【小説】 ★★ 『ハロプロ』バトルロワイヤル★★

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456デッドオアアライブ

"☆:.°*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*°.:☆"
        ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】Ψ†‡




無限の宇宙空間には無数の惑星が有り、誕生そして消滅を繰り返す。

それが当たり前の様に、名も知らぬ、ある惑星が爆発し消滅した。

しかし、その爆発は未知の放射線を放った・・・・

その惑星爆発に人類が気付いたのは爆発から五十億年後の現代である。

ニュースにも成らないその惑星の消滅の影響は其れから数年にも及ぶ・・・・

だが、人類は最後まで解らなかった・・・・・

その謎の放射線が人間だけに影響を与える怪光線であった事を・・・・・


最初に異変に気が付いたのは各地の病院だった。
「御臨終です・・・・」
医師の言葉に家族が泣き崩れる・・・・
しかし死体はピクリと動いた。
「おじいちゃん!・・・先生!おじいちゃんが!おじいちゃんが!」
病室を出ようとした医師が振り向き愕然とする。
確かに死んだ筈なのに上半身をムクリと起こしたからだ。
駆け寄り脈を取って診ると脈は無かった。
「いったい、どう言う・・・」
言いかけた医師の首に老人が噛み付いた、
僅かに残った歯が動脈を切った。
「何してんの!」
医師から引き剥がし押さえ付けようとする家族を
手当たりしだいに噛み付く老人の目は淀んでいた。

病院はパニックになった。
霊安室に収容していた遺体が動き出したからだ。
事態が掴めず、声をかけ、なだめ近寄る病院職員を次々と噛み付いて
廊下に出る死体達は入院患者に襲い掛かり、
遂には噛み殺した患者の肉を食い始めた。
職員の殆んどが噛み付かれ血を流した。

全国全ての病院、いや世界の病院で同時に同じ事が起こった。

警察も迂闊には病院に入れなかった。
生物テロの可能性が高かったからだが、全国の病院から一斉に
110番要請があって人手が全然足りなかったのも一因だった。
病院から逃げ出る怪我人を保護するのがやっとだった。

自衛隊の生物テロ対策班が防毒マスクを着けて病院内に入る、
だが、全国の病院に手が回るはずも無かった。
絶対的に人員が足らなかったからだ。

テレビ局では一斉にニュース特番に切り替わった。
日本で同時多発テロが起きた可能性があるとかもしれないと
報道したのが事件発生から1時間後の午後三時の事だった。

未確認情報として遺体が動き出し患者や医師達を襲ったと報道する
キャスターは首を捻りながら生物テロの可能性が有るとし、
しかしながら「死体が生き返るなどバカバカしい」と付け加えた。

同じ時刻、各地の葬儀場も同じ理由でパニックになるが、
報道各社はこの情報を無視した。
死体が動き出したとの情報に便乗した悪質な悪戯と判断したからだった。

457デッドオアアライブ :02/04/16 02:46 ID:pwayjD2t
"☆:.°*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*°.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

フジテレビの控え室にいたミニモニの4人はテレビにかじり付いていた。
今日の衣装は何故か例の赤と白のTシャツと短パンだ。
辻はポカンと口を開けて画面の久米宏を見ている。
「テロかも知れないって・・・」
チラリとミカを見ると体が震え、こぶしを握り締めていた。
「ミカちゃ・・・」矢口が声をかけると同時にミカは
「ガッテム!!!」とテーブルを叩いた。
「絶対アルカイーダノセイダヨ!!!」
アメリカ人のミカはテロに敏感だった。
こんなミカを初めて見る3人はしばし動けなかったが
「ほ、ほら、まだテロって決まった訳じゃ無いから・・・」
矢口が口火をきって3人でミカを宥めた。
辻がお菓子を差し出すと
「アリガト・・・ゴメンネ・・・」
ポリポリとポテチを食べながらミカは反省した。

「しっかし、今日の収録はどうなんだろうね?」
矢口がぼやき出した時、ノックをしてADが入ってきた。
説明によると、何時になるか分からないけど収録は
するので待ってほしいとの事だった。
「なんでやねん!・・・・と言っても仕方ないか・・・」
矢口は溜め息をついた。

458デッドオアアライブ :02/04/16 02:49 ID:pwayjD2t
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     ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

暇を持て余した後藤、吉澤、石川の3人は球体展望室に続く
廊下に出て見ると誰も人が居なかった。

ミニモニ以外は全員セーラー服を着せられていたが
プロデューサーの意図は解らなかった。

「やっぱり、本当だったんだね」
ゾロゾロとフジテレビを出る一般観光客を廊下の窓から
見下ろし、石川が呟いた。

ニュースの第一報からテロの可能性を考慮して一般人を
帰したと、さっきADから聞いたのだ。

年に一度の娘。特番・・・
辻、紺野と来て今度は私の番だと思っていた石川は
今日は絶対目立ってやろうと張り切っていたのだが
収録はすると言っても何時になるか分からないとの事で
テンションが急に落ちていた。
それは吉澤も同じだった。
今年の主役はまだ誰か発表されていなかったからだ。

バタバタと廊下を走る職員達を横目に
「とりあえず、展望室見てみようよ!ゆっくり見た事無いからさ」
後藤が2人を促がすと、石川と吉澤は顔を見合わせ
「それもそうだね」と動きが止まった巨大観覧車を横目に
展望室に向かった。
459デッドオアアライブ :02/04/16 02:51 ID:pwayjD2t
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   ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


「ちょっとぉ、どうなってるのよ!」
控え室で市井沙耶香とTV画面に釘付けになってる
中沢裕子は不安を隠せないでいた。
この2人だけは私服だった。
市井はジーパンにトレーナー、中沢は黒のパンツと白いブラウスを着ていた。
娘。特番で華を添える為に呼ばれたがそれどころではなかった。
まあまあ、となだめる市井は出演を断る事は出来なかった。
今では完全に水を空けられた娘。とは競演したくはなかったが
事務所の命令では仕方なかった。
「自衛隊も出動だってよ!」
次々とチャンネルを変える中沢はテレ朝でチャンネルを止めた。

「我々、テレビ朝日では人道的観点から局を避難所として
開放する事に決めました、とにかく怪我人が続出してます、
今回のテロは病院がターゲットになってます・・・・・・」
まくし立てる久米の顔は何故か高揚感に浸っているように見えた。

それに続きTBSの筑紫も局を解放すると宣言した。

「ここも開放するの?」
フジTVにチャンネルを合わせると暫らくしてその情報が入ったのか
木村太郎が久米と筑紫の実名を挙げて医者も居ないのに
何故そんな事をするのか理解出来ない、紛れこんだテロリストに
占拠されたらどうするのかと真顔で怒っていた。

「そうだよ、木村さん良い事言ったよ!」
中沢は少しホッとしたようだった。
TVを見ながら興奮している中沢を冷静に見ている市井は
何故自分はこんなにも落着いていられるのだろうと不思議に思った。



460デッドオアアライブ :02/04/16 02:58 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


「本当に収録始めるんですか?」
食堂で飯を食べていたプロデューサーに詰め寄る安倍、飯田、保田の3人は
普段は文句など言わないのだが今回は違った。
事件が広がるに付け言い用の無い不安に駆られ
浮き足立っていた。
「ちょ、ちょっと待ってよ、絶対収録はする予定だから・・・・」
菊池プロデューサーも自信が無かったが
今日収録しないとスケジュールが詰っている娘。の
時間が取れないのだ。
若いスタッフ連中は皆情報収集に駆り出されていた。
「と、とにかく待ってて・・・・」
プロデューサーは逃げるようにその場を後にする。

「あ〜もう!」
保田が地団駄を踏む。
周りを見回しても2,3人がポツリポツリと黙って食事をしている。
「誰も居ないね・・・・」
安倍が飯田の顔を見ると、飯田はウンウンと頷いた。
「よし!しゃあない!おじさん、カレー頂だい!」
飯田は食券を買いカレーライスを注文して、
受け取りテーブルにドカリと座った。
「カオリは食うよ!ナッチ達も何か頼めば?」
やけ食いをする飯田を見て
「よし、ナッチも食うよ!」
安倍はカツ丼を注文する。
「あんた達さっき弁当食べたでしょ!もう!」
保田は呆れたように紅茶を頼んだ。



461デッドオアアライブ :02/04/16 03:00 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


控え室で家に帰りたいと泣きじゃくる新垣と高橋を
マネージャーが必死になだめていた。
「ちょっと、プロデューサーに掛け合ってみるね」
と出て行くマネージャーはヤレヤレとウンザリした様子だ。
「大丈夫だよ」
小川が新垣の頭を撫でる。
「そうですよ」
紺野が高橋の手を取って慰める。

テレビでは小泉首相を中心にした緊急対策本部が立ち上がり、
小泉首相が国民に冷静になるよう呼びかけていた。

「小泉さんも言ってますよ、冷静になれって」
紺野は3人の心を静めるよう心掛けたが
自身の声が震えている事に気付いてなかった。
「日本が終わっちゃうの?」
高橋が手を握っている紺野に聞いた。
「日本だけじゃ無いみたいだよ・・・」
小川の声も震えていた。

「これは世界同時テロの可能性が大きくなりました、ワシントンの
内田さん・・・・・」
久米宏が世界各国でも同様の事件が起きていると伝えた。

「せっかくモーニング娘。に入ったのに!」
ワ〜と泣きじゃくる新垣に小川は声を掛けられなかった。
心配無いとは言ったものの、明日にはこの事件が収まるとは思えなかった。
いや、明日だけではない、明後日もその次の日も、ず〜っと・・・・・
ただただ、不安になる心が大きくなるだけだった。




462デッドオアアライブ :02/04/16 03:01 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


「あれ見て!よっすぃ、ごっちん!」
石川が展示室の窓から夕暮れが迫る外を指差す。
「なにアレ・・・?」
外の広場と局に続く道は人がまばらになっていた。
石川が指差したのはフラフラと歩く十数人の人間だった。
その人間は普通に歩く人が近くに居ると襲い掛かる動作をする。
だが、避けられてしまう、尚も襲おうとする人間に
走って逃げる人・・・・

若者5,6人のグループが連れの彼女を襲い掛かろうとする人間に詰め寄った。
「あっ!」後藤が小さく声を上げた。
一人の若者の首にその人間が噛み付いたのが見えたからだ。
逆上したグループは噛み付いた人間をボコボコにするが
そのグループを包囲するようにヨタヨタと歩く不気味な人間達が
距離を縮め、気付かぬ若者達に背後から襲い掛かった。
血飛沫が上がるのが見えた。

若者達は動かなくなった。
吉澤は彼等は殺されたと思った。
だが、動き出した。
死んだ筈なのに・・・・
ヨタヨタと起き上がる若者達は襲った人間達と同じ動きだった。
周りを遠くから見守っていた人達はパニックになった様に逃げ出した。

ペタリと座り込む石川は震えていた。
「大変だ!みんなに知らせてくる!」
後藤は一人駆け出した。
呆然とその光景を見続ける吉澤は独り言のように呟いた。
「・・・・ゾンビだ・・・・・」
握るこぶしがワナワナと震えていた。

463デッドオアアライブ :02/04/16 03:03 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

ロケ車がフジテレビの駐車場に滑り込んだ。
中から出てきたのは血だらけになった『めちゃイケ』のメンバー達だ。
外でのロケ中に正体不明の連中に襲われ噛み付かれたのだった。
病院に運ぼうにも閉鎖されてて仕方なく帰ってきた。
「医務室に早く早く!」
スタッフの叫び声が木霊する。
江頭2:50が瀕死の重傷だった。
彼はロケ中ふざけて襲い掛かる連中に体当たりをした。
襲われた江頭を助けようとして他のメンバーも噛み付かれたのだ。
血を流しているのは男子メンバー全員、女子メンバーは直ぐにロケバスに
逃げ込み無事だった。
464デッドオアアライブ :02/04/16 03:04 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


後藤の慌てぶりに驚いたモーニング娘。達は全員食堂に集まった。
先程の出来事を話す後藤達は泣き声だ。
飯田は「ごめん・・・」と言ってトイレに駆け込む。
騒ぎ出した娘。達に「黙って!」と叫んだのは市井だった。
「ごめん・・・でも、もう少し冷静になりなよ」
市井はマネージャーに尋ねた。
「私達、帰れるの?」
マネージャーは腕組みしながら首を横に振る。
「ここに居た方が安全なんだ、結果的には収録が押した事が
幸いした形になったけど・・・・」
「じゃあ・・・」聞きかけた矢口に
「この先の事は俺にも分からない・・・・」
マネージャーは椅子にもたれ掛かる様に座った。
「それから、ミカ、英語が話せる人間が足りないそうだ・・・
すまんが手伝ってやってくれ」
「ワ、ワカッタ・・・・」
テロは許さない!ミカの瞳には怒りが込められていた。
出て行くミカを見送り、中沢は溜め息をしながら
「もう、なる様にしかならへん・・・」
と椅子に座ってうつ伏せる。
それに続くかのように娘。達も椅子に座った。

テレビの久米宏は「大変だ、大変だ」としか言わない。
その久米の顔が一瞬ビックリする、画面にフレームインしたのは
死人の顔をした人間だった。
ソレは久米の手の甲に噛み付いた。
慌てたスタッフが男を取り押さえ引きずり出した。
「おい!スタッフ!何やってんだ馬鹿!そんな奴摘み出せ!!」
久米は怪我人の為に局を解放した事を忘れて激高した。
自分の手のひらから滲む血を恨めしそうに眺めて
スタッフが持ち出した包帯と薬を隣の渡辺真理に処置をさせて
「大変失礼しました、僕は大丈夫ですので・・・・」
と番組を続けた。

画面に釘付けになる娘。達・・・・
「やっぱり、ゾンビだよ・・・・」
吉澤が誰にでもなく話しかける、
その言葉に娘。達は異存が無かった。
「かじられたら、ゾンビになるよ・・・多分・・・」
後藤の言葉に石川が追随する
「そうだよ、私達見たもん・・・・」
「でも、それは死んだらの事だろ?」
市井が疑問を投げかける。
「それは、そうだけど・・・・」
石川も自信は無い。
「まあ、今の時点では誰も信じないだろうねゾンビなんて・・・」
市井の話しに安倍が立ち上がり「あっ!」と声を上げた。
「大変だ!家族に電話しないと・・・・家から出ちゃ駄目だって」
みんな顔を見合わせて、慌てて携帯を取り出した。

465デッドオアアライブ :02/04/16 03:06 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


菊池プロデューサーが慌てて食堂に入ってきた。
「いやあ、探したよ!みんな頼みがあるんだ!」
「なんですか〜?」
飯田がふて腐れるように聞いた。
「い、いや、そんな怒んないでよ・・・
それより、国民に冷静になるようにテレビで呼びかけて欲しいんだよ」
「え〜」とウザそうに顔を見合わせる娘。達・・・
「いや、これは政府からの要請なんだよ、小泉首相から
直に電話が有ったんだよ!」
「え〜!」今度は目を見開いて顔を見合わせる娘。達・・・

「早く早く・・・」
プロデューサーに追い立てられるようにスタジオに向かう
モーニング娘。を中沢と市井が如何した物かと首を振りながら見送った、
その顔は心なしか微笑んでいた。
「あいつ等本当に国民的アイドルなんやね・・・」
「そうだね、オンエアでも見よっか」
テレビではスマップがスマスマのスタジオから国民に呼びかけていた。
「スマップも今日収録日だったんやね・・・」
「他の芸能人の人はどうしたんだろ?」
「そやね・・・・どないしたんやろ?」
中沢は走るADを捉まえて聞いてみた。
他の人達は皆自宅に慌てて帰ったとの事だった。
「外はヤバイと思うんだけど・・・・」
市井の予想は当たっていた。

ゾンビと化した死人は道路など関係なかった。
ゾンビと知らぬ一般の国民は道路を塞ぐ死人を無視する事を出来ない。
全国で交通渋滞が発生し、交通事故、列車事故が相次いだ。
警察は全く対応できない。
日本のインフラはストップした。


466デッドオアアライブ :02/04/16 03:08 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


死んだ人間に対して火葬をする日本は世界に比べるとまだマシな方だった。

各国では墓から次々と死人が這い出し『ゾンビ』が鼠算式に増殖した。

アメリカは生物テロと断定し、悪の枢軸国家に宣戦を布告する。

宣戦を布告された国も対抗する体力は殆んど持ち合わせていない。

アメリカを止められる国など無かった。

日本を含め他の国も自国の事で手がいっぱいだったからだ。

それは事件発生から5時間後の事だった。



医務室では『めちゃイケ』の女子メンバーがテレビに釘付けになっていた。
「アメリカが戦争だってよ、どないすんの?」
鈴木紗里奈が涙目になる。
「日本は関係ないよ!」
光浦靖子はそう言いながらベッドで唸っている男子メンバーに
「うすさいよ!」と注意する。
江頭だけでは無く噛まれた男子メンバー全員が発熱し、
ベッドに横になり唸っていた。

小泉首相が何回目かの緊急会見をする。
日本に非常事態宣言が発せられた。
この時間より朝まで夜間外出禁止令が出た。
自治は警察だけではなく自衛隊も出動する。
空港は閉鎖し自衛隊の管理下に置く。
原発及び発電施設、通信施設は自衛隊が守る事が発表された。

直後、モーニング娘。が画面に登場した。
必死の笑顔で国民に平静を呼びかける姿は見ていて痛々しかった。
「頑張ってんなあ・・・でもなんでセーラー服なん?」
感心する紗里奈に「うん」と雛形が頷く。
「もう、帰りたい!」と我慢できない大久保に
「帰れる訳無いじゃん!」と光浦がビンタをする。
「アンタねえ!今、戒厳令が出・・・・・・」
光浦は言葉を失った。
後ろから抱きつくように伸びてきた腕が江頭の手だと分かったからだ。
そのままもたれ掛かり江頭は光浦の頬に噛み付いた。
「うぎゃぁああぁぁああ!!」
暴れる光浦をガッチリ押さえ江頭は尚もかぶり付く。
「な、何!なんやねん!!!」
紗里奈は目を見開き、雛形と大久保は悲鳴を上げて腰を抜かす。
幽鬼の様に立ち上がる男子メンバー達は「うぅうう・・・」と呻きながら
女子に迫って来たのだ。
その目は死人の目だった。
雛形の乳房を食い千切り租借する山本。
紗里奈の太腿を食らう加藤。
大久保の腕に噛み付き血を啜るよゐこ。
覆い被さる他のメンバー。
地獄絵の中でゾンビと化した矢部は濁った目でテレビの
モーニング娘。を不思議そうに見ていた。


467デッドオアアライブ :02/04/16 03:10 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

シャッターを下ろし完全に閉鎖したフジテレビの出入り口で
自衛隊の小部隊の隊長とフジテレビの編成部長が言い合いをしていた。
中に入れろ入れないの話し合いは結局入れる人数を十名に
絞る事で折り合いが着いた。
他の自衛隊員は外を固める事になった。
なんにしろ編成部長は銃を持った自衛隊が局を守る事に安堵感を憶えた。


局内を歩き回る『めちゃイケ』ゾンビ軍団に局内の人間は呆れた。
いくらバラエティだからと言ってやり過ぎだ、
こんな時にあんな格好で歩き回るなんて何を考えてるんだ。
非常識にも程が有ると他の職員は無視をした。
しかし、犠牲者は確実に増えていった。
噛み付かれてる職員を見ても、手の込んだ事をするなあ、
ぐらいにしか思わなかったのだ。
その犠牲者の中にはミニモニと競演する筈だった志村けんも含まれていた。
468デッドオアアライブ :02/04/16 03:12 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

「お疲れ様でしたー!」
国民に呼びかける撮影が終わった娘。達に菊池プロデューサーが
「また、やるかも知れないから、食堂か何処かで待機してて」
と頼み込んだ。
「この事件が解決したら、もうワンステップ、ステータスが
上がると思うよ」
プロデューサーは胡麻すりも忘れなかった。
新垣理沙はペコリとおじぎをして、そそくさとスタジオを離れた。
「何?あれ」保田が不機嫌そうに聞く。
「トイレ、トイレと言ってましたよ」
紺野は一人逃げ出したと思われた新垣をフォローした。
「ふうん、そうかい?あの子なら逃げかねないからね」
「そんな・・・」
保田はニッと笑って紺野の頭を撫でてやる。
「冗談だよ・・・でも紺野、アンタは優しいねえ」
さ、行こうと紺野の肩を揉みながらスタジオを出ようとすると
出口にナイナイの矢部が立っていた。


469デッドオアアライブ :02/04/16 03:13 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

トイレに続く廊下で見た事が有る後姿があった。
新垣は誰も居ないのをチャンスだと思ってトコトコと近付いた。
「おはようございます、志村さん!」
志村けんはピタリと足を止めた。
「あ、あの・・・お願いが有るんです・・・私をミニモニに入れるように
つんくさんにプッシュして欲しいんです」
ペコリと頭を下げる新垣は志村がミニモニと一緒にCDを出したいと
つんくに迫ってCDを出す事が出来た事を知っていた。
黙っている志村に
「も、もちろんタダとは言いません・・・あの〜、私今からトイレ行くんです
・・・その・・・良かったら一緒にどうです?」
何を意味するのか、新垣の処世術は其の世界に長けていた。
しかし、志村に新垣の世渡りは通じなかった。
振り向く志村の顔は半分肉が裂けていて右目の眼球が飛び出ていたのだ。
「ひっ!」
踵を返し逃げようとする新垣に志村が覆い被さるが寸でで腕から逃れる。
志村はそのまま倒れた。
走り出そうとする新垣の足首を志村が掴んだ。
新垣も倒れた。
「痛い!」
右ふくらはぎに激痛が走った。
志村が噛み付いていた。
「わあぁぁああ!離して!離して!! この!この!このぉ!!」
空いている左足で志村の顔面を何回も蹴りつけた。
やっと離れた志村の顔はもう誰かも判らない程変形していた。
「ひっ、ひっ、・・・かじられちゃった・・・・」
血が滴るふくらはぎを押さえてうずくまる新垣は
慌てて這いずりながらその場を離れる。
志村がムクリと起き上がったからだ。
470デッドオアアライブ :02/04/16 03:15 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

「あっ、矢部さん、おはようございま〜す」
近付いて頭を下げる矢口をギロリと見る矢部に
何かを感じたマネージャーが「どうしたんですか?」
と矢口と矢部の間に立った。
その首に矢部が歯を立てた。
「キャーーーー!!!」
矢口が悲鳴を上げて尻餅をつく。
マネージャーの首からは真っ赤な鮮血がブシューと吹き出たのだ。
矢部はそのままマネージャーに圧し掛かり顔面に食らいつく。
マネージャーは空をもがく様に掴み痙攣して動かなくなった。
「矢口ぃ!!」
保田と安倍がへたり込む矢口の肩を掴みその場から引きずり離した。
「おい!スタッフ!取り押さえろ!!モー娘達はココから出て!」
菊池プロデューサーが叫ぶ。
スタジオはパニックになった。
「おい!矢口、矢口!逃げるよ!」
座り込み震える矢口の肩を保田は激しく揺さぶる。
震えながらも矢口は大きく何度も頷いた。
へたり込んだのは飯田もだった。
「飯田さん!逃げなきゃダメです!」
辻と加護に促がされ飯田は這いながらスタジオを出る。
スタジオを出る時に紺野は見た、矢部に殺されたマネージャーが
スタッフに襲い掛かる姿を・・・・・
悪夢が始まったと思った。
471デッドオアアライブ :02/04/16 03:16 ID:pwayjD2t
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    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

「とりあえず、みんな食堂に集合ね!」
走りながら安倍は振り向きメンバーに伝えた。
途中ゾンビになった職員とすれ違ったが走り抜ける
娘。達を捕まえる事は出来ないようだ。
それを見た吉澤はゾンビの前で立ち止まり、業と歩いて抜けて見た。
「よっすぃ!何やってんの!危ないよ!」
石川がたまらず叫んだ。
「・・・・のろいんだ・・・・」
吉澤はゾンビの背中を蹴ってみると受身もとらず
そのままベチャっと倒れた。
「よっすぃ!駄目だって!」
石川は吉澤の手を取って引っ張る。
ゾンビの上を走って来た加護が飛び越えた。
ムクリと起きるゾンビに飛び越えた加護が振り向き
ビックリした顔をする。
倒れている人間をゾンビと知らなかったのだ。
後から来た辻がゾンビの前で立ち止まり踵を返そうとする。
「辻ぃ!大丈夫だ、抜けれるよ!ソイツ動きが遅いから!」
吉澤は石川の手を振り解き、もう一度ゾンビの後ろから蹴りを入れる。
バタンと倒れるゾンビ。
「ほら、大丈夫だから・・・来な!」
辻は頷きゾンビを避けて吉澤の元に走り寄って抱きついた。
「なっ、大丈夫だったろ?さあ、行こう」
辻の頭を撫でてやり吉澤は食堂に向かった。
「よっすぃ、カッコイイ!」
石川はこんな状況なのに感激してしまった。
472デッドオアアライブ :02/04/16 03:18 ID:pwayjD2t
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

「これで全員そろったかい?」
飯田がリーダーの意地で震える声を抑え確認する。
「おじちゃん!鍵閉めさせてもらうよ!」
確認すると厨房には誰も居なかった。
「ここの従業員はさっき皆出て行ったよ・・・何故かは知らないけど」
市井が報告すると飯田は辻と加護に命じて食堂の鍵を閉めさせた。
「大丈夫かい?」
市井が新垣に声を掛けるが新垣はテーブルに突っ伏して泣いていた。
足には市井と中沢が巻いた包帯が痛々しい。
隣に座る小川が必死になだめていた。
「死ななければゾンビにならないです」
辻の他意の無い言葉に新垣はさらに声を上げて泣く。
言い換えれば、死ねばゾンビになるという事に気付かない辻は
キョトンとしている。
「辻ぃ!なんて事言うの!」
中沢がギロリと睨むと辻はやっと気付いたのかシュンとなる。
今度は加護が辻を慰める。
「とにかく、なんか武器を探さないと・・・」
石川が提案すると「武器なら揃えたよ」と市井は手拭で
グルグル巻いた物をテーブルにドンドンと置きだした。
「包丁だよ、裸だと危ないからね、布で巻いたんだ・・・
コレをみんな腰に収めておきな」
「やるね!沙耶香!」
イエ〜イ!と保田とハイタッチする。
「さて、後はこれからどうするか、なんだよね〜」
腰に包丁を納めながら後藤が言った。
「とりあえず隠れる所を探そうよ、ここじゃヤバイよ」
矢口の言葉に辻、加護も頷き
「あと、ミカちゃんも・・・」
と加護が付け加えた。
「ミカちゃんはもうココからじゃどうしようも無いよ、
なんとか生き延びる事を祈るしか・・・・」
冷たいが後藤が言う言葉も現実だった。
「あれ見て・・・・」
安倍がテレビを指差した。
473デッドオアアライブ :02/04/16 03:20 ID:pwayjD2t
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


久米宏の顔が真っ青になっていた。
心配する渡辺真理に大丈夫だ、僕には使命が有るんだと頑張った。
最後まで視聴者を気にする久米宏の最後のパフォーマンスは突然来た。
「うぅうう!」と声を上げると机に突っ伏してしまった。
慌てる渡辺真理と解説者で来ていた田原総一郎が久米を揺さぶった。
ゆっくりと顔を上げる久米宏のソレは死人の顔だった。
目を見張る渡辺に襲い掛かる久米宏・・・・
画面はそこで別のスタジオに切り替わった。

「噛まれただけでゾンビになるよ!」
後藤が叫ぶと同時に新垣を除く全員がガタンと立ち上がり一斉に新垣を見た。
新垣は目を見張り呆然とテレビ画面を見ていた。
ショックの余り小便を漏らし椅子からポタポタと雫をたらす。
「新垣!」
吉澤が声を掛けると新垣はハッと我に返ったように
マバタキをするが目が泳いでいる。
「ハ・・・ハハハ・・・ハハハ・・・わたし・・・わたし・・・」
そう言うと新垣が立ち上がった。
隣の小川が腰を抜かす、その小川の顔を見た新垣の何とも言えぬ表情・・・・
そのまま後ずさり新垣はドアに向かって駆け出し何かを叫びながら
鍵を外し廊下に跳び出した。
「新垣!待って!」
小川が新垣の後を追った。
「待て!小川!」
飯田の呼び止めに振り向いた小川は
「・・・わたし・・・わたしぃ!!!」
そのまま新垣を追って廊下に飛び出した。

腰を抜かした小川は自分を見る新垣に向かって
・・・・・・バケモノ・・・・・・
と声を出さずに唇を動かしてしまったのだ。

474デッドオアアライブ :02/04/16 03:22 ID:pwayjD2t
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


「ふ、2人を追わなきゃ・・・」
市井を見る矢口に市井は首を振った。
「なんで・・・?」
市井は小川が出て行ったドアを指差す。
ドアからは江頭2:50と極楽の山本がヨタヨタと入ってきた。
「ウガァアアァァアア!!!」
江頭が叫ぶと皆パニックになった。
「落ち着け!!!」
市井が叫んだ。
「隠れ場所は見つけて有るんだ!」
市井はモップを厨房から持ってきて天井の通風口を叩いた。
通風口の枠がガタンと外れ人が入れる穴が開いた。
「テーブルの上に椅子を置いてその穴に這い上がるんだよ!
そこから他の部屋に移動するんだ!」
吉澤は市井に近付きモップを奪い
キョトンとする市井にニッと笑って見せた。
「成る程、いいアイデアだね、時間稼ぎは私に任せて」
モップ部分を外し棒状になったソレを構えると
「みんな!早くしな」
と2体のゾンビに歩み寄った。
棒を突付けば簡単に倒れる江頭と山本を転ばしながら
吉澤はドアの鍵を掛けた。
・・・・殺せるかも・・・・
そう思った吉澤は厨房に入り長いアイスピックを取り出した。
江頭を棒で突付き倒し、山本の後ろに回りモップを離し、
両手で渾身の力を込めてアイスピックを後頭部に差し込んだ。
音もなく崩れた山本はピクリとも動かなかった。
「やっぱり・・・・」
頭が弱点だと何となく思い、試したが案の定だった。
同じように江頭を倒し吉澤は市井に親指を立ててみせた。
ゾンビだが平然と知っている人間を殺した吉澤を見て
市井は何とも言えぬ不安が心を過ぎるのを感じずにはいられなかった・・・・


フジテレビは完全に孤立した。
頑丈なシャッターで外部との接触を絶ったからだが
ゾンビが局内にいるとは思わなかった。
自衛隊員が十名居ても銃を発砲する事はなかった。
ゾンビを死人と思っていなかったからだ。
局内で増殖するゾンビを止める事は誰にも出来ない・・・・・


久米宏のゾンビ化は日本国民に衝撃を与えた。
日本は、いや世界は気付くのが遅かった・・・・・
午後9:30・・・・これから長い夜が始まる・・・・



475デッドオアアライブ :02/04/16 03:32 ID:pwayjD2t
取合えず新しいのを書いてみました。
>>455さん、ちょっと違うサバイバル物でした。
今回は一応最後まで考えてますが、どう脱線するか判りません。
あ〜、GC板バイオやりて〜!GC買おうかな〜!
次回更新は何時も通り未定っす!
476453:02/04/16 07:00 ID:sSFp5E4B
新作はやいですね・・・
あとでユクーリ読ませていただきます。。。
まだ、読んでないですけど
続き楽しみに待ってます。。。
477ロメロ:02/04/16 14:08 ID:BFDpOrvc
私の意思を次いでくれてありがとう。
新作を撮れるように私も頑張って資金集めをしている。
が私も年だ。君に期待しているよ。頑張ってくれ。

ジョージ・A・ロメロより愛を込めて・・・
478 :02/04/16 17:20 ID:mX8jstg3
新作ちょっと怖いっすね
少しびびりながら読みました。
次回の更新楽しみにしてます。
でも、いきなり新垣がやばいとは、展開が少し早いような…
479ののの虜 ◆nono2P.. :02/04/16 22:40 ID:brmw5mc0
凄い更新量・・・
余裕でサイト作れるのでは?
つか作れば即娘小説系屈指のサイトになると思われ。

今日はオソロまでにまだまだすることがあるんで明日読ませていただきます。
480デッドオアアライブ :02/04/17 00:38 ID:l71nVo1A
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

通気口の中は案外広かった。
人が2人並んで這えるぐらいだが、やはり暗かった。
最後に這い上がった吉澤が懐中電灯を持って上がってきた。
自分の前に居る市井に
「市井さん、コレ持って先頭に立って」
と市井に懐中電灯を渡した。
「サンキュ!」
吉澤からライトを受け取った市井は
「ちょいとゴメンよ〜」
と前の方にズルズルと這って行く。
「さて、これから各人の控え室に行って内鍵を掛けるよ・・・
掛けたら、また通気口に戻るんだ、暫らく様子を見るから」
通気口から廊下を見ると職員達が逃げ惑っている。
明らかにゾンビが増殖していた。
481デッドオアアライブ :02/04/17 00:40 ID:l71nVo1A
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


