【小説】 ★★ 『ハロプロ』バトルロワイヤル★★

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456デッドオアアライブ

"☆:.°*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*°.:☆"
        ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】Ψ†‡




無限の宇宙空間には無数の惑星が有り、誕生そして消滅を繰り返す。

それが当たり前の様に、名も知らぬ、ある惑星が爆発し消滅した。

しかし、その爆発は未知の放射線を放った・・・・

その惑星爆発に人類が気付いたのは爆発から五十億年後の現代である。

ニュースにも成らないその惑星の消滅の影響は其れから数年にも及ぶ・・・・

だが、人類は最後まで解らなかった・・・・・

その謎の放射線が人間だけに影響を与える怪光線であった事を・・・・・


最初に異変に気が付いたのは各地の病院だった。
「御臨終です・・・・」
医師の言葉に家族が泣き崩れる・・・・
しかし死体はピクリと動いた。
「おじいちゃん!・・・先生!おじいちゃんが!おじいちゃんが!」
病室を出ようとした医師が振り向き愕然とする。
確かに死んだ筈なのに上半身をムクリと起こしたからだ。
駆け寄り脈を取って診ると脈は無かった。
「いったい、どう言う・・・」
言いかけた医師の首に老人が噛み付いた、
僅かに残った歯が動脈を切った。
「何してんの!」
医師から引き剥がし押さえ付けようとする家族を
手当たりしだいに噛み付く老人の目は淀んでいた。

病院はパニックになった。
霊安室に収容していた遺体が動き出したからだ。
事態が掴めず、声をかけ、なだめ近寄る病院職員を次々と噛み付いて
廊下に出る死体達は入院患者に襲い掛かり、
遂には噛み殺した患者の肉を食い始めた。
職員の殆んどが噛み付かれ血を流した。

全国全ての病院、いや世界の病院で同時に同じ事が起こった。

警察も迂闊には病院に入れなかった。
生物テロの可能性が高かったからだが、全国の病院から一斉に
110番要請があって人手が全然足りなかったのも一因だった。
病院から逃げ出る怪我人を保護するのがやっとだった。

自衛隊の生物テロ対策班が防毒マスクを着けて病院内に入る、
だが、全国の病院に手が回るはずも無かった。
絶対的に人員が足らなかったからだ。

テレビ局では一斉にニュース特番に切り替わった。
日本で同時多発テロが起きた可能性があるとかもしれないと
報道したのが事件発生から1時間後の午後三時の事だった。

未確認情報として遺体が動き出し患者や医師達を襲ったと報道する
キャスターは首を捻りながら生物テロの可能性が有るとし、
しかしながら「死体が生き返るなどバカバカしい」と付け加えた。

同じ時刻、各地の葬儀場も同じ理由でパニックになるが、
報道各社はこの情報を無視した。
死体が動き出したとの情報に便乗した悪質な悪戯と判断したからだった。

457デッドオアアライブ :02/04/16 02:46 ID:pwayjD2t
"☆:.°*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*°.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

フジテレビの控え室にいたミニモニの4人はテレビにかじり付いていた。
今日の衣装は何故か例の赤と白のTシャツと短パンだ。
辻はポカンと口を開けて画面の久米宏を見ている。
「テロかも知れないって・・・」
チラリとミカを見ると体が震え、こぶしを握り締めていた。
「ミカちゃ・・・」矢口が声をかけると同時にミカは
「ガッテム!!!」とテーブルを叩いた。
「絶対アルカイーダノセイダヨ!!!」
アメリカ人のミカはテロに敏感だった。
こんなミカを初めて見る3人はしばし動けなかったが
「ほ、ほら、まだテロって決まった訳じゃ無いから・・・」
矢口が口火をきって3人でミカを宥めた。
辻がお菓子を差し出すと
「アリガト・・・ゴメンネ・・・」
ポリポリとポテチを食べながらミカは反省した。

