【小説】 ★★ 『ハロプロ』バトルロワイヤル★★

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211デッドオアアライブ
★★ 『ハロプロ』バトルロワイアル★★

商店街の目抜き道理を浜崎アユミは
なにやらブツブツ呟きながら歩いていた・・・・
(バチが当たったんだ・・・・・)
カウントダウンコンサートで足の不自由なファンに
立っていないのは感じが悪いとハマヲタを煽り
泣きながら付き添いの母親と一緒に出て行く少女を
ニンマリと笑って見送った自分を今更ながら悔やんだ。
胸にぶらさがる長瀬とのペアのネックレスを握り
(神様・・・トモヤと逢わせて下さい・・・・)と祈った。

・・・・商店街の中央でへたりこんで座る浜崎・・・・

その目が見開きキラキラと輝きだす・・・・
涙が止めどもなく溢れてきた・・・・
商店街の外れに陽炎の様に立つ影・・・・
「トモヤァ!!」長髪が揺れる背の高い影は
間違いなく長瀬トモヤだった・・・・
212デッドオアアライブ :02/02/06 16:22 ID:wPh/oNX0
★★ 『ハロプロ』バトルロワイアル★★

「ア・・・アユミか・・・?」
フラフラと立ち上がり自分の名を叫ぶ浜崎を見て長瀬は動揺した。
牙が生え、人の生き血に餓えるヴァンパイアに改造された自分を
愛する浜崎に晒したくはなかった・・・
牙は隠す事はできる、しかし血を渇望する体は
浜崎を抱き締めた途端にその本性を現わすだろう・・・
立ち尽くす長瀬に夢遊病者の様に近づく浜崎・・・・
長瀬は見た、浜崎のはるか後方にキラリと光るオートバイを・・・
そのオートバイは、いきなりエンジン音を轟かせ
商店街を加速する。
「走れ!!アユミィ!!」長瀬が絶叫する。

浜崎はエンジン音に気付き振り返ると
みるみる近付いて来るバイクが見えた。
足がすくみ、立ち止まる浜崎が最後に見た物は
羽が生えたバイクと其れに跨る・・・・
ジャキンと翼を広げた様に飛び出した刃は浜崎を2つにした。
(・・・やっぱり罰が当たったんだ・・・・ゴメンネ・・・・)
上半身が宙を舞い、女の子に謝る浜崎アユミ・・・
千切れたネックレスが飛び長瀬の足元に落ちた・・・

   浜崎アユミ  死亡
213デッドオアアライブ :02/02/06 16:30 ID:wPh/oNX0
★★ 『ハロプロ』バトルロワイアル★★

「アユミィイイ!!!」足元に落ちたペアのネックレスを、膝をつき、
両手で拾い上げ、愕然としている長瀬の10m程手前で
バイクは弧を描き停車した。
カシャリと翼の様に広がった刃が車体に収まる流線型の
そのバイクは、銀色に煌めき、ヘッドライトは
何かの目の様に赤かった。
「・・・誰だ・・・オマエ・・・?」怒りで目が赤く染まり、
口が裂け、牙を剥き出しにする怪人長瀬・・・
質問するのも無理はない、
バイクに跨るその男は仮面を被っていた。
黒いライダースーツに銀色に光る胸のプロテクター、
同じく銀色のライダーブーツと長手袋、
風になびく銀マフラーの上にあるのは
虫をモチーフにした様なシルバーの仮面・・・・
その男は質問には答えず
「この祭りは俺の手で決着をつけた・・・」
仮面の大きな赤い目の奥で、男の本当の目が光る。
「なに訳の分らねえ事言ってんだ!!」
叫ぶ長瀬を無視して
「だが俺の本当の祭りはこれからだ・・・」
バイクを降りた男のシルバーのベルトのでかいバックルが
チカチカと光りだした・・・・

