ人が入れる穴が開いた。
「テーブルの上に椅子を置いてその穴に這い上がるんだよ!
そこから他の部屋に移動するんだ!」
吉澤は市井に近付きモップを奪い
キョトンとする市井にニッと笑って見せた。
「成る程、いいアイデアだね、時間稼ぎは私に任せて」
モップ部分を外し棒状になったソレを構えると
「みんな!早くしな」
と2体のゾンビに歩み寄った。
棒を突付けば簡単に倒れる江頭と山本を転ばしながら
吉澤はドアの鍵を掛けた。
・・・・殺せるかも・・・・
そう思った吉澤は厨房に入り長いアイスピックを取り出した。
江頭を棒で突付き倒し、山本の後ろに回りモップを離し、
両手で渾身の力を込めてアイスピックを後頭部に差し込んだ。
音もなく崩れた山本はピクリとも動かなかった。
「やっぱり・・・・」
頭が弱点だと何となく思い、試したが案の定だった。
同じように江頭を倒し吉澤は市井に親指を立ててみせた。
ゾンビだが平然と知っている人間を殺した吉澤を見て
市井は何とも言えぬ不安が心を過ぎるのを感じずにはいられなかった・・・・


フジテレビは完全に孤立した。
頑丈なシャッターで外部との接触を絶ったからだが
ゾンビが局内にいるとは思わなかった。
自衛隊員が十名居ても銃を発砲する事はなかった。
ゾンビを死人と思っていなかったからだ。
局内で増殖するゾンビを止める事は誰にも出来ない・・・・・


久米宏のゾンビ化は日本国民に衝撃を与えた。
日本は、いや世界は気付くのが遅かった・・・・・
午後9:30・・・・これから長い夜が始まる・・・・



475デッドオアアライブ :02/04/16 03:32 ID:pwayjD2t
取合えず新しいのを書いてみました。
>>455さん、ちょっと違うサバイバル物でした。
今回は一応最後まで考えてますが、どう脱線するか判りません。
あ〜、GC板バイオやりて〜!GC買おうかな〜!
次回更新は何時も通り未定っす!
476453:02/04/16 07:00 ID:sSFp5E4B
新作はやいですね・・・
あとでユクーリ読ませていただきます。。。
まだ、読んでないですけど
続き楽しみに待ってます。。。
477ロメロ:02/04/16 14:08 ID:BFDpOrvc
私の意思を次いでくれてありがとう。
新作を撮れるように私も頑張って資金集めをしている。
が私も年だ。君に期待しているよ。頑張ってくれ。

ジョージ・A・ロメロより愛を込めて・・・
478 :02/04/16 17:20 ID:mX8jstg3
新作ちょっと怖いっすね
少しびびりながら読みました。
次回の更新楽しみにしてます。
でも、いきなり新垣がやばいとは、展開が少し早いような…
479ののの虜 ◆nono2P.. :02/04/16 22:40 ID:brmw5mc0
凄い更新量・・・
余裕でサイト作れるのでは?
つか作れば即娘小説系屈指のサイトになると思われ。

今日はオソロまでにまだまだすることがあるんで明日読ませていただきます。
480デッドオアアライブ :02/04/17 00:38 ID:l71nVo1A
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

通気口の中は案外広かった。
人が2人並んで這えるぐらいだが、やはり暗かった。
最後に這い上がった吉澤が懐中電灯を持って上がってきた。
自分の前に居る市井に
「市井さん、コレ持って先頭に立って」
と市井に懐中電灯を渡した。
「サンキュ!」
吉澤からライトを受け取った市井は
「ちょいとゴメンよ〜」
と前の方にズルズルと這って行く。
「さて、これから各人の控え室に行って内鍵を掛けるよ・・・
掛けたら、また通気口に戻るんだ、暫らく様子を見るから」
通気口から廊下を見ると職員達が逃げ惑っている。
明らかにゾンビが増殖していた。
481デッドオアアライブ :02/04/17 00:40 ID:l71nVo1A
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


松浦亜弥と平家みちよは移動バスの中に居た。
松浦のコンサートが終わり高速道路を移動中だった。
バスの中には運転手とマネージャーだけだった。
一緒にコンサートに出たメロン記念日。は
コンサートの帰り、バスに乗り込もうとした時
正体不明の連中に襲われてはぐれてしまった。
そいつ等の一人がバスに乗り込もうとしたので
マネージャーが慌ててドアを閉めて発車させたのだ。
事務所と連絡を取っていたマネージャーが携帯を切る。
「コンサートツアーは中止だよ、これから東京に戻る、
・・・それにメロンはまだ連絡がつかない・・・・」
溜め息をつくマネージャーに松浦がジュースを差し出す。
「こんな時だから仕方ないですよ、それにスタッフの人も
周りにいっぱい居たから・・・・」
ニッコリ笑う松浦に
「ありがと、でも携帯にも出ないんだ・・・・」
項垂れるマネージャーに平家が他の話題を振る
「だって、さっき戦争が始まったんでしょ、みんな混乱しとるんよ、
・・・でも、戒厳令が出たのにあんまり警察とかおらへんね・・・」

ポツポツと検問は有るが事情を話すとスンナリと通してくれた。
しかし、夜間外出禁止令の為か道路は割かし空いてきていた。

ドンと何かにぶつかる衝撃がバスに走った。
「おい、どうしたんだ?」
「大変だ・・・人・・・人を引いてしまった・・・」
「なにぃ!ここって高速道路だぞ!」
松浦と平家にちょっと待っててとマネージャーと運転手は外に出た。

「ちょっと遅いんじゃない?」
なかなか帰らないマネージャーと運転手が心配になり
平家はバスのドアに手をかけた。
「きゃっ!」
ドンとドアに体当たりした人間がいた。
マネージャーだ。
しかし、どう見ても正気ではない、いや死んでいる様にしか見えない。
喉が食い千切られパクリと穴が開いていたからだ。
「ガアァァアア!」と唸るマネージャーは
バスの開け方も解らず、ドンドンと体当たりをする。
とっさに平家はドアロックをした。
「どうしたんです平家さん?」
近付く松浦は死人の形相のマネージャーに腰を抜かした。


482デッドオアアライブ :02/04/17 00:43 ID:l71nVo1A
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