松浦亜弥と平家みちよは移動バスの中に居た。
松浦のコンサートが終わり高速道路を移動中だった。
バスの中には運転手とマネージャーだけだった。
一緒にコンサートに出たメロン記念日。は
コンサートの帰り、バスに乗り込もうとした時
正体不明の連中に襲われてはぐれてしまった。
そいつ等の一人がバスに乗り込もうとしたので
マネージャーが慌ててドアを閉めて発車させたのだ。
事務所と連絡を取っていたマネージャーが携帯を切る。
「コンサートツアーは中止だよ、これから東京に戻る、
・・・それにメロンはまだ連絡がつかない・・・・」
溜め息をつくマネージャーに松浦がジュースを差し出す。
「こんな時だから仕方ないですよ、それにスタッフの人も
周りにいっぱい居たから・・・・」
ニッコリ笑う松浦に
「ありがと、でも携帯にも出ないんだ・・・・」
項垂れるマネージャーに平家が他の話題を振る
「だって、さっき戦争が始まったんでしょ、みんな混乱しとるんよ、
・・・でも、戒厳令が出たのにあんまり警察とかおらへんね・・・」

ポツポツと検問は有るが事情を話すとスンナリと通してくれた。
しかし、夜間外出禁止令の為か道路は割かし空いてきていた。

ドンと何かにぶつかる衝撃がバスに走った。
「おい、どうしたんだ?」
「大変だ・・・人・・・人を引いてしまった・・・」
「なにぃ!ここって高速道路だぞ!」
松浦と平家にちょっと待っててとマネージャーと運転手は外に出た。

「ちょっと遅いんじゃない?」
なかなか帰らないマネージャーと運転手が心配になり
平家はバスのドアに手をかけた。
「きゃっ!」
ドンとドアに体当たりした人間がいた。
マネージャーだ。
しかし、どう見ても正気ではない、いや死んでいる様にしか見えない。
喉が食い千切られパクリと穴が開いていたからだ。
「ガアァァアア!」と唸るマネージャーは
バスの開け方も解らず、ドンドンと体当たりをする。
とっさに平家はドアロックをした。
「どうしたんです平家さん?」
近付く松浦は死人の形相のマネージャーに腰を抜かした。


482デッドオアアライブ :02/04/17 00:43 ID:l71nVo1A
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

通気口内に居る中沢の携帯に平家から電話がかかった。
「もしも・・・」
いきなりパニック状態の平家は泣きながら何かを喚いていた。
「ちょちょ、ちょっと落ち着いて!」
中沢は何とか落ち着かせて事情を聞いた。
「うん、うん、・・・分かった、ちょっと待っててね」
聞いた中沢もどうしていいか分からず皆に話した。
「かして!」
市井が中沢から携帯を取り上げて平家に話しかけた。
「いい、ミッちゃん!確か免許持ってたよね・・・・
うん、そうだよ!ミッちゃんがバスを運転するんだ!
・・・・出来ないって、やんなきゃ駄目だよ!私達フジテレビに居るから、
うん、そう・・・こっちに来るんだ!・・・あとね、道路に出てる人間は
人では無いから、引いても無視するんだ!・・・・違うよ!ゾンビなの!・・・
とにかく人では無いんだ!高速も検問も無視して突破して来るんだ!
・・・・いい?待ってるから、分かんない事あったらまた電話して!」
市井は電話を切って中沢に返す。
「こっちに来るって」
ポカンとする中沢は我に返って聞き返す。
「ちょ、ちょっと待って、ココに来てもゾンビだらけだよ」
「大丈夫・・・多分・・・作戦が有るんだ・・・」
ニッと笑う市井は、この中で完全にリーダーになっていた。


平家が運転席に座りだして松浦がギョっとする。
「ちょっと、平家さん!何するんですか?」
「み、見ての通りよ・・・・」
ハンドルを握る平家は落ち着け、落ち着けと自分に言い聞かせる。
3時間ほど前に終わったコンサートがまるで遠い昔のようだ。
「え〜と、コレがアクセルでコレがクラッチね・・・・」
こんな大型車を運転したことが無い平家は一つ一つ確認する。
「あっ、亜弥ちゃんは携帯で連絡取り合って・・・
みんな、フジテレビに居るから・・・・」
突然ガクンとバスがノッキングする。
「ゴメン、ゴメン・・・落ち着け、落ち着け平家みちよ・・・」
平家は必死に自分に言い聞かせてアクセルを踏み直す。
するとバスはスルスルと進みだした。
「やったよ、やったよ!亜弥ちゃん!」
松浦は目を丸くする、平家のヤッタ!は暴走を意味していたのだ・・・・



483デッドオアアライブ :02/04/17 00:44 ID:l71nVo1A
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


フジテレビの報道局もパニックになった。
ゾンビがゾロゾロと入って来たからだ。
最初は押さえ付けていたスタッフも死人に襲われ、
報道局長がドアに鍵を掛けて報道局を閉鎖する事を決めた。
広い室内には7体のゾンビが居た。
しかし、職員は彼等を死人とは思わなかった、
何かのウイルスに感染した人間だと思っていた。

しかし、報道局にはK−1の戦士が居た。
マイクベルナルドとピーターアーツと角田師範代だ。
彼等はK−1の大会を宣伝する為に報道局を訪ねたのだが、
テロ事件発生の一報から、ここに居た方が情報を得られると思い
ずっと見学兼情報収集をしていたのだ。

顔を見合わせた3人は鋭く噛み付く死人を見て
取り押さえる事は出来ないと判断した。
「あの〜、今、ここで起きる事は見なかった事にして下さい・・・」
角田が職員全員に大声で話しかける。
報道局長は黙って頷いた。
「Good!」ベルナルドとアーツは親指を立ててニッと笑い、
おもむろにゾンビに向かって行った。
ベルナルドのボディブローがゾンビを吹っ飛ばす。
「ワァオ!」
ベルナルドが目を丸くした。
軽めに打ち込んだのがイケなかったのか、ソレはノロノロと起き上がった。
アーツが両手を肩の高さまで上げ首を振って
「オイ、オイ、何ヤッテンダ?」とおどけて見せた。
少しムッとしたベルナルドは今度は渾身のパンチを
またボディに叩き込む、顔を殴れば死ぬと思ったからだ。
しかし、結果は同じだった。
それを見たアーツと角田の目も真剣になる。
倒しても起き上がるゾンビ達に業を煮やしたベルナルドが
テンプルにパンチを当ててしまった。
そのパンチはゾンビの脳を破壊した。
ピクリともしない死人は本当に死んだ。
殺ってしまったと頭を抱えるベルナルドの腕に別のゾンビが
後ろから近付き噛み付いた。
「アォチッ!」
腕からの出血を見たベルナルドは顔が真っ赤になった。
「ファック!ジャップ!」
激情したベルナルドは次々とゾンビのテンプルに激重のパンチを浴びせ
全ての死人を粛清した。
フーフーと興奮を隠さないベルナルドを角田とアーツがなだめる。
そこに一人の少女がチョコンと立った。
ベルナルドが顔を上げると目の前にはミカが包帯を持って立っていた。
「ヤリスギデスヨ・・・・」
怒るミカの顔はニコニコと笑っていた。
傷ついた腕をミカに任せ、マイクベルナルドは
「ソーリー・・・」とポツリと呟いた・・・・

484デッドオアアライブ :02/04/17 00:46 ID:l71nVo1A
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


トイレに逃げ込んだ新垣を小川が捉まえた。
腕を掴んだ小川に新垣がキッと睨む。
「離してよ!どうせ私はバケモノになるんだよ!」
その新垣を小川がギュっと抱きしめた。
「だったら私もなるよ・・・・」
その言葉に新垣は暫らく黙った。
「う・・・嘘付かなくてもいいんだよ・・・」
体を離した小川は人差し指でピンと新垣のオデコを叩いた。
「怖いんだろ、隠さなくってもいいよ、私が一緒にいてあげる」
ニッと笑う小川に
「ゾンビに成るかもしれないんだよ・・・・」
声が震えた。
「それでも一緒に居てあげる・・・・」
泣きそうになる新垣の口を小川は塞いだ。
ゾンビの呻き声が聞こえたからだ。
シッと指を唇に当てて小川はトイレに新垣を連れ込んで鍵を掛けた。
新垣を洋式便器に座らせて自分はステンレス製の小物置に座った。
「みんな、探しに来てくれるよ、それまでココに居よう」
小声で話す小川は自分の下半身に目をやった。
セーラー服のスカートが新垣の小便で少し濡れていた。
食堂で漏らした事に今更気付いた新垣はアッと口に手を当てて
「ゴメンナサイ・・・」と謝った。
「これでココの部分は一緒だね」
ニーと笑顔を見せる小川に新垣も微笑んだ。
「・・・・さっきはゴメン・・・・」
小川は食堂で新垣に言った言葉を謝った。
「ううん、こっちこそ一緒に居てくれてアリガト・・・」
トイレの中で2人の小さなわだかまりは溶けだした・・・・

485デッドオアアライブ :02/04/17 00:47 ID:l71nVo1A
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


市井に言われる通り平家のバスは暴走を繰り返した。
珍走団のバイクを跳ね飛ばしてしまったのをきっかけに
各所に有る検問所を突破した。
そのバスを珍走団が追いかける。
しかし大型バスが尻を振ると脇にいるバイクは吹っ飛ばされて
何時しかバイクの集団も居なくなった。
検問を抜けても警察は追う事をしなかった。

松浦は携帯で娘。達に実況報告をした。
「止まらへんねん〜!」
キャーキャー言いながら平家は、これで芸能人人生は終わったと思った。
人らしき物も何回か引いた・・・・
ハッと思った。
刑務所行きか・・・・
人を引いたんだもの・・・・
全て夢であって欲しい・・・・
平家は戻る事の出来ない道に足を突っ込んだ事に今更ながら気付いた。
「あいつ等はゾンビや、人とちゃうんや・・・」
今は娘。達の言う事を信じるしかなかった。
娘。達の言う事が嘘だったら完全に自分の人生は終わる・・・・
「やったる!やるしかないんや!」
「平家さん!私もついてます!だから頑張って!」
平家を励ます松浦も覚悟を決めた。
フジテレビに着くのは多分明け方だろう・・・・
それまで平家の暴走は続く事になった。


一晩の内に日本の人口は1/3が死人になった。

世界の夜は始まったばかりだった。

486デッドオアアライブ :02/04/17 00:54 ID:l71nVo1A
今日はここまでです。
>>479さん、褒めても何も出ませんYO〜(^^
更新量は最初の内だけです。
後はいつも通り遅くなっていきます。
ので、次回更新は未定・・・・
487デッドオアアライブ :02/04/17 00:58 ID:l71nVo1A
おっと、書き忘れ!

>>477
ロメロキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
488476:02/04/17 18:39 ID:ADFaRdPJ
>作者
更新乙カレーでっす。。。
これからどうなるのか
非常に楽しみです。。。

あと、保全はまかしてクダサイ・・・
決してdat落ちはさせませんので、
489ののの虜 ◆nono2P.. :02/04/17 23:23 ID:Qst2ssXv
バイオハザードやったこと無い故あんまわからん・・・

圧縮来たばっかなのでdat落ちは当分大丈夫と言おうとしたら
既にかなりオーバーしてるからまた来るかもですね・・・
490続きみたい・・:02/04/19 12:59 ID:qLc2Za85
保全
491デッドオアアライブ :02/04/20 02:11 ID:c0qefMbo
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

東の空が白々と明るくなってくる午前4時、
迷路の様な通気口を這い回って調べていた市井と吉澤、石川、後藤は
皆が固まっている場所に集まって報告する。
ゾンビの数は50体程だった。
「もう、生きてる人間はいないね・・・・」
石川が溜め息をつく。
「自衛隊員のゾンビを一匹見つけたよ」
後藤の報告に吉澤も頷く。
「私も一匹見つけた、計二匹か、武装してたからアレは使えるね」
それを聞いた市井が自分が考えた作戦を伝える。
「うん、で、どうするかなんだけど、私達が居るこの十階を
閉鎖しようと思うんだ」
「閉鎖?どうやって?」中沢が聞く。
「うん、とりあえず、階段の防火扉とシャッターを閉める、
そうしておいて、後はこのフロアに居るゾンビを片付ける、
エレベーターは取合えずどうしようも無いけど、
ゾンビはエレベーターは使えないだろう、使えるのは人間だけだよ、
後は、矢口工務店の矢口社長と保田従業員に階段のシャッターの
溶接をやってもらうよ、スタジオか大道具さんの部屋を
探せば有るでしょ」
「えっ!私とケイちゃんで?」矢口が驚く。
「そう、やった事有るでしょ?」
「そりゃまあ、そうだけど・・・・」
矢口と保田はシブシブその案を呑んだ。
「閉鎖して、その後はどうすんの?」
安倍の疑問に市井は答えた。
「取合えず、このフロアには社員食堂が有るでしょ、
私達が篭っても一ヶ月ぐらいの食料は有るし、
シャワーだってお布団だって有る、その間に誰か助けに来てくれるかも
しれないし、まあ、他にも考えが有るんだけど・・・・」
と、いったん話を区切り
「さあ、ミッちゃんと松浦が来る前に片付けようぜ!」
「あっ、ミッちゃんはどうすんの?」と中沢。
市井は「大丈夫それも考えてるから」とウインクして見せた。


行動を開始する班は4つに分かれた。
2つ有る階段の防火扉とシャッターを閉めるのが
中沢、安倍、保田、の中沢班、飯田、矢口、紺野の飯田班。
自衛隊員ゾンビを始末して武器を奪いゾンビを殲滅する、
市井、後藤の市井班、吉澤、石川の吉澤班。
辻、加護、高橋は足を引っ張りそうなので通気口で待機するオミソ班にした。
連絡は携帯で取り合う事にして
まず、中沢班と飯田班が階段近くの通気口で待機する。
市井班と吉澤班が武器を奪ってから行動を開始する事になった。

492デッドオアアライブ :02/04/20 02:14 ID:c0qefMbo
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

「たしか、この辺だったよな・・・・」
吉澤は這いながら通気口から捜していると他の所を捜していた
石川がペタペタと這いながらやってきて
「いたよ、よっすぃ、こっちこっち・・・」と手招きした。
覗いて見ると自衛隊ゾンビの他に三体のゾンビが居る。
「どうすんの・・・?」
不安になって聞く石川に
「何が?」
と言って吉澤は通気口の枠をソッと外し音も無く降りた。
ヘルメットを被っているソレを見て、少し考えてから
足音を殺し自衛隊ゾンビの後ろに回りアイスピックを
耳から斜め上に突き立てた。
声一つ立てずに崩れ落ちるゾンビの腰のベルトから
拳銃を取り上げ残りの三体に向かって引き鉄を引いた。
が、ロックされていて引き鉄が引けない。
「?」アレコレ弄っている内にカチリと音がした。
「これか・・・」セーフティが外された。
「よっすぃ!後ろ!」
石川の叫びに振り向くとゾンビが両手を上げて襲い掛かる所だった。
「おう!」
吉澤は焦らなかった、銃口を額に当て引き鉄を引くと
パンと後頭部から脳を撒き散らしゾンビは倒れた。
そのまま歩いて残り二体のゾンビに近付き額に銃口を当て
同じ様に倒した。
「いいよ、リカちゃん、もう大丈夫」
「すごーい!よっすぃ!」
降りてきた石川にニヤリと笑ってみせる吉澤は
自衛隊ゾンビの肩に掛かっている自動小銃を取り外し石川に渡し、
拳銃のホルダーと手榴弾が3ケ付いているベルトを外し自分の腰に巻いた。
胸のポケットをまさぐり「有った」と弾とカートリッジを取り出す。
「よっすぃ、よっすぃ・・・」
石川が吉澤の肩を叩き廊下を指差すと2体のゾンビが
ゆっくりと近付いてくる。
「リカちゃん、やってみぃ・・・」
何となく要領が分かった吉澤は
石川の持つ自動小銃を色々と弄ってセーフティを見付け外した。
「これで大丈夫だと思うけど・・・撃ってみて」
「でも・・・・」
「ほら、近付いて来たよ」
距離が10m程になり、石川は慌てて引き鉄を引いた。
パパパパンと自動連射する銃はゾンビの胴体を貫いたが
よろけるだけで歩みは止まらなかった。
「な・・・なんで?」
「頭を狙わなくちゃ駄目なんだよ、ほら、よく狙って!」
吉澤の発破に石川が「きゃー!」と悲鳴を上げながら頭を狙って撃つ。
ドサリと崩れるゾンビとガクリと膝を突く石川。
「や、やっちゃったよ・・・・」
震える石川の肩に手を置くと汗ビッショリだった。
吉澤を見上げる顔は泣きそうだ。
「やれば、出来るじゃん」
吉澤はニコリと笑って携帯を取り出す。
「こりゃ、市井さん達もヤバイかも?」


携帯で連絡を取ると案の定だった。
ゾンビは見つけたがどうしていいのか分からず
まだ、通気口の中に居たのだ。
「ハハハ、情けないな・・・私って・・・」
自嘲ぎみに話す市井に場所を聞いて
「待ってて、今行くから・・・」
と携帯を切って
「行くよ、リカちゃん・・・」石川を促がした。
「う〜〜っ・・・よし!リカ、行くっ!」
石川も踏ん切りが付いたのか立ち上がった。


493デッドオアアライブ :02/04/20 02:15 ID:c0qefMbo
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

二体目の自衛隊ゾンビを見付けるまでに十体以上殺した。
石川はビビリながらも慣れてきて、
自衛隊ゾンビを殺したのも石川だった。
「あんた達、凄いよ!」
驚嘆する市井に石川は結構自慢気だった。
吉澤は市井と後藤に銃の使い方を教えた。
拳銃を市井、自動小銃を後藤に持たせて、ゾンビを数体づつ殺させた。
「しっかし、吉澤は全然怖くないのかい?」
市井の問いに吉澤は首をすくめて見せた。
「物と思えばいいじゃん・・・・」
物静かに話す吉澤に今度は市井が首をすくめる。
「そっか・・・・うん、頼もしいかぎりだよ・・・」
でも・・・・・
「市井ちゃん、時間が・・・」
そう言う後藤に市井はハッとして
「そうだ、よし今から階段に行くよ、到着したら携帯で連絡ね・・・」
消える吉澤と石川の後姿を見送り市井は後藤に聞いてみる。
「なあ、後藤、どう思う?」
勿論、吉澤の異常なまでの冷静さの事だが
キョトンとする後藤は「何が?」と首を傾げた。
「い、いや、何でも無いよ、それよりアンタ大丈夫?」
「市井ちゃんこそ!」
パンパンと廊下の向こうで銃声が聞こえた・・・・・


市井は階段を上ってくるゾンビを銃で殺しながら
キャーキャーと騒ぐ飯田達に防火扉を閉めさせ、シャッターを下ろさせた。
「こっちは終わったよ、そっちは?・・・・うん、OK、」
携帯を切って市井はホッとする。
「取合えず、ココまでは作戦通り・・・後は、このフロアのゾンビを
片付けるだけだよ・・・」
「よし、頑張るよ!市井ちゃん!」
後藤もゾンビを殺す事に抵抗を覚えなくなってきていた。
「コレさえ有れば無敵だよ!」と自動小銃をポンポンと叩く。
「おいおい、慎重に行こうよ・・・」
お気楽な後藤に不安になり、市井は溜め息をついた。


494デッドオアアライブ :02/04/20 02:16 ID:c0qefMbo
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

報道局のソファーに毛布を掛けて横たわる
マイクベルナルドの手をミカはずっと握っていた。
それに癒されるようにベルナルドは
「サンキュー、サンキュー、ミカ・・・」と呟いている。
急に熱が出てきて立っていられなくなったベルナルドは
死線をさまよう。
ベルナルドは朦朧とする意識の中で、
自分の中で何かの欲望が沸々と沸いてくるのが解かった。
それは食人の欲望だった。
俺ハ、アイツ等ト同ジニナルノカ・・・・?
それだけは嫌だった。
だが、死は直前まで迫っていた。
目の前に居るミカがぼやけて見える。
「ミ・・・ミカ・・・オマエダケハ・・・守ル・・・」
それが最後の言葉だった。

ベルナルドは自分がゾンビになっていくのが解かった。
しかし、強靭な精神と鍛え抜かれた肉体が奇跡を起こした。
ゾンビになりながらも自分の意識だけは辛うじて保ったのだ。
それはミカを守る意志だった。

「ウガァァアアア!!!」
突然起き上がるベルナルドは狂人と化していた。
体が鉛のように重い・・・
しかし、狂気の欲望は隠せなかった。
目の前にミカが居た。
一瞬ベルナルドの動きが止まる。
泥酔した様な意識の中、ミカだけは襲えなかった・・・・

ピーターアーツは自分に襲い掛かるベルナルドが
奴等と同じになったと理解した。
「ソーリー、マイク・・・」
そう言うと同時に渾身のハイキックをテンプルに叩き込んだ。
確実な手応えを感じた、だが、感じただけだった。
ベルナルドはピクリとも動かなかったのだ。
ベルナルドのパンチは何時ものパンチではなかった。
アーツのガードを突き破り顔面に食い込んだソレは
ボキリとアーツの首の骨を折った。
「せいや!」
角田師範が禁じ手の抜き手をベルナルドの喉に突き立てる。
指の半分まで突き刺さったがゾンビには効かなかった。
驚愕する角田に同じ技を仕掛けるベルナルドの抜き手は
角田師範の首を飛ばした。
報道局内は騒然となった。
ゆっくりと振り向くとミカが腰を抜かしていた。
ベルナルドはミカを肩に担いでドスドスと音を立てて
ドアに向かって行った。
抱え上げたミカは泣いていた。
その声を聞いたベルナルドは他の人間を襲う事をためらったのだ。
鍵が掛かっているドアを蹴破るとゾンビが報道局に雪崩れ込んだ。
そのゾンビを蹴散らし悠然と出て行くベルナルドと担がれたミカ・・・・
フジテレビ内で生きている人間はモーニング娘。と
報道局内に居る職員とキャスター達だけにだった。
しかし、その報道局も全滅する。

報道局の出来事は全国の茶の間に生放送で流れた。
次々に襲われる職員達に国民は戦慄した。

テレビ局で生き残っているのは政府の
統治下になったNHKだけになった。
政府は原発とNHK、NTTの通信網を自衛隊に
守らせるだけで精一杯になっていた。

495デッドオアアライブ :02/04/20 02:18 ID:c0qefMbo
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

10階のフロアを閉鎖したモーニング娘。は
フロア内をうろつくゾンビを粗方殲滅した。
その中にはマネージャーや、菊池プロデューサー、めちゃイケ軍団も居たが
心を鬼にして射殺した。
ただ、吉澤だけは躊躇無しに顔を知っているゾンビ人間を殺した。
残るのは隠れているゾンビが居るかだが
そんな知恵が有るとは思えなかった。
「取合えず、細かい所も探そうよ、そうじゃないと安心出来ないよ」
石川の言う事ももっともだったので
隠れる事が出来そうな所も探す事になった。
「生きてる人が隠れてるかもしれないから・・・・」
紺野が心配してるのは新垣と小川の事だった。

トイレに来た矢口はドアが閉まっている個室を見付け
慌てて近くに居た石川を連れてトイレに戻ってきた。
「おい、誰か居ないの?返事をしなければゾンビと思って撃つぞ!」
矢口の呼びかけに石川が自動小銃を構える。
「います・・・」
答えたのは小川だった。
「小川!生きてたの?」
石川の問いに小川が無言で鍵を外す。
ドアを開けると小川は泣いていた。
「新垣・・・・」
矢口は言葉が無かった。
新垣は青白い顔をしてグッタリしていた、その顔には大量の汗が光っていた。
「リサちゃんの・・・熱が、熱が凄いんです・・・」
小川は泣きながら矢口に訴えた・・・・

496デッドオアアライブ :02/04/20 02:23 ID:c0qefMbo
ふ〜、今日はココまでっす。
次回更新も未定です。
えーと、書こうと思って忘れてて書けなかったんですが、
何故、娘達がセーラー服を着せられてたか?
それはプロデューサーが「セーラー服を脱がさないで」を歌わせる為です。
では!
497488:02/04/20 09:25 ID:tdfInX7H
>作者

それは、>>458の部分ですね。。。
「セーラー服を脱がさないで」か・・・
うーん、いったい
デッドオアアライブさんはいくつなんだろ、
結構、(ry
小説と関係なくてスマソ、
498ののの虜 ◆nono2P.. :02/04/21 10:41 ID:j7Y/06Kh
読ませていただきました。乙です〜

前回は4話目でダーヤスが死んだのに今回は誰も死にませんねぇ・・・
499ドル:02/04/21 19:05 ID:Q+gyrcBk
読みました。おもしろいです!
急がなくてもいいので,いいものを作っていってください!
500ドル:02/04/21 19:28 ID:Q+gyrcBk
ついでに500ゲット
501名無し紳士:02/04/21 19:54 ID:CAJi2idM
今日、このスレを見つけて1から全部読んでしまいました・・・
あまりの、細かい描写で驚きの一言です、特に最新の作品。
また羊での楽しみが増えました、イイ作品をこれからもお願いします。
のんびりいきましょう・・
502デッドオアアライブ :02/04/22 12:29 ID:TA0DphmH
お〜、新しく読んでくれる人が2人も!
嬉しい限りです。
503名無し募集中:02/04/22 14:19 ID:bo5TAnxN
偶然見つけて読んでみたら
はまってました(w
紺野が亡くなるとき涙出てきましたよ(泣
頑張ってください
504ナナー氏:02/04/22 17:44 ID:0Jtov2d2
やっと読み終えました。
自分も紺野が亡くなったトコで泣きました。
期待してます、頑張ってください。
505497:02/04/24 00:31 ID:B23FMivZ
               保全ーーーー! !
               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ``)           @ノハ@
     ;;`)⌒`)     −=≡( ‘д‘)
    ≡≡≡;;;⌒`)  −=≡( ヽ┐U キコキコキコキコ
          ;;⌒`)⌒`) ◎−ミ┘◎
506名無し募集中。。。:02/04/25 06:02 ID:JR7LtZ0U
507名無し募集中:02/04/26 14:16 ID:WibCY1O4
508デッドオアアライブ :02/04/27 04:05 ID:BmMDwqUC
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


新垣を控え室に運び布団を敷いて寝かせる。
汗を拭いて濡らした手拭いを額に置いて一息つくと
皆やらなければならない事が有るのでポツリポツリと部屋を出る。
一人残った小川は新垣の手を握っていた。
そこに、吉澤が「いいかい?」と入ってきた。
「・・・?・・・」とする小川・・・・
吉澤は小川の手を取りソッと銃を握らせた。
「・・・これは・・・?」
「分かってるね・・・アンタがやるんだよ・・・」
それ以上言わず吉澤は部屋を出た。

小川は黙って銃を見ていた。

コレでどうしろと言うのだろう?
そんな事は分かっている・・・
撃てるのかな・・・?
撃てる訳無いか・・・

そんな事をぼんやり考えてると、ふと母親の顔が浮かんだ。

お母さんどうしてるのかな・・・?
電話しなきゃ・・・・

昨夜以来電話はしていなかった。
小川は携帯に手を伸ばした。
思ったとおり携帯には誰も出なかった。
なんとなく予想はしていた。

「私、独りぼっちになっちゃった・・・」
ポツリと呟いてみるとポロポロと涙が出てきた・・・・・



509デッドオアアライブ :02/04/27 04:10 ID:BmMDwqUC
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


中沢の携帯に松浦からの連絡が入った。
「ちょっと、来たよ!」
その言葉に皆で窓から外を見て見るとバスが煙を吹きながら走って来た。
携帯を取り上げた市井が松浦に話す。
「いい、そのまま非常階段の近くまで来てバスを止めて待ってて、
迎えに行くまでバスから降りちゃ駄目だよ・・・うん・・・じゃ」
携帯を切った市井が皆に説明する。
「これから、非常階段を使って松浦とみっちゃんを迎えに行くよ、
ただ行くのは自動小銃を持つ2人だけだよ、
階段にはゾンビが居るかもしれないからね・・・・」
吉澤が手を上げると安倍も手を上げた。
「なっちも行くよ、少しは働かなきゃ・・・」
自分に言い聞かせるように話す安倍は何かを決意したようだ。
「うん、じゃあ吉澤となっちに行ってもらうよ、気を付けてね、
後の皆はそれぞれの仕事をして貰う、
まず、矢口とケイちゃんは階段シャッターの溶接、辻、加護は
2人のアシスタント、石川はエレベーターの見張り、
残りはゾンビの死骸を窓から投げ捨てる、いいね!」
シブシブながらも従う娘達・・・・
市井の仕切りに誰も文句は言えなかった。


510デッドオアアライブ :02/04/27 04:12 ID:BmMDwqUC
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


 「行くよ、安倍さん!」
吉澤が外へと通じる非常階段のドアを開けた。
さすがに十階の高さになると風が強い。
鉄の踏み板をカンカンと音を立てて階段を下りながら
九階、八階、と非常口のドアに鍵が掛かっているかを確かめる。
逃げた人がいるのだろう、ドアの鍵は掛かっていなかった。
「安倍さん、ゾンビが居たら撃ってみてね」
「うん、なっち頑張るよ!」
吉澤はニッコリ頷いて安倍に自動小銃の扱いを手を取りながら教えた。
ゾンビに非常口ドアのノブを回す事は出来ないだろう、
ただ、逃げた人間がゾンビになってこの階段に留まってる可能性は有る。
はたして、ゾンビは居た。
ヨロヨロと階段を上ってくるゾンビに安倍が銃口を向ける。
「頭を狙うんだよ・・・」
吉澤のアドバイスに安倍は頷き引き鉄を引く、
乾いた銃声と共にゾンビは死んだ。
初めての殺しに、安倍は気が高ぶったのか肩で息をしていた。
頭を撃ち抜かれ崩れ落ちるゾンビを跨いで階段を下りる。
「やるじゃん、安倍さん!」
降りる途中に3体のゾンビを安倍は倒した。
「やるよ〜、なっちは」
少し余裕が出てきた安倍がガッツポーズをする。
そこにカンカンと音を立てて何者かが階段を上って来た。

511デッドオアアライブ :02/04/27 04:13 ID:BmMDwqUC
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

 「動くな!」
安倍達の前に立ったのは松浦と平家に銃を突きつけた自衛隊員3人だった。
「その自動小銃を此方に渡すんだ!さもないとこの2人を撃つ・・・」
怯える松浦と平家は上半身が裸だった。
「最低だな、アンタ等・・・」
言いながら吉澤が銃を放り、続いて安倍も従った。
「ハハハ、俺達はついてるぜ!モーニング娘を捕まえたからな!」
一人が笑いながら銃を拾い上げ、安倍のセーラー服の上着を
無理やりむしり取った。
「アンタ等自衛隊だろ!国民を守るのが仕事じゃないのかよ!」
吉澤の抗議に一人がフンと鼻で笑う。
「俺達の小隊の任務は、このフジテレビを守る事だったんだが、
全滅してしまってな、残ったのが俺達3人よ、どうしようか迷ってたら
そこにこの2人が乗ったバスが来たのよ・・・」
「じゃあ、守れよ」
「ふん、守るつもりだったがお前達の事を聞いてな、
それで宗旨替えした訳だ、これから楽しませて貰うぜ!
俺たちはもう、自由だ!」
高笑いする男のズボンの前が膨らんでいた。
512デッドオアアライブ :02/04/27 04:15 ID:BmMDwqUC
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

 「ここに居るモーニング娘。!全員集まれ!」
十階フロアに銃声が響いた。
何事かと集まった娘達は愕然とした。
松浦、平家、安倍、吉澤の4人は全裸にされていた。
「ハハハ、居るぜ居るぜ!モーニング娘。がよ!」
嬉しさの余り笑い転げる一人に黙れと命じる
リーダーらしき男が声を張り上げる。
「どういう事か分かるな!これからは俺達が仕切る!
背けば死ぬだけだ!」
銃を2発天井に向かって撃つと娘達は悲鳴を上げてしゃがみ込んだ。
「まずは全員素っ裸になって貰う、後はそれからだ!」
顔を見合わせる娘達に
「早くせんかあ!!」
とまた銃を天井に向けて撃った。
あまりの突然の出来事に泣き出す娘達だが銃を付きつけられて
シブシブと従う。
「エレベーターからゾンビが来るんだけど・・・」
何とか時間をかけたい市井が服を脱ぎながら言ってみると
「なら、全員でエレベーター前に行こうか、だが、取り合えず
裸になるんだ・・・」
ニヤつきながらリーダーらしき男が言う。
「カカカ、壮観だな!」
全員が全裸になると「じゃあ、行ってみるか」とエレベーターに
行くように銃を突きつけて促がす。
エレベーター前に行くまでの廊下で男達は嫌がる娘達に
悪戯をしかけ、肉の弾力を楽しんだ。
513デッドオアアライブ :02/04/27 04:16 ID:BmMDwqUC
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

