サウンドノベル4「ハッピーエンド」真実の章

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833辻っ子のお豆さん
勢いで言っただけで、ホントは何にも考えてない。
「えへへ〜。どうしましょうか?」
「ないんかい!だったらおとなしく座ってろ!」
矢口さんに突っ込まれて私が座ろうとすると、梨華ちゃんが私の手を取ってきた。
「私に任せて。行こ、よっすぃー!」
突然、梨華ちゃんは私を引っ張ってバルコニーへと駆け出した。
城下は、あまりの事態に戸惑う兵士や民衆でざわめいていた。
「みなさ〜ん、聞いてくださ〜い!」
突然の王女の声により、人々は騒ぎを止め一斉にそちらに目を向けた。
その中にはダッシュで逃げた紺野の姿もあった。
「あ、お姫様だ。なんで吉澤さんが隣にいるんだろう。」
騎士団長石黒は驚いて下から声を張り上げた。
「姫様!これは一体どういうことですか!?」
民衆の中には情報屋小川の姿もあった。
「フゥ〜、どうやらうまくやったみたいね、あいつ。」
バルコニーの上で、私は梨華ちゃんの行動が理解不能で混乱した。どうして私まで?
「ちょっと梨華ちゃん、これは・・?」
梨華ちゃんは私の問いに答えず、眼下に広がる人々に声を掛けた。
「ごめんなさーい、結婚式の演出、ちょっと派手にやりすぎちゃいましたー!」
834辻っ子のお豆さん:02/01/31 23:14 ID:sdcL4hVL
梨華の言葉を受けた民衆は一気に沸き上がった。
騎士達は唖然として顔を見合わせ、口々に何かを呟いていた。
「え、演出?じゃあ俺達みんな姫様に一杯食わされたって訳か。」
「そうみたいだな、やれやれ姫様もお人が悪い。」
「だがそれなりに楽しめた。ここまでドキドキしたのはひさしぶりだ。」
皆の顔に自然と笑顔が戻ってくる。
薄汚れたウェディングドレスを纏った王女は、激しい死闘でボロボロの服を着た、
だけど誰より大好きな本当の王子様と手をつないで笑顔を振り撒いた。
「結婚式の演出ってさ、ちょっと無理がない。第一もう相手がいないんだし…」
「え?いないの?」
まるで尋問する様に梨華ちゃんはじっと私の目を見詰めてくる。
「いや、います。はい。」
なんか敬語になってしまった。
梨華は微笑みを浮かべ、私の腕を掴んだまま大きく上に掲げで宣言した。
「私達、結婚します!」
すると今度はさっきの倍以上の歓声が沸き上がった。
あーあ、もうどーにでもなれ〜。
「結婚するぞ〜!みんなよろしくー!!」
考えるのは辞めて、勢いで私も声を張り上げた。
835辻っ子のお豆さん:02/01/31 23:15 ID:sdcL4hVL
その内容を聞いた城内でも歓声が沸き上がっていた。
「よっすぃーがおうさまなのら〜。」
「めでたいで〜、祝杯や祝杯!」
「あいつはアホか。」
「zzzzzz…」
「後藤さん、寝てる。」
「くそっ、グレてやる。」
ここにハロプロ王国の新しい王が誕生した。
吉澤ひとみ。
ハロプロに新しい時代の幕が下りる。
836辻っ子のお豆さん:02/01/31 23:16 ID:sdcL4hVL

城下町から少し離れた小高い丘の上で、保田圭は目を丸くして驚いていた。
「うわー、まさかあいつらが勝つとはねぇ〜。」
「予想外の結末でしたね、保田さん。」
そう答える松浦の言葉にはどこか陰りがあった。
「まぁうちらにとってはどっちでも関係ないか。そろそろ出発する?」
二人は約束していた。
全て終ったら外の世界へ出て、もっとおもしろい物がないか見て回ろうと。
相打ちで死んだと思わせ姿を消そうと。
しかし、松浦の様子がおかしい事に保田は気付いた。
「どうしたの亜弥?」
松浦は何も答えずハロプロ城の方をじっと見詰めていた。
いや、まるでそれは石川と吉澤を見詰めている様にもみえた。

【真実の章 終わり】