通気口内に居る中沢の携帯に平家から電話がかかった。
「もしも・・・」
いきなりパニック状態の平家は泣きながら何かを喚いていた。
「ちょちょ、ちょっと落ち着いて!」
中沢は何とか落ち着かせて事情を聞いた。
「うん、うん、・・・分かった、ちょっと待っててね」
聞いた中沢もどうしていいか分からず皆に話した。
「かして!」
市井が中沢から携帯を取り上げて平家に話しかけた。
「いい、ミッちゃん!確か免許持ってたよね・・・・
うん、そうだよ!ミッちゃんがバスを運転するんだ!
・・・・出来ないって、やんなきゃ駄目だよ!私達フジテレビに居るから、
うん、そう・・・こっちに来るんだ!・・・あとね、道路に出てる人間は
人では無いから、引いても無視するんだ!・・・・違うよ!ゾンビなの!・・・
とにかく人では無いんだ!高速も検問も無視して突破して来るんだ!
・・・・いい?待ってるから、分かんない事あったらまた電話して!」
市井は電話を切って中沢に返す。
「こっちに来るって」
ポカンとする中沢は我に返って聞き返す。
「ちょ、ちょっと待って、ココに来てもゾンビだらけだよ」
「大丈夫・・・多分・・・作戦が有るんだ・・・」
ニッと笑う市井は、この中で完全にリーダーになっていた。


平家が運転席に座りだして松浦がギョっとする。
「ちょっと、平家さん!何するんですか?」
「み、見ての通りよ・・・・」
ハンドルを握る平家は落ち着け、落ち着けと自分に言い聞かせる。
3時間ほど前に終わったコンサートがまるで遠い昔のようだ。
「え〜と、コレがアクセルでコレがクラッチね・・・・」
こんな大型車を運転したことが無い平家は一つ一つ確認する。
「あっ、亜弥ちゃんは携帯で連絡取り合って・・・
みんな、フジテレビに居るから・・・・」
突然ガクンとバスがノッキングする。
「ゴメン、ゴメン・・・落ち着け、落ち着け平家みちよ・・・」
平家は必死に自分に言い聞かせてアクセルを踏み直す。
するとバスはスルスルと進みだした。
「やったよ、やったよ!亜弥ちゃん!」
松浦は目を丸くする、平家のヤッタ!は暴走を意味していたのだ・・・・



483デッドオアアライブ :02/04/17 00:44 ID:l71nVo1A
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


フジテレビの報道局もパニックになった。
ゾンビがゾロゾロと入って来たからだ。
最初は押さえ付けていたスタッフも死人に襲われ、
報道局長がドアに鍵を掛けて報道局を閉鎖する事を決めた。
広い室内には7体のゾンビが居た。
しかし、職員は彼等を死人とは思わなかった、
何かのウイルスに感染した人間だと思っていた。

しかし、報道局にはK−1の戦士が居た。
マイクベルナルドとピーターアーツと角田師範代だ。
彼等はK−1の大会を宣伝する為に報道局を訪ねたのだが、
テロ事件発生の一報から、ここに居た方が情報を得られると思い
ずっと見学兼情報収集をしていたのだ。

顔を見合わせた3人は鋭く噛み付く死人を見て
取り押さえる事は出来ないと判断した。
「あの〜、今、ここで起きる事は見なかった事にして下さい・・・」
角田が職員全員に大声で話しかける。
報道局長は黙って頷いた。
「Good!」ベルナルドとアーツは親指を立ててニッと笑い、
おもむろにゾンビに向かって行った。
ベルナルドのボディブローがゾンビを吹っ飛ばす。
「ワァオ!」
ベルナルドが目を丸くした。
軽めに打ち込んだのがイケなかったのか、ソレはノロノロと起き上がった。
アーツが両手を肩の高さまで上げ首を振って
「オイ、オイ、何ヤッテンダ?」とおどけて見せた。
少しムッとしたベルナルドは今度は渾身のパンチを
またボディに叩き込む、顔を殴れば死ぬと思ったからだ。
しかし、結果は同じだった。
それを見たアーツと角田の目も真剣になる。
倒しても起き上がるゾンビ達に業を煮やしたベルナルドが
テンプルにパンチを当ててしまった。
そのパンチはゾンビの脳を破壊した。
ピクリともしない死人は本当に死んだ。
殺ってしまったと頭を抱えるベルナルドの腕に別のゾンビが
後ろから近付き噛み付いた。
「アォチッ!」
腕からの出血を見たベルナルドは顔が真っ赤になった。
「ファック!ジャップ!」
激情したベルナルドは次々とゾンビのテンプルに激重のパンチを浴びせ
全ての死人を粛清した。
フーフーと興奮を隠さないベルナルドを角田とアーツがなだめる。
そこに一人の少女がチョコンと立った。
ベルナルドが顔を上げると目の前にはミカが包帯を持って立っていた。
「ヤリスギデスヨ・・・・」
怒るミカの顔はニコニコと笑っていた。
傷ついた腕をミカに任せ、マイクベルナルドは
「ソーリー・・・」とポツリと呟いた・・・・

484デッドオアアライブ :02/04/17 00:46 ID:l71nVo1A
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


トイレに逃げ込んだ新垣を小川が捉まえた。
腕を掴んだ小川に新垣がキッと睨む。
「離してよ!どうせ私はバケモノになるんだよ!」
その新垣を小川がギュっと抱きしめた。
「だったら私もなるよ・・・・」
その言葉に新垣は暫らく黙った。
「う・・・嘘付かなくてもいいんだよ・・・」
体を離した小川は人差し指でピンと新垣のオデコを叩いた。
「怖いんだろ、隠さなくってもいいよ、私が一緒にいてあげる」
ニッと笑う小川に
「ゾンビに成るかもしれないんだよ・・・・」
声が震えた。
「それでも一緒に居てあげる・・・・」
泣きそうになる新垣の口を小川は塞いだ。
ゾンビの呻き声が聞こえたからだ。
シッと指を唇に当てて小川はトイレに新垣を連れ込んで鍵を掛けた。
新垣を洋式便器に座らせて自分はステンレス製の小物置に座った。
「みんな、探しに来てくれるよ、それまでココに居よう」
小声で話す小川は自分の下半身に目をやった。
セーラー服のスカートが新垣の小便で少し濡れていた。
食堂で漏らした事に今更気付いた新垣はアッと口に手を当てて
「ゴメンナサイ・・・」と謝った。
「これでココの部分は一緒だね」
ニーと笑顔を見せる小川に新垣も微笑んだ。
「・・・・さっきはゴメン・・・・」
小川は食堂で新垣に言った言葉を謝った。
「ううん、こっちこそ一緒に居てくれてアリガト・・・」
トイレの中で2人の小さなわだかまりは溶けだした・・・・

485デッドオアアライブ :02/04/17 00:47 ID:l71nVo1A
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


市井に言われる通り平家のバスは暴走を繰り返した。
珍走団のバイクを跳ね飛ばしてしまったのをきっかけに
各所に有る検問所を突破した。
そのバスを珍走団が追いかける。
しかし大型バスが尻を振ると脇にいるバイクは吹っ飛ばされて
何時しかバイクの集団も居なくなった。
検問を抜けても警察は追う事をしなかった。