214デッドオアアライブ :02/02/06 16:32 ID:wPh/oNX0
★★ 『ハロプロ』バトルロワイアル★★

バリケードの前で立ち、辻は一生懸命説明をしていた。
しかし言葉足らずのつたない説明は何を言っているのか判らず
「なに言ってんのか分かんねえよ!」
矢口の言葉に遂に泣きだす。
慌てた矢口が「わ〜!分った分った!・・・ゴメンゴメン・・・」
と安倍と加護の3人でメソメソする辻をなだめる。
一緒になだめようとした飯田の頭に
《目の前のバックを開けて下さい・・・》と声が聞こえた。
「な・・・なに・・・?」
キョロキョロと周りを見回したが誰も居ない。
《バックを開けて下さい・・・》また聞こえた。
「なんなの・・・?」間違いなさそうだ、聞こえたのだ。
恐る恐るバックを開けてみると赤いライダースーツと
赤い仮面が入っていた。
《それを着てください。それはアナタ自身と他の3人を守る事ができる
強化スーツです・・・》
ライダースーツを手に取り「あなたは誰なの・・・?」と聞いてみた。
《私は紺野といいます・・・》
何処かで聞いた事のある様な声・・・・
何処かで聞いた事のある様な名前・・・・
いつも皆から何かと交信していると揶揄される飯田の
初めての本当のチャネリングだった。
215デッドオアアライブ :02/02/06 16:33 ID:wPh/oNX0
★★ 『ハロプロ』バトルロワイアル★★

「なに着てんの?カオリ・・・!」安倍が目を丸くする。
矢口は口をアングリと開ける。
赤いライダースーツには白いモコモコした胸のプロテクターと
ぶっといベルトが付いている。
白い手袋とライダーブーツを履き、ピンクのマフラーを巻いた。
「飯田さん、カッコイイ!!」
泣いていた辻も泣き止み、加護と一緒に目をキラキラさせて
手をたたき歓声を上げる。
「コンノ様からお告げがあったんだ・・・・」
と飯田は手に持った仮面を被る。
仮面からウィーンと機械音が鳴り、ベルトがチカチカと光りだした。
自動的にスーツと仮面がピタリと付き露出していた首を守る。
仮面の後ろからは長い髪がサラサラと舞った。
「コンノ・・・サマ・・・?」 「なに、それ・・・?」
安倍と矢口がポカンと顔を見合わせ、
同じ表情でまた飯田を見た。
「そう、コンノ様・・・」と飯田。
安倍と矢口は開いた口が塞がらない。
辻が「神様だよ!モーニング娘。の!!」と思い当たる伏しが有る様に
声をあげた。
辻は紺野が死んで、神様になって飯田に降りて来たと思ったのだ。
「分かるの?辻・・・」と飯田は辻を抱きしめ頭をナデナデする。
「とにかく!私がナッチ達を守るから!!」
飯田の言葉には力強さがみなぎっていた。
安倍と矢口は、ずっと表情が固まったままだ。
1人でゴソゴソと全部のバックを開けていた加護が
「・・・無い・・・」とガックリと肩を落とす。
加護もライダースーツを装着したかったのだ・・・・


216デッドオアアライブ :02/02/06 16:34 ID:wPh/oNX0
★★ 『ハロプロ』バトルロワイアル★★

「くっそう!」長瀬のパンチは全て仮面の男にさばかれる、
「ちっ!」長瀬の跳躍は男の頭を越え、男の背後に回り
羽交い絞めにした。
口がガバっと裂け男の喉元に噛み付く、しかしスーツに
守られた喉は長瀬の牙を通さない。
「ふん!」男は肘を背中にいる長瀬にあびせ
「はぁ!!」振り向きざま長瀬の胸にパンチを叩き込んだ。
5mも吹っ飛び「ぐぁ!」と口から吐血する長瀬・・・
男がグっと突き出す拳には浜崎とのペアネックレスが握られていた。
拳に力を入れるとボロボロとネックレスが崩れた。
「・・・き さ ま・・・」
凄まじい形相で睨み付ける長瀬に
「終わりだ・・・」と仮面の男は腰を屈め両足に力を込める。
ベルトのバックルが激しく光りだす・・・
「とうぅ!!」男のジャンプは4mも跳躍し回転し錐もみしながら
長瀬の腹をえぐり蹴った。
どてっ腹に大きな穴が空いた長瀬は崩れ落ち、
意識が遠くなりながらカチャリと仮面を外す男の顔を見た。
「・・・も り・・・」
その言葉を最後に長瀬は絶命した・・・
森カツユキは強化手術を受けてはいない。
科学の粋を集めた強化スーツにより怪人長瀬を倒したのだ。
この島にいる全ての人間を殺し生き残れば
衰退の激しいオートレース界に莫大な資金が入る予定になっている・・・
寂しげな表情の森カツユキは
バイクに跨りエンジン音を轟かせその場を後にした・・・

   長瀬トモヤ  死亡