シアター

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101ごっつぁむ@作者
あたしは、バスの中で考えことをしていた。
それはもちろん、先ほどのスタッフの遺体のことだ。
実は、死亡を確認したまではいいのだが・・・。
雪ダルマの体の部分から、胴体が抜けずに死因が判明しなかったのである。
ただ…その表情が、新垣と同じく酷く怯えた表情であったことだけが解ったといえば解ったことだった。

「…後藤さん」
隣の紺野があたしに小声で声をかける。
「…何?」
あたしが同じように小声で返事を返すと、紺野も自分なりの推理をあたしに説いた。
「……あの死体、どーやって中に入れたんでしょう?」
……そういえばそうだ。紺野に言われて初めて気づいた。
雪ダルマの中に人間2人を隠すのって、案外大変じゃないのかな?
あんなにでかい雪ダルマ、作る時間が犯人にあったのだろうか。なんせ、2メートル近くあったし。
何かが妙だ…。そう思いながらもあたしには謎がまだまだ解けずにいた。
やがて、沈黙のバスは旅館へと辿りついた。

「ごっちん、どうだった?」
「何か、わかりましたか?」
旅館に入るなり、あたしたちを残りのメンバーが迎えた。そしてあたしの姿を見るなり口々に質問してくる。
「だーめ。ほとんど何もわからなかったよ」
あたしの言葉は、どうやらそんなメンバーたちの期待を裏切ったようで、明らかにみんなが「あ〜あ」という
表情をしているのがわかる。
「さて…と。これからのことについて話合わないとね」
そうやって場を仕切るのはいつものようにやぐっつぁんだった。
「とにかく、食堂に行きましょ。温かいお茶が飲みたい。ね、矢口」
後ろにいたかおりが、やぐっつぁんに声をかける。やぐっつぁんは「うん」と大きく頷き靴を脱ぎかけていた。
102ごっつぁむ@作者:02/01/29 16:27 ID:7YvVIMpE
「それで…これからどうするんですか?」
みんなが座るなり、一番最初に口を開いたのは珍しく梨華ちゃんだった。
今朝の朝食の時と同じ並び順で席につく。
変わったといえば、加護の隣に辻が。あたしの隣にかおりが座ったことだけだろうか。
…よく考えてみると、12人しかいない「モーニング娘。」なんだ、コレ…。
今まで人数が多すぎてわからなかったけど新垣一人いないだけで随分違和感がある。
「そうだね…」
リーダーのかおりが、梨華ちゃんの問いに対して応えるが、結局答えは出ないまま黙ってしまった。
「やっぱり矢口が運転するよ、東京まで」
「却下!!」
「絶対、イヤです」
「いやだ!」
やぐっつぁんの申し出は次々に却下され、やぐっつぁんは「なんだいなんだい…」と拗ねてしまった。
「後藤、どう思う?」
圭ちゃんに突然こっちに話題を振られあたしもちょっと戸惑いながら自分の意見を言った。
「あのさ、あたし…一刻も早くここを出た方がいいとは思うんだ」
うんうん、とそれぞれが頷く。
「だけど。ここから出るにも出れないじゃないの」
うんうん、とまたそれぞれ頷く。
「だから…なるようにしかならないでしょ」
……。沈黙。
誰もがわかっていることを、釘付けされたような決まりの悪い表情を浮かべていた。
「……あのさ」
そう言って立ち上がったのはよっすぃーだ。
「あの、アタシ思うんだけど」
「何?吉澤?」
「あの、アタシ…。アタシ〜…」
よっすぃーは、何かを言いたそうにしながら言いにくそうに口の中でもがもがしている。
だが、決意を決めたように大きく頷くととんでもないことを言い出した。
「東京に、帰らないっていうのはどうかと思う!!!」