松浦は携帯で娘。達に実況報告をした。
「止まらへんねん〜!」
キャーキャー言いながら平家は、これで芸能人人生は終わったと思った。
人らしき物も何回か引いた・・・・
ハッと思った。
刑務所行きか・・・・
人を引いたんだもの・・・・
全て夢であって欲しい・・・・
平家は戻る事の出来ない道に足を突っ込んだ事に今更ながら気付いた。
「あいつ等はゾンビや、人とちゃうんや・・・」
今は娘。達の言う事を信じるしかなかった。
娘。達の言う事が嘘だったら完全に自分の人生は終わる・・・・
「やったる!やるしかないんや!」
「平家さん!私もついてます!だから頑張って!」
平家を励ます松浦も覚悟を決めた。
フジテレビに着くのは多分明け方だろう・・・・
それまで平家の暴走は続く事になった。


一晩の内に日本の人口は1/3が死人になった。

世界の夜は始まったばかりだった。

486デッドオアアライブ :02/04/17 00:54 ID:l71nVo1A
今日はここまでです。
>>479さん、褒めても何も出ませんYO〜(^^
更新量は最初の内だけです。
後はいつも通り遅くなっていきます。
ので、次回更新は未定・・・・
487デッドオアアライブ :02/04/17 00:58 ID:l71nVo1A
おっと、書き忘れ!

>>477
ロメロキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
488476:02/04/17 18:39 ID:ADFaRdPJ
>作者
更新乙カレーでっす。。。
これからどうなるのか
非常に楽しみです。。。

あと、保全はまかしてクダサイ・・・
決してdat落ちはさせませんので、
489ののの虜 ◆nono2P.. :02/04/17 23:23 ID:Qst2ssXv
バイオハザードやったこと無い故あんまわからん・・・

圧縮来たばっかなのでdat落ちは当分大丈夫と言おうとしたら
既にかなりオーバーしてるからまた来るかもですね・・・
490続きみたい・・:02/04/19 12:59 ID:qLc2Za85
保全
491デッドオアアライブ :02/04/20 02:11 ID:c0qefMbo
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

東の空が白々と明るくなってくる午前4時、
迷路の様な通気口を這い回って調べていた市井と吉澤、石川、後藤は
皆が固まっている場所に集まって報告する。
ゾンビの数は50体程だった。
「もう、生きてる人間はいないね・・・・」
石川が溜め息をつく。
「自衛隊員のゾンビを一匹見つけたよ」
後藤の報告に吉澤も頷く。
「私も一匹見つけた、計二匹か、武装してたからアレは使えるね」
それを聞いた市井が自分が考えた作戦を伝える。
「うん、で、どうするかなんだけど、私達が居るこの十階を
閉鎖しようと思うんだ」
「閉鎖?どうやって?」中沢が聞く。
「うん、とりあえず、階段の防火扉とシャッターを閉める、
そうしておいて、後はこのフロアに居るゾンビを片付ける、
エレベーターは取合えずどうしようも無いけど、
ゾンビはエレベーターは使えないだろう、使えるのは人間だけだよ、
後は、矢口工務店の矢口社長と保田従業員に階段のシャッターの
溶接をやってもらうよ、スタジオか大道具さんの部屋を
探せば有るでしょ」
「えっ!私とケイちゃんで?」矢口が驚く。
「そう、やった事有るでしょ?」
「そりゃまあ、そうだけど・・・・」
矢口と保田はシブシブその案を呑んだ。
「閉鎖して、その後はどうすんの?」
安倍の疑問に市井は答えた。
「取合えず、このフロアには社員食堂が有るでしょ、
私達が篭っても一ヶ月ぐらいの食料は有るし、
シャワーだってお布団だって有る、その間に誰か助けに来てくれるかも
しれないし、まあ、他にも考えが有るんだけど・・・・」
と、いったん話を区切り
「さあ、ミッちゃんと松浦が来る前に片付けようぜ!」
「あっ、ミッちゃんはどうすんの?」と中沢。
市井は「大丈夫それも考えてるから」とウインクして見せた。


行動を開始する班は4つに分かれた。
2つ有る階段の防火扉とシャッターを閉めるのが
中沢、安倍、保田、の中沢班、飯田、矢口、紺野の飯田班。
自衛隊員ゾンビを始末して武器を奪いゾンビを殲滅する、
市井、後藤の市井班、吉澤、石川の吉澤班。
辻、加護、高橋は足を引っ張りそうなので通気口で待機するオミソ班にした。
連絡は携帯で取り合う事にして
まず、中沢班と飯田班が階段近くの通気口で待機する。
市井班と吉澤班が武器を奪ってから行動を開始する事になった。

492デッドオアアライブ :02/04/20 02:14 ID:c0qefMbo
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

「たしか、この辺だったよな・・・・」
吉澤は這いながら通気口から捜していると他の所を捜していた
石川がペタペタと這いながらやってきて
「いたよ、よっすぃ、こっちこっち・・・」と手招きした。
覗いて見ると自衛隊ゾンビの他に三体のゾンビが居る。
「どうすんの・・・?」
不安になって聞く石川に
「何が?」
と言って吉澤は通気口の枠をソッと外し音も無く降りた。
ヘルメットを被っているソレを見て、少し考えてから
足音を殺し自衛隊ゾンビの後ろに回りアイスピックを
耳から斜め上に突き立てた。
声一つ立てずに崩れ落ちるゾンビの腰のベルトから
拳銃を取り上げ残りの三体に向かって引き鉄を引いた。
が、ロックされていて引き鉄が引けない。
「?」アレコレ弄っている内にカチリと音がした。
「これか・・・」セーフティが外された。
「よっすぃ!後ろ!」
石川の叫びに振り向くとゾンビが両手を上げて襲い掛かる所だった。
「おう!」
吉澤は焦らなかった、銃口を額に当て引き鉄を引くと
パンと後頭部から脳を撒き散らしゾンビは倒れた。
そのまま歩いて残り二体のゾンビに近付き額に銃口を当て
同じ様に倒した。
「いいよ、リカちゃん、もう大丈夫」
「すごーい!よっすぃ!」
降りてきた石川にニヤリと笑ってみせる吉澤は
自衛隊ゾンビの肩に掛かっている自動小銃を取り外し石川に渡し、
拳銃のホルダーと手榴弾が3ケ付いているベルトを外し自分の腰に巻いた。
胸のポケットをまさぐり「有った」と弾とカートリッジを取り出す。
「よっすぃ、よっすぃ・・・」
石川が吉澤の肩を叩き廊下を指差すと2体のゾンビが
ゆっくりと近付いてくる。
「リカちゃん、やってみぃ・・・」
何となく要領が分かった吉澤は
石川の持つ自動小銃を色々と弄ってセーフティを見付け外した。
「これで大丈夫だと思うけど・・・撃ってみて」
「でも・・・・」
「ほら、近付いて来たよ」
距離が10m程になり、石川は慌てて引き鉄を引いた。
パパパパンと自動連射する銃はゾンビの胴体を貫いたが
よろけるだけで歩みは止まらなかった。
「な・・・なんで?」
「頭を狙わなくちゃ駄目なんだよ、ほら、よく狙って!」
吉澤の発破に石川が「きゃー!」と悲鳴を上げながら頭を狙って撃つ。
ドサリと崩れるゾンビとガクリと膝を突く石川。
「や、やっちゃったよ・・・・」
震える石川の肩に手を置くと汗ビッショリだった。
吉澤を見上げる顔は泣きそうだ。
「やれば、出来るじゃん」
吉澤はニコリと笑って携帯を取り出す。
「こりゃ、市井さん達もヤバイかも?」