 「おい、上がってくるぞ!」
娘達も顔を見合わせる、偶然にもエレベーターが動いて
上がってきたのだ。
「お前達は下がってろ」
娘達に命じる男達は上ってくるエレベーターに乗ってるのが
ゾンビなら勿論だが、生きている人間でも殺すつもりだった。
せっかく手に入れた天国のような状態を手放す筈は無かった。
はたして、エレベーターは十階で止まった。
「撃てえぇぇええ!」
エレベータードアに向かって銃を構える男達は
ドアが開くと同時に自動小銃を乱射する。
しかし、パパパパン!と響く銃声は悲鳴に変わった。
中から出てきた男は体に銃弾の穴を開けながら2人の自衛隊員を
マッハのパンチで頭をスイカの様に潰したのだ。
ソレはミカを肩に担いだマイクベルナルドだった。
「ミカちゃん!」
「ヤグチサーン!」
今の出来事が一瞬すぎて、よく把握出来ていないミカは
ベルナルドの肩から降りて矢口と抱き合った。
「ミカちゃ〜ん!」
辻と加護も続いて抱きつく。
「ナンデ裸ナノ・・・?」
ミカの質問にミニモニの3人はヘナヘナと腰を下ろす男を睨み付けた。
マイクベルナルドに睨まれた残った一人は腰を抜かし小便を漏らした。
その男のテンプルに銃口が突きつけられた。
吉澤が男が落とした銃を拾ったのだ。
「下種野郎が・・・」
引き金を引くと同時に男の頭は吹き飛んだ。
吉澤はそのままベルナルドの頭に銃を向ける。
それを見ていたミカが叫んだ。
「ヤメテー!ソノ人ヲ殺シチャダメーー!!」
ミカはベルナルドの前に立って両手を広げた。
「・・・・サヨナラ・・・ダ・・ミカ・・・オトモダチ・・アエテヨカタ・・・・」
吉澤と市井は愕然とする。
このゾンビは喋ったのだ。
ベルナルドはエレベーターに戻り自分でボタンを押す。
それを見た吉澤は咄嗟に自衛隊員のベルトに下げてある手榴弾を
抜いて閉まりかかったドアの中に放り投げた。
「みんな伏せて!」
市井が吉澤の行動を見て叫んだ。
エレベーターは八階に下がった頃大音響と共に破壊された。
514デッドオアアライブ :02/04/27 04:17 ID:BmMDwqUC
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

 暫らく呆然としていたミカは吉澤に突っかかる
「ナンデ殺シタノヨ?」
そのミカの胸をドンと突き離して
「アレは喋ってた・・・物を考えることが出来るんだ・・・」
「ダッタラ、余計ニ殺シチャ駄目ダヨ!」
「知恵のあるゾンビを生かしていては危険すぎるだろ・・・」
チラリと3人の男の死体を見て
「人間だって危険なんだ・・・」
吉澤はそれ以上話さなかった。

しゃがみ込んで泣くミカをミニモニが慰める。
市井はミカの肩に手を掛けて
「サンキュ、助かったよ・・・ミカちゃんのお蔭だよ・・・」
と吉澤を攻めるように睨み付けた。
吉澤は肩をすくめるだけだった。
「さあ、もう、裸でいる事は無いよ!みんな、着替えよ!
それに、みっちゃんと松浦も無事だったし!」
市井はパンパンと手を鳴らし娘達に伝えた。
「着替えたら、また作業の続きね!」
娘達は今度は真剣だ、自分達以外の、生きている人間も
信用できない事が分かったからだ。


「わあ、いっぱい有るよ!」
安倍が自衛隊員が担いでいた大きなバックを開けて歓声を上げる。
中にはゴッソリと武器が詰っていたのだ。
「これで一人一人ちゃんとした武器が持てるね」
安倍の隣で銃を手に取る飯田に
「まかせてよカオリ、なっちが教えてあげるよ」
安倍は自慢気にポンポンと飯田の肩を叩いた。
そこに「ううん、うん、うん」
と、唸り声が後ろから聞こえた。
市井が腕を組んで2人を睨んでいた。
「へへへ、仕事が終わってからにしよか?カオリ?」
「そ、そうだね・・・・」
釈然としないリーダー飯田・・・
しかしながら今の市井には逆らえなかった。



515デッドオアアライブ :02/04/27 04:21 ID:BmMDwqUC
どんも、今日はここまでデス!
保全してくれる皆様ありがとうデス!
次回更新も未定っす!
では!
516505:02/04/27 07:52 ID:zOouYh5y
更新乙でっす。。。
自分が3人組だったら、
同じように・・・(;´Д`)ハァハァ・・・
嘘です。。。
ちゃんと守ります。。。
次の更新も楽しみに待ってまふ。。。
517ののの虜 ◆nono2P.. :02/04/27 15:19 ID:eSW3fB5+
更新おつかれさま〜

更新した時間が凄いっすね。
518名無し:02/04/27 22:26 ID:uyXVeZr7
偶然見つけてはまり、思わず全部読んでました。次の更新も楽しみにしてます。
ところでそろそろ一度あげたほうがいいような…。このまま消えないですかね?
519ののの虜 ◆nono2P.. :02/04/27 23:56 ID:eO7tsr2C
>>518
別に一番下にあっても書きこみされてれば絶対に消えないし。
一番上でもその板の中で最後に書きこみされたのが一番遅かったら削除される。

でもいろんな人に見てもらうためにはageたほうが良いのかな?
デッドオアアライブさんは適度にageと常時sageでマターリどっちが良いんでしょうか?
520518:02/04/28 07:28 ID:luFImwMv
>>519
ありがとう
521デッドオアアライブ :02/04/28 09:32 ID:CH19ik8h
>>518-519
そうですね、めっちゃ下がったら・・・たま〜にageますか?
522名無し募集中:02/04/28 18:55 ID:UxAloPn2
>>521
絶対に止めたほうがいいです。黄金厨が繁殖中です
523デッドオアアライブ ::02/04/29 00:31 ID:ZRLvC6ML
じゃあ止めましょう
524名無し紳士:02/04/29 14:31 ID:1OsZUFnG
とりあえず、私たちは作者さんが落ち着いて制作できる環境に整えときますので、安心してください・・・
次回楽しみにしてますよ
525名無し:02/04/29 21:58 ID:J8+rkZl0
>>524 賛成。というわけで夜の保全。
デッドオアアライブさん頑張ってください。
526名無し募集中:02/04/30 06:32 ID:CVcFslXk
んでもって保
527奈々氏:02/04/30 10:38 ID:FHE2lbFX
528名無し:02/04/30 21:45 ID:FHE2lbFX
529ののの虜 ◆nono2P.. :02/04/30 22:43 ID:tQ5cV0nR


>>526-527
ワラタ
>>527-528
ID一緒キター
530デッドオアアライブ :02/05/01 02:57 ID:dc0A5KSq
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

新垣が眠るのを確認すると小川は壁に寄りかかり
ボーと天井を見詰めていた。
廊下の方で銃声が聞こえたが無視した。

そう言えば眠ってなかったよ・・・・

ウトウトしだすが何故か眠れなかった。
小川は新垣の呼吸が止まった事に気付かなかった。

 
新垣は夢の中で闘っていた。
ゾンビには絶対なりたくなかった。
何時の間にか足の痛みが無くなっていた。
直ったと思って起きようとするが体が鉛の様に重くて
なかなか起き上がれなかったが頑張って上半身を持ち上げた。
小川はビックリしたように拳銃をこちらに向けていた。

新垣の戦いは無駄では無かった。
その戦いの果てに手にした物は意思を持つゾンビ化だった。
しかし、新垣は自分がゾンビになった事に気付いてはいなかった。


「ドウ・・・シタノ・・?・・マコチャン・・・」
青白い顔をした新垣の目は死んだ魚のように濁っていた。
「あ、あんた・・・」
新垣に向ける拳銃がブルブルと震える。
ユックリ立ち上がる新垣はフラフラと小川に近付く。
地獄だった。
地獄とはこんな所なのかと思った。

天国に行きたいと思う。
そこに行けば母親に会えると思った。
531デッドオアアライブ :02/05/01 02:58 ID:dc0A5KSq
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

新垣の寝ている控え室から乾いた銃声が聞こえた。
全員作業の手を止め各々控え室の前に集まった。
控え室のドアがカチャリと開いて、中から新垣が出てきた。
「新垣・・・あんた・・・」
市井が拳銃を新垣に向ける。
「マコ・・チャンガ・・・ジサツ・・・シタヨ・・・」
新垣の目から涙が出ていた。
新垣を取り囲むように集まっている娘達はジワリと距離をとる。
「ドウ・・・シタノ?・・・ミンナ・・・」
小首をかしげて動き出す新垣に
「動くな!新垣!撃つよ!」
と市井が叫んだ。
不意に市井を見る新垣は「ナンデ?」と市井に近付きだす。
「あんた!ゾンビになってんだよ!気付いてないのか?」
それでも近付く新垣に市井の銃口は震える。
しかし、構えるだけの市井には撃つ気配は無かった。
その震える銃口を吉澤の自動小銃の銃身が払った。
「どいてな、市井さんでは無理だよ・・・」
片手で自動小銃を持つ吉澤は新垣の額に銃口を当てた。
「紺野!高橋!危ないから、どいてな!」
新垣の後ろに居た紺野と高橋は慌てて端に避ける。
「ナンデ?」
もう一度聞く新垣の目から出る涙は止まらなかった。
「本当は気付いてるんだろ?」
銃声と共に新垣は倒れた。
532デッドオアアライブ :02/05/01 03:00 ID:dc0A5KSq
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

声も無い娘達の輪を無言で離れる吉澤に
誰一人として声を掛ける事は無かった。
控え室を覗くと小川は頭から血を流し死んでいた。
泣き崩れる娘達は暫らく動く事はできなかった。

一人、非常口から非常階段を上り屋上に出た吉澤は
手摺りにもたれ外の風景を眺めていた。
彼方此方から煙が上がりサイレンだけが響いている。
道路を走る車も殆んど無かった。
フジテレビの大階段や大庭園にはゾンビが溢れている。
「へ〜、屋上にはヘリコプターが有るんだね」
声が聞こえ振り向くと石川がいた。
石川はニコニコと近付き吉澤の隣に並んで同じ様に外を見る。
「もう、日本は終わりなのかな・・・」
少し寂しそうに石川は呟いた。
「・・・なあ、リカちゃん・・・」
「・・・なに・・・?」
「私って・・・変わったのかなあ・・・?」
「・・・なにが・・・?」
「なにがって・・・ほら・・・」
言いよどむ吉澤は次の言葉が見つからない。
「よっすぃだけじゃ無いと思うよ・・・」
「えっ・・・」
「みんな、ちょっとづつだけど変わってきてるよ・・・」
「・・・・・」
「私だって覚悟決めたもん・・・」
そう言いながら石川が振り向く屋上には3体のゾンビがいた。
少しづつ近付くゾンビに歩み寄り石川は無表情にゾンビの頭に
拳銃の弾を撃ち込んだ。
残りの2体も同じ様に倒し「ねっ、」と微笑んでみせる。
それを見ていた吉澤は黙って微笑み返した。

「ねえ、よっすぃ、このヘリコプター動かせないのかな?」
ヘリをペンペンと叩く石川はツインタワーの向こう側に有る
もう一台のヘリを指差した。
「あれも使えば私達全員ここから脱出できるのにね・・・」
吉澤は首を振り、
「動かし方なんて誰も知らないよ、無理だよ・・・」
諦め顔で言った。
「そんな事より、そろそろ戻った方がいいんじゃないか?
また、市井さんに怒られるよ」
「よっすぃは?」
「い、いや、私はもう少しココに居るよ・・・」
「なに言ってんの!行こう!」
石川は嫌がる吉澤の手を引いて無理やり皆の所に戻る。
誰も吉澤を攻めるなど出来ない事は分かっていたのだ。

533デッドオアアライブ :02/05/01 03:01 ID:dc0A5KSq
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

娘達の作業は夕刻までかかった。
階段を溶接し、一基残ったエレベーターを手榴弾で破壊し、
ゾンビの死骸を窓から投げ捨て、非常階段の階下を
手榴弾で破壊し、非常階段の屋上までの階のドアを溶接した。
「ふう、これで完全にココは隔離出来たね、もう、クタクタだよ・・・」
コップの水をゴクゴク飲み終えて矢口は床の上に大の字になった。
「・・・まだ、大事な事が有るだろう・・・」
腕組みをして矢口を睨む保田。
そこに「出来たで〜」と中沢と市井と辻、加護が
棺桶を担いで来た。
小川と新垣を納める手作りの棺桶はピンク色に塗られていた。
「なんだ?この色は!」
目を剥く矢口に辻、加護は「エヘヘ〜」と笑ってみせた。
「まあ、この子達なりに考えたんだよ、なあ、辻ぃ、加護ぉ?」
中沢の皮肉も分からない2人はウンウンと頷いてみせた。


小川と新垣の遺体をピンクの棺桶に入れて皆で寄せ書きを書いた。
同時期のメンバーの紺野と高橋は終始泣いていた。
屋上に行き2つに棺桶を並べて、添木を敷いて
飯田が火を点けた。
パチパチと燃え上がる棺桶に手を合わせながら
すすり泣く娘達はやがて誰ともなしに歌い始める。

♪ラ〜ラララララ〜ラ〜♪ララララ〜ララ〜♪

全てが灰になるまで数時間・・・・
娘達の歌声が夜空に溶けた・・・・

534デッドオアアライブ :02/05/01 03:05 ID:dc0A5KSq
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

疲れ果てた娘達は泥のように眠る。
起きたのはお昼すぎだった。

テレビはNHKだけが辛うじて放送するが
情報も無く、ただ街の道路をうろつくゾンビ軍団を映していた。
自衛隊の頑張りか、電気は止まらなかった。

娘達の家族も次々と携帯に出なくなった。
無き濡れる娘達。
一週間も経った頃にはNHKも放送が途切れがちになる。
娘達も次の事を考えねばいけない時期が迫っていた。


紺野がヘリコプターの中に有るマニュアルを見付け持って来た。
「このままじゃ、駄目だと思うんです」
マニュアルを差し出された飯田は
「そうだな〜」と答え
「よし、取り合えず、みんなに食堂に集まるように伝えてくれ」
久しぶりにリーダーとして会議を開く事にした。
535デッドオアアライブ :02/05/01 03:07 ID:dc0A5KSq
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ

食堂に集まった娘達は絶望の為か脱力感を体から放っていた。
「え〜、オホン、みんなに集まってもらったのは他でもない、
そろそろ脱出の事を考えようと思うんだ」
飯田の提案に矢口が口を挟む。
「え〜、どうやって?」
「それは・・・・紺野、説明してくれ・・・・」
水を向けられた紺野は「えっ?」としながらも説明を開始した。
「あの、ヘリコプターのマニュアル見つけたんです、
その・・・誰か操縦を練習して飛べる様になった方が・・・・
や、やっぱりこのままじゃ駄目だと思うんです、
食料だってあと一ヶ月持つかどうか・・・・」
ゴニョゴニョと話す紺野を手を上げて制し市井が話を繋いだ。
「うん、私も考えてたんだけど、マニュアルが有るんなら
やれない事は無いね、食料が尽きるまでに操縦を憶える、
そして脱出・・・・なんだけど・・・どこに行く?燃料は?」
紺野は手を上げて答える。
「あの、燃料は屋上の倉庫で見つけました・・・それと、私、操縦憶えます、
み、南の何処か無人島に行きたいんです!」
紺野の積極発言を微笑みながら見ていた市井は頷く。
「紺野、偉いじゃん!・・・南の島か・・・いいね、ソレ、私も乗るよ!」
下を向く紺野は真っ赤になって照れていた。
そんな紺野を見る娘達も顔を見合わせて頷きだす。
「よし、なっちも憶えるべさ!」
おどける安倍に「わたしも〜!」と手を上げる辻、加護、松浦。
「おまえ等は駄目だよ!乗ったら死ぬもん!私がやるよ」
平家が手を上げると皆からブーイングが起こった。
久しぶりに笑いが起こる。
何となく希望が出てきて皆張り切りだす。
「ようし、みんなで乗れるようにしよう!」
飯田はリーダーらしく言い放った。
これから一月の間に皆で操縦を憶える事にした。
その中から向いてる誰かに絞ればいい。

南の何処か知らない島で皆と楽しく平和に暮らす・・・・
その夢の為にモーニング娘。達は一つにまとまり出した。

536デッドオアアライブ :02/05/01 03:08 ID:dc0A5KSq
"☆:.*。*:+.〖モーニング娘。〗.+:*。*.:☆"
    ‡†Ψ【NIGHT OF THE DEAD】†‡Ψ


       一ヵ月後

二機のヘリに乗り込む娘達・・・・

日本は、いや、世界の人口は1/1000になっていた。

今や放送局というものは存在しなくなった。

電気も水道も止まり、食料も無くなった。

燃料が無くなったら何処かのスタンドを襲えばいい。

どうせ、人なんて居ないのだから・・・・・

朝日を浴びて飛び立つヘリコプターの音だけが響いた。



     ーーーー完ーーーー



537デッドオアアライブ :02/05/01 03:20 ID:dc0A5KSq
ども、完結しました。
何時もながら最後はしょぼくてスマソ。
本当は娘が半分ぐらいに減る予定だったんですけど、
可哀想で殺す事が出来なくなってしまったのデス。


と言う事で次回からは【ハロプロ〜】の続編を
短編でちょくちょく更新して行こうと思います。
題名はバトロワの後と言う事で【BATTLE AFTER】っす。
一話完結でマターリ行こうと思っとりますので宜しくです。
ちょっと、登場人物と背景をまとめましたので
今日はそれを貼り付けて終わりたいと思います。
では。
538デッドオアアライブ :02/05/01 03:22 ID:dc0A5KSq
【 BATTLE AFTER 】

ーーー登場人物と背景ーーー

★『レストランプチモーニング』
関東のS市に有る海の見える丘の住宅街の一角に有る
小さいがお洒落な喫茶兼洋食屋。
営業時間はAM11時〜PM 9時オーダーストップは8時半。
定休日は日曜日、売り上げは1日平均約3万円。
客層は昼時は安倍、矢口、目当ての男性客が多いが夜はカップルが多数。
2階に安倍、矢口、加護が住んでいる。

☆安倍なつみ(21)
『レストランプチモーニング』のオーナー兼コックさん。
安倍特製のハンバーグ定食『なっちランチ』が好評。
夜はフランス料理の『なっちディナー』が評判を呼ぶ。

☆矢口真里(19)
『レストランプチモーニング』のオーナー兼カウンター係り。
軽快なトークで客の心を惹きつける。料理は出来ない。
日替わりのミックスジュース『矢口ジュース』は何が入っているか分からない。

☆加護亜依(中学2年生)
『レストランプチモーニング』に住み込む。
気が向いた時にウエイトレスとしてバイトをする。
いつも辻と一緒に居る為『飯田二輪店』に月の半分は泊まりに行く。
必殺技はペットの虎をけしかける『虎太郎アタック』
539デッドオアアライブ :02/05/01 03:24 ID:dc0A5KSq
 ★『飯田二輪店』
『レストランプチモーニング』の隣に有るオートバイと自転車のショップ。
『ツョッカー』壊滅の御褒美に政府に3階建てのビルに立て替えてもらうが
飯田の余りにもいい加減な経営の為、客は近所の小中学生の自転車のパンク修理だけ。
2階に紺野、高橋、辻が住んでいる。3階は飯田1人で独占。
屋上にライオンと虎を飼っている。
一日の平均売り上げ2千円ぐらい、極たまにバイクが売れる。
生活の為『七曲署』に紺野と一緒にアルバイトをする。
営業時間と休業日は適当、飯田は『レストランプチモーニング』に入り浸ってる。

☆飯田圭織(21)
『飯田二輪店』オーナー。
ピンクのライダースーツに着替える事により仮面ライダーに変身。
必殺技『かおりんマッハパンチ』『かおりんキック』『かおりん錐もみキック』
愛車はバイクの『サイクロソ』

☆紺野麻美(15)
『飯田二輪店』の実質的なオーナー。
売り上げ計算から家計簿、税務申告まで全てこなす。
『ツョッカー』壊滅の御褒美に政府に3階建てのビルを立て替えてさせるが
ソレを期に民間人に戻った為、政府からの援助は無くなる。
ナノマシーンにより脳改造手術を受けている為、IQは200以上。
日本で5本の指に入るハッカー。愛車は改造したジンジャー。 
今春から地元の女子高に高橋と一緒に通う。

☆辻希美(中学2年生)
『飯田二輪店』に住み込む。
気が向いたら『レストランプチモーニング』にバイトに行く。
頭を撫でた動物と心を通わせる事の出来る動物使い。
必殺技はスカイフィッシュを使い相手を切り刻む『スカフィーアタック』と
ペットのライオンをけしかける『獅子丸アタック』

☆高橋愛(15)
『飯田二輪店』に住み込む。
元『ツョッカー』の改造人間。紺野のツテで政府の再手術を受けて
老化現象を止める事に成功。
今春から地元の女子高に紺野と一緒に通う。
通学は紺野から貰ったジンジャーで紺野と一緒に通う。
必殺技は相手の精気を抜く事だが今は封印している。
540デッドオアアライブ :02/05/01 03:25 ID:dc0A5KSq
☆虎太郎☆獅子丸
『ツョッカー』の改造を受けた虎とライオン。
今は加護と辻のペット。
普通の虎とライオンより相当強い。
☆オロチ丸
『ツョッカー』の改造を受けた体長10Mを超えるアナコンダ。
飯田に蛇だけは勘弁して欲しいと頼まれて辻が山に放すが
今は古びた神社の守り神に祭り上げられている。


☆吉澤ひとみ(17)
改造人間。警察庁長官直属の特殊警察官。殺人許可証を持つ。
全国に散らばった『ツョッカー』の残党を殺す為、全国を旅する。剣の達人。
必殺技『円月殺法』『次元刀』

☆後藤真希(17)
改造人間。警察庁長官直属の特殊警察官。殺人許可証を持つ。
全国に散らばった『ツョッカー』の残党を殺す為、吉澤と共に全国を旅する。
必殺技『大回転踵落し』『猛虎硬爬山』
最近チャクラを開眼、念法を憶える。


★『七曲署』
飯田達が住むS市の警察署。
捜査一係に飯田と紺野が事件解決の為、アルバイトをする。

☆松田優作
元七曲署のジーパン刑事。今は消息不明の鬼武者。
541デッドオアアライブ :02/05/01 03:27 ID:dc0A5KSq
こんなもんか・・・・
以上です。
542名無娘。:02/05/01 05:33 ID:8Jo/xSXb
脱稿お疲れ様です

次回作は…
本郷が飯田さんで
立花さんが安倍さんなんですね?
山本リンダが矢口だと言うことで…
滝が吉澤後藤と言ったところですかね
543ののの虜 ◆nono2P.. :02/05/01 17:35 ID:2nWCapZm
乙です。

BATTLE AFTER に激しく期待!!

>539で紺野の名前が漢字になってるのはわざとですか?
544ナナー氏:02/05/01 20:18 ID:qhoaCw1k
脱稿、乙です。
「BATTLE AFTER」、紺野ちゃんの活躍を期待してます。
これからも頑張ってください!
545デッドオアアライブ :02/05/01 21:50 ID:tsbty7o8
【 BATTLE AFTER 】 第一話


 加護は学校からの帰り道で忘れ物をした事に気付いた。
「あっ、ノノ、先に帰っててや・・・」
来た道を走り出す加護にポカンとする辻が
「どうしたの〜?」と後姿に声を掛けた。
「忘れ物や〜!」
加護の声が返ってきた。

自分の机から忘れ物を取り出し教室を出ると担任が廊下にいた。
「おお、加護どうした?」
「いえ、忘れ物を・・・」
「そうか、丁度良かった、ちょっと頼まれてくれないか?」
「なんですか?」
加護の顔は「え〜」と不満そうだった。

「なんでウチが届けなあかんねん・・・」
夕暮れが迫る街中を加護はブツクサ文句を言いながら歩く。
今日、学校を休んだ『名無し君』こと名梨野太郎の家にプリントを
渡す事を担任に頼まれたのだ。

「あ、有ったココや・・・」
地図を頼りに探すとすぐに見つかった。
名無しの家は小さな鉄工所を経営していた。
「はあ、結構裕福やねんなぁ・・・」
家の前に如何にも高そうなベンツが2台止まっていたのだ。
加護は玄関に入ろうとして止まった。
家から怒鳴り声が響いてきたからだ。
「何時なったら金返すんじゃ!ボケェ!!」
加護は玄関の陰に隠れてソッと中を窺った。
「すみません〜、来週にはきっと・・・」
「あのなぁ、期日はとっくにすぎてんだよ!」
どうやら借金取りが来ているようだ。
オロオロと泣き声の母親を庇うように名無しの声が聞こえた。
「やめろよ〜!返すって言ってんだろ!」
「なんだと!このガキャ!!」
バシンと叩かれる音とガラガラと何かが崩れる音がした。
加護はその音に心臓の鼓動が激しくなりブルブルと体が震えた。
(大変や・・・どないなっとんねん?)
母親が泣き出して一先ず騒ぎは収まった。
「けっ、今日の所は勘弁してやる!次来るまで用意しとけよ!」
玄関からズカズカと出てくる柄の悪い男達は隠れている加護を見付け
「なに見てんのじゃ!この家のガキか?」と凄んでみせる。
加護が首を左右に振る。
「覗きみたいな真似するなボケ!」
ゴツンと加護の頭にゲンコツを食らわせた。



546デッドオアアライブ :02/05/01 21:51 ID:tsbty7o8
【 BATTLE AFTER 】 第一話


 ベンツが消えるのを舌をベーと出して見送り、
玄関を覗くと玄関の窓が割られ啜り泣きながら片付ける名無しが居た。
「あっ」不意に顔を上げた名無しと加護の目が合った。
加護はトテトテと近付き黙ってガラスの破片を拾い片付ける。
名無しはゴシゴシと服の袖で涙を拭い一緒に片付け始めた。
「こ、これ・・・」
加護は頼まれたプリントを差し出す。
「先生に頼まれてん・・・」
黙って受け取った名無しは「そうか・・・」とだけ呟いた。
母親が出てきて、夕飯を食べていってと言ったが
プリントを渡しに来ただけだからと断った。

「送っていくよ・・・」
「大丈夫・・・?」
「あ、ああ、コレか・・・」
そう言って名無しは目の上のデカイ絆創膏を擦って見せた。
殴られた名無しは目の上に大きな青痣が出来ていた。
「ハハ・・・大丈夫だよ」
黄昏た街を無言で歩く2人。
「なあ、見てたのか・・・」
名無しが不意に聞いた。
「・・・うん・・・」
「そっか・・・」
名無しは立ち止まりうつむく。
「どうしたの・・・」
加護が振り向くと名無しはポロポロと涙を流していた。
「・・・騙されたんだよ・・・・あいつ等に・・・」
加護はそっとハンカチを差し出した。

それから暫らく歩いた。
「もう、ここでいいよ、ありがと」
加護は明るく言ってみせた。
「お、おう、・・・あのさ・・・」
「なに?」
「この事は、みんなには・・・・」
「大丈夫!誰にも喋らへんよ」
加護は手を振りながら走った。
遠くに消える加護は「明日は学校来るんやでぇ!」
とピョンピョン跳ねてみせた。
547デッドオアアライブ :02/05/01 21:52 ID:tsbty7o8
【 BATTLE AFTER 】 第一話

 『レストランプチモーニング』に帰ると加護は急いで夕食を取り、
そのまま『飯田二輪店』に消えた。
「あさ美ちゃん!アレ出してや!」
キョトンとする紺野に「アレや、スーツ、スーツ」と肩を揺する。
紺野は何か有った時の為に防弾機能のピンク色の皮のライダースーツを作っていた。
「ちょ、ちょっと待って、どうするんです?」
「い、いや・・・何でもあらへん・・・」
「言えないなら貸せません」
「じゃあ、飯田さんのスーツ貸してや!」
「ますます、貸せません」
「じゃあ、飯田さんと同じ物造ってや!」
「何言ってるんです、アレは造るのに十数億もお金が掛かってるんですよ」
「えっ!!!」
それを聞いてガックリ肩を落す加護に
「いったいどうしたんです?誰にも話しませんから
私には話してくれませんか」と諭す。
「・・・う〜、ほんまに・・・?」
「ほんまです!」
加護は今日の出来事を紺野に話した。
「ふ〜む、それで其のサラ金屋さんを潰すつもりなんですか・・・」
紺野は呆れ顔だが加護は本気だ。
「虎太郎さんを連れて行ってもすぐ犯人は貴女だとばれますよ」
「じゃあ、どないすんねん!」
加護は頭を抱える。
「・・・分かりました・・・極東興産って名前のサラ金ですね」
紺野はパソコンに向かって何かを打ち込む。
「私のパソコンは七曲署のパソコンと繋がってるんですよ」
モニターを見る紺野の顔が少し険しくなる。
「これは・・・酷い会社ですね・・・警察でもマークしてますよ・・・・
この会社がらみで自殺してる人も何人かいますね・・・・」
それを聞いた加護は気がそぞろでは無い。
「ヤバイやん!あさ美ちゃん何とかしてや・・・名無し君のオトンが死んじゃう!」
加護に肩を揺らされ、考え込む紺野は何か閃いたようだ。
「分かりました、でも明日の夜にしましょう、私、作戦考えました」
そう言ってまたパソコンに向かい合う。
「ほんま?大丈夫なん?」
紺野は加護に右手の指を広げて見せた。
「私、日本で5本の指に入るそうです」
加護は何の事を言ってるのか分からなかった。
548デッドオアアライブ :02/05/01 21:53 ID:tsbty7o8
【 BATTLE AFTER 】 第一話


 翌朝登校する辻と加護に「ウオッス!」と名無しが自転車で通り抜ける。
「あれ?名無し君、目ぇどうしたんですか?」
片目を包帯で巻いた名無しに辻が聞いた。
名無しは「ヘヘヘ〜」と笑いスピードを上げて駆ける。
「きっと階段で転んだんやろ・・・」
自転車の名無しが遠くなるのを見ながら加護はちょっと嬉しそうだった。

加護は知らず知らずに名無しを目で追っていた。
いつも通りに友達とふざけ合う名無しを見る加護は頬杖をついて微笑む。
ふと、目が合った。
ちょっと顔が赤くなった名無しは更に友達とふざけ合う。
何故か加護も顔が赤くなった。

下校の時間になり帰り支度をする加護は教室の窓の外に映る
自転車に乗り、帰宅する名無しを見つけた。
またアイツ等が来るのかと思うと胸が切なくなった。
「頑張りや・・・太郎君・・・」
加護は初めて名無しの名前を口にした。
 
549デッドオアアライブ :02/05/01 21:54 ID:tsbty7o8
【 BATTLE AFTER 】 第一話

 夜の10時になると加護が紺野の部屋にやってきた。
「待ってましたよ、コレに着替えて下さい」
渡されたピンクの防弾スーツに着替える。
お揃いのスーツの紺野の目の下には隈が出来ていた。
「どないしたん?その隈?」
「ハハ・・・昨日から寝てませんよ、クラッキングとマネーロンダリングの
プログラム作るのに今まで掛かりました」
その紺野の顔を見て加護は感謝した。
「さあ、このEnterボタンを押して下さい」
意味が分からないが言われるままにボタンを押した。
モニターがせわしなく動くがどうなっているのか分からない。
「簡単に言うと、極東興産の会社と社長の資産を全て別の銀行に移します、
銀行から銀行・・・資産の全てが世界中の銀行に飛んで資産が何処に消えたか
分からなくします、最後に他の国に有る私の口座に振り込まれるようになってます、
同時に極東興産のパソコンをクラッキングソフトで破壊します」
目を丸くする加護はワ〜!と紺野に抱きつく。
「いくら資産があるの?」
ニコリとする紺野は指を4本立てた。
「40億です・・・・」
「よ、40億〜!!!」
ペタンと腰を落す加護に親指を立てる紺野は
「悪い奴は許せません」とウインクをして見せた。