「しっかし、今日の収録はどうなんだろうね?」
矢口がぼやき出した時、ノックをしてADが入ってきた。
説明によると、何時になるか分からないけど収録は
するので待ってほしいとの事だった。
「なんでやねん!・・・・と言っても仕方ないか・・・」
矢口は溜め息をついた。

458デッドオアアライブ :02/04/16 02:49 ID:pwayjD2t
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     ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

暇を持て余した後藤、吉澤、石川の3人は球体展望室に続く
廊下に出て見ると誰も人が居なかった。

ミニモニ以外は全員セーラー服を着せられていたが
プロデューサーの意図は解らなかった。

「やっぱり、本当だったんだね」
ゾロゾロとフジテレビを出る一般観光客を廊下の窓から
見下ろし、石川が呟いた。

ニュースの第一報からテロの可能性を考慮して一般人を
帰したと、さっきADから聞いたのだ。

年に一度の娘。特番・・・
辻、紺野と来て今度は私の番だと思っていた石川は
今日は絶対目立ってやろうと張り切っていたのだが
収録はすると言っても何時になるか分からないとの事で
テンションが急に落ちていた。
それは吉澤も同じだった。
今年の主役はまだ誰か発表されていなかったからだ。

バタバタと廊下を走る職員達を横目に
「とりあえず、展望室見てみようよ!ゆっくり見た事無いからさ」
後藤が2人を促がすと、石川と吉澤は顔を見合わせ
「それもそうだね」と動きが止まった巨大観覧車を横目に
展望室に向かった。
459デッドオアアライブ :02/04/16 02:51 ID:pwayjD2t
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   ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


「ちょっとぉ、どうなってるのよ!」
控え室で市井沙耶香とTV画面に釘付けになってる
中沢裕子は不安を隠せないでいた。
この2人だけは私服だった。
市井はジーパンにトレーナー、中沢は黒のパンツと白いブラウスを着ていた。
娘。特番で華を添える為に呼ばれたがそれどころではなかった。
まあまあ、となだめる市井は出演を断る事は出来なかった。
今では完全に水を空けられた娘。とは競演したくはなかったが
事務所の命令では仕方なかった。
「自衛隊も出動だってよ!」
次々とチャンネルを変える中沢はテレ朝でチャンネルを止めた。

「我々、テレビ朝日では人道的観点から局を避難所として
開放する事に決めました、とにかく怪我人が続出してます、
今回のテロは病院がターゲットになってます・・・・・・」
まくし立てる久米の顔は何故か高揚感に浸っているように見えた。

それに続きTBSの筑紫も局を解放すると宣言した。

「ここも開放するの?」
フジTVにチャンネルを合わせると暫らくしてその情報が入ったのか
木村太郎が久米と筑紫の実名を挙げて医者も居ないのに
何故そんな事をするのか理解出来ない、紛れこんだテロリストに
占拠されたらどうするのかと真顔で怒っていた。

「そうだよ、木村さん良い事言ったよ!」
中沢は少しホッとしたようだった。
TVを見ながら興奮している中沢を冷静に見ている市井は
何故自分はこんなにも落着いていられるのだろうと不思議に思った。



460デッドオアアライブ :02/04/16 02:58 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


「本当に収録始めるんですか?」
食堂で飯を食べていたプロデューサーに詰め寄る安倍、飯田、保田の3人は
普段は文句など言わないのだが今回は違った。
事件が広がるに付け言い用の無い不安に駆られ
浮き足立っていた。
「ちょ、ちょっと待ってよ、絶対収録はする予定だから・・・・」
菊池プロデューサーも自信が無かったが
今日収録しないとスケジュールが詰っている娘。の
時間が取れないのだ。
若いスタッフ連中は皆情報収集に駆り出されていた。
「と、とにかく待ってて・・・・」
プロデューサーは逃げるようにその場を後にする。