携帯で連絡を取ると案の定だった。
ゾンビは見つけたがどうしていいのか分からず
まだ、通気口の中に居たのだ。
「ハハハ、情けないな・・・私って・・・」
自嘲ぎみに話す市井に場所を聞いて
「待ってて、今行くから・・・」
と携帯を切って
「行くよ、リカちゃん・・・」石川を促がした。
「う〜〜っ・・・よし!リカ、行くっ!」
石川も踏ん切りが付いたのか立ち上がった。


493デッドオアアライブ :02/04/20 02:15 ID:c0qefMbo
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

二体目の自衛隊ゾンビを見付けるまでに十体以上殺した。
石川はビビリながらも慣れてきて、
自衛隊ゾンビを殺したのも石川だった。
「あんた達、凄いよ!」
驚嘆する市井に石川は結構自慢気だった。
吉澤は市井と後藤に銃の使い方を教えた。
拳銃を市井、自動小銃を後藤に持たせて、ゾンビを数体づつ殺させた。
「しっかし、吉澤は全然怖くないのかい?」
市井の問いに吉澤は首をすくめて見せた。
「物と思えばいいじゃん・・・・」
物静かに話す吉澤に今度は市井が首をすくめる。
「そっか・・・・うん、頼もしいかぎりだよ・・・」
でも・・・・・
「市井ちゃん、時間が・・・」
そう言う後藤に市井はハッとして
「そうだ、よし今から階段に行くよ、到着したら携帯で連絡ね・・・」
消える吉澤と石川の後姿を見送り市井は後藤に聞いてみる。
「なあ、後藤、どう思う?」
勿論、吉澤の異常なまでの冷静さの事だが
キョトンとする後藤は「何が?」と首を傾げた。
「い、いや、何でも無いよ、それよりアンタ大丈夫?」
「市井ちゃんこそ!」
パンパンと廊下の向こうで銃声が聞こえた・・・・・


市井は階段を上ってくるゾンビを銃で殺しながら
キャーキャーと騒ぐ飯田達に防火扉を閉めさせ、シャッターを下ろさせた。
「こっちは終わったよ、そっちは?・・・・うん、OK、」
携帯を切って市井はホッとする。
「取合えず、ココまでは作戦通り・・・後は、このフロアのゾンビを
片付けるだけだよ・・・」
「よし、頑張るよ!市井ちゃん!」
後藤もゾンビを殺す事に抵抗を覚えなくなってきていた。
「コレさえ有れば無敵だよ!」と自動小銃をポンポンと叩く。
「おいおい、慎重に行こうよ・・・」
お気楽な後藤に不安になり、市井は溜め息をついた。


494デッドオアアライブ :02/04/20 02:16 ID:c0qefMbo
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

報道局のソファーに毛布を掛けて横たわる
マイクベルナルドの手をミカはずっと握っていた。
それに癒されるようにベルナルドは
「サンキュー、サンキュー、ミカ・・・」と呟いている。
急に熱が出てきて立っていられなくなったベルナルドは
死線をさまよう。
ベルナルドは朦朧とする意識の中で、
自分の中で何かの欲望が沸々と沸いてくるのが解かった。
それは食人の欲望だった。
俺ハ、アイツ等ト同ジニナルノカ・・・・?
それだけは嫌だった。
だが、死は直前まで迫っていた。
目の前に居るミカがぼやけて見える。
「ミ・・・ミカ・・・オマエダケハ・・・守ル・・・」
それが最後の言葉だった。

ベルナルドは自分がゾンビになっていくのが解かった。
しかし、強靭な精神と鍛え抜かれた肉体が奇跡を起こした。
ゾンビになりながらも自分の意識だけは辛うじて保ったのだ。
それはミカを守る意志だった。

「ウガァァアアア!!!」
突然起き上がるベルナルドは狂人と化していた。
体が鉛のように重い・・・
しかし、狂気の欲望は隠せなかった。
目の前にミカが居た。
一瞬ベルナルドの動きが止まる。
泥酔した様な意識の中、ミカだけは襲えなかった・・・・

ピーターアーツは自分に襲い掛かるベルナルドが
奴等と同じになったと理解した。
「ソーリー、マイク・・・」
そう言うと同時に渾身のハイキックをテンプルに叩き込んだ。
確実な手応えを感じた、だが、感じただけだった。
ベルナルドはピクリとも動かなかったのだ。
ベルナルドのパンチは何時ものパンチではなかった。
アーツのガードを突き破り顔面に食い込んだソレは
ボキリとアーツの首の骨を折った。
「せいや!」
角田師範が禁じ手の抜き手をベルナルドの喉に突き立てる。
指の半分まで突き刺さったがゾンビには効かなかった。
驚愕する角田に同じ技を仕掛けるベルナルドの抜き手は
角田師範の首を飛ばした。
報道局内は騒然となった。
ゆっくりと振り向くとミカが腰を抜かしていた。
ベルナルドはミカを肩に担いでドスドスと音を立てて
ドアに向かって行った。
抱え上げたミカは泣いていた。
その声を聞いたベルナルドは他の人間を襲う事をためらったのだ。
鍵が掛かっているドアを蹴破るとゾンビが報道局に雪崩れ込んだ。
そのゾンビを蹴散らし悠然と出て行くベルナルドと担がれたミカ・・・・
フジテレビ内で生きている人間はモーニング娘。と
報道局内に居る職員とキャスター達だけにだった。
しかし、その報道局も全滅する。

報道局の出来事は全国の茶の間に生放送で流れた。
次々に襲われる職員達に国民は戦慄した。

テレビ局で生き残っているのは政府の
統治下になったNHKだけになった。
政府は原発とNHK、NTTの通信網を自衛隊に
守らせるだけで精一杯になっていた。

495デッドオアアライブ :02/04/20 02:18 ID:c0qefMbo
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

10階のフロアを閉鎖したモーニング娘。は
フロア内をうろつくゾンビを粗方殲滅した。
その中にはマネージャーや、菊池プロデューサー、めちゃイケ軍団も居たが
心を鬼にして射殺した。
ただ、吉澤だけは躊躇無しに顔を知っているゾンビ人間を殺した。
残るのは隠れているゾンビが居るかだが
そんな知恵が有るとは思えなかった。
「取合えず、細かい所も探そうよ、そうじゃないと安心出来ないよ」
石川の言う事ももっともだったので
隠れる事が出来そうな所も探す事になった。
「生きてる人が隠れてるかもしれないから・・・・」
紺野が心配してるのは新垣と小川の事だった。

