【小説】 ★★ 『ハロプロ』バトルロワイヤル★★

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429デッドオアアライブ
★ 『ハロプロ』バトルロワイアル【鬼武者の章】★

軍艦島に向かう一艘の大型クルーザーが優雅に白波を立てる。
豪華クルーザーの操舵室で舵を握る紺野は溜息を漏らした。
飯田に本当の事を話したのを後悔してるのだ。
甲板でバーベキューパーティーをする飯田は高級シャンパンを飲み
その周りを辻と加護がライオンと虎に乗りグルグル回って遊ぶ。
安倍と矢口は二階室のテーブルに座りワインをたしなんでいた。
船の先に立ち両手を広げてタイタニックごっこをし始めた辻と加護・・・・
どうしてこんな事になったのだろう・・・・
紺野はさらに深い溜息をしガクっと首を垂れた。


高橋の事件の後、落ち込む飯田に本当の事を話すか悩んだ。
話すキッカケを作ったのは辻と加護だった。
3頭の猛獣をペットの様に連れて来たのにはビックリしたが
辻、加護の思うがままに動く猛獣を見て
軍艦島に行っても絶対負けないと思ったからだ。
最初、飯田は紺野の話を聞いて面倒に巻き込まれるのを嫌った。
しかしバックに政府が付いてるのと、紺野が何故いつも大金を持っているのか
分かると態度が微妙に変わってきた。

飯田の言うままにお金を渡していたのがいけなかった。
怖いからとでっかい猛獣の檻を購入したのを皮切りに
毎日のように高級食材を買い、好きな服を買いあさり
しまいには作戦基地が必要との理由で『飯田二輪店』をビルに立て替えると言い出した。
もちろん全ての金は紺野が用立てていたが
『ツョッカー』とは全く関係無い所だけにお金が消えていった。

それを見る辻と加護も影響されてお小遣いを湯水の様に要求するようになった。
あれほど他の娘。達には話すなと念を押したのに
いつの間にかみんなに知れ渡っていた。
そして安倍と矢口も金を無心するようになり紺野は切れた。

メンバー全員を呼んで緊急会議を開いた。
紺野の切れ具合を見て、全員がシュンとなり反省した。
飯田なんかは土下座までして紺野に詫びたが
最後に全員で贅沢旅行をしようと言いだして紺野とまた衝突した。
結局、軍艦島に行く事と旅行がごちゃまぜになって
この豪華クルージングになったのだ。

「なに落ち込んでんだよ!元気だせ、元気!!」
酔っ払いながら操舵室に入ってきた飯田はバンバンと紺野の背中を叩いた。
「なんなら、もう一周ユックリと島の周りを回るか?」
もう、3周もユックリと島を眺める様に回っているのだ。
ブンブンと首を振ってうつむく紺野は
「い・・・いい加減に・・・して下さい・・・・」
声が涙声になっていた。
さすがにヤバイと思ったのか飯田は「お・・・おう・・・そ、そうだね・・・」
とソーっと操舵室を出た。

「や、ヤバイよ!紺野が切れてるよ!辻!加護!大人しくしなさい!」
デッキに出た飯田の声が聞こえた。
子供2人に人差し指でシーっとする飯田を見て
紺野はまたもや溜息をつく。
二階から安倍と矢口のはしゃぐ声が聞こえてきて
紺野は今度こそ全員死ぬかもしれないと思った。