「あ〜もう!」
保田が地団駄を踏む。
周りを見回しても2,3人がポツリポツリと黙って食事をしている。
「誰も居ないね・・・・」
安倍が飯田の顔を見ると、飯田はウンウンと頷いた。
「よし!しゃあない!おじさん、カレー頂だい!」
飯田は食券を買いカレーライスを注文して、
受け取りテーブルにドカリと座った。
「カオリは食うよ!ナッチ達も何か頼めば?」
やけ食いをする飯田を見て
「よし、ナッチも食うよ!」
安倍はカツ丼を注文する。
「あんた達さっき弁当食べたでしょ!もう!」
保田は呆れたように紅茶を頼んだ。



461デッドオアアライブ :02/04/16 03:00 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


控え室で家に帰りたいと泣きじゃくる新垣と高橋を
マネージャーが必死になだめていた。
「ちょっと、プロデューサーに掛け合ってみるね」
と出て行くマネージャーはヤレヤレとウンザリした様子だ。
「大丈夫だよ」
小川が新垣の頭を撫でる。
「そうですよ」
紺野が高橋の手を取って慰める。

テレビでは小泉首相を中心にした緊急対策本部が立ち上がり、
小泉首相が国民に冷静になるよう呼びかけていた。

「小泉さんも言ってますよ、冷静になれって」
紺野は3人の心を静めるよう心掛けたが
自身の声が震えている事に気付いてなかった。
「日本が終わっちゃうの?」
高橋が手を握っている紺野に聞いた。
「日本だけじゃ無いみたいだよ・・・」
小川の声も震えていた。

「これは世界同時テロの可能性が大きくなりました、ワシントンの
内田さん・・・・・」
久米宏が世界各国でも同様の事件が起きていると伝えた。

「せっかくモーニング娘。に入ったのに!」
ワ〜と泣きじゃくる新垣に小川は声を掛けられなかった。
心配無いとは言ったものの、明日にはこの事件が収まるとは思えなかった。
いや、明日だけではない、明後日もその次の日も、ず〜っと・・・・・
ただただ、不安になる心が大きくなるだけだった。




462デッドオアアライブ :02/04/16 03:01 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


「あれ見て!よっすぃ、ごっちん!」
石川が展示室の窓から夕暮れが迫る外を指差す。
「なにアレ・・・?」
外の広場と局に続く道は人がまばらになっていた。
石川が指差したのはフラフラと歩く十数人の人間だった。
その人間は普通に歩く人が近くに居ると襲い掛かる動作をする。
だが、避けられてしまう、尚も襲おうとする人間に
走って逃げる人・・・・

若者5,6人のグループが連れの彼女を襲い掛かろうとする人間に詰め寄った。
「あっ!」後藤が小さく声を上げた。
一人の若者の首にその人間が噛み付いたのが見えたからだ。
逆上したグループは噛み付いた人間をボコボコにするが
そのグループを包囲するようにヨタヨタと歩く不気味な人間達が
距離を縮め、気付かぬ若者達に背後から襲い掛かった。
血飛沫が上がるのが見えた。

若者達は動かなくなった。
吉澤は彼等は殺されたと思った。
だが、動き出した。
死んだ筈なのに・・・・
ヨタヨタと起き上がる若者達は襲った人間達と同じ動きだった。
周りを遠くから見守っていた人達はパニックになった様に逃げ出した。

ペタリと座り込む石川は震えていた。
「大変だ!みんなに知らせてくる!」
後藤は一人駆け出した。
呆然とその光景を見続ける吉澤は独り言のように呟いた。
「・・・・ゾンビだ・・・・・」
握るこぶしがワナワナと震えていた。

463デッドオアアライブ :02/04/16 03:03 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

ロケ車がフジテレビの駐車場に滑り込んだ。
中から出てきたのは血だらけになった『めちゃイケ』のメンバー達だ。
外でのロケ中に正体不明の連中に襲われ噛み付かれたのだった。
病院に運ぼうにも閉鎖されてて仕方なく帰ってきた。
「医務室に早く早く!」
スタッフの叫び声が木霊する。
江頭2:50が瀕死の重傷だった。
彼はロケ中ふざけて襲い掛かる連中に体当たりをした。
襲われた江頭を助けようとして他のメンバーも噛み付かれたのだ。
血を流しているのは男子メンバー全員、女子メンバーは直ぐにロケバスに
逃げ込み無事だった。
464デッドオアアライブ :02/04/16 03:04 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