トイレに来た矢口はドアが閉まっている個室を見付け
慌てて近くに居た石川を連れてトイレに戻ってきた。
「おい、誰か居ないの?返事をしなければゾンビと思って撃つぞ!」
矢口の呼びかけに石川が自動小銃を構える。
「います・・・」
答えたのは小川だった。
「小川!生きてたの?」
石川の問いに小川が無言で鍵を外す。
ドアを開けると小川は泣いていた。
「新垣・・・・」
矢口は言葉が無かった。
新垣は青白い顔をしてグッタリしていた、その顔には大量の汗が光っていた。
「リサちゃんの・・・熱が、熱が凄いんです・・・」
小川は泣きながら矢口に訴えた・・・・

496デッドオアアライブ :02/04/20 02:23 ID:c0qefMbo
ふ〜、今日はココまでっす。
次回更新も未定です。
えーと、書こうと思って忘れてて書けなかったんですが、
何故、娘達がセーラー服を着せられてたか?
それはプロデューサーが「セーラー服を脱がさないで」を歌わせる為です。
では!
497488:02/04/20 09:25 ID:tdfInX7H
>作者

それは、>>458の部分ですね。。。
「セーラー服を脱がさないで」か・・・
うーん、いったい
デッドオアアライブさんはいくつなんだろ、
結構、(ry
小説と関係なくてスマソ、
498ののの虜 ◆nono2P.. :02/04/21 10:41 ID:j7Y/06Kh
読ませていただきました。乙です〜

前回は4話目でダーヤスが死んだのに今回は誰も死にませんねぇ・・・
499ドル:02/04/21 19:05 ID:Q+gyrcBk
読みました。おもしろいです!
急がなくてもいいので,いいものを作っていってください!
500ドル:02/04/21 19:28 ID:Q+gyrcBk
ついでに500ゲット
501名無し紳士:02/04/21 19:54 ID:CAJi2idM
今日、このスレを見つけて1から全部読んでしまいました・・・
あまりの、細かい描写で驚きの一言です、特に最新の作品。
また羊での楽しみが増えました、イイ作品をこれからもお願いします。
のんびりいきましょう・・
502デッドオアアライブ :02/04/22 12:29 ID:TA0DphmH
お〜、新しく読んでくれる人が2人も!
嬉しい限りです。
503名無し募集中:02/04/22 14:19 ID:bo5TAnxN
偶然見つけて読んでみたら
はまってました(w
紺野が亡くなるとき涙出てきましたよ(泣
頑張ってください
504ナナー氏:02/04/22 17:44 ID:0Jtov2d2
やっと読み終えました。
自分も紺野が亡くなったトコで泣きました。
期待してます、頑張ってください。
505497:02/04/24 00:31 ID:B23FMivZ
               保全ーーーー! !
               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ``)           @ノハ@
     ;;`)⌒`)     −=≡( ‘д‘)
    ≡≡≡;;;⌒`)  −=≡( ヽ┐U キコキコキコキコ
          ;;⌒`)⌒`) ◎−ミ┘◎
506名無し募集中。。。:02/04/25 06:02 ID:JR7LtZ0U
507名無し募集中:02/04/26 14:16 ID:WibCY1O4
508デッドオアアライブ :02/04/27 04:05 ID:BmMDwqUC
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


新垣を控え室に運び布団を敷いて寝かせる。
汗を拭いて濡らした手拭いを額に置いて一息つくと
皆やらなければならない事が有るのでポツリポツリと部屋を出る。
一人残った小川は新垣の手を握っていた。
そこに、吉澤が「いいかい?」と入ってきた。
「・・・?・・・」とする小川・・・・
吉澤は小川の手を取りソッと銃を握らせた。
「・・・これは・・・?」
「分かってるね・・・アンタがやるんだよ・・・」
それ以上言わず吉澤は部屋を出た。

小川は黙って銃を見ていた。

コレでどうしろと言うのだろう?
そんな事は分かっている・・・
撃てるのかな・・・?
撃てる訳無いか・・・

そんな事をぼんやり考えてると、ふと母親の顔が浮かんだ。

お母さんどうしてるのかな・・・?
電話しなきゃ・・・・

昨夜以来電話はしていなかった。
小川は携帯に手を伸ばした。
思ったとおり携帯には誰も出なかった。
なんとなく予想はしていた。

「私、独りぼっちになっちゃった・・・」
ポツリと呟いてみるとポロポロと涙が出てきた・・・・・



509デッドオアアライブ :02/04/27 04:10 ID:BmMDwqUC
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


中沢の携帯に松浦からの連絡が入った。
「ちょっと、来たよ!」
その言葉に皆で窓から外を見て見るとバスが煙を吹きながら走って来た。
携帯を取り上げた市井が松浦に話す。
「いい、そのまま非常階段の近くまで来てバスを止めて待ってて、
迎えに行くまでバスから降りちゃ駄目だよ・・・うん・・・じゃ」
携帯を切った市井が皆に説明する。
「これから、非常階段を使って松浦とみっちゃんを迎えに行くよ、
ただ行くのは自動小銃を持つ2人だけだよ、
階段にはゾンビが居るかもしれないからね・・・・」
吉澤が手を上げると安倍も手を上げた。
「なっちも行くよ、少しは働かなきゃ・・・」
自分に言い聞かせるように話す安倍は何かを決意したようだ。
「うん、じゃあ吉澤となっちに行ってもらうよ、気を付けてね、
後の皆はそれぞれの仕事をして貰う、
まず、矢口とケイちゃんは階段シャッターの溶接、辻、加護は
2人のアシスタント、石川はエレベーターの見張り、
残りはゾンビの死骸を窓から投げ捨てる、いいね!」
シブシブながらも従う娘達・・・・
市井の仕切りに誰も文句は言えなかった。


510デッドオアアライブ :02/04/27 04:12 ID:BmMDwqUC
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


 「行くよ、安倍さん!」
吉澤が外へと通じる非常階段のドアを開けた。
さすがに十階の高さになると風が強い。
鉄の踏み板をカンカンと音を立てて階段を下りながら
九階、八階、と非常口のドアに鍵が掛かっているかを確かめる。
逃げた人がいるのだろう、ドアの鍵は掛かっていなかった。
「安倍さん、ゾンビが居たら撃ってみてね」
「うん、なっち頑張るよ!」
吉澤はニッコリ頷いて安倍に自動小銃の扱いを手を取りながら教えた。
ゾンビに非常口ドアのノブを回す事は出来ないだろう、
ただ、逃げた人間がゾンビになってこの階段に留まってる可能性は有る。
はたして、ゾンビは居た。
ヨロヨロと階段を上ってくるゾンビに安倍が銃口を向ける。
「頭を狙うんだよ・・・」
吉澤のアドバイスに安倍は頷き引き鉄を引く、
乾いた銃声と共にゾンビは死んだ。
初めての殺しに、安倍は気が高ぶったのか肩で息をしていた。
頭を撃ち抜かれ崩れ落ちるゾンビを跨いで階段を下りる。
「やるじゃん、安倍さん!」
降りる途中に3体のゾンビを安倍は倒した。
「やるよ〜、なっちは」
少し余裕が出てきた安倍がガッツポーズをする。
そこにカンカンと音を立てて何者かが階段を上って来た。