「あさ美ちゃんて運転も出来るんやね・・・・」
レンタカーを運転する紺野は
「当たり前です、それより作戦は憶えましたか?」
と加護に念を押した。
「大丈夫だよね〜、虎太郎?」
後部座席に隠れている虎太郎の頭を撫でて防毒マスクを被せる。
加護は麻袋をギュッと握り締めた。
極東興産の事務所に乗り込んで紺野特製の眠りスプレーで社員を眠らせて
其の間にあらゆる書類を麻袋に詰め込み、パソコンのHDを全て抜き取る。
同じ事を社長のマンションでも行う。
これで全ての証拠は無くなり極東興産は壊滅する。
それを朝までに行う。
加護は武者震いをした。
「あさ美ちゃん、ちょっと止めてや」
「どうしました?」
「・・・オシッコしたなってきた・・・」
加護の武者震いはオシッコを我慢してたからだった。
550デッドオアアライブ :02/05/01 21:56 ID:tsbty7o8
【 BATTLE AFTER 】 第一話


 紺野は自分の布団の中でイビキをかいて眠る。
「よっぽど疲れたんやね・・・ほんまありがと・・・」
加護は紺野の額を撫でた。
『ツョッカー』に比べれば赤子の手を捻るより簡単だった。
余りの呆気なさに午前3時には事が片付いた。
(は〜、今日は学校で寝てなあかん・・・)
加護も眠気に勝てなくなった。
そのまま紺野の布団に潜り込んで眠り込む。
学校に行くつもりだったが起きたのは夕方近くだった。
テレビでは悪徳金融波状のニュースが小さい扱いで出ていた。
夕食時、紺野と顔を見合わせてニコリとする。
紺野はどうやって被害者に金を返すか考えている。

加護はというと・・・・
明日、どのように名梨野太郎に話しかけるか悩んでいた。
結局いつもと変わらない挨拶になることは分かっているのに・・・・・
 
551デッドオアアライブ :02/05/01 21:57 ID:tsbty7o8
【 BATTLE AFTER 】 第二話


 飯田は『レストランプチモーニング』のカウンターに座り
グダグダしている。
「あ〜暇な店だね〜・・・・」
午後2時の一番暇な時間は眠気を誘う時間でもある。
「暇ってね〜、アンタの店が一番暇なんじゃない」
矢口がコップを拭きながら邪魔な客の飯田に文句を言う。
「なんだよ、お客様に向かって〜!」
「ハァ?客ってのはね、お金を払う人のことを言うの!」
「だってお金無いんだもん・・・」
カウンターに突っ伏した飯田はべそをかく。
「ビルなんて売っちゃえば?」
「そうだね〜、売れば楽に・・・・・って住む所無くなるじゃん!」
飯田の乗り突っ込みにハハハハと笑う矢口は
カウンターにドンとジュースを置いた。
「今日の『矢口ジュース』だよ、お ご っ て あ げ る ♪」
「おお!ありがとう!矢口ぃ!」
ストローに口を伸ばした飯田はゴクゴクと2口程飲んで固まった。
口を押さえ「みず〜!みず〜!」と騒ぐ飯田を見て
キャハハハハと腹を押さえて笑う矢口。
飯田が飲んだ『矢口ジュース』にはワサビがたっぷり入っていたのだ。
「もう、うるさい!また喧嘩してんの?」
安倍が厨房から顔を出して注意する。

『レストランプチモーニング』の午後は笑いに包まれているのだ・・・・
 

552デッドオアアライブ :02/05/01 22:03 ID:tsbty7o8
ども、今日はこんな所です。
第二話は超ショートです。
>>543
紺野麻美は変換間違いですスマソ

☆紺野あさ美(15)
『飯田二輪店』の実質的なオーナー。
売り上げ計算から家計簿、税務申告まで全てこなす。
『ツョッカー』壊滅の御褒美に政府に3階建てのビルを立て替えさせるが
ソレを期に民間人に戻った為、政府からの援助は無くなる。
ナノマシーンにより脳改造手術を受けている為、IQは200以上。
日本で5本の指に入るハッカー。愛車は改造したジンジャー。 
今春から地元の女子高に高橋と一緒に通う。

ただ年齢とかは適当です。
次回更新も未定です。
では。
553ののの虜 ◆nono2P.. :02/05/01 23:14 ID:x+ysXJx9
おぉ。乙です〜。

バトロワのエピローグ待ってました。

>>552
揚げ足を取るようでスマソ。
あえてそういう設定なのかなぁと思ったんで・・・
554ナナー氏:02/05/01 23:14 ID:LL5guIC7
おッ、早速更新!
乙です。
555名無し募集中:02/05/01 23:15 ID:sfzMRgXF
更新お疲れです。新垣と小川は第一作のバトロワ同様また死んでしまったんですね…。
今後のショートも楽しみにしてます。
556名無し募集中 :02/05/03 00:05 ID:js28vAmd
557516:02/05/03 01:13 ID:iVIs8ThO
しばらく見に来れなかったんで、
すっごい遅れてですが脱稿乙カレーでっす。。。
ショート版第1話、楽しく読ませていただきますた・・・
デッドオアアライブさんの描く紺野はカコイイですね。。。
このスレの影響か、紺野にかなり好感がもてるようになりますた。。。
長々とスマソ、続き期待してますです・・・
558名無し募集中。。。:02/05/03 21:14 ID:js28vAmd
559名無詩:02/05/04 01:27 ID:GWfhLqZt
久々保全。。
560ののの虜 ◆nono2P.. :02/05/04 23:07 ID:zzILQxzp
保全。
561名無し募集中。。。 :02/05/05 15:58 ID:w1w8iA3z
保全
562名無し:02/05/06 07:05 ID:nP3Ehpvv
保全
563見たい:02/05/06 20:03 ID:4JCFH/UA
保全
564557:02/05/06 20:06 ID:yuFkGtQj
保全はsageで・・・
ヨロシコ・・・
565565:02/05/07 16:47 ID:NrAuosXA
保全
566(○´ー`○) :02/05/08 00:41 ID:9tj5KRkz
昔の名無しで出ています
567567:02/05/08 21:12 ID:AotUZxKf
保全
568デッドオアアライブ :02/05/09 00:25 ID:3WssQWjC
【 BATTLE AFTER 】第三話

 「ここか・・・やっと、一匹見つけたよ・・・」
後藤は携帯レーダーの反応を確かめると厳重な外壁を見上げた。
この豪邸の中に『ツョッカー』の残党がいるのだ。
「ヤクザか・・・」
吉澤は相手が相手だけに死人が出る事を覚悟した。
様子見に豪邸の周りを探ってみると立派な玄関には
『極北一家』との表札があったのだ。
「動いたよ・・・」
レーダー反応に後藤が吉澤の顔を見る。
玄関口にリムジンが止まると中から親分らしき人物と
ボディガードが数人出てきた。
「あれっ?!」
後藤が素っ頓狂な声を上げた。
ボディガードの中に黒尽くめの長身の漢、松田優作がいたのだ。
後藤の声に反応するヤクザ達が一斉に後藤達を見た。
「ハハハ・・・・」
後藤と吉澤は手を小さく振って松田にぎこちなく挨拶する。
「すいません、昔の知り合いでして・・・」
松田は天を仰ぎながら首を振り親分に頭を下げた。
569デッドオアアライブ :02/05/09 00:28 ID:3WssQWjC
【 BATTLE AFTER 】第三話

 「アイツはどうしてる・・・?」
「高橋かい?彼女は今、幸せに暮らしてるよ・・・」
「そうか・・・良かった・・・」
3人は寒風が吹きすさむ荒波が激しい砂浜にいた。
「あんたがこんな所に居るとは思わなかったよ、しかもヤクザのボディガードで・・・」
吉澤が小石を海に投げながら話しを向ける。
ここは青森県の港町だ、寒風が後藤を身震いさせる。
「俺も生きる為に日銭が必要なんでな・・・」
松田はジッポを取り出しタバコに火を点ける。
「で?まだ女を食らってるのかい?」
吉澤は石段に腰をかけチラリと松田を見る。
松田は高橋と同じく女の精を取り込まないと老化してしまうのだ。
「いや、克服した・・・」
「どうやって・・・?」
松田は薄く笑ってみせた。
「やってみれば分かる・・・試してみるか・・・?」
砂浜に歩き出す松田に吉澤は『太陽の剣』を握り跡に続く。
「あんた日本刀はどうした?」
手ぶらで向き合う松田に吉澤は少しムッとする。
馬鹿にされたと思ったのだ。
「あるぜ・・・」
「・・・なっ・・・」吉澤は愕然とした。
松田が右手を伸ばすと鈍く光る長剣が握られていたのだ。
「ど、何処に隠してた?」
「隠してなんか無い、おまえ達が見えないだけだ・・・」
松田は言いながら上段に構える。
「いいか、これからコレを振り下ろす、撥ね退けてみろ・・・」
吉澤は自分の目を疑った、陽炎の様に剣が揺らめいて見えたのだ。
 
570デッドオアアライブ :02/05/09 00:29 ID:3WssQWjC
【 BATTLE AFTER 】第三話

 言った通りに振り下ろされる松田の長剣を太陽の剣が受け止める。
キーンと刀がぶつかり合う音がして・・・・それで終わりだった。
松田の剣を受け止めた瞬間、吉澤の手が痺れ、ガクンと腰が抜けた。
崩れ落ちるときには体の感覚が無くなっていた。
「よっすぃ!!」
後藤が駆け寄り吉澤を抱き起こす。
吉澤の顔は蒼ざめ、貧血を起こしていた。
「これが念法だ・・・」
「念法・・・?」
「おまえ達、あの島から帰ってきてツョッカーの残党と出くわしたか?」
無言で首を振る後藤。
確かに、残党狩りはしていない・・・・
いや、しているのだが残党と出会った事が無い、レーダー反応が無かったからだ。
「やはりな・・・出くわしていたらおまえ達は死んでいる・・・
俺達があの島で殺した連中は出来損ないの改造人間だ、
真に強い連中はこっちで好き勝手に遊んで暮らしてるぜ・・・
ツョッカーの壊滅によって心臓に埋め込まれた爆弾の恐怖から開放されたからな・・・」
松田が日本刀を背中に回すとカシンと鞘に入れる音がして長剣は消えた。
571デッドオアアライブ :02/05/09 00:30 ID:3WssQWjC
【 BATTLE AFTER 】第三話

 「その技はいったい・・・?」
「お前も試してみるか?」
松田はポケットに手を入れて一枚の百円玉を手に取った。
「これに念を込める・・・」
十秒程握り締めた百円玉を手の平で転がす松田は
「受け止めてみろ・・・」
と百円玉をピンと親指で弾いた。
額に向かって飛んでくる小銭を後藤は左手で受け止めた。
手の平が痺れた。
見ると、百円玉は手の平に半分程埋まっていた。
いや、ゆっくりとだが沈む小銭は手の平を突き抜けて手の甲からポトリと落ちた。
瞬間、左手の感覚が無くなり激しい脱力感に襲われる。
「心配するな、今日中に治る・・・そっちは一週間程寝込む事になるがな・・・」
松田は動けない吉澤に顎をしゃくってみせた。
「俺の念の殆んどは自分の日本刀に込めている、だが今の百円玉ぐらいの
芸当は簡単にできるぞ・・・」
「だからどういう事なんだ!」
後藤は血の滴る左手を押さえながら聞いた。
「いいだろう、少し教えてやる・・・」
松田はまたタバコに火を点け紫煙を深く吸い込み旨そうに吐き出し
自分の頭頂から七つのツボを指差した。
「チャクラという思念を開放するツボが人間の体に七つ有る・・・
俺は三つまでしか開けられないがな・・・それを開放して攻撃し、身を守るんだ・・・
いくら体を鍛え、技を磨いても奴等には通用しない・・・
思念とは何かと聞かれても俺にもよく解からんがな・・・」
松田は上着を脱いで上半身裸になった。
「それは・・・?」後藤が唾を飲み込む。
松田の胸から腹にかけて酷いケロイド状の傷があった。
「俺は残党の一人と戦った事がある・・・結果、命からがら逃げ出してこのザマよ・・・
北海道の大雪山に行け・・・そこに俺の師匠が居る・・・・」
松田は踵を返し、ふと空を見上げた、雪が降ってきた。
「寒いか・・・?・・・俺は寒くないぞ・・・・」
フッと静かに笑い松田は消えた。


572デッドオアアライブ :02/05/09 00:31 ID:3WssQWjC
【 BATTLE AFTER 】第三話


 寒さからなのか、それとも念攻撃のせいか、後藤はガクガクと震えていた。
筋肉が弛緩して動けない吉澤を肩に担ぎ後藤は今までの戦いを思った。
・・・・無駄だったのか?・・・・
そうは思いたくなかったが、念法とやらを憶える前の
松田が吉澤と同じぐらいの技量を持つ剣の達人なのも事実だった。
「大雪山か・・・寒そうな名前の山だな・・・」
ハァと溜め息をつく後藤は寒いのが苦手だった・・・・・

573デッドオアアライブ :02/05/09 00:35 ID:3WssQWjC
おまたせしてスマソ。
今日はコレで終わりっす。
いつも保全ありがとうです。
次回更新もまた未定です。
>>557さん
俺も書いていく内に紺野か好きになってきました(w
574ののの虜 ◆nono2P.. :02/05/09 17:17 ID:Ah4hgwx5
  oノノハヽo
 从´D`从<更新乙です〜。
575nanasi:02/05/10 01:06 ID:ZVjoMoy2
そろそろスレ変えたほうがいいのでは?
576_:02/05/10 10:23 ID:1E7OKZxK
>>575
え゛!?もうスレ変え?
まだ早いよ。
577保全:02/05/11 03:43 ID:MOFXnqSx
楽しみにしてます・・・
578名無し募集中:02/05/11 14:48 ID:PvtLhBu+
楽しんで待っています(w
スレ変えはまだいいと思うが…
579名無し募集中。。。 :02/05/12 00:56 ID:AyJp/ox5
保全ね。
580ナナー氏:02/05/12 02:25 ID:lYwUrFrV
期待保全。。。
581デッドオアアライブ :02/05/12 03:09 ID:4mMVsRu5
【 BATTLE AFTER 】第四話

 「またあのお客さん来てるよ〜」
厨房に入ってきた矢口が安倍に報告する。
「なに言ってんの、お客さんでしょ」
「だって、なんか気持ち悪いんだもん」
矢口が言う客とは最近、来始めた青白く痩せた、眼鏡を掛けた
目だけをキョロキョロと動かす挙動がおかしい男だ。
その客は何時も矢口だけを盗み見て、2時間も3時間も粘るのだ。

他の客もはけた午後2時、その男は立ち上がり突然矢口に話しかけた。
「あ・・・あの、矢口さんですよね・・・?・・・モーニング娘。の・・・」
「あ、は、はい・・・」
矢口はちょっとビックリしたがモーニング娘。の事をまだ憶えている
ファンがいた事に少し嬉しくなり、何故この男がいつも自分ばかり
見ているのかが理解できて安心した。
「サ、サインして下さい・・・」
今でも月に1人ぐらいの割合でサインを求める元ファンがいるのだ。
「えっ、サインですか?まあ、いいですけど・・・暫らく書いてないからなあ・・・」
ポリポリと頭を掻く矢口は差し出された物を見て(うん?)と思った。
「コ、コレにですか?」
差し出された物は30センチ四方の額縁に入った鏡だった。
黙って頷く男から鏡を受け取りサインペンでサインを書く矢口。
「でも、コレっきりにして下さいね、うちは元ファンの方は
一応お断りにしてるので・・・・」
矢口はやんわりと次回からの入店を拒否した。
「うわ〜〜〜!!!!」
矢口は今度こそビックリする。
サインを書いた瞬間、右手が吸い込まれるように鏡の中に入ったからだ。
鏡に吸い込まれた右手は肘の手前で止まった。
「な、なんだよ!コレ!!」
矢口の叫びに安倍も慌てて厨房から出てきた。
「どうしたの矢口!!」
「なっちぃ〜〜!!!」
今にも泣き出しそうな矢口は右手を安倍に突き出して見せた。
「なにそれ?」
どう見ても矢口の右手は鏡の中に入っている。
「ほ、本当だったんだ!・・・やった、たった〜〜!!!」
男は後ずさりテーブルを倒しながら慌てて店を飛び出し逃げていった。
582デッドオアアライブ :02/05/12 03:11 ID:4mMVsRu5
【 BATTLE AFTER 】第四話

 「どうしたんです?いったい」
紺野と高橋が学校から帰ると、ウエ〜ンと泣いてる矢口を
安倍と飯田が慰めていた。
その横で辻と加護が唇を尖らせて怒ったような顔をしている、
明らかに笑うのを必死に堪えてる顔だ。
「お〜、紺野がきたよ・・・これで安心だね」
飯田は紺野なら解決できると思い込んでいる。
しかし、紺野もこんな事が解決できる筈も無く首を横に振りながら
「解かりません・・・と言うより有り得ません」
と答えるのがやっとだった。
矢口は足をばたつかせて益々泣き出す。
「割ってみればいいのです」
辻は先の事など考えず無責任な提案をする。
「割るのは止めた方がいいと思いますよ、ちょっと見せてください・・・
外せますね、この額縁・・・」
紺野は額縁を外して見る。
「なんだこりゃ?」
安倍が驚くのも無理は無い。
鏡の裏に変な文字がびっしり書かれていて、その文字の中心に矢口真里と書かれている。
そして下の方には『鏡を割ってはならぬ』と達筆で書かれており、
その下に書いたと思われる人物の北海道の住所と電話番号と名前が書いてあった。
「これは、梵字ですね・・・」
「梵字?なにソレ?」
「私にも字の意味は解かりません、ですがこの電話番号に電話した方が
いいと思います、間違いなくコレを書いた人の物と思われますので」
紺野が携帯に手を伸ばすと矢口が叫んだ。
「ぎゃ〜!誰か私の手を握った〜!!」
「なに〜!誰かが鏡の向こう側にいるんじゃないのか?」
飯田は矢口が右手を振って鏡を壊しては駄目だと思い
矢口を後ろからガッチリと押さえつける。
「いや〜だ〜!!今度は舐めてるよ〜〜〜!!!」
「きっと、あの男だよ!」
安倍はさっきの気持ち悪い客が矢口の手をペロペロ舐めていると確信した。
「ますます、いや〜だ〜〜〜!!!」


安倍の勘と言うか推理モドキは当たっていた。
自分の部屋に戻った男は同じ形のもう一枚の鏡から出ている矢口の右手を
愛しそうに舐めていた。
そして、これからの事を思うと笑いをとめる事は出来なかった。
その笑みは下種な欲望に歪んでいた。

583デッドオアアライブ :02/05/12 03:14 ID:4mMVsRu5
【 BATTLE AFTER 】第四話

 騒がしい店内から外に出た紺野は電話番号の人物『渋川剛気』に電話した。
暫らくすると『ほいよ・・・』と老人の声が受話器を取った。
「あの、渋川剛気さんですか?」
『如何にもそうじゃが、おぬしは?』
紺野は自分の名を名乗り丁寧に事の事情を説明した。
『お〜、そうかそうか、本当に矢口真里とやらが居るのか?
そりゃ、悪い事したのう・・・』
「どういう事です・・・?」
渋川老の話はこうだった。
数ヶ月前、久しぶりに東京に遊びに来たが道に迷い途方に暮れている所に
名前は忘れたが親切な青年と出会い、意気投合して朝方まで遊んだという事だった。
その青年は元アイドルの矢口真里が好きで好きで、今でも忘れられないが
何処でどうしてるかも解からず、酔っ払って真里ー!と叫んでるのを
不憫に思い、酔いも手伝ってアノ鏡を即興で作ったやったとの事だった。
「そんな鏡、どうやって作るんです?」
『にひひひ・・・念法じゃよ・・・』
「念法?なんですそれは?」
『そっちに行ったら教えるわい・・・』
紺野は少し安心した、この老人は話した限りでは悪い人では無さそうだったのだ。
しかし紺野は知らなかった、この老人がスケベ老人なのを・・・・
584デッドオアアライブ :02/05/12 03:15 ID:4mMVsRu5
【 BATTLE AFTER 】第四話

 「解かりましたよ!ソレを作った人が来るそうです」
紺野は店内に入り皆に報告した。
矢口はエグエグッとベソをかいていた。
「そうか!じゃあ早速来て貰おうよ!」
飯田が言うと矢口も「早く早く、は〜や〜く〜〜!!!」と足をバタバタさせる。
「い、いや、北海道に住んでますので、明日来るとの事です・・・
それまでは我慢してもらうしかないそうです・・・・」
「なに〜!!明日?って・・・・ぎゃ〜〜〜!!!」
矢口がまた悲鳴を上げる。
「に、握らされてるよ〜!い〜や〜だ〜!!!」
「なにを?」安倍が聞く。
「言えないよ!うわ〜〜!!!」
「ハァ?・・・アレか・・・?だったら手ぇ開かなければいいじゃん!」
「刃物突きつけられてんだよ!!気持ち わ〜る〜い〜!!!」
顔を見合わせてどうしようもないと首をすくめる娘達。
何時の間にか辻と加護はいなくなっていた。
何故か可笑しくてしかたなかったのだ。
外に出て腹を抱えて笑う2人の子供の笑い声が店内にかすかに聞こえる。
「あいつ等笑いやがって・・・絶対許さない!!・・・うわっうわっうわ〜〜〜!!!!」
ネットリした物が手に掛かる感触に矢口は気が遠くなる。
矢口の悪夢はその老人が来るまで続く事になった・・・・・
585デッドオアアライブ :02/05/12 03:17 ID:4mMVsRu5
【 BATTLE AFTER 】第四話

 「ちょっとお爺ちゃん離してよ!スケベ!」
飛行場まで渋川剛気なる老人をバイクで向かえに行った飯田は
バイクの後ろに乗って飯田の腰に手を回す老人に辟易していた。
「離したらワシがバイクから落ちるわい!」
老人は飯田の腰に手を回したのをいい事にあちこちペタペタ触るのだ。
(なんちゅうドスケベ爺だ!)
背の低い白髪の好々爺たる容貌からは信じられなかった。
「ええ匂いがするのう・・・」
飯田の髪をクンクン嗅ぎながらちょっと胸をタッチする。
(この爺なら、あんな鏡を作ったのも判る気がする・・・)
飯田は自分に(我慢だカオリ)と言い聞かせるしかなかった。


「あっ、来たです!」
辻は飯田二輪店の3階の飯田の部屋の窓から飯田と老人の到着を見て皆に報告する。
一番広い部屋がいいと思って飯田の部屋に皆集まっていたのだ。
矢口はもう一言も喋らず呆けたような顔をしていた。
渋い茶色の作務衣を着込んだ老人は入って来るなり
「お〜、若い女の子ばかりじゃのう」と相好を崩した。
何故か飯田はうな垂れていた。
好々爺たる姿に皆安心する。
「ほう、ここは他と、ちと空気が違うのう・・・」
ふと上を見て「変な動物を飼ってるのう・・・それと・・・」
チラリと高橋を見て「まあ、いいわい、後でじゃ・・・」と意味深な事を言う。
高橋の表情が一瞬曇った。
「なんで分かるの?」
辻はすぐ疑問を口にする。
屋上に飼ってる獅子丸と虎次郎を何故この老人が分かるのか疑問だったのだ。
「ほっほっほ、お譲ちゃん、おぬしもココがちと開らいとるのう・・・」
老人は辻の額を人差し指でチョンと指す。
「変な感じがしますです」
辻は額を押さえてポカーンとする。
586デッドオアアライブ :02/05/12 03:18 ID:4mMVsRu5
【 BATTLE AFTER 】第四話

 「あ、あの初めまして私は昨日電話した紺野と申します・・・」
紺野はペコリと頭を下げて他の皆を紹介した。
「うむ、ワシは渋川剛気という者じゃ、渋川流念法の師範じゃ、
と言ってもワシ一人じゃがな・・・・」
ハッハッハと笑う老人は「おぬしが矢口ちゃんか・・・」
と矢口に近付き「済まなかったのう」と詫びた。
泣きそうな矢口は「へい・・・」とペコリと挨拶した。
「ところでじゃ、奴は昨夜からおぬしに何をしたんじゃ?
詳しく聞かせて貰えんかのう」
「なんでそんな事言わなくちゃならないんですか?」
「おぬしの為じゃ、具体的に言わないと術が解けん」
飯田はうな垂れながら首を振る。
(絶対嘘だ・・・スケベな事を聞きたいだけだ・・・)
しかしソレを否定する根拠はなかった。
仕方なく話す矢口をニヤニヤしながら聞く老人は周りの皆が
白い目で自分を見ている事に気付き「ウホン」と咳払いをして厳しい表情を作る。
突然矢口が「いや〜!まただ〜!!」と悲鳴を上げる。
また一物を握らされたのだ。
話を中断させられた渋川老はちょっと不服そうだったが
さすがに不憫に思ったのだろう。
「ふむ、矢口、今握ってるナニを力いっぱい握ってワシの合図で引き抜くんじゃ!」
老人が始めて真剣な顔になり、人差し指を鏡に当てる。
目が半眼になり何やらつぶやいた。
すると鏡の表面にまるで水面のように波紋が出来た。
「今じゃ!抜くんじゃ!!」
「うわ〜〜〜!!!!」
鏡から引き抜かれた矢口の右手にはあの男の男根が握られていた。
瞬間、ソレは勢いよく射精する。
「ギャ〜〜〜〜!!!!」
叫んだのは安倍だった。
白い白濁は安倍の顔面にピトピトとかかり安倍は失神し昏倒した。
「安倍さん!」紺野が駆け寄り、おぶって階下の洗面台に連れて行く。
立場は逆転した。
男の男根は鏡からニュッと突き出ていた。
「ほっほっほ、成功じゃわい」
矢口は自分の右手を見た。
ずっと、ねぶられていた右手は白くふやけていた。
「こんにゃろう!!!」
矢口は鏡の男根を怒りに任せて殴りつけた。
「ぎゃ〜〜!!」かすかに鏡の向こうから男の悲鳴が聞こえた。
587デッドオアアライブ :02/05/12 03:19 ID:4mMVsRu5
【 BATTLE AFTER 】第四話

 「この鏡はワシが預かっておく、まあ、半年もこのままにすれば
奴も反省するじゃろうて・・・しかしあの時はいい奴じゃったのにのう・・・」
老人は鏡をポイと投げると瞬間に鏡は消えた。
「え〜!どうしたの〜?」
目を丸くする辻はすぐに聞いた。
他の皆もキョトンとしている。
「おぬし等には見えんわ、これが念法じゃ・・・」
不意に渋川老は高橋を向いた。
その目は慈愛に満ちていた。
「さて、おぬしから出ている波動がワシの弟子の波動にソックリなんじゃが・・・」
その言葉に高橋は何かに気付き、その瞳から涙がポロリとこぼれた。
高橋の涙は正解だった。
念法を憶えた松田優作は渋川剛気の弟子だったのだ・・・・・

その光景を黙って見ていた矢口がハッと何かに気付き
ギロリと辻と加護を睨み付けた。
「そういえば、お前達、昨日私を見て笑ってただろう・・・・」
辻と加護は顔を見合わせて脱兎のごとく逃げ出した。
2人を追いかける矢口・・・ソレを見ていた飯田はハ〜〜と長い溜め息をついた。

588デッドオアアライブ :02/05/12 03:27 ID:4mMVsRu5
皆様いつも保全ありがとうデス、今日はここまでです。
次回更新も未定です。

あっしも次スレはまだ先でいいと思います。
ってか、そこまで行くのかも定かではないです・・・・

渋川剛気はあるマンガから名前を拝借しました。
名前だけね、でも達人な所は一緒か・・・・
589ナナー氏:02/05/12 10:40 ID:aHHt6HXP
更新乙です。
楽しみに待ってます。
590564:02/05/12 11:00 ID:BnFDYwqJ
コエヲダシテワロテシマイマスタ・・・
ヒジョウニヨカタッス。。。
591名無娘。:02/05/12 15:01 ID:FcbVuktM
ばきばきばき
592ののの虜 ◆nono2P.. :02/05/13 18:44 ID:hj6unPFo
更新キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
お疲れ様です〜
また保全しつつ次の更新を待たせていただきます。
593名無し募集中。。。:02/05/14 19:14 ID:jT+5By4J
保全
594名無し募集中。。。:02/05/14 22:57 ID:L3RUvTw3
age
595名無し募集中。。。 :02/05/15 21:41 ID:Shn/khgt
>>594
sage進行で宜しく。
596名無し募集中。。。 :02/05/16 02:15 ID:lWAVRmGN
保全
597デッドオアアライブ :02/05/16 20:36 ID:7Ut2T7Ya
【 BATTLE AFTER 】第五話


 飯田は渋川剛気に弟子入りを志願した。
理由は仮面とライダースーツを空中より自由に出し入れしたい為だった。
いつも着替えねばならなく面倒くさかったのだ。
「お爺ちゃん〜教えてよ〜念法ってやつを〜」
猫なで声の飯田に渋川老は一瞬鼻の下を伸ばしたが
「駄目じゃ、おぬしでは無理じゃ」とプイと横を向く。
「なんで〜?いいでしょ〜、ケチ〜」
「仕方ないのう、何故駄目なのか教えてやるわい・・・」
渋川老は飯田を連れて歩いて15分程の砂浜のある海岸に向かった。
 


598デッドオアアライブ :02/05/16 20:39 ID:7Ut2T7Ya
【 BATTLE AFTER 】第五話

 子供達がポツリポツリと遊ぶ砂浜に来た一同。
「なんでアンタ等ついてくんの?」
「だって、うち等も習いたいんだもん」
飯田はゾロゾロと付いて来た加護、辻、高橋に邪魔だと言わんばかりだ。
「ほっほっほ、飯田、おぬしよりはコヤツ等の方がまだマシじゃわい」
「なんでよ?」
「ふん、まあ教えてやる・・・」
渋川は腰を落し両手を前に突き出し指を鈎状に曲げて構える。
「念法とは人間の経絡に流れる7つのツボを思念によって開放する
念の技の事じゃ、基本は3ヶ所のツボ、ヘソの下に有る丹田と
胸の中心の神像と額の三賢じゃ、」
構えたまま、まったく動かない老人の踏みしめる砂がブワリと舞い上がる。
「先ずは丹田、これは自身の生態エネルギーを貯めるツボ・・・
そして神像、これは貯めたエネルギーを全身に行き渡らせるツボ・・・
最後に三賢、ここで思念を開放するのじゃ」
舞い上がる砂煙は老人の全身を隠した。
砂煙が晴れると老人はいなかった。
「ここじゃよ!」
声が聞こえた方を振り向くと老人がいた。
「どういう事?」
皆が呆然とするのも無理はなかった。
渋川老は波の向こう、50M程沖の海面に立っていた。
パシャパシャと海面に波紋を広げながら走ってくる老人は
「とう!」とジャンプするなり10M程跳んで飯田の前に着地した。
「どうじゃ、このぐらい出来るのに30年はかかるぞい、
自分の思念を込めた物を空から出し入れするのに10年はかかる、
飯田、おぬしでは無理じゃ、分かったか?」
599デッドオアアライブ :02/05/16 20:40 ID:7Ut2T7Ya
【 BATTLE AFTER 】第五話

 それでも飯田は食い下がった。
「でも、ジーパン刑事・・・いや、松田さんは3ヶ月で覚えたんだろ?」
「あやつは特別じゃ、奴は生身の体で念攻撃を受けて生き延びた、
それで念に目覚めたのじゃ、それに元々・・・・」
チラリと高橋を見る。
「あやつは人では無かった・・・・」
老人は高橋に近付き頭を撫でる。
「高橋よ、誰もおぬしを責めとらん・・・おぬしも被害者じゃからな・・・・」
そして飯田に諭すように言う。
「飯田よ、おぬしはココにいる中では一番普通の人間じゃ・・・
高橋しかり、辻も何故かは知らんが眉間のチャクラだけ半分程開いとる、
加護も辻の影響を受けつつある・・・・分かったら諦めるんじゃ」
「私だって普通じゃないよ!」
飯田は携帯を取り出し紺野にライダースーツを持ってくるように電話した。
600デッドオアアライブ :02/05/16 20:42 ID:7Ut2T7Ya
【 BATTLE AFTER 】第五話

 「なんじゃそりゃ?」
仮面を装着した飯田を見て渋川老は噴出しそうになった。
だが、構える飯田のベルトが光りだすと
「ほう・・・」と言って目が据わる。
「飯田さん、手加減しないと駄目ですよ」
紺野が飯田に注意する。
「分かってるよ、ちょっとギャフンと言わせるだけだけだから・・・
行くよ!お爺ちゃん!」
言うなり飯田がパンチを繰り出す。
飯田の言うギャフンパンチは言葉とは裏腹に殺傷力を持つマッハパンチだ。
「あれ?」
唸るそのパンチは渋川老を抜ける、残像を叩いたのだ。
「こっちじゃ」
真後ろから声が聞こえ飯田は反射的に裏拳を放つが、これも空を切る。
「こんにゃろう!」
飯田はいくつも拳を突き出すが全て叩くのは残像だけだ。
「捉まえればいいんだ!」
飯田は老人の作務衣の襟を左手で掴み右の拳を突き出す。
ボスッと音がして・・・叩いたのは作務衣だった。
「消えた・・・」
見回す飯田の視界には老人はいなかった。
601デッドオアアライブ :02/05/16 20:43 ID:7Ut2T7Ya
【 BATTLE AFTER 】第五話