後藤の慌てぶりに驚いたモーニング娘。達は全員食堂に集まった。
先程の出来事を話す後藤達は泣き声だ。
飯田は「ごめん・・・」と言ってトイレに駆け込む。
騒ぎ出した娘。達に「黙って!」と叫んだのは市井だった。
「ごめん・・・でも、もう少し冷静になりなよ」
市井はマネージャーに尋ねた。
「私達、帰れるの?」
マネージャーは腕組みしながら首を横に振る。
「ここに居た方が安全なんだ、結果的には収録が押した事が
幸いした形になったけど・・・・」
「じゃあ・・・」聞きかけた矢口に
「この先の事は俺にも分からない・・・・」
マネージャーは椅子にもたれ掛かる様に座った。
「それから、ミカ、英語が話せる人間が足りないそうだ・・・
すまんが手伝ってやってくれ」
「ワ、ワカッタ・・・・」
テロは許さない!ミカの瞳には怒りが込められていた。
出て行くミカを見送り、中沢は溜め息をしながら
「もう、なる様にしかならへん・・・」
と椅子に座ってうつ伏せる。
それに続くかのように娘。達も椅子に座った。

テレビの久米宏は「大変だ、大変だ」としか言わない。
その久米の顔が一瞬ビックリする、画面にフレームインしたのは
死人の顔をした人間だった。
ソレは久米の手の甲に噛み付いた。
慌てたスタッフが男を取り押さえ引きずり出した。
「おい!スタッフ!何やってんだ馬鹿!そんな奴摘み出せ!!」
久米は怪我人の為に局を解放した事を忘れて激高した。
自分の手のひらから滲む血を恨めしそうに眺めて
スタッフが持ち出した包帯と薬を隣の渡辺真理に処置をさせて
「大変失礼しました、僕は大丈夫ですので・・・・」
と番組を続けた。

画面に釘付けになる娘。達・・・・
「やっぱり、ゾンビだよ・・・・」
吉澤が誰にでもなく話しかける、
その言葉に娘。達は異存が無かった。
「かじられたら、ゾンビになるよ・・・多分・・・」
後藤の言葉に石川が追随する
「そうだよ、私達見たもん・・・・」
「でも、それは死んだらの事だろ?」
市井が疑問を投げかける。
「それは、そうだけど・・・・」
石川も自信は無い。
「まあ、今の時点では誰も信じないだろうねゾンビなんて・・・」
市井の話しに安倍が立ち上がり「あっ!」と声を上げた。
「大変だ!家族に電話しないと・・・・家から出ちゃ駄目だって」
みんな顔を見合わせて、慌てて携帯を取り出した。

465デッドオアアライブ :02/04/16 03:06 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


菊池プロデューサーが慌てて食堂に入ってきた。
「いやあ、探したよ!みんな頼みがあるんだ!」
「なんですか〜?」
飯田がふて腐れるように聞いた。
「い、いや、そんな怒んないでよ・・・
それより、国民に冷静になるようにテレビで呼びかけて欲しいんだよ」
「え〜」とウザそうに顔を見合わせる娘。達・・・
「いや、これは政府からの要請なんだよ、小泉首相から
直に電話が有ったんだよ!」
「え〜!」今度は目を見開いて顔を見合わせる娘。達・・・

「早く早く・・・」
プロデューサーに追い立てられるようにスタジオに向かう
モーニング娘。を中沢と市井が如何した物かと首を振りながら見送った、
その顔は心なしか微笑んでいた。
「あいつ等本当に国民的アイドルなんやね・・・」
「そうだね、オンエアでも見よっか」
テレビではスマップがスマスマのスタジオから国民に呼びかけていた。
「スマップも今日収録日だったんやね・・・」
「他の芸能人の人はどうしたんだろ?」
「そやね・・・・どないしたんやろ?」
中沢は走るADを捉まえて聞いてみた。
他の人達は皆自宅に慌てて帰ったとの事だった。
「外はヤバイと思うんだけど・・・・」
市井の予想は当たっていた。