511デッドオアアライブ :02/04/27 04:13 ID:BmMDwqUC
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

 「動くな!」
安倍達の前に立ったのは松浦と平家に銃を突きつけた自衛隊員3人だった。
「その自動小銃を此方に渡すんだ!さもないとこの2人を撃つ・・・」
怯える松浦と平家は上半身が裸だった。
「最低だな、アンタ等・・・」
言いながら吉澤が銃を放り、続いて安倍も従った。
「ハハハ、俺達はついてるぜ!モーニング娘を捕まえたからな!」
一人が笑いながら銃を拾い上げ、安倍のセーラー服の上着を
無理やりむしり取った。
「アンタ等自衛隊だろ!国民を守るのが仕事じゃないのかよ!」
吉澤の抗議に一人がフンと鼻で笑う。
「俺達の小隊の任務は、このフジテレビを守る事だったんだが、
全滅してしまってな、残ったのが俺達3人よ、どうしようか迷ってたら
そこにこの2人が乗ったバスが来たのよ・・・」
「じゃあ、守れよ」
「ふん、守るつもりだったがお前達の事を聞いてな、
それで宗旨替えした訳だ、これから楽しませて貰うぜ!
俺たちはもう、自由だ!」
高笑いする男のズボンの前が膨らんでいた。
512デッドオアアライブ :02/04/27 04:15 ID:BmMDwqUC
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

 「ここに居るモーニング娘。!全員集まれ!」
十階フロアに銃声が響いた。
何事かと集まった娘達は愕然とした。
松浦、平家、安倍、吉澤の4人は全裸にされていた。
「ハハハ、居るぜ居るぜ!モーニング娘。がよ!」
嬉しさの余り笑い転げる一人に黙れと命じる
リーダーらしき男が声を張り上げる。
「どういう事か分かるな!これからは俺達が仕切る!
背けば死ぬだけだ!」
銃を2発天井に向かって撃つと娘達は悲鳴を上げてしゃがみ込んだ。
「まずは全員素っ裸になって貰う、後はそれからだ!」
顔を見合わせる娘達に
「早くせんかあ!!」
とまた銃を天井に向けて撃った。
あまりの突然の出来事に泣き出す娘達だが銃を付きつけられて
シブシブと従う。
「エレベーターからゾンビが来るんだけど・・・」
何とか時間をかけたい市井が服を脱ぎながら言ってみると
「なら、全員でエレベーター前に行こうか、だが、取り合えず
裸になるんだ・・・」
ニヤつきながらリーダーらしき男が言う。
「カカカ、壮観だな!」
全員が全裸になると「じゃあ、行ってみるか」とエレベーターに
行くように銃を突きつけて促がす。
エレベーター前に行くまでの廊下で男達は嫌がる娘達に
悪戯をしかけ、肉の弾力を楽しんだ。
513デッドオアアライブ :02/04/27 04:16 ID:BmMDwqUC
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

 「おい、上がってくるぞ!」
娘達も顔を見合わせる、偶然にもエレベーターが動いて
上がってきたのだ。
「お前達は下がってろ」
娘達に命じる男達は上ってくるエレベーターに乗ってるのが
ゾンビなら勿論だが、生きている人間でも殺すつもりだった。
せっかく手に入れた天国のような状態を手放す筈は無かった。
はたして、エレベーターは十階で止まった。
「撃てえぇぇええ!」
エレベータードアに向かって銃を構える男達は
ドアが開くと同時に自動小銃を乱射する。
しかし、パパパパン!と響く銃声は悲鳴に変わった。
中から出てきた男は体に銃弾の穴を開けながら2人の自衛隊員を
マッハのパンチで頭をスイカの様に潰したのだ。
ソレはミカを肩に担いだマイクベルナルドだった。
「ミカちゃん!」
「ヤグチサーン!」
今の出来事が一瞬すぎて、よく把握出来ていないミカは
ベルナルドの肩から降りて矢口と抱き合った。
「ミカちゃ〜ん!」
辻と加護も続いて抱きつく。
「ナンデ裸ナノ・・・?」
ミカの質問にミニモニの3人はヘナヘナと腰を下ろす男を睨み付けた。
マイクベルナルドに睨まれた残った一人は腰を抜かし小便を漏らした。
その男のテンプルに銃口が突きつけられた。
吉澤が男が落とした銃を拾ったのだ。
「下種野郎が・・・」
引き金を引くと同時に男の頭は吹き飛んだ。
吉澤はそのままベルナルドの頭に銃を向ける。
それを見ていたミカが叫んだ。
「ヤメテー!ソノ人ヲ殺シチャダメーー!!」
ミカはベルナルドの前に立って両手を広げた。
「・・・・サヨナラ・・・ダ・・ミカ・・・オトモダチ・・アエテヨカタ・・・・」
吉澤と市井は愕然とする。
このゾンビは喋ったのだ。
ベルナルドはエレベーターに戻り自分でボタンを押す。
それを見た吉澤は咄嗟に自衛隊員のベルトに下げてある手榴弾を
抜いて閉まりかかったドアの中に放り投げた。
「みんな伏せて!」
市井が吉澤の行動を見て叫んだ。
エレベーターは八階に下がった頃大音響と共に破壊された。
514デッドオアアライブ :02/04/27 04:17 ID:BmMDwqUC
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

 暫らく呆然としていたミカは吉澤に突っかかる
「ナンデ殺シタノヨ?」
そのミカの胸をドンと突き離して
「アレは喋ってた・・・物を考えることが出来るんだ・・・」
「ダッタラ、余計ニ殺シチャ駄目ダヨ!」
「知恵のあるゾンビを生かしていては危険すぎるだろ・・・」
チラリと3人の男の死体を見て
「人間だって危険なんだ・・・」
吉澤はそれ以上話さなかった。

しゃがみ込んで泣くミカをミニモニが慰める。
市井はミカの肩に手を掛けて
「サンキュ、助かったよ・・・ミカちゃんのお蔭だよ・・・」
と吉澤を攻めるように睨み付けた。
吉澤は肩をすくめるだけだった。
「さあ、もう、裸でいる事は無いよ!みんな、着替えよ!
それに、みっちゃんと松浦も無事だったし!」
市井はパンパンと手を鳴らし娘達に伝えた。
「着替えたら、また作業の続きね!」
娘達は今度は真剣だ、自分達以外の、生きている人間も
信用できない事が分かったからだ。