 「飯田さん上!」
紺野の声で気付いたが上半身裸の老人は飯田の頭の上にチョコンと立っていた。
飯田は足首を捉まえようと頭に手を持っていくが
老人はそのまま垂直に3M程跳んだ。
「おりゃあ!」
飯田もジャンプする、空中では横移動は出来ない筈だ。
「もらったよ!」
「ふむ、受けちゃるわい」
飯田のパンチは渋川老の胸を捉えた。
パンチの威力で10Mもゴロゴロと吹き飛ぶ老人はピクリとも動かない。
「や、やばっ!・・・本気出しちゃった・・・」
一瞬蒼くなる仮面の中の飯田の顔は驚きのソレに変わった。
何事も無かったようにヒョコリと起き上がる渋川老は
「まだまだじゃのう」
と人差し指をクイクイと曲げて挑発する。
「やろう!クソ爺!」
飯田は何時の間にか本気になっていた。
飯田の攻撃をさばく時、老人は飯田の胸や尻をタッチしてニヤニヤする。
それが腹が立って仕方なかったのだ。
しかし、赤子と遊ぶように扱われる飯田は疲労で肩で息をしはじめた。

砂浜でのライダー対老人は遊びに来ていた人々のギャラリーで輪が出来ていた。

30分もたった頃には飯田は膝に手を付いて動けなくなった。
飯田の攻撃は渋川老によって全てさばかれたのだ。
 
「ふむ、頃合か・・・ほりゃ」
そう言うと渋川老は飯田の影を踏んだ。
「影を踏んだぞい、もう動けないじゃろ」
「どういう事なんだ?」
確かに何故か体が動かない。
「これは何に見える?」
老人は足元の砂を一握り掴む。
「砂・・・・」
「違うぞい、コレはミミズじゃ」
そう言われると砂はウニョウニョ蠢くミミズに見えた。
「ほれ!」
「やめて〜〜〜!!!」
老人がミミズを飯田に放った。
「ぎゃ〜〜〜!!!」
頭からミミズの大群を掛けられ飯田は失神した。

602デッドオアアライブ :02/05/16 20:44 ID:7Ut2T7Ya
【 BATTLE AFTER 】第五話

 飯田が目を覚ますと、目の前に紺野の顔があった。
「気付きましたか・・・」
紺野が砂浜に目をやると飯田も続けて見る。
夕日の砂浜で腰を落し呼吸法を練習する辻と加護、高橋が見えた。
「飯田さん砂を掛けられて失神したんですよ」
(・・・やっぱりミミズじゃなかったのか・・・・)
ぼんやりと考えてると悔しさが込み上げてきた。
指導していた渋川老がコチラに気付き近付いてくる。
「どうじゃ、悔しいか?」
黙って頷く飯田の目から涙がこぼれた。
「ふむ、じゃが、ワシもちと驚いたぞい・・・・
おぬし、仮面を被りながら鍛錬をすれば松田より上達するとみた、
どうじゃ、ワシの特訓は厳しいぞ、着いてこれるか?」
またもや飯田は無言で頷く。
「ふむ、それじゃあ、3ヶ月ばかりココにお世話になるかのう・・・」
「渋川さん、家に帰らなくてもいいんですか?」
紺野の問いに
「家に帰っても誰もおらん、山の畑がちと心配じゃが・・・
金には困っとらんしのう、松田が毎月、百万程送金してくれるんじゃ」
「月、百万円?何故です」
「ワシの授業料は高いんじゃよ、松田には2千万で教えたんじゃ
まあ、月賦じゃがな・・・・」
「に、二千万円!!・・・そんなお金家には有りませんよ」
「お前達から金は取らん、その代わり・・・・」
「その代わり、何です?」
「い、いや、何でもない・・・・・」
ニヒヒヒと笑いながら老人は練習する3人の所に赴く。
「その代わりって何なのでしょうか?」
解せない紺野に体を起こした飯田はペコリと頭を下げた。
「なあ、紺野・・・お風呂ぐらい覗かせてやってくれ・・・」
紺野の目が点になる。
「い、嫌ですよ絶対!飯田さんが覗かせてやってください!」
飯田が溜め息をつく。
「アタシは諦めてる・・・・・」
「や、やっぱり帰ってもらいます!」
飯田は紺野をなだめる・・・・
少しぐらいエッチな事をされても仕方が無いと思った。
先程の敗北が飯田にはショックだった。
それ程、強くなりたいと思ったのだ・・・・・・・・・
603デッドオアアライブ :02/05/16 20:45 ID:7Ut2T7Ya
【 BATTLE AFTER 】第六話

 大雪山の中腹に有る人も通れないような山道を登り
ちらほらと降る雪を恨めしそうに見上げて後藤は溜め息をついた。
「本当にこんな所に人が居るの?」
「内閣調査室の情報だから間違いないよ・・・それに電話もあるし」
「でも、電話、誰も出ないじゃん・・・」
「まあ、お年寄りらしいからね、死んでたら骨を拾ってやろう」
後藤と吉澤は松田との力量の差に愕然とし、念法を習得する事にしたのだ。
調べた結果、この辺に住んでいるのは渋川剛気という老人だけだった。
その老人は過去に一度だけ拳法の世界大会に出場して
驚異的な強さで大会を制したが忽然と姿を消した伝説の人物と
同姓同名だった、それだけが念法と老人を結びつける唯一の手掛りだった。

森を抜けると視界が開けた。
そこには小さな段々畑と井戸が有った。
平屋建ての一軒家だが小さいながらも道場らしき物も有った。
「ここだよ、絶対、やっと見つけた・・・」
2人とも安堵の溜め息をついたが、間も無く落ち込む事になった。
いくら呼んでも誰も居ないのだ。
「もう、ここから下りるのは嫌だよ・・・・」
後藤は春だというのに雪のちらつく山道を下りるのは我慢出来なかった。
「そうだね・・・仕方ない、渋川って人が帰るまでココに居よう・・・
ちょうど道場も有るし、勝手に修行してようよ・・・・」

後藤と吉澤はこれから3ヶ月もの間、渋川老を待つ事になった。
しかし、精錬な空気が漂う念の篭る道場で修行する2人は
何時の間にか念を独自に習得する。
松田から受けた念攻撃が2人の秘功を開きやすくしていたのだ。

604デッドオアアライブ :02/05/16 20:48 ID:7Ut2T7Ya
ども、今日はここまでです。
次回も更新未定っす・・・・

皆様いつも保全ありがとうデス。感謝・・・・では!
605名無し募集中。。。 :02/05/16 21:22 ID:eddHAdHZ
お〜、更新乙です。
次も楽しみにしています。
606590:02/05/16 21:27 ID:fQ/dUljM
更新乙カレーっす。。。
続き、マターリマッテマス・・・
607ののの虜 ◆nono2P.. :02/05/17 00:29 ID:NszZd4W5
ノハヽo
D`从<更新乙です〜。明日ゆっくりと読まさせていただきます・・・
608ののの虜 ◆nono2P.. :02/05/17 00:30 ID:NszZd4W5
  oノノハヽo
 从TDT从<ゴメンナサイ。
609606:02/05/19 00:10 ID:7i6fbUoZ
マターリ保全。。。
610ナナー氏:02/05/19 17:21 ID:QX7lhEc1
期待。。。
611ケケケケケ!:02/05/19 23:32 ID:L7fSsCFX
 個人的には、中澤姉さんに復活してもらいたい所です。
 
中澤裕子: 
 本来は組織の最高幹部クラスとして、最強の改造人間となるべ
く改造が進められてきたが、あと少しというところで組織は壊滅してしまい、そのまま放棄されてしまう。しかし、かろうじて生きていたコンピューターはそのまま改造手術を続け、ついに完成
してしまう。その能力は対念能力者戦を念頭に置いており、飯田はおろか、後藤や吉澤、念能力を持つ雄作ですらたちうちできないほど。しかしコンピューターのトラブルにより、すべての記憶
を失ったまま放り出される事になる。彼女が本来の能力にめざめ
た時何が起こるのか、娘。達を待つ運命はどうなるのか、誰一人
わからぬまま、彼女は今日も街をさまよう。自分自身をみつける
ために・・・。
 
 いろいろ勝手に書きました。まあよろしく。
612名無し募集中。。。:02/05/20 21:17 ID:xDtfNSlg
保全
613 ◆hozenLyY :02/05/21 15:58 ID:aLrK/EzN
 
614611補足。:02/05/21 21:25 ID:rwqe1Tbq
 この中澤は、いわゆる「DBZ」のセルのようなものだと思っ
て下さい。
 「最強」だけを追い求める狂ったコンピューターが造り上げた至高のバトルサイボーグ、組織の総ての改造人間を遥かに上回る究極の存在・・・になるはずが、目覚めた彼女の前に逢ったのは
自分の名前のみ、目的も仲間も、導いてくれる存在すら無い。それでも中澤は只一つ、おぼろげに記憶している「ヤグチ」という
言葉のみをたよりに動きだすのである。

 補足するはずが、ますますわからんようになってしまった。
615名無し募集中:02/05/21 21:27 ID:ayjhkMJM
>>614
もうしわけないが、sage進行でかいてもらえないかな?
616デッドオアアライブ :02/05/22 05:31 ID:NLd5Tuvr
ども、なかなか書かなくてスマソ。
お詫びに下手ながら吉澤のイメージを描きました。
似てないのは許してね。
http://isweb41.infoseek.co.jp/play/blanch/cgi-bin/data/IMG_000007.jpg

>>611>>614
なかなか面白いですが、(ちょっとソレを頂いてみようかとも思った!)
一応中沢は他の役を考えてます。     申し訳。
617ののの虜 ◆nono2P.. :02/05/22 19:59 ID:z86GMW/7
絵もイイ!!
いいなぁ多才で・・・
618lsie ◆Q8zQAQ7c :02/05/23 20:23 ID:UgmsQt5o
楽しみに読ませていただいております。

>>作者さま。
>>611.614氏さま。

それでしたら、この設定を平家みちよに流用できないっすかねぇ?
614の矢口に関する部分をのぞいて。とか?

一応、オーディションでは”勝ち”な部分を
最強の改造人間と読み替えて。
619デッドオアアライブ :02/05/23 23:58 ID:qz/uAGzF
【 BATTLE AFTER 】第七話

お風呂から上がってボンヤリとテレビを見ていた矢口が
突然、飲んでいた矢口ジュースを吹きだした。
「ななな、なんだ!?」

司会者に紹介されて現れたのは、新人としてデビューしたユニット
『モーニングペアー』という2人組みだった。

「なっち、なっち!大変だよ!早く来て!」
お風呂から上がったばかりの安倍がタオルで頭を拭きながら居間に入ってきた。
「なんなの?うるさいな〜」
「大変だよ、石川と松浦がテレビに出てるよ!デビューだって!」
「え〜!!!どういう事?」
画面の中の石川と松浦はリカッチとアヤヤと名乗っていた。

「なんか、2人とも雰囲気変わったね〜、大人っぽくなってる・・・」
変に感心する安倍に矢口が突っ込む。
「何言ってんの!松浦はアタシの前で一回死んでんだよ!」
「・・・じゃあ・・・?」
「多分、改造人間だよ」

画面の『モーニングペアー』はデビュー曲の『駆け巡る青春1,2,3』を歌う。
♪モーニンモーニング〜モーニングペアー♪モーニンモーニング〜モーニングペアー♪
ボックスを踏んで歌うミニスカートの石川と松浦は凄く楽しそうだ。

「だ、ださっ!なにコノ歌!ボックス踏んでるし!」
「でも・・・なんか楽しそうだね・・・・」
安倍は頬杖をついて少し微笑んでいる。
「あ、ああ・・・だね・・・」

矢口も多分改造人間で有ろう2人が少し羨ましく、応援もしたくなる。
何時の間にか古臭いメロディのこの歌を二人で口ずさんでいた。


620デッドオアアライブ :02/05/23 23:59 ID:qz/uAGzF
【 BATTLE AFTER 】第七話

深夜の高層ビルを見上げる2人組み。
黒い皮の全身タイツに身を包んだ大柄の男とスレンダーな美女・・・
お揃いの猫のマスクを着ける真矢と妻の石黒彩だ。

「このビルの5階ね・・・」
「ああ、一人で大丈夫か?」
「ふふ、任せといて」
真矢は腰を落として両手の指を交差させて彩の踏み台を作る。
彩は真矢の交差させた手の平に両足を乗せた。

「行くぞ!」
「OK!」
真矢の腕に太い血管が浮き上がると同時に渾身の力で
彩を上空に放り投げる。
ちょうど5階の窓にとどくあたりで彩は両指を広げる。
「はっ!」
5階の窓にピタリと指先だけで張り付いた彩はマジックミラーで出来た
窓の内側を目を凝らして見た。
「ふむ、誰も居ないね・・・・それにしても凄い数の赤外線だな・・・
ま、アタシには関係無いけどね」
彩は窓に張り付いている右を離す、キンと音がした。
指先がキラリと光る、彩は鋭い爪を有していた。
その爪を窓に突き刺し全身の体重を支えていたのだ。

右手人差し指が大きく弧を描くとその通りに窓は切り取られる。
窓は音も無く外れ、そのガラスを真矢に放り投げた。
真矢はその窓ガラスを人差し指で受け止める、
「ふん!」指に念を込めるとガラスは砂のようにサラサラと崩れた。
それを見届け彩は室内に入り、無造作に歩を進める。

赤外線の防犯装置は何故か彩を感知できなかった。
周りの宝石類には目もくれず進む、彩の目指す先には
ガラスケースの中に鎮座する時価数十億円とも言われる
ダイヤモンドが煌めいていた。
このビルで有名な宝石店の展示ショーが開催されていたのだ。
その中でも目玉の『王妃の涙』と言われるこのダイヤを狙う盗賊。

石黒彩は少し考えたが、躊躇せず右手を振り上げた。
パカリと割れるガラスケース、同時に非常サイレンが鳴った。
「やっぱり・・・・」
彩は無造作にダイヤを胸の谷間に押し込むと同時にカードを取り出す。
そのカードには『CAT'S-EYE』と書かれていた。
入ってきた窓から飛び降りる彩はキャッツカードを投げ込む。
ダイヤが在った場所には投げ込まれたキャッツカードが突き刺さり煌めいていた。
621デッドオアアライブ :02/05/24 00:00 ID:1aH9dfm2
【 BATTLE AFTER 】第九話

 インターネット上で猫を虐待する様をリアルタイムで報告する男が居た。

深夜、マンションから出てきた男は紙袋を持って裏に流れる川に向かった。

「ヒャハハハ・・・・」
その男は川原に来ると堪えきれない歪んだ笑いを漏らす。
ボンと紙袋を蹴飛ばすと中から虐殺した猫が飛び出る。
「ハハハ・・・」
そのまま帰ろうと振り向くと人影が立っていた。
「ひっ・・・」
真っ暗な川原に佇む人影を、雲が切れて現れた月光が照らす。
男は取り合えず安心した。
月光が照らした人影は女だったのだ。

「な、なんだよオマエ・・・?」
「アンタ、もうそこから動けないよ・・・」
「はぁ?なに言って・・・・」
女の言葉は嘘では無かった。
何故か体が動かない。

「アンタ、その猫を殺したの?」
「何を馬鹿な・・・・あ、ぁぁ・・・そ、その通りだ・・・」
男は愕然とした、嘘が付けなくなっていた。

「猫の思念がアンタの周りに漂ってるよ・・・」
男の全身から冷や汗がドッと噴出す。
(あの目だ、女のあの目が光ったのを見たからだ・・・・)
「その猫ちゃんの苦しみを味わいながら死にな・・・・」
女がきびすを返すと同時に男の耳が千切れた。
「ぎゃぁあああ!!!」
ボクンと音がして腕の骨が折れる。
何故かひとりでに虐待した猫と同じ現象に合い、のた打ち回る男・・・

市井沙耶香の瞳を見る者は、その邪眼『パンサーアイ』によって
自由を奪われる木偶となる・・・・

市井の影が消える頃、虐待者の命も苦しみの中に消えた・・・・



622デッドオアアライブ :02/05/24 00:03 ID:1aH9dfm2
【 BATTLE AFTER 】第十話

 眠らない街、新宿歌舞伎町、その中にひっそりと建つ4階建てのビルが有る。
『中沢ビル』・・・・オーナーは中沢裕子だった。

元のビルの持ち主は自分の資産の全てを中沢に差し出した。
差し出した理由は本人が頑として口を開かない。
開けば自分の命が無い事を充分過ぎるほど解かっている。
元のビルの持ち主はそのままひっそりとヤクザを引退した。

ビルの中には中沢の住まいと中沢が設立した芸能事務所、
テナントとして飲食店が何軒か入っていた。
そして地下一階のフロアを全て使って中沢がママ、平家みちよがチィママの
バー『パンサークロー』が在った。

「兄貴、ここですぜ・・・」
「ほう、ここか・・・そのショバ代を払わねえ女が経営してる店ってのは・・・」
パンチパーマの2人組みだが、この後男達は地獄を見る事になる、
正確には死ぬ事になる。

『パンサークロー』の店内には一般人の客が数人いたが
男達の成りを見て、またか・・・といった顔をした平家が
奥にあるビップルームに2人組みを通した。

豪華だが頑丈な造りの扉の奥に通された2人は入ったとたんに外から鍵を掛けられた。
「なんだこの部屋は・・・?」
「出せやゴルァ!!!」
扉を蹴るがビクともしない。
それよりも驚いたのは何も無い灰色の十畳程の室内に立ち込める死臭と
淀んだ目で2人を睨めつける、不気味な男が立ちすくんでいた事だ。
「なんだオメエは・・・?」
口元に血が付いている男は無言で2人に近付いた。

それは蠱毒だった。
蠱毒・・・・虫や蛇をひとつの壷に入れて、共食いをさせて最後に
生き残った一匹を呪う相手に放ち、その人物の所有する
全ての物を奪う術・・・・
『パンサークロー』のビップルーム・・・
それは入れた人間を殺し合わせる蠱毒の壷だった。
ただし、呪う人物などいない。
生き残った人間、それは中沢裕子の餌だった。


623デッドオアアライブ :02/05/24 00:04 ID:1aH9dfm2
【 BATTLE AFTER 】第十話

 最後の客が帰り、看板を閉める。
「そろそろ、こっちも終わったかね?」
「とっくに終わってると思うよ」
そう言うと平家はビップルームの鍵を開けた。
ムンと死臭の漂う室内に生き残っていたのは兄貴と呼ばれたパンチパーマの男だった。
その男は弟分の腕の肉を咀嚼していた。
「裕ちゃん・・・・」
平家は顎をしゃくって促がす。
「へいへい・・・」
中沢は深呼吸をしながら近付き、男に向かって息を吹きかけると
男はあっと言う間に絶命した。
中沢の意識を集中する息はどす黒い瘴気を含んでいた。
無言のまま中沢は死体の心臓辺りに手を当てると意識を集中する。
手を戻すと、黒く煙みたいな靄のかかる物体を握っていた。
さらに集中すると、その物体は中沢の手の平に吸い込めれるように消えた。
蠱毒の瘴気を体内に吸い取る中沢は魔人そのものだった。

カウンターに座り
頬杖をついて気だるそうにブランデーのグラスを傾ける中沢の前に
平家が一枚の新聞記事のコピーを差し出した。
それは3ヵ月後に世界の宝石、絵画が一同にかいする、某民放が主催する
国内最大級の展示会の開催記事だった。

中沢の目が輝きだす。
「これこれ、こういうのを待ってたんよ、みっちゃん偉いわ」
「どうする?」
「決まってるやん、やっと、うち等の活動に見合う仕事が出来るやん」
「じゃあ?」
「秘密結社『パンサークロー』のメンバー全員集結や!
みっちゃんメール皆に送っといて!」

中沢が長を務める犯罪組織『パンサークロー』・・・・・
中沢は犯罪組織は造ったものの活動内容はまだ未定だった。
やるなら目立つデカイ仕事をしたかったのだ。
624デッドオアアライブ :02/05/24 00:06 ID:1aH9dfm2
【 BATTLE AFTER 】第十一話

 「みんな〜♪ハッピー!!!」
着実に営業の仕事をこなすモーニングペアー。
マネージャーの新垣にメールが届いた。
《パンサークロー全員集合・・・時間は・・・・》
新垣が報告すると石川と松浦はふて腐れた。
「なんで〜?せっかく波にのってきたのに〜!」
「私とリカちゃんは社長(中沢)に殺されたんだよ!まあ、拾ってくれて
デビューさせてくれたのはありがたいど・・・・」
新垣が困り果てた顔をすると、ちょっと反省したのか
「もう、分かったわよ、その代わり、ちゃんと時間作ってね」
新垣の頭を撫でる石川。
「ハハハ、ヤバそうになったら裏切っちゃえばいいのよ!」
あっけらかんと笑う松浦、そして石川。
その笑いは中沢に対する忠誠心など微塵も無かった。
怖いのは2人がかりでも勝てるかどうか分からない中沢の強さだった。
そんな2人の胸中を知る新垣も中沢に忠誠心は無かった。
理由は知らないが自分をデビューさせなかった中沢を怨んでいた。
しかし、中沢の呪縛からは逃げられない。
新垣は当初、メンバーの中で唯一何の能力も持っていなかった。
その新垣を強くしたのは中沢の蠱毒だった。
新垣は中沢に命を握られたのだ・・・・・・



625デッドオアアライブ :02/05/24 00:15 ID:1aH9dfm2
ども、間違ってageてしまった・・・
今回、敵の全貌を書いてみました。
感想書いてくれた方の意見を一部取り入れて一応皆、めっちゃ強いです。
よって次回更新も未定っす。

>>620は第八話の間違いです。
それと、またヘボいイメージイラスト描きますた。
http://isweb41.infoseek.co.jp/play/blanch/cgi-bin/data/IMG_000008.jpg
ではっ!!!

626609:02/05/24 00:35 ID:GaMDGtJw
乙でっす。。。
ムッ、話がわからん・・・
いろんな小説読んでたら混乱してきた(w
もう一度、最初から読もう。。。

イラストいいですね!!
個人的には、あいぼんを(略
627ナナー氏:02/05/24 02:07 ID:96cTm/77
錚錚たる面子登場に期待大。
628デッドオアアライブ :02/05/24 03:01 ID:1aH9dfm2
>>626確かにちょっと分かり辛いかも・・・・
ちゅう事で今回新たに登場した敵を簡単に紹介しまふ。

秘密結社『パンサークロー』
       『ツョッカー』壊滅後、中沢が仲間を集めて造り出した
       超魔人による改造人間犯罪集団。
       *『ツョッカー』が余りにも強く造った為、
         手に余り日本に放逐した残党達、全員念法を使う。

★中沢裕子  総帥
       中沢ビルのオーナー兼バー『パンサークロー』のママ兼
       中沢芸能事務所社長。
       必殺技 暗黒瘴気を操る。瘴気に触れた人間は即死。

★平家みちよ 副長
       バー『パンサークロー』のチィママ
       必殺技 不明

★市井沙耶香 団員 
       自分を探し放浪の旅をする。
       必殺技 邪眼『パンサーアイ』で相手を木偶にする。

★石黒彩   団員
       夫の真矢と共にCAT'S-EYEとして盗賊家業に勤しむ。
       必殺技 超硬質の爪『キャッツクロー』で全てを引き裂く。

★真矢    団員
       超怪力の持ち主。妻の彩と共にCAT'S-EYEとして盗賊家業に勤しむ。
       必殺技 指先から発する超振動で相手を粉砕する『ダイヤモンドクラッシュ』
629デッドオアアライブ :02/05/24 03:02 ID:1aH9dfm2
★石川梨華  団員
       松浦と共に『モーニングペアー』として歌手デビュー(中沢芸能事務所所属)
       必殺技 複数の五寸釘を天空に放りシャワーのように
           相手に突き刺す『モーニングシャワー』
          
★松浦亜弥  団員
       石川と共に『モーニングペアー』として歌手デビュー(中沢芸能事務所所属)
       必殺技 不明
 
★新垣理沙  団員
       『モーニングペアー』のマネージャー(中沢芸能事務所所属)
       必殺技 不明

* 他にも団員が居るかは不明
 
630デッドオアアライブ :02/05/24 03:06 ID:1aH9dfm2
まあ、こんな所ですか・・・?
あんまり期待されても困るので(←逃げ道を作る)
出来る範囲でボチボチと更新して行きたいと思いまふ。
631626:02/05/24 18:30 ID:OeHlwswt
>デッドオアアライブさん

ありがとうございまふ、
よく理解できますた。。。
では、いつもどおりマターリまってます・・・
632デッドオアアライブ :02/05/24 18:48 ID:sqRlVtlI
マターリと言いつつ、またイメージイラストです。
後藤ですが、似てない・・・・
http://isweb41.infoseek.co.jp/play/blanch/cgi-bin/data/IMG_000009.jpg
633名無し募集中。。。:02/05/24 22:35 ID:PS3OJsXe
市井も敵側として復活ですか。後藤との対決とかあるんですかね?
なんかまた切なくなりそうな…。でも今後の進展に期待大。頑張ってください。
634ナナー氏:02/05/24 22:42 ID:ei8V1/8k
>作者殿

急かしている訳ではないのです。
あの面子ですので期待せずにはいられなかったのでつい・・・(w
ま、マターリマターリ待っております。
635ののの虜 ◆nono2P.. :02/05/24 23:48 ID:2mTU27tw
  oノノハヽo
 从´D`从<ぅぉ乗り遅れた・・・更新おつかれ様です。
636ケケケケケ!:02/05/25 02:50 ID:+RPSVcJ4
 改造人間犯罪者組織「パンサークロー」総帥の魔人・中澤ですか・・・・。いやあ、やってくれましたねえ。今後に期待大です。次元を超えた強さ、恐ろしさを思う存分見せてください。
637名無し募集中。。。 :02/05/25 03:06 ID:KBFgY7Ia
>>636
だから、sageないと荒らしだと思われちゃうよ。
638緊急保全:02/05/26 03:14 ID:DyT0dVbL
保全です
639デッドオアアライブ :02/05/26 06:17 ID:WkZSYIas
更新しないで、こんなん描いてまふ。。。スマソ
名無し君と加護ちゃんでふ。。。。
http://isweb41.infoseek.co.jp/play/blanch/cgi-bin/data/IMG_000010.jpg
640 :02/05/27 03:33 ID:WmN9IZ1/
保全
641名無し募集中。。。:02/05/27 21:28 ID:FA0XGrIQ
保全
642デッドオアアライブ :02/05/28 05:21 ID:MeRLnSYz
【 BATTLE AFTER 】第十二話

 朝食を取りながら朝刊のチラシを見た矢口はチラチラと安倍を見て
何か言いたそうだった。
「どうしたの矢口?さっきからこっち見て・・・」
「あ、いや・・・ちょっと・・・これ見たいんだけど・・・」
「なに?見せてみて・・・」
矢口からチラシを奪い加護と一緒にそのチラシを見る。
そのチラシには新人歌手のモーニングペアーのミニコンサートが
一駅向こうの公園の野外の舞台で行われると宣伝していた。
「あ、いや、ほら入場料無料だし・・・ちょっと気になるし・・・」
照れ隠しをする矢口に対して、安倍は物分りの良いお姉さんだった。
「ふむ、3時からか・・・じゃあ矢口2時から行ってきていいよ、
そのかわり夕方には帰って来るんだよ!」
「本当!やった!」
喜ぶ矢口と加護。
安倍は一緒に行くつもりの加護を叱る。
「加護!アンタは駄目!学校でしょ」
「え〜!」
「それに学校終わったら直ぐに帰って来るんだよ!矢口が帰るまで
店の手伝いだからね!」
「え〜!」
口をへの字に曲げる加護に矢口はべ〜と舌を出してからかった。
643デッドオアアライブ :02/05/28 05:22 ID:MeRLnSYz
【 BATTLE AFTER 】第十二話

 新曲を楽しそうに歌う石川と松浦を舞台袖から見ている中沢は頷いてみせた。
「うん、なかなか評判良いじゃない・・・」
『パンサークロー』の初回の活動はまだ先の事だ。
中沢はメンバーの中で一番のわがままコンビのやる気を促がす為に
たまには付き合ってやろうと、この小さなコンサートに足を運んだのだ。

「お客さんだって千人以上来てるんじゃない・・・・・?」
舞台袖から客席を覗く中沢は満足そうだ。
「は〜、昔を思い出すわ・・・・みんな立ち見やん・・・」

ドクン・・・中沢の心臓が鳴った。

客席の後ろの方で首だけチョコンと出す見憶えのある顔・・・・
背が小さいからピョコンピョコンと飛び跳ねて舞台を見ようとする顔・・・・
間違いなかった・・・・
中沢の瞳からポロリと涙が落ちる。
心臓が締め付けられて痛くなった。
644デッドオアアライブ :02/05/28 05:23 ID:MeRLnSYz
【 BATTLE AFTER 】第十二話

 新垣は舞台袖で胸を押さえてしゃがみ込む中沢を見つけて近付く。
「どうしたんですか?中沢さん・・・」
「新垣・・・・ちょっと来い・・・・」
中沢は新垣を連れて控え室に向かった。

「・・・・客席に・・・矢口がいる・・・」
「えっ!」
「新垣・・・おまえ、コンサートが終わったら矢口の後を着けて居場所を
着きとめるんや・・・・誰にも内緒やで・・・」
「でも・・・」
中沢の指がギリギリと音を立てて新垣の首に喰い込んだ。
「居場所が分かったら私に報告するんや・・・矢口に接触してもあかんで・・・」
ドンと突き放され咳き込む新垣に冷たい眼差しの中沢は
「この後の石川達のマネージングは私がやる・・・・行けっ!!!」
喉を押さえる新垣に命じた。
無言で部屋を出る新垣。

ひとり無人の控え室で佇む中沢は両手で顔を覆った。
生きているとは思っていなかった。
しかし、今更居場所を知ってどうするのか・・・・
どうする事も出来ないのは自分でも分かっている。
ただ、少しでも矢口と繋がっていたい・・・・

・・・・・それだけだった・・・・・・・

645デッドオアアライブ :02/05/28 05:24 ID:MeRLnSYz
【 BATTLE AFTER 】第十二話  

 『レストランプチモーニング』
その店に消える矢口を見届けて帰ろうとする新垣の足が止まる。
店の中を見たくなったのだ。

そっと窓から中を覗くと懐かしくも聞きなれた笑い声が耳に入ってくる。
中には矢口の他にも安倍と加護がいた。
店の中は今の自分には無い空気が流れている。
虫が明るい所を求めるように、無意識に新垣の足が動いた。
夢遊病者のように・・・・

カランカラン・・・・
入って自分が場違いな所に来た事に気付いた。
3人の目が点になっていた。

「新垣・・・?・・・新垣か・・・?」
黙って頷く新垣。
「そ、そんな所に突っ立てないでこっちにおいで・・・」
安倍の優しい言葉に涙が出そうになった。
「ほら、おいでよ」
矢口に手を取られカウンターに座らせられた。
「はは、久しぶりだな〜」
「ねえ、ご飯まだでしょ、なっちが夕食つくってあげるから食べてって」
自分が死んで生き返っている事に気付いているのか、
その事を口にしない気遣いと優しさが嬉しかった。
しかし加護に気遣いという言葉はなかった。
「でも、理沙ちゃんって死んだよね・・・」
ゴンと矢口のゲンコツがなった。
「阿保!なんて事いうねん・・・・」
うつむく新垣に安倍が声をかける。
「ねえ、新垣・・・気にしなくていいよ、あんたも高橋と一緒なんでしょ?」
「えっ?」
「高橋もね、一度死んで改造されたみたいなんだけど・・・
今じゃ、隣りのカオリの所に紺野と一緒に居候してるんだよ」
「えっ・・・本当・・・?」
「ののも一緒に住んでるよ」

なんだろう・・・この空気・・・懐かしくて・・・暖かい・・・
みんなと一緒に暮らしていいのかな・・・・?
・・・・一緒に暮らしたい・・・・
646デッドオアアライブ :02/05/28 05:26 ID:MeRLnSYz
【 BATTLE AFTER 】第十二話 