ゾンビと化した死人は道路など関係なかった。
ゾンビと知らぬ一般の国民は道路を塞ぐ死人を無視する事を出来ない。
全国で交通渋滞が発生し、交通事故、列車事故が相次いだ。
警察は全く対応できない。
日本のインフラはストップした。


466デッドオアアライブ :02/04/16 03:08 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


死んだ人間に対して火葬をする日本は世界に比べるとまだマシな方だった。

各国では墓から次々と死人が這い出し『ゾンビ』が鼠算式に増殖した。

アメリカは生物テロと断定し、悪の枢軸国家に宣戦を布告する。

宣戦を布告された国も対抗する体力は殆んど持ち合わせていない。

アメリカを止められる国など無かった。

日本を含め他の国も自国の事で手がいっぱいだったからだ。

それは事件発生から5時間後の事だった。



医務室では『めちゃイケ』の女子メンバーがテレビに釘付けになっていた。
「アメリカが戦争だってよ、どないすんの?」
鈴木紗里奈が涙目になる。
「日本は関係ないよ!」
光浦靖子はそう言いながらベッドで唸っている男子メンバーに
「うすさいよ!」と注意する。
江頭だけでは無く噛まれた男子メンバー全員が発熱し、
ベッドに横になり唸っていた。

小泉首相が何回目かの緊急会見をする。
日本に非常事態宣言が発せられた。
この時間より朝まで夜間外出禁止令が出た。
自治は警察だけではなく自衛隊も出動する。
空港は閉鎖し自衛隊の管理下に置く。
原発及び発電施設、通信施設は自衛隊が守る事が発表された。

直後、モーニング娘。が画面に登場した。
必死の笑顔で国民に平静を呼びかける姿は見ていて痛々しかった。
「頑張ってんなあ・・・でもなんでセーラー服なん?」
感心する紗里奈に「うん」と雛形が頷く。
「もう、帰りたい!」と我慢できない大久保に
「帰れる訳無いじゃん!」と光浦がビンタをする。
「アンタねえ!今、戒厳令が出・・・・・・」
光浦は言葉を失った。
後ろから抱きつくように伸びてきた腕が江頭の手だと分かったからだ。
そのままもたれ掛かり江頭は光浦の頬に噛み付いた。
「うぎゃぁああぁぁああ!!」
暴れる光浦をガッチリ押さえ江頭は尚もかぶり付く。
「な、何!なんやねん!!!」
紗里奈は目を見開き、雛形と大久保は悲鳴を上げて腰を抜かす。
幽鬼の様に立ち上がる男子メンバー達は「うぅうう・・・」と呻きながら
女子に迫って来たのだ。
その目は死人の目だった。
雛形の乳房を食い千切り租借する山本。
紗里奈の太腿を食らう加藤。
大久保の腕に噛み付き血を啜るよゐこ。
覆い被さる他のメンバー。
地獄絵の中でゾンビと化した矢部は濁った目でテレビの
モーニング娘。を不思議そうに見ていた。


467デッドオアアライブ :02/04/16 03:10 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

シャッターを下ろし完全に閉鎖したフジテレビの出入り口で
自衛隊の小部隊の隊長とフジテレビの編成部長が言い合いをしていた。
中に入れろ入れないの話し合いは結局入れる人数を十名に
絞る事で折り合いが着いた。
他の自衛隊員は外を固める事になった。
なんにしろ編成部長は銃を持った自衛隊が局を守る事に安堵感を憶えた。


局内を歩き回る『めちゃイケ』ゾンビ軍団に局内の人間は呆れた。
いくらバラエティだからと言ってやり過ぎだ、
こんな時にあんな格好で歩き回るなんて何を考えてるんだ。
非常識にも程が有ると他の職員は無視をした。
しかし、犠牲者は確実に増えていった。
噛み付かれてる職員を見ても、手の込んだ事をするなあ、
ぐらいにしか思わなかったのだ。
その犠牲者の中にはミニモニと競演する筈だった志村けんも含まれていた。
468デッドオアアライブ :02/04/16 03:12 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