「わあ、いっぱい有るよ!」
安倍が自衛隊員が担いでいた大きなバックを開けて歓声を上げる。
中にはゴッソリと武器が詰っていたのだ。
「これで一人一人ちゃんとした武器が持てるね」
安倍の隣で銃を手に取る飯田に
「まかせてよカオリ、なっちが教えてあげるよ」
安倍は自慢気にポンポンと飯田の肩を叩いた。
そこに「ううん、うん、うん」
と、唸り声が後ろから聞こえた。
市井が腕を組んで2人を睨んでいた。
「へへへ、仕事が終わってからにしよか?カオリ?」
「そ、そうだね・・・・」
釈然としないリーダー飯田・・・
しかしながら今の市井には逆らえなかった。



515デッドオアアライブ :02/04/27 04:21 ID:BmMDwqUC
どんも、今日はここまでデス!
保全してくれる皆様ありがとうデス!
次回更新も未定っす!
では!
516505:02/04/27 07:52 ID:zOouYh5y
更新乙でっす。。。
自分が3人組だったら、
同じように・・・(;´Д`)ハァハァ・・・
嘘です。。。
ちゃんと守ります。。。
次の更新も楽しみに待ってまふ。。。
517ののの虜 ◆nono2P.. :02/04/27 15:19 ID:eSW3fB5+
更新おつかれさま〜

更新した時間が凄いっすね。
518名無し:02/04/27 22:26 ID:uyXVeZr7
偶然見つけてはまり、思わず全部読んでました。次の更新も楽しみにしてます。
ところでそろそろ一度あげたほうがいいような…。このまま消えないですかね?
519ののの虜 ◆nono2P.. :02/04/27 23:56 ID:eO7tsr2C
>>518
別に一番下にあっても書きこみされてれば絶対に消えないし。
一番上でもその板の中で最後に書きこみされたのが一番遅かったら削除される。

でもいろんな人に見てもらうためにはageたほうが良いのかな?
デッドオアアライブさんは適度にageと常時sageでマターリどっちが良いんでしょうか?
520518:02/04/28 07:28 ID:luFImwMv
>>519
ありがとう
521デッドオアアライブ :02/04/28 09:32 ID:CH19ik8h
>>518-519
そうですね、めっちゃ下がったら・・・たま〜にageますか?
522名無し募集中:02/04/28 18:55 ID:UxAloPn2
>>521
絶対に止めたほうがいいです。黄金厨が繁殖中です
523デッドオアアライブ ::02/04/29 00:31 ID:ZRLvC6ML
じゃあ止めましょう
524名無し紳士:02/04/29 14:31 ID:1OsZUFnG
とりあえず、私たちは作者さんが落ち着いて制作できる環境に整えときますので、安心してください・・・
次回楽しみにしてますよ
525名無し:02/04/29 21:58 ID:J8+rkZl0
>>524 賛成。というわけで夜の保全。
デッドオアアライブさん頑張ってください。
526名無し募集中:02/04/30 06:32 ID:CVcFslXk
んでもって保
527奈々氏:02/04/30 10:38 ID:FHE2lbFX
528名無し:02/04/30 21:45 ID:FHE2lbFX
529ののの虜 ◆nono2P.. :02/04/30 22:43 ID:tQ5cV0nR


>>526-527
ワラタ
>>527-528
ID一緒キター
530デッドオアアライブ :02/05/01 02:57 ID:dc0A5KSq
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

新垣が眠るのを確認すると小川は壁に寄りかかり
ボーと天井を見詰めていた。
廊下の方で銃声が聞こえたが無視した。

そう言えば眠ってなかったよ・・・・

ウトウトしだすが何故か眠れなかった。
小川は新垣の呼吸が止まった事に気付かなかった。

 
新垣は夢の中で闘っていた。
ゾンビには絶対なりたくなかった。
何時の間にか足の痛みが無くなっていた。
直ったと思って起きようとするが体が鉛の様に重くて
なかなか起き上がれなかったが頑張って上半身を持ち上げた。
小川はビックリしたように拳銃をこちらに向けていた。

新垣の戦いは無駄では無かった。
その戦いの果てに手にした物は意思を持つゾンビ化だった。
しかし、新垣は自分がゾンビになった事に気付いてはいなかった。


「ドウ・・・シタノ・・?・・マコチャン・・・」
青白い顔をした新垣の目は死んだ魚のように濁っていた。
「あ、あんた・・・」
新垣に向ける拳銃がブルブルと震える。
ユックリ立ち上がる新垣はフラフラと小川に近付く。
地獄だった。
地獄とはこんな所なのかと思った。

天国に行きたいと思う。
そこに行けば母親に会えると思った。
531デッドオアアライブ :02/05/01 02:58 ID:dc0A5KSq
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

新垣の寝ている控え室から乾いた銃声が聞こえた。
全員作業の手を止め各々控え室の前に集まった。
控え室のドアがカチャリと開いて、中から新垣が出てきた。
「新垣・・・あんた・・・」
市井が拳銃を新垣に向ける。
「マコ・・チャンガ・・・ジサツ・・・シタヨ・・・」
新垣の目から涙が出ていた。
新垣を取り囲むように集まっている娘達はジワリと距離をとる。
「ドウ・・・シタノ?・・・ミンナ・・・」
小首をかしげて動き出す新垣に
「動くな!新垣!撃つよ!」
と市井が叫んだ。
不意に市井を見る新垣は「ナンデ?」と市井に近付きだす。
「あんた!ゾンビになってんだよ!気付いてないのか?」
それでも近付く新垣に市井の銃口は震える。
しかし、構えるだけの市井には撃つ気配は無かった。
その震える銃口を吉澤の自動小銃の銃身が払った。
「どいてな、市井さんでは無理だよ・・・」
片手で自動小銃を持つ吉澤は新垣の額に銃口を当てた。
「紺野!高橋!危ないから、どいてな!」
新垣の後ろに居た紺野と高橋は慌てて端に避ける。
「ナンデ?」
もう一度聞く新垣の目から出る涙は止まらなかった。
「本当は気付いてるんだろ?」
銃声と共に新垣は倒れた。
532デッドオアアライブ :02/05/01 03:00 ID:dc0A5KSq
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

声も無い娘達の輪を無言で離れる吉澤に
誰一人として声を掛ける事は無かった。
控え室を覗くと小川は頭から血を流し死んでいた。
泣き崩れる娘達は暫らく動く事はできなかった。

