矢口を見た瞬間、俺は言葉を失った。
俺のサイズで買ったため矢口にはBIGサイズ
となったシャツを着ていて裾がひざまで来ている。
下にはちゃんとズボンを着ているのだろうが服の裾で
見えなくなっている。
「あの・・・・・ちょっといいですか?」
何か不安そうな目でこちらを見つめる矢口。
「あ、はい。どうぞこちらで・・・・・」
そういって自分の前の椅子に矢口を座らせる。
矢口はしばらくうつむいていたがしばらくすると顔を上げて
話しかけてきた。
「あの・・ここは・・・どこなんですか?わたしは・・・誰なんですか?」
突然の質問にすぐには何を言ってるのか理解できなかった。
「え・・・・あの・・・何を言ってるんですか?」
「わからないんです・・・自分の名前も・・・どうして
ここにいるのかも・・・・」
しばらく二人とも無言で何もしゃべらなかった・・・。いや、
しゃべれなかったのだろう。
無言の状況を打ち破ったのは俺の方だった。
「何も覚えてないんですか?」
彼女は必死に何かを思い出そうとしてたがそれも無駄に
終わったらしい。
「すみません・・・わからないんです。ただ・・・・」
彼女はそこまで言うとうつむいてしまった。
「ただ・・・ただなんなんですか?」