「お疲れ様でしたー!」
国民に呼びかける撮影が終わった娘。達に菊池プロデューサーが
「また、やるかも知れないから、食堂か何処かで待機してて」
と頼み込んだ。
「この事件が解決したら、もうワンステップ、ステータスが
上がると思うよ」
プロデューサーは胡麻すりも忘れなかった。
新垣理沙はペコリとおじぎをして、そそくさとスタジオを離れた。
「何?あれ」保田が不機嫌そうに聞く。
「トイレ、トイレと言ってましたよ」
紺野は一人逃げ出したと思われた新垣をフォローした。
「ふうん、そうかい?あの子なら逃げかねないからね」
「そんな・・・」
保田はニッと笑って紺野の頭を撫でてやる。
「冗談だよ・・・でも紺野、アンタは優しいねえ」
さ、行こうと紺野の肩を揉みながらスタジオを出ようとすると
出口にナイナイの矢部が立っていた。


469デッドオアアライブ :02/04/16 03:13 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

トイレに続く廊下で見た事が有る後姿があった。
新垣は誰も居ないのをチャンスだと思ってトコトコと近付いた。
「おはようございます、志村さん!」
志村けんはピタリと足を止めた。
「あ、あの・・・お願いが有るんです・・・私をミニモニに入れるように
つんくさんにプッシュして欲しいんです」
ペコリと頭を下げる新垣は志村がミニモニと一緒にCDを出したいと
つんくに迫ってCDを出す事が出来た事を知っていた。
黙っている志村に
「も、もちろんタダとは言いません・・・あの〜、私今からトイレ行くんです
・・・その・・・良かったら一緒にどうです?」
何を意味するのか、新垣の処世術は其の世界に長けていた。
しかし、志村に新垣の世渡りは通じなかった。
振り向く志村の顔は半分肉が裂けていて右目の眼球が飛び出ていたのだ。
「ひっ!」
踵を返し逃げようとする新垣に志村が覆い被さるが寸でで腕から逃れる。
志村はそのまま倒れた。
走り出そうとする新垣の足首を志村が掴んだ。
新垣も倒れた。
「痛い!」
右ふくらはぎに激痛が走った。
志村が噛み付いていた。
「わあぁぁああ!離して!離して!! この!この!このぉ!!」
空いている左足で志村の顔面を何回も蹴りつけた。
やっと離れた志村の顔はもう誰かも判らない程変形していた。
「ひっ、ひっ、・・・かじられちゃった・・・・」
血が滴るふくらはぎを押さえてうずくまる新垣は
慌てて這いずりながらその場を離れる。
志村がムクリと起き上がったからだ。
470デッドオアアライブ :02/04/16 03:15 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

「あっ、矢部さん、おはようございま〜す」
近付いて頭を下げる矢口をギロリと見る矢部に
何かを感じたマネージャーが「どうしたんですか?」
と矢口と矢部の間に立った。
その首に矢部が歯を立てた。
「キャーーーー!!!」
矢口が悲鳴を上げて尻餅をつく。
マネージャーの首からは真っ赤な鮮血がブシューと吹き出たのだ。
矢部はそのままマネージャーに圧し掛かり顔面に食らいつく。
マネージャーは空をもがく様に掴み痙攣して動かなくなった。
「矢口ぃ!!」
保田と安倍がへたり込む矢口の肩を掴みその場から引きずり離した。
「おい!スタッフ!取り押さえろ!!モー娘達はココから出て!」
菊池プロデューサーが叫ぶ。
スタジオはパニックになった。
「おい!矢口、矢口!逃げるよ!」
座り込み震える矢口の肩を保田は激しく揺さぶる。
震えながらも矢口は大きく何度も頷いた。
へたり込んだのは飯田もだった。
「飯田さん!逃げなきゃダメです!」
辻と加護に促がされ飯田は這いながらスタジオを出る。
スタジオを出る時に紺野は見た、矢部に殺されたマネージャーが
スタッフに襲い掛かる姿を・・・・・
悪夢が始まったと思った。
471デッドオアアライブ :02/04/16 03:16 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