 飯田の部屋で座禅を組み呼吸法の修行をしている飯田と渋川剛気。
瞑想をする飯田に渋川はエロ話しを耳元にささやく。
雑念を払う修行と称してセクハラを繰り返す渋川老は
最後にはキレる飯田をからかうのが楽しかった。
その渋川老が何かに気付いた。
「飯田よ感じたか・・・・」
散々エロ話しを聞かせられた飯田に限界がきた。
「感じる訳ねえだろ!そんなエロ話しで!馬鹿っ!!!」
「い、いや、そうじゃなくて、感じんかって?」
「だから、感じないってエロ爺!!!」
「いや、じゃから、体ではなくて、異形の物を感じるかって?」
「異形の物・・・?」
「そうじゃ・・・念を集中するんじゃ」
不信感を露わにした顔で、それでも神経を集中する。
「・・・念だ・・・それも・・・」
「そうじゃ、人の物では無い・・・」
「大変だ・・・なっち達が・・・」
立ち上がる飯田と渋川老。
「飯田よ、今までの修行の成果、試す時がきたようじゃ・・・」
「う、うん・・・」
「それをもってワシは帰るかどうか決める・・・」
「えっ・・・う、うん・・・」
渋川の言葉は嬉しくもあり、寂しくもあった。
 
647デッドオアアライブ :02/05/28 05:27 ID:MeRLnSYz
【 BATTLE AFTER 】第十二話   

 安倍の作ったハンバーグ定食はとても美味しかった。
楽しい時間はあっという間に過ぎる。
新垣は接触するなとの中沢の言葉も忘れて
改造人間になってから初めての楽しいひと時を過ごした。
今のこの時間だけ、自分が本当に棲んでいる場所を忘れる事ができた・・・気がした。
泊まっていけよとの矢口の言葉が染みたが
新しい家族ができて、その人達が待ってるからと嘘をついて席を立った。
「ま、また来てもいい?」
矢口はニカッと笑ってみせる。
「当ったり前じゃん!いつでも来いよ!待ってるから!」
「本当?本当に来てもいいの?」
泣きそうな顔の新垣の頭を加護が撫でる。
「いつでも待っとるでぇ」

手を振りながら新垣を見送る、安倍、矢口、加護・・・・
新垣も3人が見えなくなるまで手を振って帰り道を歩いた。

648デッドオアアライブ :02/05/28 05:29 ID:MeRLnSYz
【 BATTLE AFTER 】第十二話 

 暗くなった帰り道、トボトボ歩く新垣の前に2つの人影が立った。
黒い皮のライダースーツを着た飯田と作務衣をまとった老人だ。
飯田の瞳からは涙が流れていた。
「・・・飯田さん・・・」
飯田は無言のまま砂浜へ続く道を新垣にうながし歩いた。
「ハハ・・・気付いていたんだ・・・」
道すがら新垣はポツリとこぼした。
新垣も泣いていた。

砂浜に立つ飯田と新垣を月光が照らした。

「飯田さん、何も喋らないんだね・・・私を殺すつもりなの?」
それでも無言の飯田の涙は止まらない。
「私もね、感じるよ飯田さんの念を・・・そんなんじゃ私に勝てないよ・・・
死ぬのは飯田さんだよ、いいの?それでも・・・」
無言のままの飯田の代わりに渋川が口を開いた。
「殺してもかまわん・・・その時はおぬしは帰ってよいぞ、ワシも手出しはせん」
「飯田さんの師匠ですか?黙って見ててくれるのはありがたいです・・・
あなたには勝てそうも無いですので・・・・」
ペコリと頭を下げる新垣は頭を上げると別の顔になっていた。
ダラリと垂らした手から瘴気が漏れる。
「行きますよ、飯田さん、せめて楽に死なせてあげる・・・」
踏み出そうとする新垣の足が止まった。

飯田は両手を頭上に掲げる。
すると、何時の間にか両手の間には赤く輝く仮面が握られていた。
「変身!!!」
仮面の内側から蒼い稲妻がスパークして飯田は仮面を装着する。
黒いライダースーツは瞬時に赤いライダースーツに変わる。
飯田の念法は仮面とライダースーツに籠められていたのだ。
http://isweb41.infoseek.co.jp/play/blanch/cgi-bin/data/IMG_000011.jpg
649デッドオアアライブ :02/05/28 05:30 ID:MeRLnSYz
【 BATTLE AFTER 】第十二話 

 目を見張る新垣・・・
今の飯田は自分と互角、いや、それ以上か・・・・
「うわああぁぁあああ!!!」
新垣は弾丸のように飯田の懐に跳びこんで瘴気漂う両手の掌打を飯田の胸に打ち込む。
「な、なんだ・・・あっけなかったね・・・・」
瘴気を含んだ拳を当てられゴロゴロと転がる飯田は動かない。
「うん・・・?」
よく見ると飯田はそのままの状態で震えていた。
「・・・泣いているの・・・?・・・な、泣いているのかぁぁああ!!!」
膝を突いて立ち上がる飯田に跳び込みざまに瘴気の洗礼を浴びせる新垣。
「なんで泣くんだ!死ぬのはアンタなんだよ!!!」
普通の人間だったら一撃で即死する瘴気の拳を飯田は受けては立ち上がる。
新垣の肩は興奮して上下に大きく揺れる。
「なんだよ!なんで攻撃しないんだよ!アタシより強いと思ってるのかよ!!」
ユラリと立ち尽くす飯田は尚も震える体を隠そうとしない。
「死ぬのはアンタなんだ!!・・・・アタシは死なない・・・死にたくない・・・・
死にたくないんだ!!!」
この闘いをどう観る・・・・渋川剛気・・・・

離れた所から腕を組む渋川老は飯田の心の葛藤を察っする。
(飯田よ、おぬし、やはり気付いておったか・・・
じゃがな、このままでは、おぬしが死ぬ・・・・・・
そやつの瘴気は今のおぬしじゃ、あと何発も持たんぞ・・・・・
言うんじゃ、あの娘に気付かせてやるのじゃ、それがおぬしの務めじゃ・・・・)
渋川老は飯田が渋川流を卒業する時がきた事を想った。
650デッドオアアライブ :02/05/28 05:32 ID:MeRLnSYz
【 BATTLE AFTER 】第十二話 

 「わぁぁあああ!!!」
初めて飯田が新垣にパンチの反撃をした。
「ぎゃっ!!」
ボディに喰い込んだ飯田の拳は一撃で新垣を立ち上がれなくした。
大の字になって動けなくなった新垣の瞳から一筋の涙がこぼれる。
「・・・新垣・・・おまえ、気付いてるのか・・・・?」
「・・・死にたくない・・・」
「・・・おまえ、もう死・・・」
「いやぁぁあああ!!!言わないでぇぇええ!!!」
新垣は駄々っ子みたいに手足をばたつかせる。
それを見る飯田はヒックヒックとしゃくり上げながら最後の言葉を新垣に伝えた。
「・・・おまえ、おもえは・・・・死んでいるんだぞ!!!!」
「わぁぁあああ!!!」
新垣の体が自分の瘴気に飲み込まれていく・・・・・


新垣は何の能力も無いただの改造人間だった。
それを念の使い手にしたのは中沢の蠱毒の壷だ。
いやがる新垣をバー『パンサークロー』のビップルームに押し込め
瘴気漂う毒の部屋で、さらわれて来たヤクザ者を相手に何人も闘い、そして殺した。
いつしか毒に犯され自分が死んでるのかどうかさえ判らなくなった。
数週間も続いた地獄は新垣を生きる死人に変えていた。
・・・・・・新垣はそれを知らない・・・・いや、気付かぬ振りをしていたのだ・・・・・

飯田は安倍達と楽しそうに談笑する新垣を見た時に気付いていた。

この娘の魂を救う事が殺す事なのか最後まで分からない・・・・

砂のように崩れる新垣の体は風にさらわれ波に溶けていった・・・・・


「お爺ちゃん・・・・」
飯田の横に何時の間にかいる渋川老は自愛に満ちた眼差しを海に向ける。
「あの娘の死に顔を見たか・・・?」
首を振る飯田に優しく渋川は語りかけた。
「そうか・・・ワシは見た・・・じゃがおぬしには教えん・・・
答えは、これからの人生で探すんじゃ・・・・」

新垣が最後に食べた安倍のハンバーグ定食・・・・
それは余りにも悲しい、ささやかな幸せだった・・・・
651デッドオアアライブ :02/05/28 05:41 ID:MeRLnSYz
ども、こんな朝からなにやっとんじゃ!
と怒らないで下さい。
やっぱり最初に死んだのは新垣ですた。

ちゅうことで次回更新も未定・・・・
こればっかりやな・・・・スマソ
652ねぇ、名乗って:02/05/28 12:23 ID:At5MTMQq
更新キタ〜
653ほぜん:02/05/29 01:05 ID:K4qxPgF/
いいね!!!!!!!!!!!!
654 :02/05/29 19:44 ID:K4qxPgF/
ほぜん
655名無し募集中。。。:02/05/29 21:35 ID:NMwPHYKf
デッドオアアライブさん益々文章が冴えますね。
今後が更に楽しみになります。
656ののの虜 ◆nono2P.. :02/05/29 23:21 ID:ofvFqATN
更新乙です〜。(ё)に感動しました。


>背が小さいからピョコンピョコンと飛び跳ねて舞台を見ようとする顔・・・・
萌え〜
657名無し募集中。。。 :02/05/30 20:58 ID:/eaWgG7F
保全
658名無し募集中。。。:02/05/31 21:14 ID:UYT9OMGE
今日も保全
659 ◆HOzENDAE :02/06/01 16:28 ID:9f5tctH9
 
660保全。:02/06/02 21:56 ID:cUxpqQrE
保全。頑張れ。作者。
661保全!:02/06/03 13:26 ID:7G5oXHzA
保全。いつも読んでいます。頑張って。 
662保全。:02/06/03 22:45 ID:3PWeT7KZ
保全。
663デッドオアアライブ :02/06/04 10:18 ID:Ne1VK8pO
皆様いつも保全ありがとう御座います。
WCの影響で書いてませんスマソ。
一応考えてますのでモチット待って下さい。
664664:02/06/05 05:58 ID:PS2VHv+z
待ちますとも!
665 :02/06/05 21:02 ID:Jb0vjVpY
ほぜーむ
666名無し募集中。。。:02/06/06 20:43 ID:6SGtzqYv
667デッドオアアライブ :02/06/08 02:54 ID:eJL2X7J9
【 BATTLE AFTER 】第十三話 

 渋川剛気が帰る事を聞いて紺野は心の底から喜んだ。
今までの3ヶ月、紺野は風呂場を覗かれたり、朝起きたら隣りに渋川が寝ていたりと
散々な目に合わされていたからだ。
渋川は辻と加護と高橋にはセクハラはせず、彼女達にとっては良いお爺ちゃんだった。
紺野と一緒に喜んだのはセクハラ被害者の安倍と矢口も同じだったが、
一番の被害者の飯田は何故かベソを掻いていた。

「今まで世話になったのう・・・・じゃが・・・」
満面の笑みの紺野は少し訝しげな顔になる。
「じゃが・・・なんです?」
「紺野、おぬしの嬉しそうな顔が気に食わん・・・・もう少しおるかのう・・・」
わ〜!と喜ぶ辻、加護を尻目に紺野は慌てた。
「な、何言ってんです!・・・嬉しそうな顔なんかしてませんよ!心で泣いてるんです」
そう言うと紺野は明らかな嘘泣きを始めた。
「そうか、帰って欲しくないんか・・・じゃあもう少し厄介になるかのう・・・・」
紺野の顔が蒼くなる・・・・

ヒヒヒとからかう渋川と紺野の漫才は紺野がキレて終わった。
「帰れって言ってるんです!スケベ爺!」
ハァハァと肩で息をする紺野。
「じゃが、わし一人で帰るのものう・・・・ちと寂しいわい」
どうしても渋川を帰したい紺野の執念は飯田を犠牲にする事を選んだ。
「じゃあ飯田さんを渋川さんのお供につけますので!」
エッ?とする飯田を無視して、キッと飯田を睨む紺野は鬼の形相だ。
「飯田さん、渋川さんを北海道まで送って行ってください!!」
皆が唖然とする程の紺野の勢いに押された飯田は
「・・・・・はい・・・・・・」
と答える以外、答えようが無かった・・・・・


668デッドオアアライブ :02/06/08 02:56 ID:eJL2X7J9
【 BATTLE AFTER 】第十四話 

 「ねえ、お爺ちゃんまだなの?」
北海道大雪山群・・・・何処に居るかも分からない飯田は
かれこれ3時間も同じ山道を歩いている気がする。

「しかし、よくお爺ちゃんの家に電気や電話なんかあるね・・・・」
腰を押さえて立ち止まる飯田に渋川はニヤつきながら顎をしゃくってみせた。
「上を見てみい」
空を見上げても何も無い、有るのは青い空と雲だけだ。
「ふん、念を使って見るんじゃ」
「おっ?」
凝視すると黒い電線が木々の間を縫うように走ってるのが見えた。
「ニヒヒ、わしが勝手に引いたんじゃ」
「勝手にって・・・電話はどうしてんの?」
「秘密じゃよ・・・それよりもう少しで着くから辛抱するんじゃ」
ハァと溜め息をつく飯田は、知らない人の電話線を勝手に引き込んでると確信した。

電線を見上げながら歩く飯田は、空を舞うイヌワシをボンヤリと眺める。
ふと、渋川が足を止める。
「どうしたの?」
「ふむ、結界が破られておる」
「結界って?」
渋川は足元に落ちている梵字が書かれている縦長の紙を拾い上げる。
「山を出るときにばら撒いたんじゃがのう・・・」
その結界の札は半分千切れていた。
それは3ヶ月前、吉澤と後藤が偶然に踏み潰した物だった。

669デッドオアアライブ :02/06/08 02:57 ID:eJL2X7J9
【 BATTLE AFTER 】第十四話

 清廉な空気が漂う渋川の道場で瞑想する吉澤の元に
後藤が戸をトントンと叩いて顔を出した。
「誰か来たみたいだよ」
「うん・・・・」
この3ヶ月で念を自然に習得した2人の感覚は離れた所に居る
念能力者の気配を敏感に感じ取る事が出来る様になっていた。

「やっぱり、この家の人だよね・・・」
「多分ね・・・どうしようか」
「怒られるよね・・・よっすぃお金持ってる?」
「持ってるわけ無いよ、だってカードしかないもん」
吉澤と後藤は、この家に有る非常食と思われる羆の干し肉とかの食料を
殆んど食べつくし、畑の野菜も全部食べてしまっていた。
吉澤は剣の修行で家の周りに有る木を何本も切り落とし、
それを薪にしてお風呂を沸かし、ご飯を炊いたりした。
後藤は家の中を勝手に模様替えをして女の子の部屋にしてしまっていたのだ。

どうしようか話し合っていると外から老人の声が聞こえた。
「なんじゃ〜!!こりゃ〜〜!!!」
明らかに怒っている声に2人は、そっと窓から顔を出す。
「・・・!!・・・」
目を丸くする2人は顔を見合す。
外には小さな老人と知っている顔・・・飯田圭織がいたのだ。

思わず外に出る吉澤と後藤に今度は飯田が驚く。
「ごっちん・・・よっすぃ・・・?・・・なんで?」
ポカンとする飯田と渋川。
渋川は中から出てきた美女2人に、怒るのも忘れて鼻の下を伸ばし相好を崩した。

670デッドオアアライブ :02/06/08 02:58 ID:eJL2X7J9
【 BATTLE AFTER 】第十四話

 「・・・・と、言う訳なんです・・・・」
いきさつを話しペコリと頭を下げる吉澤と後藤。
うむ、と一応怒った顔をしてみせる渋川だが、
その心根を知る飯田は腰に手をあて首を振る。
「ところでじゃ、おぬし等念を使えるようじゃが・・・・」
顔を見合わせてニッと歯を見せる吉澤と後藤。
「じゃが、まだまだじゃな・・・この飯田の足元にも及ばんわ」
今度は飯田がニッと笑う。
「ほう、じゃあ、お爺さんの実力を試す意味でも、
かおりんと一度手合わせしないとね」
後藤はこの3ヶ月の成果を試してみたくなった。

道場の真ん中で対自する飯田と後藤。
後藤が首を捻る。
「かおりん、仮面つけなくていいの?」
飯田は両手を前にかざしてニヤリとする。
「コレな〜んだ?」
愕然とする後藤。
飯田の手に仮面が忽然と現れたのだ。
「変身!!」
仮面を被る飯田の服は瞬時にライダースーツに変わる。
中指を立ててクイクイと挑発する飯田。
後藤の額の血管がピクリと動いた。
671デッドオアアライブ :02/06/08 03:00 ID:eJL2X7J9
【 BATTLE AFTER 】第十四話

 「どうなっても知らないよ、かおりん!」
後藤が指をバキバキと鳴らしながら歩み寄り軽くジャブをくりだす。
仮面に当たった拳の感触で後藤は敗北を直感した。
構えた飯田に、思わず後ろに跳んで構えなおす後藤の額から汗が滲み出した。
「かおりん・・・どんな修行したの?」
技とか力量じゃない根本的な何かが違う事に気付いた後藤は疑問を口に出した。
「へへへ〜、秘密・・・」
にじり寄る飯田の正拳が真っ直ぐに後藤の顔面に飛ぶ。
両手の平で拳を受け止めた後藤は飯田が本気を出していない事が分かった。
だが、手の平からジンジンと伝わる感触に覚えがある。
それは以前、松田優作から受けた念と同じ感触だった。

「そこまでじゃ」
手を上げて試合を止める渋川。
後藤は自分の負けを認めざるを得なかった。
へへん、と飯田は得意そうだ。
「これが念法じゃ・・・違いが解かったようじゃの・・・
自己流でよく頑張ったと、言いたい所じゃが、それ以上は無理じゃ」
ほっほっほと笑う渋川は後藤に近付き
「どれ、筋肉を見てやるわい・・・」と言い、
ガックリと肩を落とす後藤の体をペタペタと触りだした。
それがセクハラとも知らない後藤は素直に体を触らせた。

「お爺ちゃん!」
見かねた飯田が注意する。
「おぬし、飯田より強くなる可能性があるぞい」
飯田にセクハラをばらされたくない渋川は、
飯田が何か言う前に後藤の可能性について言及する。
「本当?」
今の飯田との対自のショックから自信を失いかけた後藤は目を輝かせた。
「本当じゃわい、それにはわしと一緒に暮らして修行せんとな」
また始まったと飯田は思ったが、
確かに念を習得するにはそれが一番の早道なのも確かだった。
「どれ、おぬしの筋肉も見ないとな・・・・」
吉澤を舐めるように見る渋川。
(別の意味で、なんか危険じゃないのか?)
そう思い始めた飯田はこのまま帰っていいのか悩み始めた。


672デッドオアアライブ :02/06/08 03:06 ID:eJL2X7J9
ども、お待たせしてスマソ。
今日はここまでです。
次回更新も未定!

今日本当に久しぶりに狼を覗いたら【吉】とか【中吉】とか
名前欄に出ている・・・・ あれは一体なんなのだ?
IDも???つきだが表示されてるし。
673レクイエム:02/06/08 06:59 ID:q6Ohz3yZ
相変らず面白いです。続き期待してます!!
674ナナー氏:02/06/08 09:58 ID:YN0PbV9k
更新乙です。
>ヒヒヒとからかう渋川と紺野の漫才は紺野がキレて終わった。
キレた紺野ちゃん、恐いんだろうなぁ(w
次回も期待。。。
675ののの虜 ◆nono2P.. :02/06/08 22:50 ID:5F7SWZao
oノノハヽo
从 ´D`)<更新おつです〜。
       >>672名前欄に#omikujiでおみくじが引けます。。。
       IDも任意になってなんだかな〜っていう状態です。
676デッドオアアライブ :02/06/09 15:22 ID:GCIxEgRw
>>673
フフフ、貴殿もガンガッテ下さい。
>>674
感想アリガトウです、励みになりますYO
>>675
をを〜、そうなんだ、アリガトウでやんす。
677名無し募集中。。。:02/06/11 20:11 ID:j0VnhAXO
678 :02/06/11 21:50 ID:+NTexPxW
hozen
679お疲れさまです:02/06/12 17:36 ID:tYDZIV3Y
保全。
680デッドオアアライブ :02/06/12 21:19 ID:RmKKAkJ1
アルvsスウェ観戦記念カキコ!
観てきますた!世界を見ますた!
 
ちゅう訳で更新はもちっと待ってください。
681デッドオアアライブ :02/06/12 23:07 ID:RmKKAkJ1
682エレコマニア・マリオJ ◆nBfobFj. :02/06/12 23:33 ID:lkJ9KhxX
てか、なんでそこでののはハダカなんですか(w
683ののの虜 ◆nono2P.. :02/06/12 23:41 ID:1Z1Bh9U2
あいののキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
裸ハァハァ( ´Д`)(w
684ののの虜 ◆nono2P.. :02/06/13 23:52 ID:UJV6n+4M
oノノハヽo
从 TDT)<このタイミングでスレが止まるときついのれす
        保全。。。。
685デッドオアアライブ :02/06/14 02:41 ID:/Jcby8lu
【 BATTLE AFTER 】第十五話 

 海岸線の通学路を紺野と高橋のジンジャーが2台並んで走る。
朝の眩しい空気の中で高橋と顔を見合わせてニコリとする紺野は
飯田に渋川と一緒に北海道に帰るように命じた事を
(本当は私は良い事をしたんだ)と、自分自身に言い聞かせていた。

渋川が帰ると言い出してから急にショボーンとしだした
飯田に対してキツク言い過ぎたかと、内心反省していたのだ。

その飯田から、渋川の家で思いがけず吉澤達と会ってしまい
一緒に修行すると連絡が入って紺野はホッとした。
電話の向こうから聞こえる飯田の声は本当に嬉しそうだったからだ。 

「これで、良かったんですよ、ねえ、愛ちゃん?」
「・・・何が?・・・」
不意に紺野から同意を求められても何の事だか分からぬ高橋は小首をかしげる。
「あっ、いや、なんでもないよ・・・」
ハハハと照れ笑いする紺野の目の片隅に寂しげな女性が映った。
遠目にしか見えないが、防波堤に腰を下ろし海を見詰めて物思いにふける、
何故かその女の人が気になった。

「どうしたのボンヤリして?・・・今度はよそ見?」
高橋の声にハッと我に返る紺野。
「ははぁ、分かったよ、あさ美ちゃん、飯田さんが帰って来ないから寂しいんだ?」
「えっ、ち、違います、居なくなって、かえって清々してるんだから」
「え〜、本当?」
「本当です、さっ、急ぎましょう、遅刻しますよ」
アクセルをふかしキャハハハと高橋との距離を離す紺野は
制服のスカートをはためかせ、
「早く、早く〜」と高橋に大きく手を振った。



686デッドオアアライブ :02/06/14 02:42 ID:/Jcby8lu
【 BATTLE AFTER 】第十五話 

 同じ女子高、同じクラスの紺野と高橋はいつも一緒に行動する。
いつかの、すれ違った2人の心の距離を埋めるように・・・

高橋は時々、寂しそうな顔を見せる。
多分・・・いや、きっと松田の事を思い出しているんだろう。

でも紺野はそれは仕方の無い事だと思う。
男の人を好きになったことは有るが、愛したことは無い。
高橋の寂しげな顔を見るたびに自分では埋められない愛という言葉。
紺野は焦っている訳ではなかった・・・・
ただ・・・少し・・・切なかった・・・


今日のお昼の弁当は高橋が作ってきた。
オカズは高橋特製のハンバーグだった。
昨夜一人で一生懸命ひき肉をこねる高橋は横から覗き見する
紺野と辻に見ちゃ駄目と必死に両手で材料を隠した。

高橋のハンバーグは美味しかった。
「安倍さんのハンバーグと同じくらい美味しいですよ」
「本当?」
「ええ、愛ちゃん昨日一生懸命作ってたもんね」
牛乳瓶を口に運びコクコクと飲む紺野を頬杖をついてニコニコと見る高橋。

「どうしたんですニヤニヤして?」
「へへへ〜」
「もう、言ってください」
「そのハンバーグね、あさ美ちゃんが嫌いな人参とピーマンがたっぷり入ってるんだよ」
「えっ」
目をパチパチとまばたく紺野。
それを見た高橋は「やったー」と手を叩いて喜んだ。
「もう!」
ほっぺたを膨らませながら唇を尖らせる紺野は
昨夜の高橋の慌てぶりを思い出して涙が込み上げてくるのを必死に我慢した。
687デッドオアアライブ :02/06/14 02:43 ID:/Jcby8lu
【 BATTLE AFTER 】第十五話 

 「愛ちゃん、いい物見せてあげる」
お昼休み、高橋の手を取って校舎の裏庭に案内する紺野。
「へへへ〜、花が咲いてからと思ったんだけど・・・・」
小さな花壇の端にアザミが小さなつぼみを付けていた。
「この花はアザミって言って9月14日の誕生花なんだよ」
「・・・私の誕生日・・・・」
「そう、私の名前にもちょっと掛けてるんだけどね」
高橋は屈み込み、小さな赤いつぼみをそっと撫でる。

暫らくの間、高橋はつぼみを見詰めていた。
しゃがむ高橋の小さな背中は少し震えている。
「ねえ、あさ美ちゃん・・・これあさ美ちゃんが育てたの?」
「う、うん・・・」
紺野も屈んでひっそりと佇むつぼみを見る。


アザミの花言葉は『独立』だった。

花と同じように小さな高橋は何から独立するのか、紺野は判らない。

色も形も違う2人の小さな翼は、いつ羽ばたくのか、それも判らない。

でも、今日ちょっとだけ翼を広げて羽ばたいてみようと思う。

お互いの間に流れる小さな溝ぐらいは飛び越える事が出来そうな気がする。

それが出来なくても、支え合い求め合える掛替えの無い友達になりたい・・・・


「ねえ、あさ美ちゃん・・・私もお花に水をあげてもいい?」
「うん・・・いいよ」
立ち上がり如雨露を取りに水飲場に駆け出す高橋を見詰める紺野。


小さな翼を広げたのは高橋も一緒だった。

お互いの翼が重なり合って今までより鮮やかな色彩の翼が出来上がる。

紺野は今日出来たばかりの『おとぎ話』をいつか高橋に話せる日が来る・・・
そんな事をぼんやりと考えながら如雨露から水をこぼしながら
駆け寄ってくる高橋を笑顔で迎えた。
近い日に花咲くであろう高橋の誕生花を2人で見る事を楽しみにして・・・・

688デッドオアアライブ :02/06/14 02:46 ID:/Jcby8lu
【 BATTLE AFTER 】第十五話 

 いつもの海岸線をジンジャーで下校する紺野と高橋。
紺野がジンジャーを止めて防波堤を訝しげに見る。
「どうしたの?」
「うん、あの人・・・・朝も居ましたよ・・・・」

防波堤に腰を下ろし、海を見詰める女性が居た。
「朝から・・・?」
「ええ、確かにあの女の人です」
目を凝らして見る・・・・・

ドクンと紺野の心臓が鳴った。

気付いたのは紺野だけではなかった。
「あ、あの人は・・・・」
高橋の声は震えていた。
「とにかく行ってみましょう、私達を憶えているんなら危害は加えないでしょう」

ボンヤリと海を眺めている女性は紺野達が後ろに近付いても気付かないようだった。
「あ、あのう・・・」
声を掛ける紺野に虚ろな瞳で振り向いたのは市井沙耶香だった。
「やっぱり、市井さん・・・」
「どうして私の名前を・・・・?・・・・・」
市井の瞳の焦点が合ってくる。
「あ、あんた達・・・紺野と高橋・・・・?」
「はい、お久しぶりです」
紺野と高橋はペコリと頭を下げた。

防波堤に並んで腰を下ろす3人の影。
「あの・・・朝からここに居たんですか?」
「なんだ知ってたのか・・・だったら朝に声を掛ければ良かったじゃん
って、そっかぁ、学校に行ってるのか?」
制服を見る市井に高橋は頷く。
「いや、懐かしいなあ・・・あの時、丁度この3人でチーム組んでたもんな・・・」
「はい、あの時はお世話になりました」
もう一度頭を下げる紺野に手を振って遮る市井。
「そんな大層なもんでないよ・・・恥ずかしいよ」
市井はポリポリと頭を掻いて照れてみせた。
何時しか3人は忌まわしくも懐かしい思い出話に花を咲かせた。
689デッドオアアライブ :02/06/14 02:47 ID:/Jcby8lu
【 BATTLE AFTER 】第十五話 

 思い出話もポツリポツリと途切れがちになる頃、市井はフッとこぼした。
「実はな・・・死に場所を探してたんだ・・・」
「えっ?」
「あ、いや、何となくだよ・・・・」
ハハハと笑う市井の顔を2人は凝視する。
2人の視線に気付いた市井は観念したように呟いた。
「・・・いや、実はな・・・自分でもよく分からないんだ・・・」
うつむく市井に高橋が立ち上がり声を掛ける。
「だ、だったら、私達と一緒に暮らしましょうよ」
市井はその姿勢のまま左右に首を振る。
「どうして?」
「あんた達とは棲む世界が全然違うよ・・・・」
「違う?何が?・・・・市井さん改造人間でしょ?」
高橋のその言葉にビクリとする市井。
「私だって、改造人間です・・・・でも・・・でも・・・・」
ヒックヒックとしゃくり上げ始めた高橋はそれ以上言葉が出なかった。
紺野がなだめて高橋を座らせる。
沈黙の時間が続き、辺りは夕暮れの朱色に染まる・・・・

不意に口を開いたのは市井だった。
「なあ、高橋・・・やっぱり私はあんた達の世界に飛び込めないよ・・・・
でも、その逆だったら・・・・」
何かを決意した市井に紺野が聞く。
「その逆ってなんです?」
「なあ、もう一度トリオを組むか?」
「トリオ・・・?」
「そう、そしたら私にも失った何かを取り戻せるかもしれない・・・・」
市井の瞳が静かに光りだす・・・・・
その日を境に高橋と紺野は行方が分からなくなる・・・・・
 

花壇にひっそりと佇む、2人で育てようと約束した高橋の誕生花・・・

紺野がいつの日か高橋に聞かせたいと思った、形も色も違う2人の翼のおとぎ話・・・

紺野と高橋のささやかな夢は叶わぬ願いに変わるのか・・・

3人が消えた海岸沿いの道には2台のジンジャーがきちんと並べられていた・・・

持ち主の帰りを何時までも待つかのように・・・

690デッドオアアライブ :02/06/14 02:54 ID:/Jcby8lu
お待たせして申し訳!
紺野の嫌いな食べ物は分からなかったので適当です。

>>682-684確かに・・・これも申し訳!
それでは保全に感謝しつつ次回更新も未定という事で・・・・では!
691名無し:02/06/14 05:26 ID:33z1LZFh
更新乙!!なんかスゲー切ないっす!
続きが気になるわぁ・・・
692名無し募集中。。。:02/06/14 14:02 ID:iZtZyr3V
3人どこ行っちゃうんでしょう?
うわー、この先すごい気になる。
693名無し募集中。。。:02/06/14 18:29 ID:3oVOCJE9
更新乙です。
急展開キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!!!
紺野ちゃんの無事を祈りつつ、
「小さな冒険」じゃ済まされないような今後に期待。。。
694ののの虜 ◆nono2P.. :02/06/14 23:35 ID:J4K9PfM0
oノノハヽo
从 ´D`)<更新乙です〜♪

高橋紺野いいなぁ。

>>690
ぃぇぃぇ・・・
ちょうど誰もレスしなかったんで書いてみただけです。。。
695エレコマニア・マリオJ ◆nBfobFj. :02/06/15 12:18 ID:5Jja4S/o
乙です。絶妙すぎる誕生花と花言葉に吃驚しました。
あ、参考までに。食べ物好き嫌い一覧だそうです。
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/2843/tabemono.html
696ののの虜 ◆nono2P.. :02/06/15 12:53 ID:0LoXsipm
今調べてきたら後藤真希の誕生日(9/23)の誕生花って
イチイなんですね・・・・。
花言葉:高尚(知性や品性の程度が高いこと。気高くて、立派なこと。)

なんかぴったり。
697ののの虜 ◆nono2P.. :02/06/15 12:59 ID:0LoXsipm
矢口→きんぽうげ:子供らしさ
石川→松:不老長寿
加護→忘れな草:私を忘れないで
安倍→こけ→母性愛

ここらへんが特にぴったりかな?
石川のにワラタ。加護のがせつない・・・从 TDT)
698デッドオアアライブ :02/06/15 18:16 ID:l5cZzyEB
>>695
をを〜!アリガトウございまふ、参考になります!
俺の当てずっぽうは見事に外れますた・・・

>>696-697
後藤の誕生花!マジで?
それだけで一本小説出来そうです・・・(いや、俺には無理だけど・・・・)
矢口、石川、加護、安倍も言い得て妙ですな。
矢口のは花の名前もなんか矢口っぽい。
加護のは去年の騒動を思い出した。
石川、安倍はワラタよ。
いや面白いですね、ありがとうございまフ。
699デッドオアアライブ :02/06/16 02:58 ID:qA9i8QqS
【 BATTLE AFTER 】第十六話 

 どこか寂しげな街路地を所在無げに歩く3人・・・
市井は小さな公園を見つけて紺野と高橋を促がす。

噴水を見ながら市井が高橋に聞く。
「なあ、高橋・・・お前の大切な物ってなんだよ・・・?」
「・・・・・・」
うつむいて答えようとしない高橋。
「・・・松田とか言う男か・・・?」
「何故それを?」
フッと笑う市井。
「歩きながら、切なそうに話したじゃないか・・・」
「・・・?・・・」

高橋は今しがた何を話したのか記憶が無い、それは紺野も同じだった。
市井の念能力『パンサーアイ』で木偶と化した事も分からない。
2人は記憶が所々飛んでいた。

「松田と言う男・・・私が殺したよ・・・」
「えっ!」
「黒ずくめの男だろ・・・」
「嘘です!あの人は念法を使えるんです!」
「私も使える・・・・」
「そんな・・・・」
ワッと泣き出す高橋。


高橋から松田の名前と姿形を聞いて市井は少し驚いた。
松田優作を瀕死の状態に追い込んだのは市井だったのだ。
だが、松田は生きている。
明らかな嘘を言い放つ市井沙耶香。
しかし、高橋と紺野は市井の嘘が分からない・・・
自分が市井の言うなりになってることさえ解からないのだから・・・


「ここだよ・・・高橋、今日からお前はこの部屋で一人で暮らすんだ・・・」
市井は高橋にマンションを用意した。
高橋の手には百万程の札束が握られていた、生活費として市井が用意したのだ。
「ここで、一人で・・・?」
「そうだよ、私が迎えに来るまで一人で暮らしな・・・」
「何故・・・・」
「・・・自分を探しな・・・」
そう言うと市井は一瞥もくれず部屋を出る。

一人ポツンと残されて、所在無げな高橋・・・
「・・・自分・・・?」
不安は膨らむばかりだった。

暫らくするとチャイムが鳴った。
「・・・はい、どちら様です?」
「・・・俺だ・・・」
その声に凍りつく高橋。
聞き憶えがあるその声・・・・
信じられない面持ちでフラフラと玄関の鍵を外す・・・・

市井の言った『自分を探す』という言葉・・・・
言葉の意味さえ今の高橋には解からなかった・・・・


700デッドオアアライブ :02/06/16 02:59 ID:qA9i8QqS
【 BATTLE AFTER 】第十六話 

 飯田は気が気ではなかった。
辻から連絡を受けて直ぐに帰京した。
何故か悪い予感がする、紺野と高橋は勝手に行方を眩ます人間ではなかった。
『ツョッカー』の残党の仕業かもしれない。
渋川、吉澤、後藤にも、来てくれと頼んだが
相手が念能力者だったら、吉澤と後藤では手の打ちようが無かった。
彼女達は修行中の身なのだ。
渋川はそれを指導する立場の人間だ、彼が居なければ修行は出来なかった。
(冷たい連中だ、来てくれたっていいじゃない!)
飯田は解かっている、もしも相手が念能力者だったら、死ぬのは吉澤達だって事は・・・
でも・・・そう思わずにはいられなかった。

紺野達のジンジャーが見つかり、飯田は七曲署の刑事達に
事情を聞いたが、逆に飯田が事情聴取される羽目になった。
刑事達は当てにならないと思った飯田は愛車『サイクロソ』に乗り込み
当ても無く道路に飛び出す。

「かおり、何処に行くの?」
安倍に咎められても、ただ黙って家に居る訳にはいかなかった。
「何か有ったら携帯に電話して!私は探しに行く!」
当ても無くバイクを走らす飯田。
紺野の反応を示す携帯レーダーは持ってる。
しかし、機械音痴の飯田には使いこなす事は出来なかった。

飯田は本当に当ての無い捜索を開始した。
泣きたくなる気持ちをグッと堪える飯田は
自分さえ居たらこんな事にはならなかったと自分を責める。
それ程、自分を追い込んでいた。

701デッドオアアライブ :02/06/16 03:00 ID:qA9i8QqS
【 BATTLE AFTER 】第十六話 

 市井さん・・・教えて下さい・・・これは貴女の望んだ事なんですか・・・?