一人、非常口から非常階段を上り屋上に出た吉澤は
手摺りにもたれ外の風景を眺めていた。
彼方此方から煙が上がりサイレンだけが響いている。
道路を走る車も殆んど無かった。
フジテレビの大階段や大庭園にはゾンビが溢れている。
「へ〜、屋上にはヘリコプターが有るんだね」
声が聞こえ振り向くと石川がいた。
石川はニコニコと近付き吉澤の隣に並んで同じ様に外を見る。
「もう、日本は終わりなのかな・・・」
少し寂しそうに石川は呟いた。
「・・・なあ、リカちゃん・・・」
「・・・なに・・・?」
「私って・・・変わったのかなあ・・・?」
「・・・なにが・・・?」
「なにがって・・・ほら・・・」
言いよどむ吉澤は次の言葉が見つからない。
「よっすぃだけじゃ無いと思うよ・・・」
「えっ・・・」
「みんな、ちょっとづつだけど変わってきてるよ・・・」
「・・・・・」
「私だって覚悟決めたもん・・・」
そう言いながら石川が振り向く屋上には3体のゾンビがいた。
少しづつ近付くゾンビに歩み寄り石川は無表情にゾンビの頭に
拳銃の弾を撃ち込んだ。
残りの2体も同じ様に倒し「ねっ、」と微笑んでみせる。
それを見ていた吉澤は黙って微笑み返した。

「ねえ、よっすぃ、このヘリコプター動かせないのかな?」
ヘリをペンペンと叩く石川はツインタワーの向こう側に有る
もう一台のヘリを指差した。
「あれも使えば私達全員ここから脱出できるのにね・・・」
吉澤は首を振り、
「動かし方なんて誰も知らないよ、無理だよ・・・」
諦め顔で言った。
「そんな事より、そろそろ戻った方がいいんじゃないか?
また、市井さんに怒られるよ」
「よっすぃは?」
「い、いや、私はもう少しココに居るよ・・・」
「なに言ってんの!行こう!」
石川は嫌がる吉澤の手を引いて無理やり皆の所に戻る。
誰も吉澤を攻めるなど出来ない事は分かっていたのだ。

533デッドオアアライブ :02/05/01 03:01 ID:dc0A5KSq
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

娘達の作業は夕刻までかかった。
階段を溶接し、一基残ったエレベーターを手榴弾で破壊し、
ゾンビの死骸を窓から投げ捨て、非常階段の階下を
手榴弾で破壊し、非常階段の屋上までの階のドアを溶接した。
「ふう、これで完全にココは隔離出来たね、もう、クタクタだよ・・・」
コップの水をゴクゴク飲み終えて矢口は床の上に大の字になった。
「・・・まだ、大事な事が有るだろう・・・」
腕組みをして矢口を睨む保田。
そこに「出来たで〜」と中沢と市井と辻、加護が
棺桶を担いで来た。
小川と新垣を納める手作りの棺桶はピンク色に塗られていた。
「なんだ?この色は!」
目を剥く矢口に辻、加護は「エヘヘ〜」と笑ってみせた。
「まあ、この子達なりに考えたんだよ、なあ、辻ぃ、加護ぉ?」
中沢の皮肉も分からない2人はウンウンと頷いてみせた。


小川と新垣の遺体をピンクの棺桶に入れて皆で寄せ書きを書いた。
同時期のメンバーの紺野と高橋は終始泣いていた。
屋上に行き2つに棺桶を並べて、添木を敷いて
飯田が火を点けた。
パチパチと燃え上がる棺桶に手を合わせながら
すすり泣く娘達はやがて誰ともなしに歌い始める。

♪ラ〜ラララララ〜ラ〜♪ララララ〜ララ〜♪

全てが灰になるまで数時間・・・・
娘達の歌声が夜空に溶けた・・・・

534デッドオアアライブ :02/05/01 03:05 ID:dc0A5KSq
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

疲れ果てた娘達は泥のように眠る。
起きたのはお昼すぎだった。

テレビはNHKだけが辛うじて放送するが
情報も無く、ただ街の道路をうろつくゾンビ軍団を映していた。
自衛隊の頑張りか、電気は止まらなかった。

娘達の家族も次々と携帯に出なくなった。
無き濡れる娘達。
一週間も経った頃にはNHKも放送が途切れがちになる。
娘達も次の事を考えねばいけない時期が迫っていた。


紺野がヘリコプターの中に有るマニュアルを見付け持って来た。
「このままじゃ、駄目だと思うんです」
マニュアルを差し出された飯田は
「そうだな〜」と答え
「よし、取り合えず、みんなに食堂に集まるように伝えてくれ」
久しぶりにリーダーとして会議を開く事にした。
535デッドオアアライブ :02/05/01 03:07 ID:dc0A5KSq
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

食堂に集まった娘達は絶望の為か脱力感を体から放っていた。
「え〜、オホン、みんなに集まってもらったのは他でもない、
そろそろ脱出の事を考えようと思うんだ」
飯田の提案に矢口が口を挟む。
「え〜、どうやって?」
「それは・・・・紺野、説明してくれ・・・・」
水を向けられた紺野は「えっ?」としながらも説明を開始した。
「あの、ヘリコプターのマニュアル見つけたんです、
その・・・誰か操縦を練習して飛べる様になった方が・・・・
や、やっぱりこのままじゃ駄目だと思うんです、
食料だってあと一ヶ月持つかどうか・・・・」
ゴニョゴニョと話す紺野を手を上げて制し市井が話を繋いだ。
「うん、私も考えてたんだけど、マニュアルが有るんなら
やれない事は無いね、食料が尽きるまでに操縦を憶える、
そして脱出・・・・なんだけど・・・どこに行く?燃料は?」
紺野は手を上げて答える。
「あの、燃料は屋上の倉庫で見つけました・・・それと、私、操縦憶えます、
み、南の何処か無人島に行きたいんです!」
紺野の積極発言を微笑みながら見ていた市井は頷く。
「紺野、偉いじゃん!・・・南の島か・・・いいね、ソレ、私も乗るよ!」
下を向く紺野は真っ赤になって照れていた。
そんな紺野を見る娘達も顔を見合わせて頷きだす。
「よし、なっちも憶えるべさ!」
おどける安倍に「わたしも〜!」と手を上げる辻、加護、松浦。
「おまえ等は駄目だよ!乗ったら死ぬもん!私がやるよ」
平家が手を上げると皆からブーイングが起こった。
久しぶりに笑いが起こる。
何となく希望が出てきて皆張り切りだす。
「ようし、みんなで乗れるようにしよう!」
飯田はリーダーらしく言い放った。
これから一月の間に皆で操縦を憶える事にした。
その中から向いてる誰かに絞ればいい。

南の何処か知らない島で皆と楽しく平和に暮らす・・・・
その夢の為にモーニング娘。達は一つにまとまり出した。

536デッドオアアライブ :02/05/01 03:08 ID:dc0A5KSq
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


       一ヵ月後

二機のヘリに乗り込む娘達・・・・

日本は、いや、世界の人口は1/1000になっていた。

今や放送局というものは存在しなくなった。

電気も水道も止まり、食料も無くなった。

燃料が無くなったら何処かのスタンドを襲えばいい。

どうせ、人なんて居ないのだから・・・・・

朝日を浴びて飛び立つヘリコプターの音だけが響いた。



     ーーーー完ーーーー