「とりあえず、みんな食堂に集合ね!」
走りながら安倍は振り向きメンバーに伝えた。
途中ゾンビになった職員とすれ違ったが走り抜ける
娘。達を捕まえる事は出来ないようだ。
それを見た吉澤はゾンビの前で立ち止まり、業と歩いて抜けて見た。
「よっすぃ!何やってんの!危ないよ!」
石川がたまらず叫んだ。
「・・・・のろいんだ・・・・」
吉澤はゾンビの背中を蹴ってみると受身もとらず
そのままベチャっと倒れた。
「よっすぃ!駄目だって!」
石川は吉澤の手を取って引っ張る。
ゾンビの上を走って来た加護が飛び越えた。
ムクリと起きるゾンビに飛び越えた加護が振り向き
ビックリした顔をする。
倒れている人間をゾンビと知らなかったのだ。
後から来た辻がゾンビの前で立ち止まり踵を返そうとする。
「辻ぃ!大丈夫だ、抜けれるよ!ソイツ動きが遅いから!」
吉澤は石川の手を振り解き、もう一度ゾンビの後ろから蹴りを入れる。
バタンと倒れるゾンビ。
「ほら、大丈夫だから・・・来な!」
辻は頷きゾンビを避けて吉澤の元に走り寄って抱きついた。
「なっ、大丈夫だったろ?さあ、行こう」
辻の頭を撫でてやり吉澤は食堂に向かった。
「よっすぃ、カッコイイ!」
石川はこんな状況なのに感激してしまった。
472デッドオアアライブ :02/04/16 03:18 ID:pwayjD2t
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

「これで全員そろったかい?」
飯田がリーダーの意地で震える声を抑え確認する。
「おじちゃん!鍵閉めさせてもらうよ!」
確認すると厨房には誰も居なかった。
「ここの従業員はさっき皆出て行ったよ・・・何故かは知らないけど」
市井が報告すると飯田は辻と加護に命じて食堂の鍵を閉めさせた。
「大丈夫かい?」
市井が新垣に声を掛けるが新垣はテーブルに突っ伏して泣いていた。
足には市井と中沢が巻いた包帯が痛々しい。
隣に座る小川が必死になだめていた。
「死ななければゾンビにならないです」
辻の他意の無い言葉に新垣はさらに声を上げて泣く。
言い換えれば、死ねばゾンビになるという事に気付かない辻は
キョトンとしている。
「辻ぃ!なんて事言うの!」
中沢がギロリと睨むと辻はやっと気付いたのかシュンとなる。
今度は加護が辻を慰める。
「とにかく、なんか武器を探さないと・・・」
石川が提案すると「武器なら揃えたよ」と市井は手拭で
グルグル巻いた物をテーブルにドンドンと置きだした。
「包丁だよ、裸だと危ないからね、布で巻いたんだ・・・
コレをみんな腰に収めておきな」
「やるね!沙耶香!」
イエ〜イ!と保田とハイタッチする。
「さて、後はこれからどうするか、なんだよね〜」
腰に包丁を納めながら後藤が言った。
「とりあえず隠れる所を探そうよ、ここじゃヤバイよ」
矢口の言葉に辻、加護も頷き
「あと、ミカちゃんも・・・」
と加護が付け加えた。
「ミカちゃんはもうココからじゃどうしようも無いよ、
なんとか生き延びる事を祈るしか・・・・」
冷たいが後藤が言う言葉も現実だった。
「あれ見て・・・・」
安倍がテレビを指差した。
473デッドオアアライブ :02/04/16 03:20 ID:pwayjD2t
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