あれから何日たったのかも分からない・・・
何週間か・・・何ヶ月か・・・自分は何者なのか・・・

コツコツコツ・・・・・
今日も自分を求めてこの部屋にやって来る、
廊下を歩くあの男の足音が聞こえてきた・・・

プルルルル・・・・・
耳に押し当てる冷たい受話器から聞こえる「・・・今から行く・・・」あの男の声・・・
鍵を外し、暗い部屋で息を詰めて待つ自分が居る・・・

その男は松田に似ていた・・・
声も、顔も、話し方も、そして・・・優しさも・・・
でも・・・別人だった・・・

彼は自分を松田と名乗った・・・
でも解かる・・・偽名だと・・・

話していく内に松田に似ているその男に惹かれ始めた・・・
肌を合わせるのに時間は掛からなかった・・・
高橋は松田に似ているその男を突き放す事が出来なかった・・・
いや、寂しかったのかもしれない・・・

逢瀬を重ねる程、会いたいと思う気持ちが強くなる・・・
これが愛なのか自分でも解からない・・・
でも、会いたいと思うほど、自分の気持ちが見透かされているのが解かった・・・

いつか尋ねた事があった。
「泊まっていかないの・・・?」
ベットで腕を回す男は静かに首を振った・・・
恥ずかしかった・・・
心を読まれているような気がして・・・

高橋は解かっている・・・
その男が松田では無い事は・・・

しかし、その男の瞳は優しさに満ちていた・・・
その優しさを離したくなかった・・・
痛い程に心が引き寄せられる・・・

もう、忘れたい・・・全てを・・・
胸も、髪も、指も・・・全て燃え尽きたい・・・




私、どうかしてるのかな・・・?
もう、自分が解からなくなったよ・・・


市井さん・・・教えて下さい・・・これが貴女の望んだ事なんですか・・・?

702デッドオアアライブ :02/06/16 03:02 ID:qA9i8QqS
【 BATTLE AFTER 】第十六話 

 当て所ない捜索の旅をする飯田の携帯に辻から連絡の入ったのは
数週間が過ぎる頃だった。
『あさ美ちゃんから電話が来たのです!飯田さんが帰ったらまた電話するって!』
「なに!本当か?よし、今から帰るよ!5時間ぐらい掛かるから待ってて!」
今、飯田は広島に居た。
変身して『サイクロソ』を飛ばせば、そのぐらいの時間で帰れる筈だ。
「変身!!」
高速道を飛ばす銀のバイクは眩しい閃光になった。



紺野からの電話は、あの港で待ってるとの事だった。
「あの港・・・?」
辻がキョトンと聞く。
「ああ、高橋と松田さん、そして小川と会った港だよ・・・」
そんな場所に呼び出すなんて・・・
飯田は嫌な胸騒ぎがした。
「ののも行くのです!」
「うちも行くでぇ!」
辻と加護は付いて行くつもりだ。
「お前達は駄目だよ!嫌な予感がするんだ・・・」
「なら、なおさら行くのです!ののは強いのです!」
「うちだって、めっちゃ強いでぇ!」
飯田は困った。
「絶対、駄目!聞き分けなさい!」
「絶対、行くのです!」
「絶対、行くでぇ!」
飯田は呆れる。
「じゃあ、勝手にしな!」
「じゃあ、勝手にするのです!」
「じゃあ、勝手にするでぇ!」
飯田は天を仰いだ・・・・
成り行きを見ていた安倍と矢口は下を向いて左右に首を振った。


車道を飯田のバイクを先頭にライオンと虎に乗った辻と加護が追いかける。
改造獣の獅子丸と虎太郎はバイクをも凌駕するスピードを誇った。


夕暮れが迫る港の倉庫群に紺野は一人でポツンと立っていた。
703デッドオアアライブ :02/06/16 03:05 ID:qA9i8QqS
【 BATTLE AFTER 】第十六話 

 「紺野!」
バイクを降りる飯田が近寄る。
どうやら、心配する事もなさそうだ、紺野はニコニコしていた。
辻と加護も顔を見合わせて喜んでいる。
ホッとした顔からも分かるように、どうやら子供心にも一応の不安はあったらしい。
「お前・・・何処で何してたんだよ!心配かけさせやがって!」
「ごめんなさい」
ペコリと頭を下げる紺野。
「うん?高橋はどうした?一緒じゃないのか?」
その質問を無視して紺野は話し出した。
「飯田さん・・・この場所憶えてますか・・・?」
「おお、まあな・・・お前と高橋が喧嘩した場所だろ・・・
あの時はお前のお蔭で助かったよ・・・」
「私、あの時、ここで決めたんです・・・」
「・・・?・・・」
「私の使命はあなた達を守る事だって・・・」

紺野はうつむき肩が上下に揺れだした。
「どうした紺野・・・泣いているのか・・・?」
紺野はすすり泣いている。
「どうした?・・・なんで泣く?」
飯田は近付いて肩に手を掛ける。
「わ・・・私、あの時、決めたんです!・・・掛替えの無い人達を守るって!!」
顔を上げた紺野の顔は涙でグシャグシャになっていた。
「それが、私の使命だって!!!」
「・・・紺野・・・」
紺野は声を出して泣いた。
今までに見た事もないくらい顔を崩して・・・
今までに聞いた事がないくらいに大きな声を出して・・・
704デッドオアアライブ :02/06/16 03:07 ID:qA9i8QqS
【 BATTLE AFTER 】第十六話 

 「紺野・・・・」
飯田は泣きじゃくる紺野を抱きしめた。
「どうしたんだよ・・・さっき怒ったのは謝るから・・・」
尚も泣き続ける紺野の声は叫びに近くなる・・・
「私はここで・・・飯田さんを守るって誓ったんだ!!!!」

「分かったよ・・・もう、心配ないから・・・ねっ・・・」
紺野の頭を撫でながら抱きしめる飯田の顔も涙で濡れていた。

「・・・!!!・・・」
泣き叫ぶ紺野と抱きしめる飯田の間から赤い鮮血が滴り落ちた。

「・・・紺野・・・あんた・・・」
ガクリと跪き、前のめりに倒れる飯田・・・・

発狂したかと思える程に泣き叫ぶ紺野の右手には飯田の血に濡れた
小ぶりのナイフが握られていた。

「飯田さん!」
辻が駆け寄り飯田を支える。
「あさ美ちゃん、何すんのや!!」
加護が紺野に駆け寄り肩を揺する。

「わぁぁああああぁあぁぁああぁぁぁあああああぁぁぁぁぁああああ!!!!!」
頭を振る紺野の叫びは絶叫に変わっていた。

「こ・・・紺野・・・どうして・・・・」
辻に支えられる飯田の口からは鮮血が滴る。

そこに、倉庫の影からユラリと出てくる人影・・・
市井沙耶香だった。
705デッドオアアライブ :02/06/16 03:08 ID:qA9i8QqS
【 BATTLE AFTER 】第十六話 

 「さ・・・沙耶香・・・」
飯田も、辻、加護も驚きを隠せないでいる。

「・・・紺野、黙りな・・・」
市井の命令で紺野の絶叫はピタリと止んだ。
しかし、止め処もなく流れる涙は止まらなかった。

「かおり・・・この娘は私が貰うよ・・・その為にはアンタが邪魔なんだ・・・」
無表情の市井には再会の情も無いようだった。
「沙耶香・・・お前か・・・キサマが紺野を!!!!」
飯田がゴフッと大量の鮮血を吐いた。
「あんたに刺さったナイフには私の念が込めてある・・・助からないよ」

「飯田さん!!」
辻に支えられていた飯田がズルリと崩れる。
それを見た加護の瞳が怒りに燃えた。
「虎太郎!行け!!」
加護が虎を市井にけしかける。
猛獣の雄叫びと共に市井に飛び掛る虎は、市井の前で喉をゴロゴロと鳴らす猫になった。
虎の頭を撫でる市井は加護に向かって薄く笑った。
市井沙耶香の邪眼『パンサーアイ』は猛獣さえも愛玩動物に変わる。

「ののがやるのです!」
辻の顔も怒りで赤くなっていた。
「スカフィーアタック!!」
辻の操るスカイフィッシュは高速で人の肉を切り刻むカマイタチだ。
無言のまま腕を無造作に伸ばす市井。
その伸ばした腕の拳にはウネウネと蠢く透明な生物が握られていた。
グシャリとスカイフィッシュを握り潰す市井はそのまま踵を返す。
「行くよ・・・紺野・・・」
フラフラと市井に着いて行く紺野・・・・
その紺野の右手からポトリと血に染まるナイフが落ちた・・・・

呆然と見送る辻と加護はハッと我に返り飯田に駆け寄った。
「飯田さん!飯田さん!飯田さん!」
返事も無い飯田は虫の息だった・・・


706デッドオアアライブ :02/06/16 03:09 ID:qA9i8QqS
【 BATTLE AFTER 】第十六話 

 市井の貸し与えたマンションで肌を合わせる高橋と男・・・

高橋はこの松田と名乗る男を愛していた・・・

ギシギシと揺れるベットで男に乗られている高橋は
何時の間にかベットの横に立ち尽くしている市井と紺野に気付いた。
「市井さん!・・・あさ美ちゃん・・・いやっ!見ないでぇ!!!」
顔を両手で隠す高橋は指の間からチラリと紺野を見た。

「・・・!!・・・」
紺野の右手には日本刀が握られていた。
「な、何するの・・・?」
無言で振り下ろされた日本刀は男の首を刎ねた。
「・・・・!!!!!・・・・」
ボトリと落ちた首はゴロンとベットの下に転がる。
頭の無い首から真っ赤な鮮血が高橋に降り掛かる。
「きゃぁぁあああああぁぁぁぁあああああ!!!!!」

高橋は泡を吹いて失神した。

「・・・愛などと言うものは無い・・・」

薄れる意識の中で市井の声だけがやけにハッキリと聞こえた・・・・

男は市井が邪眼で何処からか拾ってきた木偶だった。

それは高橋から『愛』を奪う為の人形・・・

仕組まれた愛情は紺野の手で完結した・・・


707デッドオアアライブ :02/06/16 03:10 ID:qA9i8QqS
【 BATTLE AFTER 】第十六話 

 愛と仲間・・・

それぞれの一番大切な物を奪った市井沙耶香・・・

2人の少女から奪った物で何を得るのか・・・

何もある筈は無かった・・・

市井には彼女達が眩しすぎた・・・

ただ、これで命がけで守る物が出来たと思った・・・

奪った物の大きさは、これから生きる為に必要な枷になる・・・

命がけで守る物・・・

それは紺野と高橋の命だった・・・

この矛盾に満ちた、歪んだ市井の心の地獄は何処から来るのか・・・

その市井の心の闇は過去に遡る・・・

・・・後藤真希・・・

姉と慕う後藤を自分の手で殺めた瞬間・・・

その瞬間から市井の時間は止まったままだった・・・

その時の心模様全てを後藤に話したかった・・・

しかし、市井は知らない、後藤が生きている事を・・・

それは市井が紺野と高橋に聞く事をためらった為の悲劇・・・

聞いてさえいれば救われる筈だった心の歯車・・・

ずれた歯車から派生する、悲劇の連鎖を修復する事は可能なのか・・・ 

それは、誰にも解からない・・・

たとえ神様がこの世に存在したとしても・・・

708デッドオアアライブ :02/06/16 03:15 ID:qA9i8QqS
ども、今日はここまでっす・・・
書き終ってヤバイと思いますた・・・
この後お気楽に書けない・・・
と言いつつ、お気楽に書こうかとも思う罠・・・
次回更新も未定という事で・・・・ではっ!
709名無し募集中。。。:02/06/16 05:13 ID:vUcp4GOf
作者殿
×沙耶香  ○紗耶香 
でよろしく
710レクイエム:02/06/16 09:50 ID:GWipk3H2
すごい・・・
711THE・地蔵:02/06/16 10:28 ID:3X16Y59g
熟読しますた!!
712ののの虜 ◆nono2P.. :02/06/16 10:41 ID:EQG8Y9u/
更新乙です〜。

>>698
ほんとに小説一本できそうですよね〜。
新メンバーとして入ってきてまだメンバーになじめない後藤に
市井が後藤の誕生花イチイを贈る。みたいな話し。
また暇を見て誕生石とか動物占いとか調べて見ます。。。
713デッドオアアライブ :02/06/16 19:05 ID:cY4IfuqE
>>709申し訳!

ちゅうことでまた描きますたスマソ
紺野、高橋ジンジャー
http://pandaemonium.cool.ne.jp/oekaki/44.png
飯田倒れる!
http://pandaemonium.cool.ne.jp/oekaki/54.png
関係無いけど( ● ´ ー ` ● )なっちありがとう
http://pandaemonium.cool.ne.jp/oekaki/48.png

714ひろりん:02/06/16 20:11 ID:Vrs2MBX5
今日見つけて最初から一気に全部読んでしまいました。
面白かったです。
一番最初のあたりは・・・、ですが作者様の腕が上がっていくのも見えてよかったです。
期待してます。がんばってください。
715デッドオアアライブ :02/06/16 22:55 ID:cY4IfuqE
>>712
誰か書けばいいのに・・・こんな良いネタ、勿体無い・・・
>>714
ありがとうデス。
いや〜、最初の頃のは自分でも恥ずかしくて読めません・・・
716名無し募集中。。。:02/06/16 23:37 ID:7Er5vaPx
早い更新乙です。
紺野と高橋がこんなことになるとは…。
今後どう展開させるのかますます気になります。
717名無し募集中。。。 :02/06/16 23:59 ID:zW4i4FyB
>>713
あそこは『モナー板』及び『長編AA板』のお絵かき板であって、
ギャラリーもやたら手厳しいので、娘ネタは控えたほうが良いのではないかと。

…と思ったら、既に叩かれてるし(汗
718名無し募集中。。。:02/06/17 11:34 ID:q8XnLJSs
>>717
私も心配してました。
ありゃ、もう叩かれてましたか…。
>デッドオアアライブさん
http://isweb19.infoseek.co.jp/play/nodon/cgi-bin/moekaki/picture.cgi
こちらの掲示板はいかがでしょう?
719デッドオアアライブ :02/06/17 12:21 ID:+hiSamrP
いや〜、最初加護のAAキャラ描いて、様子見して結構受けたので
大丈夫だろうと思って描いたらヤッパ駄目だったね・・・(´・ω・`)ショボーン
>>718ありがとうっす・・・
でも水彩使えないと俺は描けないんだYO〜〜!!!(誤魔化す事が出来ない)
前使ってたのを使います・・・(誰も居ないヒッソリしたやつ)
720名無し募集中。。。:02/06/18 10:59 ID:EQgu41gL
ホゼン
721保全。:02/06/19 20:08 ID:wjd/xasj
保全。
722名無し募集中。。。:02/06/20 17:57 ID:1kgY04x+
愛紺 いしよし 続きが楽しみ
723 ◆HoZeNcxc :02/06/20 22:30 ID:9sMlpVVr
 
724保全。:02/06/21 23:37 ID:AHlS6Yq3
( `.∀´)全
725名無し募集中。。。:02/06/21 23:51 ID:bUphv9Tn
つーか里田出せや!
726 ◆YmCQN0xs :02/06/22 15:32 ID:NSS4eX9l
保全
727名無し募集中。。。:02/06/22 20:03 ID:h/dhItdp
>>722
ん?紺高と吉ごまの間違い?
728デッドオアアライブ :02/06/24 02:31 ID:e0WOcLVG
【 BATTLE AFTER 】第十七話 

 紺野と高橋が手を取り合って草原を走る。
追いかけるが、近付けばサッと身を翻して離れる。
きゃっきゃと笑い合う2人は鬼ごっこを楽しむかのようだ。
捉まえた・・・・紺野の右手にはナイフが握られていた。
腹に鈍い痛みが走る。
紺野は笑っていた・・・涙を流しながら・・・
その顔が揺らめきながら変化していく。
市井紗耶香の顔に・・・

長い悪夢から覚めた飯田はボンヤリと辺りを見回した。
みんな知ってる顔ばかりだ。
「・・・ここは・・・?」
意識を取り戻した飯田に辻と加護が抱きついて喜ぶ。
矢口と安倍は涙ぐみながら抱き合った。
渋川と吉澤、後藤の顔も見えた。
(そうか・・・助かったのか・・・)
飯田は病院のベットのから天井を眺める。
白い壁に市井の顔が浮かぶ・・・
抱きつく辻の頭を撫でながら飯田は心の中で誓う。
紺野と高橋を取り戻す・・・喩え、市井の命を奪ってでも・・・

市井の念の篭ったナイフは飯田の生命を絶つ筈だった。
その飯田の命を繋いだのが辻と加護の念だった。
渋川に習った僅かばかりの小さな念の基礎が飯田の命を救ったのだ。


729デッドオアアライブ :02/06/24 02:32 ID:e0WOcLVG
【 BATTLE AFTER 】第十七話 

夕日が差し込む病室。
辻がお粥をスプーンですくって、ふーふーと冷ます。
「はい、あ〜んするのです」
「いいよ、自分で食べるから」
「駄目なのです、ののが食べさせるのです」
病室には辻と加護、渋川と吉澤、後藤が残っていた。

「はい、あ〜んするんやでぇ」
「なっ、なんで私が!」
加護が吉澤にお粥を食べさせようとする。
「ええから、はい、あ〜ん」
唖然とするが、仕方なくお粥を口に入れさせてもらう吉澤。
少し、空気が和んだような気がした。

飯田が意識を取り戻してからも、ずうと椅子にもたれ、うなだれ
落ち込んでいる後藤を気にして、何とかしようとする加護の努力だった。

可笑しな夕食が終わる頃、渋川が飯田に一本のナイフを渡した。
「これは・・・?」
「おぬしを刺した紺野のナイフじゃ・・・」
手に取る飯田は市井の念を感じた。
「その刃の部分には相当の念が込められておる・・・
余程の月日、それを持ち歩いておったんじゃろう、
普通の人間ならとっくに死んでおる・・・おぬしが負った傷は浅かった・・・
念がおぬしを死の淵まで追い込んだんじゃ」
何を思うか、無表情の飯田は暫らくナイフを見ていた。
730デッドオアアライブ :02/06/24 02:33 ID:e0WOcLVG
【 BATTLE AFTER 】第十七話 

 不意に後藤が言う。
「そのナイフ・・・知ってるよ・・・」
皆が後藤に振り向く。
初めて口を開いた後藤の声は震えていた。
「それは・・・私を刺したナイフだよ・・・」
後藤は立ち上がり、飯田からナイフをそっと取り上げると病室を後にした。
追いかけようと立ち上がる吉澤の肩に手を置き渋川は首を振った。
「暫らく、そっとしておくんじゃ・・・」
沈黙が病室を包んだ・・・・


病院の屋上で手摺りに持たれて夜景を見ている後藤に吉澤が声を掛けた。
「ここに居たの・・・探したよ」
横に並んで同じ様に夜景を眺める吉澤。

「ねえ、よっすぃ・・・」
「なに・・・?」
「市井ちゃんは私が殺すよ・・・」
吉澤は静かに笑う。
「・・・飯田さんも・・・自分で殺ろうと思ってる筈だよ・・・」
「・・・知ってる・・・でも、譲れない・・・」
静かだが、後藤の言葉には決意が込められていた・・・・

731デッドオアアライブ :02/06/24 02:37 ID:e0WOcLVG
お待たせした割にはちょっとしか更新しなくてスミマセン。
サカー板にハマっててなかなか抜け出せません・・・
保全して頂いた皆様に感謝しつつ、次回更新も未定です。ペコリ
732ひろりん:02/06/24 13:27 ID:7CSCQu5r
更新乙です。
マターリとやってくださいな。
733ひろりん ◆AyayaP8w :02/06/24 13:28 ID:7CSCQu5r
ああ、トリップがついてねえや。
734レクイエム:02/06/24 17:22 ID:kBTiR4oH
毎回楽しみにしてます。そもそもここで小説はじめようと思ったのも
この話を知ったからなんです。これからも頑張ってください。
735ひろりん ◆AyayaP8w :02/06/24 18:00 ID:7CSCQu5r
おや、レクイエムさんが。
736名無し募集中。。。:02/06/24 18:51 ID:N8gTBhrO
そろそろ500KBだから新しいスレ立てた方がいいと思う。
737名無し募集中。。。 :02/06/24 22:07 ID:FbdiYX1T
>>736
500KB超えるとどうなるの?
738ののの虜 ◆nono2P.. :02/06/24 22:43 ID:1KHVUzx2
デッドオアアライブさん更新乙です〜。

oノノハヽo
从 ´D`)<>>737 スレに書けなくなる可能性が・・・
739保全。:02/06/25 19:24 ID:03ViOm/g
そろそろ( `.∀´)全。
740名無し募集中。。。:02/06/25 19:55 ID:l/fqS8kX
>>732-735
なんか感じ悪いです、
741ひろりん ◆AyayaP8w :02/06/25 20:38 ID:6RzmLox+
ごめんなさい。m(_ _)m
742レクイエム:02/06/26 18:11 ID:0IQjBki4
>>740 自分がかきこんだせいで気分を害されたのなら謝ります。
ごめんなさい。
743名無し募集中。。。:02/06/26 20:04 ID:Vl4lfghP
>>740
何が感じ悪かったの?
744名無し募集中。。。:02/06/27 01:22 ID:HItPaCll
なんか読んでて
デッドオアアライブさん以外のコテさんの
レスがあると楽しく読めなくて・・・
自分の一人相撲だったかもしれません
申し訳・・・
これからは黙って読ませていただきます。。。
745名無し募集中。。。:02/06/27 16:18 ID:nMfaKLqs
雑談は他所行っ(ry
746デッドオアアライブ :02/06/28 15:17 ID:I6j4asTl
【 BATTLE AFTER 】第十七話 

深夜の病室にそっと現れたのは後藤だった。
気配に気付き薄目を開ける飯田はライトを点けようと手を伸ばす。
「・・・電気は点けないで・・・」
「・・・・・」
飯田の手が止まる。
「あのさ・・・かおりん・・・」
「言いたい事は分かるよ・・・」
「えっ・・・」
「夢を見たよ・・・ごっちんと紗耶香の夢を・・・」
飯田はポリポリと頭を掻きながら苦笑いしてみせた。
「・・・私は譲らないよ、でも、ごっちんも譲れないんだろ・・・」
「・・・かおりん・・・」
「好きにしていいよ・・・こっちも好きにするから・・・」
「・・・・・・・」
後藤は薄く笑い頷き返し、無言で病室を後にした。
747デッドオアアライブ :02/06/28 15:18 ID:I6j4asTl
【 BATTLE AFTER 】第十七話 

渋川の念治療の甲斐もあって飯田は全快で退院する目処がついた。

「飯田よ、ワシはおぬし等に情を寄せる事はあっても助ける事はできぬ・・・」
日の差す病室の窓から外を眺めながら渋川老は諭す。
「・・・うん・・・」
飯田も解かっていた。
生死の境をさ迷う、現世と常世の狭間で飯田は理解した。
夢を見たのだ。
それは、市井が後藤を刺殺し、自害する悲しみの夢・・・
市井のナイフに込められた残留思念が飯田の心とシンクロした壮絶な葛藤夢・・・

市井の立場は理解したつもりだ・・・
だが、それを持って紺野、高橋の心を奪う理由にはならない。

飯田は市井を許さない。
紺野と高橋を取り戻す、市井を殺してでも。

渋川はナイフから漂う市井の思念を感じ取り、全てを飯田達に任せる事にした。
「さて、ワシは帰ることにするわい・・・」
「おじいちゃん・・・」
「何か有ったら連絡するんじゃぞ・・・」
ほっほっほ・・・と笑いながら渋川は病室を出た。

「あんた達、おじいちゃんを見送ってやりな・・・」
べそをかく辻、加護に見送るように促がすと2人は急いで病室を出て翁を追いかける。
病室の外から「おじいちゃ〜ん」と聞こえてくる辻、加護の泣きべそ声を聞きながら
飯田は一人呟いた・・・・
「ありがとう・・・頑張るよ・・・」


・・・飯田が退院し数週間が経つ・・・

しかし、必死の捜索も空しく依然、市井達の行方は分からなかった。

748デッドオアアライブ :02/06/28 15:20 ID:I6j4asTl
【 BATTLE AFTER 】第十八話 

 新宿歌舞伎町の雑踏を市井と紺野、高橋は歩いていた。
「仲間を紹介するよ・・・」
「仲間?仲間なんているんですか?」
聞き返す紺野にハハハと笑う市井。
「まあ、上辺だけのな・・・でも、あんた達はビックリすると思うよ
いや、あいつ等も驚くか・・・」
目を見合す紺野と高橋。
あれほど酷い目に合い、2人は市井を怨む・・・
そして、逃げ出そうと思えば何時でも出来る状況にある。
でも・・・何故かそんな気にはなれなかった。
目に見えない呪縛が2人を包んでいる、そんな感じがした。
もっとも、もう帰る居場所なんて無くなっている。
紺野と高橋は戻る事の出来ない運命の河に流されてしまっていたのだ。 


秘密結社『パンサークロー』の初仕事を翌日に控えて
皆、中沢ビルの地下にある『バーパンサークロー』に集結していた。

某民放の球体展示場で開催される、世界の宝石店を襲い全ての財宝を奪う。
一週間前には予告状を送ったが、TV局では悪戯と思い無視するようだ。

「あとは紗耶香だけか・・・」
壁時計を見て中沢が呟く。
「本当に来るのかねえ・・・?」
溜め息まじりに平家がこぼす。
石黒と真矢は首をすくめる。
石川と松浦はきゃっきゃと競演したアイドル達の噂話で盛り上がっていた。

カチャリとドアが開き入ってきた市井・・・
「遅いよ紗耶香!時間厳守だろ・・・・」
言い出す平家は呆気に取られた。
全員の目が驚きに変わった。
749デッドオアアライブ :02/06/28 15:21 ID:I6j4asTl
【 BATTLE AFTER 】第十八話 

 「高橋と紺野じゃない!?」
「どうしたの紗耶香、その2人」
「生きてたんだ!」
口々に質問するメンバーを無視して市井は2人を奥のソファーに掛けるように促がした。
驚くメンバー達を制して中沢が市井に聞いた。
「・・・その2人・・・説明してくれるんやろうね・・・」
首をすくめる市井。
「説明も何も・・・見ての通りだよ・・・」
「それじゃあ説明になっとらへん・・・
新垣が行方不明になっているのも関係あるのかい?」
「新垣・・・?・・・知らないね・・・」
新垣との言葉を聞いて石川は思い出したように話す。
「そうだ!新垣が居なくなって平家さんがマネージャーやってんだよ、
もう、やり辛くって・・・ねえ、亜弥ちゃん」
松浦も我が意を得たりの顔だ。
「そうですよ!この2人をマネー・・・」
松浦の笑顔が凍りつく。
市井の放つ殺気を感じたからだ。
「本気なの?市井さん・・・」
松浦の体からも殺意のオーラが立ち上る。
そこに石黒が割って入った。
「穏やかじゃないね、止めな2人とも・・・」
カツカツと市井の前に歩み寄り正面切って睨みつける石黒。
「ここに連れて来たという事はメンバーに入れる気なんだろうね」
静かに首を振る市井。
「じゃあ、どういう事なんだい・・・もしかしてこの2人・・・念能力もないのかい?」
「そんな能力持ってないよ・・・」
石黒の額の血管がピクリと動く。
「私は明日の襲撃決行の時間を聞きに来たんだ・・・この2人も連れて行く」
「・・・ほう・・・じゃあ、そこの2人に聞こうか・・・」
「・・・この2人に何を聞いても喋らないし、手を出したら私が許さない・・・」
石黒の唇の端がキューと釣りあがる。
揉め事を止める筈の石黒と市井の間の空気が歪む・・・
そこに、中沢の声が飛んだ。
「明日の決行時間は午後の2時・・・ワイドショーの生中継の時間だよ、
現地集合・・・忘れるなよ・・・」
「裕ちゃん!」
中沢に振り返り抗議する石黒を横目に店を出ようとする3人。
「待ちな、紗耶香」
立ち止まる市井に中沢が何かを投げた。
豹柄のアイマスクだった・・・それは3個有った。
「テレビに映るんだから顔ぐらい隠さないとな・・・」
薄く笑う市井は紺野と高橋を引き連れて無言で店を出た。
750デッドオアアライブ :02/06/28 15:23 ID:I6j4asTl
【 BATTLE AFTER 】第十八話 


 「ちょっと裕ちゃん、どういう事?」
市井達が出ると石黒は中沢に噛み付いた。
「こんな事じゃ、組織の結束がなくなるじゃない!」
怒る石黒に石川がチャチャを入れる。
「結束なんてあったっけ?」
「なにぃ!」
石黒は怒りの矛先を石川に向ける。
「石川!黙りな!」
平家が石川をたしなめると石川は首をすくめる。
「へいへい、マネージャーにはかないません・・・ねえ、亜弥ちゃん」
石川が松浦に同意を求めると松浦もウンウンと頷く。
ウホンと咳払いをする中沢。
「あやっぺ・・・すまないが、あの3人私に任せてくれへんかな・・・」
怪訝な顔の石黒は渋い表情だ。
「まあ、裕ちゃんがそう言うなら・・・」
納得していないが渋々納得する石黒彩は夫の真矢をチラリと見る。
無表情の真矢は目をつぶって腕を組んでいる。

・・・・真矢は寝ていた・・・・


751デッドオアアライブ :02/06/28 15:26 ID:I6j4asTl
【 BATTLE AFTER 】第十八話 

中沢は知ってしまった・・・
紺野と高橋が矢口と繋がりがある事を・・・
だから、市井を問い詰めること無く、すんなりと帰した・・・

新垣の名前が出た時、紺野と高橋の表情が一瞬ピクリと動いたのを見逃さなかった。
以前、中沢は新垣に矢口の居場所を探り出すために矢口を尾行させた。
結果は新垣の行方不明で終わった。
新垣の事など、どうでも良かったが
矢口の居所は『パンサークロー』のメンバーには知られたくは無かった。
と言うか、自分の存在を矢口に知られたくなかった。

その矢口と繋がっているであろう紺野と高橋・・・
たぶん、市井の邪眼によって動いているのだろう。
気になるのは市井が知っているかどうかだった。
知っていれば殺す・・・
市井を殺せば2人は邪眼の呪縛から解き放たれる。
矢口の事を聞き出してから、紺野と高橋は記憶を消し開放する。
さすれば、矢口にも平穏な日々が訪れる筈だ。
自分はそれを遠くから見守るだけでいい・・・


中沢の頭には常に矢口が居た・・・

矢口だけは係わらせたくない・・・

係われば必ず不幸が矢口の身に降りかかる・・・

中沢が知りたいのは矢口が今、何処で何をしているのかだけだった・・・

メンバーの中で矢口と繋がるのは自分だけでいい・・・

それが蜘蛛の糸より細くても・・・

中沢の記憶に刻まれているのは
自らの命を絶とうとした自分に泣きながら駆け寄る矢口の姿だった・・・

ーーー「裕ちゃん!!!!!」ーーー

今でも、あの叫び声が耳から離れる事は無かった・・・


752デッドオアアライブ :02/06/28 15:27 ID:I6j4asTl
【 BATTLE AFTER 】第十八話 

人通りの閑散とする夜のビル街・・・
常宿のホテルに帰ろうと歩く市井達の前に2つの影が現れた。
「まだ何か用が有るのかい?」
黒皮の上下に身を包んだ石黒と真矢はユラリと市井に近付く。
「紗耶香・・・あんたの存在が組織の足を引っ張ると思ってね・・・」
「・・・それで・・・?」
「裕ちゃんには手を出すなと言われたけど・・・」
「私を殺すつもり・・・?」
ニヤリとする石黒。
「あんたの邪眼は通用しないよ・・・念防御を目に集中すればいいだけだからね」
「・・・ふーん・・・でも、あんた達は私達を殺す事は出来ないよ」
行くよ、と紺野と高橋を促がし無造作に歩を進める市井。
「私達は殺し合うつもりなんてサラサラないよ・・・
それとも、無抵抗な私等を殺すつもり?・・・ねっ、真矢さん・・・」
「うっ・・・」
そう言われると真矢は動く事が出来なかった。
確かに闘う意思が無い人間を殺す事は出来ない。
真矢はそんな漢だった。 
目の前を通り過ぎる3人を無言で見送る真矢に石黒が詰め寄る。
「ちょっと、アナタ!」
「お前だって、見逃したじゃないか・・・」
「だって・・・」
石黒も、ああ言われては手を出す事は出来ない。
邪眼を使わなくても、自分の意思道りに動いた夫婦に
市井は心の中でペロリと舌を出した。


翌日、某テレビ局は未曾有の惨劇に見舞われる・・・
それは空回りする運命の歯車が噛み合い始める序章でもあった・・・・

753デッドオアアライブ :02/06/28 15:39 ID:I6j4asTl
ども、今回はここまでです。

え〜と、私としてはコテハンの方でも名無しの方でも
ちょっとした感想でも書いてくれればアリガタイですし励みにもなります。

あと、500KB超えると書き込めなくなるんですか・・・
次スレどうしようか悩みはじめますた。
もうちょっと様子をみよっと・・・

ちゅう事で次回更新も未定という事で・・・    では。
754ののの虜 ◆nono2P.. :02/06/29 00:09 ID:p9MUXUK4
更新乙です〜。

今羊はスレ立て規制が異常に厳しいので
次スレは早めに用意したほうがいいかもしれません。。。
755名無し募集中。。。:02/06/29 03:14 ID:+od8ArUK
お、更新ですね。お疲れさまです。
756名無し募集中。。。:02/06/29 23:49 ID:tNRmNkQM
更新乙。
保全します
757名無し募集中。。。:02/06/30 22:27 ID:wnrM3JSb
保全
758保全。:02/07/01 21:07 ID:9vKQ09Ii
保全
759保全。:02/07/02 22:13 ID:dioPjUyE
保全。
760保全。 :02/07/03 14:17 ID:xQpRu9Ga
保全。
761DEADorALIVE ◆ALIVE7Is :02/07/03 17:35 ID:DeXXJ0SG
ども〜皆様、いつも保全アリガトウです。
今回からトリップを付けてみますた。
あと、次の更新は新しいスレでやりたいと思います。
少し書き溜めてから立てようと思いますので、もう少し待ってください。
次スレ立てた時はここで報告致しますので
今まで通り保全してくれたらありがたいです。       では。
762名無し募集中。。。:02/07/03 21:58 ID:YcYoTF/4
楽しみに待ってますね。
763名無し募集中。。。:02/07/04 22:34 ID:JHNw6bXW
新スレたつまで消すものか!
保全
764名無し募集中。。。:02/07/05 21:12 ID:VBoL1agQ
保全
765ナナ〜シ!:02/07/06 21:35 ID:DBrqhSF3
消してなるものか!
766ナナ〜シ!:02/07/07 20:34 ID:NVAwRb2e
まだかなまだかな〜・・・。
767名無し募集中。。。:02/07/08 22:07 ID:XovkdiCE
保全。
気長に待ってま〜す。
768DEADorALIVE ◆ALIVE7Is :02/07/09 05:41 ID:F+bWYDZW
ども、お待たせしてます。
やっと、市井紗耶香篇、書き終わりますた。
チェックとかしてから、スレッド立てたいと思いますので
あと、2,3日待ってくらはい・・・
                            では。
769保全。:02/07/09 21:00 ID:7TpxOzV+
保全。ちょっと早いかな?
がんがれ。作者。
770DEADorALIVE ◆ALIVE7Is :02/07/10 08:46 ID:suLKcMxm
スレ立てました
http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1026256054/
なんか、「二重カキコですか?」が出てなかなか書き込めない・・・

こちらもマターリ保全していきます。
771名無し募集中。。。  :02/07/11 23:47 ID:1qhVmXHn
ホゼン
772名無し募集中。。。  :02/07/13 13:37 ID:AdpMa5qy
ほぜん
773名無し募集中。。。 :02/07/14 09:11 ID:Nhc7Na+a
774名無し募集中。。。:02/07/14 09:13 ID:Nhc7Na+a


スマンageてしまった
775名無し募集中。。。:02/07/14 20:53 ID:9mzzirQf
776_:02/07/15 12:20 ID:h1C+Ok1e
777名無し募集中。。。:02/07/15 22:17 ID:AwzMaHQ+
>776
その手があったか。ワラタ。
778よすぃ:02/07/16 01:50 ID:YwB/hqdL
保全ってどういう意味なの?
779DEADorALIVE ◆ALIVE7Is :02/07/16 02:56 ID:fBQzlktk
鯖が変わって次スレも変わりますた
http://tv2.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1026256054/l50
>>778
スレッドが消えないように何か書き込む事です。
この板では2,3日何も書き込まないと消えるのかな?(多分)
あと、メール欄に半角でsageと入れると書き込んでもスレッドがトップに
上がりませんYO
780よすぃ:02/07/16 16:45 ID:WmgkpVYC
わかりました〜、じゃあこのスレでは保全していきま〜す>DEADorALIVE ◆ALIVE7Is
781ねぇ、名乗って:02/07/16 17:47 ID:CTIJsqTk
>>780
っていうかあんた全然わかってない。(怒

なんでこれまでsage保全にみんないそしんでいたかを
少しは考えろ。

「新参は半年ROMってろ」
782よすぃ:02/07/16 22:52 ID:eniDvXzi
>781
半年以上ROMってますが何か?

ageちゃったみたいですね、みなさんスイマセン
783名無し募集中。。。:02/07/18 00:02 ID:ZyxMIK5z
784名無し募集中。。。:02/07/18 12:43 ID:pXai5HAm
>>782
半年ROMしてて保全も理解していないなんて、
よっぽど知能が低くていらっしゃるのですね (クスッ
785氏ねや!ゴルァ:02/07/18 17:08 ID:V3L0sfVN
age
786よすぃ:02/07/18 17:45 ID:yYR+erus
>784
まぁ、半年いうても実際ココに来た回数は知れてるからね
あんたもちょっと日本語の勉強したら〜(プッ
787名無し募集中。。。:02/07/18 18:45 ID:cbjc0H9N
よしぃ必死だな。
オマエの方こそ日本語を勉強するべきだ。
788名無し募集中。。。 :02/07/18 18:56 ID:A/8HOxjT
>787
そこでなぜまた上げるw
789名無し募集中。。。 :02/07/18 18:56 ID:A/8HOxjT
>787
そこでなぜまた上げるw
790名無し募集中。。。 :02/07/18 18:57 ID:A/8HOxjT
うわっ 2重だ。 スマソ
791名無し募集中。。。:02/07/18 19:02 ID:ybzi51ei
アフォは晒し者にすべきだからだよ、きっと。
792名無し募集中。。。:02/07/19 23:45 ID:od5z7dsw
保全
793名無し募集中。。。:02/07/21 01:26 ID:FohBFS43
794名無し募集中。。。:02/07/21 01:52 ID:FohBFS43


スマソ、ageちゃった・・・
795名無し募集中。。。:02/07/22 22:50 ID:UlNRSBk7
役目を終えたスレだとは思うが、このまま消えるのもなんか名残惜しいので
保全。
796名無し募集中。。。:02/07/23 00:15 ID:f2u11wPN
名残惜しage
ついでに自己保全
798名無し募集中。。。:02/07/25 00:24 ID:igH8r+2C
習慣と化した保全。
799名無し募集中。。。:02/07/25 23:17 ID:igH8r+2C
このまま1000までいきますか?
保全。
800立花の番長  ◆67u.KIKU :02/07/26 09:43 ID:i4M18QeU
.             _________________
.            <            ヽ
.             ヽヾヾ__ ゞ..__/ .ノヽ丶|
.             │  丶     ./   .|         >>798  ゴリラはすっこんでろ
.             │         \  |         >>799  じゅ、順リン
.             │         │ .|         >>801 鼻割り箸するぞシャバ僧
.            ___|___ヾ_ ノ_________ |_| )         >>802 はい、そこの少年。左によって止まりなさい   
.            ヽ__丿|ヽ_____丿   |_|ρ         >>803 ア〜ン!?
.             │ ノ│ヽ   丿 _ |          >>804 吐いたツバ飲まんとけやコラ
.             丶  ψ   │   |          >>805 上田!影武者してんじゃねぇ!
.              ヽ″△`ゝ     ..|          >>806 しょせんお前は顔崎太
.               |ヽ   ./   .. |          >>807以下はボンタン脱げや
               .| ──
.             ■■     ■■■■
.       ■■■■■■■■■■■■■■■■■■    
.       ■■■■■■■■○■■■■■■■■■

.          菊 リ ン 8 0 0 ゲ ッ ト.
801名無し募集中。。。 :02/07/26 14:39 ID:vNEYRDCy
保全
802名無し募集中。。。:02/07/27 22:53 ID:eGfMCVOl
保全
フォゼム!
804名無し募集中。。。:02/07/29 22:26 ID:Pt+3unAl
消えないで残っているとなんか安心しますね。
保全。
自己フォゼム!
ーーーショートエピソードーーー

辻はたまに、獅子丸を連れてオロチ丸に会いに行く。
最初に出会った神社で神様と呼ばれ祭られているオロチ丸は辻の一声で
森の奥からヌルヌルと姿を現す。
寂れた神社だったのが、今では大蛇神社と命名されて、
お稲荷さんのキツネの石造も大蛇のソレになっていた。

神社の裏に周りオロチ丸の頭を撫でる辻。
「へへへー、元気でしたか?今日はクッキーを持って来たのです」
ガサガサと鞄からクッキーを取り出す。
オロチ丸は辻が持ってくるお菓子や菓子パン、果物に辟易していたが
辻の純真な心根を知ると食べずにはいられなかった。

獅子丸もおすそ分けを頂いていると後ろから声が聞こえた。
「わあぁぁあああ!!」
見ると子供が腰を抜かしていた。
バタバタと慌てる男の子に手を差し伸べて立たせる辻。
「大丈夫なのです、この子達は良い子なのです」
「ほ、本当・・・?」
「本当なのです、さあ、撫でてみるのです」
恐る恐るライオンと大蛇の頭をなでる男の子は、何時の間にか慣れて大蛇の首に跨る。
その顔はランランと輝き、本当に楽しそうだった。


謎の少女に促がされ森に帰る大蛇・・・
夕日を浴びてライオンに跨り消えていく謎の少女・・・

少年は神様に会ったと思った。
動物の女神様に・・・

この神社の神様の大蛇に出会うと願い事が叶う・・・

6歳の少年には、近頃出来た新しい「言い伝え」の事など知る由も無かった・・・

                           ショートエピソードEND
807名無し募集中。。。:02/07/30 16:27 ID:jbjTtShe
おや、ショートエピソードが。こういうのもなんかいいですね。
本編の進行の妨げにならない範囲で結構なので、またやって下さい。
気長に楽しみにしてます。
808エレコマニア・マリオJ ◆nBfobFj. :02/07/31 18:36 ID:7NTSiKx1
オロチ丸は久々に見たなあ…。
こういうショートエピソードも良いものれす。
はあ・・・
810名無し募集中。。。:02/08/01 20:43 ID:9Xr0Ukr6
ほんと、はあ・・・ですね。
811名無し募集中。。。:02/08/02 23:00 ID:G5WtkFzE
・・・保全・・・
812矢口LOVA:02/08/04 12:29 ID:tlc+zcaA
ほほほほほほ保全ん
813名無し募集中。。。 :02/08/04 22:48 ID:e3KqEQR7
保全
814矢口LOVA:02/08/05 14:17 ID:I7DQVdn4
保全
815矢口LOVA:02/08/05 20:47 ID:K8+wt5Qe
一人で保全
816名無し募集中。。。:02/08/06 21:41 ID:KoDswYw0
保全
817矢口LOVA:02/08/06 23:24 ID:FhBA7vh8
保全
818名無し募集中。。。 :02/08/07 14:38 ID:iBRuveNr
保全
819名無し募集中。。。 :02/08/07 19:30 ID:TSKOGVUh
保全
820名無し募集中。。。 :02/08/08 14:16 ID:/Fj8lkL+
保全だぁ
821名無し募集中。。。 :02/08/08 22:12 ID:P798nLD5
保全
822名無し募集中。。。 :02/08/09 15:20 ID:36ytrND1
保全
823名無し募集中。。。 :02/08/09 22:17 ID:6iLWLQiE
保全
824名無し募集中。。。 :02/08/10 13:31 ID:Bqrlg71N
保全
825無し募集中。。。 :02/08/11 00:05 ID:YH0hEIQQ
保全です。
826名無し募集中。。。:02/08/11 21:36 ID:hhoPYTFH
保全
827名無し募集中。。。 :02/08/12 13:53 ID:hFor2Yaj
保全
828名無し募集中。。。 :02/08/12 19:56 ID:vacYSGbX
保全
829名無し募集中。。。 :02/08/12 22:15 ID:yzTRp/pn
保全
830名無し募集中。。。 :02/08/13 15:01 ID:Yo2MChEJ
保全
831盆厨:02/08/14 21:30 ID:DzX2zKcs
保金
832名無し募集中。。。 :02/08/15 16:47 ID:9LTgEDPk
生命保険
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保全
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保全
837名無し:02/08/20 23:05 ID:bpUbeOh9
保全
凄い…保全だ!
839名無し募集中。。。 :02/08/22 15:36 ID:6oiqRUAs
840名無し募集中。。。:02/08/23 22:33 ID:JFfP6kwZ
保全
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保全
842名無し募集中:02/08/25 18:16 ID:EVsdb7Mr
843名無し募集中。。。:02/08/25 21:08 ID:8XhqGMwb
ラ?
844名無し募集中。。。 :02/08/27 21:36 ID:xfayjXfj
保全
845名無し募集中。。。:02/08/28 21:47 ID:EDVgzbL6
ほぜん
846ねぇ、名乗って:02/08/30 11:23 ID:Z+Vg6vwS
保田
全裸
847名無し募集中。。。:02/08/30 22:08 ID:pHAmJKFJ
保全

848名無し募集中。。。 :02/08/31 13:17 ID:UKxA4jbN
保全
849名無し募集中。。。:02/08/31 23:18 ID:0jhkDSAk
850名無し募集中。。。:02/09/01 21:59 ID:U0nFzsPQ
851 :02/09/03 13:43 ID:6wTM9SIQ
ho(ry 1031028201
852名無しモナ:02/09/04 00:52 ID:beYPaIqQ
http://isweb30.infoseek.co.jp/play/enraku21/cgi-bin/2ch/btlrylcl.cgi?info=1
モナモナ!
2chねらならやっぱりコレ!
853名無し募集中。。。:02/09/08 00:54 ID:fdWWrPEg
もったいない保全
854名無し募集中。。。 :02/09/10 18:45 ID:rLCVNMWE
保全
855名無し募集中。。。:02/09/12 19:35 ID:+YAuwBqn
まだ残ってたんだね保全
856名無し募集中。。。:02/09/16 12:31 ID:gFi0LpYw
ショートエピソード期待保全
857あふぉ:02/09/18 09:46 ID:CduU/mKr
これは保全しないと・・・。
858名無し募集中。。。:02/09/22 00:33 ID:OsZCOhUV
保全
859名無し募集中。。。:02/09/24 00:03 ID:uEGC4BEo
( ^▽^)<バトルロワイアル大好き
860名無し募集中。。。:02/09/24 18:30 ID:UdTF/3GR
( ^▽^)<パチョレック!
861デッドオアアライブ ◆ALIVE7Is :02/09/25 10:38 ID:A2IEu9Ar
           ーーショートエピソードーー

中学の美術の時間…
辻と加護のクラスで写生会が有った。
クラスの皆と一緒に堤防に行き、スケッチブックを広げる。
しかし、そこにある川の風景は平凡そのものだった。
「なんも描くのが有らへんなぁ」
「あいぼん こっちを向くのです」
「なんでや?」
辻は加護に向って座り筆を取り出す。
「風景の写生とちゃうの?」
「いいのです、のの は あいぼん を描くのです」
「そっか、ほなら うちも ののを描こう」
お互いに向かい合いスケッチブックに筆を走らす。
ケラケラと笑いながら1時間ほどで描き上げた。
「せいの で見せ合おう」
「いいですよ」
「いっせいのせい!」
お互いに見せ合う。
「うん?それは、なんですか?」
加護が描いた辻の顔は『( ´D`)ノ 』顔文字に為っていた。
そして、辻の描いた加護は…
「なんやねん、それ!」
「見たままに描いたのです」
マンガみたいな加護の両横にサングラスに髭の男と上半身裸の男が描かれていた。
「なんで うちの脇に けったいな男が2人立ってんねん」
「田代さんと江頭さんなのです」
「霊かよ!」
「霊なのです」
「ハァ?」
加護は呆れて物が言えない。
862デッドオアアライブ ◆ALIVE7Is :02/09/25 10:39 ID:A2IEu9Ar

「田代さんは悪霊なのです」
「…それで?」
「あいぼん にエッチな事をしようとしているのを江頭さんが
指を突き立てて怒って止めてるのです」
「ほう、そら凄いなぁ」
加護は面白そうなので少し付き合ってやる事にした。
「でも、なんで うちやねん?あさ美ちゃん ちゃうんか?」
「江頭さんは あさ美ちゃんに振られたのです、振られた人の所には恥かしくて行けないのです」
「ハハハ、おもろいな」
「…あっ!」
「今度はなんや?」
辻の視線は堤防の下に向う。
「江頭さんが胸でドンドン突いて田代さんを突き飛ばしているのです」
「…うん?」
よく見ると、辻の視線の先の草がガサガサと動いていた。
目をゴシゴシと拭いてパチパチとまばたきをする加護。
「なんやねん?」
ドパーンと川に水飛沫が上がった。
「江頭さんがヒップアタックで田代さんを川に突き落としたのです」
「ほんまか?」
「田代さんは泳げないのです」
「なんで分かる?」
「溺れてるの…あっ、沈んで流されたのです」
加護は少し信じてきた。
863デッドオアアライブ ◆ALIVE7Is :02/09/25 10:40 ID:A2IEu9Ar

「わぁ」
辻が尻餅をつく。
「どないした?」
「え、江頭さんが物凄い勢いでコッチに走ってくるのです」
「えっ!」
「あいぼん の目の前に居るのです」
「マジで?」
「指差しながら怒っているのです」
「な、なんて言うてんねん!」
「お礼の言葉が無いって怒ってるのです」
「え〜〜!」
「あいぼん お礼を言うのです」
「なんでやねん!」
「言わないと何時までも あいぼん に取り付くのです」
「そ、それは嫌やな…」
辻は嫌々ながらアリガトウとボソリと呟く。
「聞こえないって言ってるのです」
「えっ!なんやて!」
「土下座しないと駄目だって言ってるのです」
「なんでやねん!」
加護は空を仰いだ。

「あいつ等、何やってんだ?」
名無し君達は辻に向って土下座をする加護を見て、ゲラゲラ笑う。

「くっそ〜、あいつ等、笑いおって…」
江頭の霊に向って土下座する加護の体が怒りでプルプルと震えた。
864デッドオアアライブ ◆ALIVE7Is :02/09/25 10:41 ID:A2IEu9Ar

「あいぼん もう、いいのです」
「え?」
「江頭さんは笑いながら天に昇ったのです」
「ほんまか?」
加護はホッと胸を撫で下ろす。
「あっ…」
「今度はなんやねん…」

江頭の霊は天に帰らず、辻の上空50mぐらいを変な格好をしながらグルグル回っていた。
紺野に会いたいが恥かしくて会えない…
そんな江頭の乙女心が天に昇る事を拒んだのだ。

「そう言えば のの のスカイフィッシュは死んだのです」
辻はスカイフィッシュの代わりを探していた。
「はぁ?なに言うてん」
「江頭さんを代わりにするのです」
加護はピンときた。
「おっ、そやったら ほら ほらっ」
加護が顎で指す先には、さっき加護を見て笑った名無し君がいた。
「アイツをやっつけたら信じたるわ」
「いいですよ」
辻は指を江頭に向けて命令する。
「江頭アタ〜〜ック!!」
指差した先には名無し君がいた。
天から猛烈な勢いで降りてきた江頭は名無し君にヒップアタックを仕掛けた。
865デッドオアアライブ ◆ALIVE7Is :02/09/25 10:48 ID:A2IEu9Ar

「うわぁ!」
ドンとぶつかり前のめりに倒れた名無し君は草の間に隠れていた犬の糞に顔から突っ込んだ。
「く、臭せぇぇええええ!!!」
鼻を押さえながら川に入り顔をバシャバシャと洗う
名無し君を見て辻と加護は腹を抱えてゲラゲラと笑った。
「どうです、信じますか?」
「うちの負けや…」
加護は あっさりと認めた。

なあ、のの…なんで田代さんは うちに取り付いたんや?

あいぼん は太陽なのです。

…どう言う事や?

虫は光に集まるのです。

ニッコリと笑う辻に加護も同じ様に笑い返した…



                      ーーショートエピソードENDーー
866デッドオアアライブ ◆ALIVE7Is :02/09/25 10:56 ID:A2IEu9Ar
「江頭アタック」は本編では出ません。
なお、本編はまだ一行も書いてません…              スマソ
867名無し募集中。。。:02/09/25 22:30 ID:AUV7GHFc
乙です。
>「霊かよ!」
笑いました。
868デッドオアアライブ ◆ALIVE7Is :02/09/26 01:11 ID:TAs+Bcc/
>>863
>辻は嫌々ながらアリガトウとボソリと呟く。
は、加護は嫌々ながら〜
の間違いです。     肝心な所で…   申し訳。
---ショウートエピソード---

僕の名前は鈴木任紀、天野君と一緒にお笑いコンビ「キャイ〜ン」のボケをやっている。
皆には天然と言われてるけど、僕にはよく分らないや。
そんな僕だが、最近 憂鬱な悩み事がある。
それは…

週に一度、収録がある「キャイ〜ン」と「モーニングペアー」が
司会を務める「ミュージックス」と言う番組なんだ。
僕と天野君にとって憂鬱な気分になる原因は勿論、リカッチとアヤヤだ。
彼女達の事務所がデカイのもそうだが、何故か皆 彼女達には逆らわない…怖い…
芸能界のアンタッチャブルなんだ。
彼女達は完璧なアイドルだ…表向きには…
でも、嫌な噂は何回も聞いてるし、多分本当なんだろうなぁ。
こんな事があったんだ…
ヒデキさんがゲストに来た時、楽屋に挨拶に行こうとしたんだ。
すると、リカッチの楽屋から怒鳴り声が聞こえてきたんだ。
鍵穴から覗くと、リカッチが怒りながらヒデキさんの
「ギャランドゥ」を毟り取っていたんだ。
泣き顔のヒデキさんの隣ではアヤヤが腹を抱えて笑っていたよ。
僕は怖くなって、その場をそっと後にしたんけど…

あ〜〜!!俺はどうすればいいんだ!?天野く〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!




彼女達は収録にも厳しくて、気に食わない事があると
直ぐ撮影を中止してプロデューサーに怒鳴るんだ。
もう、皆怖くてビクビクしてるんだ。
だから、観客なんて入れない…
テレビで聞こえる観客の歓声や笑い声は後から入れてるんだ。

そして収録が終わると、ダメ出しがリカッチの楽屋で行われるんだ。

「失礼しま〜〜す」
僕が入ると天野君が四つん這いになっていた。
その背中にリカッチがドッシリと座って僕を睨み付けるんだ。
天野君は何故か下卑て歪んだ唇から涎を垂らしてるんだ。

おいおいおいおい、どうしたんだよ!?天野く〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!

そして、僕も四つん這いにさせられて、アヤヤの椅子にさせられるんだ。
天野君と目が合うと彼の目は逝っていたよ。
たぶん僕の目も一緒だと思うんだ。
涎が垂れてるのが自分でも分ったからね。

今日は僕たちが答えを出さなければいけない日なんだ。
それは、「リカッチファミリー」に入るか「アヤヤファミリー」に入るかの選択なんだ。
彼女達は勝手に自分のファミリーを造って知り合いの芸能人達を無理やり入れるんだ。
ヒデキさんがギャランドゥをリカッチに毟られてたのも、
ヒデキさんが「アヤヤファミリー」に入る事を決めたからなんだ。

僕が知ってる限りでもグッチョンが眉毛を剃らされていたし、
名倉君は外国籍にさせられた。
南原さんなんて一日中社交ダンスを一人で踊らされていたんだ。
彼女達は特にお笑い芸人ばかりをファミリーに入れたがるんだ。
そして、今日は僕らの番なんだ…

あ〜〜!!俺達はどうすればいいんだ!?教えてくれよ!天野く〜〜〜〜〜〜ん!!!


こうして「キャイ〜ン」は石川達の軍門に下った。

本編はまだ一行も書いてません               スマソ。
873名無し募集中。。。:02/09/28 01:43 ID:BhifL49X
ショートエピソードお疲れ様保全
874いかづち:02/09/29 11:45 ID:nx7lEnPr
デッドオラアライブさん始めまして、一時期モー娘。から心が離れていたのですが
この作品に出会ってヨッスゥーの事がまた好きになりましたありがとうございます
あせらずがんばってください新作期待しています。
875名無し募集中。。。:02/09/29 22:44 ID:ayLYlG4p
>>874
ようこそこのスレへ。一緒に作者さんの作品楽しみましょう。
一応sage進行でよろしく。
876いかづち:02/09/30 10:12 ID:fzlSD7ny
こちらこそよろしく
877名無し募集中。。。:02/09/30 11:20 ID:QVYIDMzf
>>876
いや、だからsageてね・・・。
878名無し募集中。。。:02/10/02 00:04 ID:c0PMat2K
879名無し募集中。。。 :02/10/04 13:43 ID:83GEqONm

     >>874-877ありがとう保全!
881名無し募集中。。。:02/10/05 14:25 ID:pL6vud0K
ね(涙)
882名無し募集中。。。 :02/10/06 15:23 ID:lD0xatso
あへ
883名無し募集中。。。 :02/10/07 18:15 ID:o+qe0QkH
あへあへ
884名無し募集中。。。 :02/10/08 19:54 ID:Lh52JWpA
あへあへあ
885名無し募集中。。。:02/10/10 23:07 ID:87C6pxiw
保全
886名無し募集中。。。 :02/10/11 17:29 ID:A+WKMFxF
887名無し募集中。。。:02/10/11 21:34 ID:ePdPBRwB
辻ってなんだよ・・・。
加護
888名無し募集中。。。 :02/10/12 00:25 ID:EQD7ZFgK
は?ワケわかんね
紺野
889名無し募集中。。。:02/10/12 22:28 ID:GCx4Epgl
なんだよコレ?
高橋
890名無し募集中。。。 :02/10/13 16:11 ID:6iW+Pm0G
・・・つぅか、
891ねぇ、名乗って:02/10/16 12:33 ID:nD/tPUrD
jdk
892名無し募集中。。。:02/10/17 10:00 ID:Kp+5ACDH
jdkってなに?
893ねぇ、名乗って:02/10/18 12:36 ID:O6p0wVeG
>>892
えth
894名無し募集中。。。:02/10/18 13:50 ID:ruurRPku
あげとく
895D:02/10/18 19:52 ID:JigWST6L
age
896A:02/10/19 14:52 ID:5l3nYRF+
sage
897柴田と宮崎:02/10/19 16:02 ID:XJTUwlvK
今から一緒にこれから一緒に殴りに行こうか
898あげとく:02/10/21 19:17 ID:KRbLaMQU
あ・げ・る ♥ ウフッ
899名無し募集中。。。:02/10/23 13:45 ID:5bKnP2MB
保金
900zzz,,,:02/10/23 22:46 ID:eDs0Gh+L
申し訳ありませんが900を頂きます
901名無し募集中。。。:02/10/25 21:34 ID:mgZjtuNB
いよいよ1000へ向けて901
902名無し募集中。。。:02/10/27 02:24 ID:Ggj9dr7A
902
903名無し募集中。。。:02/10/29 19:24 ID:NpFfuxGb
903
904名無し募集中。。。:02/10/30 16:56 ID:ENFrS9bp
あげまん
905名無し募集中:02/11/02 00:23 ID:TYCwCeLn
ということで新スレのほうが完結したわけです・・・
906名無し募集中。。。:02/11/02 11:08 ID:hZ1qHw9j



907名無し募集中。。。:02/11/03 21:24 ID:QzFTkK+T
907
908名無し募集中。。。:02/11/07 13:43 ID:0x6KHq/S
てst
909名無し募集中。。。:02/11/13 04:40 ID:k166FSDE
保全
910名無し募集中:02/11/14 23:39 ID:gfxewIMI
ほぜん
911名無し募集中。。。:02/11/19 09:51 ID:vF1r4TRn
保全
912名無し募集中。。。:02/11/19 18:29 ID:RM7osws5
913名無し募集中。。。:02/11/21 01:00 ID:SSX+CPZf
保全
914CHAGE:02/11/22 23:43 ID:3gakOXKW
age
915名無縞馬:02/11/24 14:46 ID:Za+Ccej8
dat落ち防止カキコ。
916名無し募集中。。。:02/11/28 17:33 ID:dPVyG/cX
ま、あと100レスも返せない内に落ちるけどなー
917名無し募集中。。。:02/11/30 22:19 ID:nhSiLsBH
ho
918名無し募集中。。。:02/12/04 00:42 ID:1wVe4zwj
zen
919名無し仮面:02/12/04 01:01 ID:2Rol86P8
保全
920名無し募集中。。。