久米宏の顔が真っ青になっていた。
心配する渡辺真理に大丈夫だ、僕には使命が有るんだと頑張った。
最後まで視聴者を気にする久米宏の最後のパフォーマンスは突然来た。
「うぅうう!」と声を上げると机に突っ伏してしまった。
慌てる渡辺真理と解説者で来ていた田原総一郎が久米を揺さぶった。
ゆっくりと顔を上げる久米宏のソレは死人の顔だった。
目を見張る渡辺に襲い掛かる久米宏・・・・
画面はそこで別のスタジオに切り替わった。

「噛まれただけでゾンビになるよ!」
後藤が叫ぶと同時に新垣を除く全員がガタンと立ち上がり一斉に新垣を見た。
新垣は目を見張り呆然とテレビ画面を見ていた。
ショックの余り小便を漏らし椅子からポタポタと雫をたらす。
「新垣!」
吉澤が声を掛けると新垣はハッと我に返ったように
マバタキをするが目が泳いでいる。
「ハ・・・ハハハ・・・ハハハ・・・わたし・・・わたし・・・」
そう言うと新垣が立ち上がった。
隣の小川が腰を抜かす、その小川の顔を見た新垣の何とも言えぬ表情・・・・
そのまま後ずさり新垣はドアに向かって駆け出し何かを叫びながら
鍵を外し廊下に跳び出した。
「新垣!待って!」
小川が新垣の後を追った。
「待て!小川!」
飯田の呼び止めに振り向いた小川は
「・・・わたし・・・わたしぃ!!!」
そのまま新垣を追って廊下に飛び出した。

腰を抜かした小川は自分を見る新垣に向かって
・・・・・・バケモノ・・・・・・
と声を出さずに唇を動かしてしまったのだ。

474デッドオアアライブ :02/04/16 03:22 ID:pwayjD2t
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


「ふ、2人を追わなきゃ・・・」
市井を見る矢口に市井は首を振った。
「なんで・・・?」
市井は小川が出て行ったドアを指差す。
ドアからは江頭2:50と極楽の山本がヨタヨタと入ってきた。
「ウガァアアァァアア!!!」
江頭が叫ぶと皆パニックになった。
「落ち着け!!!」
市井が叫んだ。
「隠れ場所は見つけて有るんだ!」
市井はモップを厨房から持ってきて天井の通風口を叩いた。
通風口の枠がガタンと外れ人が入れる穴が開いた。
「テーブルの上に椅子を置いてその穴に這い上がるんだよ!
そこから他の部屋に移動するんだ!」
吉澤は市井に近付きモップを奪い
キョトンとする市井にニッと笑って見せた。
「成る程、いいアイデアだね、時間稼ぎは私に任せて」
モップ部分を外し棒状になったソレを構えると
「みんな!早くしな」
と2体のゾンビに歩み寄った。
棒を突付けば簡単に倒れる江頭と山本を転ばしながら
吉澤はドアの鍵を掛けた。
・・・・殺せるかも・・・・
そう思った吉澤は厨房に入り長いアイスピックを取り出した。
江頭を棒で突付き倒し、山本の後ろに回りモップを離し、
両手で渾身の力を込めてアイスピックを後頭部に差し込んだ。
音もなく崩れた山本はピクリとも動かなかった。
「やっぱり・・・・」
頭が弱点だと何となく思い、試したが案の定だった。
同じように江頭を倒し吉澤は市井に親指を立ててみせた。
ゾンビだが平然と知っている人間を殺した吉澤を見て
市井は何とも言えぬ不安が心を過ぎるのを感じずにはいられなかった・・・・


フジテレビは完全に孤立した。
頑丈なシャッターで外部との接触を絶ったからだが
ゾンビが局内にいるとは思わなかった。
自衛隊員が十名居ても銃を発砲する事はなかった。
ゾンビを死人と思っていなかったからだ。
局内で増殖するゾンビを止める事は誰にも出来ない・・・・・


久米宏のゾンビ化は日本国民に衝撃を与えた。
日本は、いや世界は気付くのが遅かった・・・・・
午後9:30・・・・これから長い夜が始まる・・・・